タブンネの成る木

タブンネの成る木
ここは天国。極楽ともいう。ここには1人の老婆と巨大な大木が植えてある以外、何もない。
老婆の仕事は朝早い。天国にも朝や夜はある。大木には桃のようなピンク色の球体がなっている。
突然ミギイイイ!という声が大木から聞こえた。老婆は重い腰を上げ、
声の聞こえたところを見上げる。老婆の視線の先にはピンクの塊があった。
それは下界でタブンネと言われるポケモンだった。しかし天国で見かけるあの多分根より、一回り小さく
何より木と繋がってる場所から白いふわふわなものがはみ出ている。老婆はため息をついた。
「こいつも下界行きかのぉ」そう言って木と体が繋がってる部分を枝切りばさみで切り取った。
顔が下を向いていたため、顔から床に激突し、涙を流した。老婆はそのタブンネのしっぽと思われる場所を
掴み上げ、穴があいている場所で手を離した。それは下界につながる穴だった。

老婆は待ち続けていた。その多分根というとてもおいしい桃がその木になるのを。
桃といっても下界でよく見られる桃は動かないので多分根ではない。多分根は生きた桃である。
しかし出来が悪い多分根は実の付け根から白い糖分が出てしまい、切ってすぐに捨てなければ
他の多分根も出来が悪くなってしまう。だから先ほどの多分根を下界へ捨てたのだ。

そのころ下界では1匹のオスンネと1匹のメスンネとの間に生まれたタマゴが孵ろうとしていた。
自分たちが実は出来そこないの生物であるとは知る由もない。
最終更新:2014年12月26日 02:09