あらすじ
『タブンネだいすきクラブ』人気ナンバー1の
ハツネちゃん。
彼女は元ポケモン美容師のトレーナーにかわいがられていたが、
お見合いの失敗が原因で愛情を注いでもらえなくなる。
その後、近所に住むタブンネとデートをすることになったが
デート中人間に連れ去られてしまった。
ハツネちゃんは王子様と出会い、幸せになることができるのであろうか?
どれくらい眠っていたのかな?ハツネはようやく目を覚ましたの。
ハツネの目の前にはヒゲを生やしたおじさんと若い男の人達がいたよ。
「社長、タブンネが目を覚ましました」
「うむ、ようこそタブンネくん。私の別荘へ」
社長さんはハツネの頭をなでなでしながら話しかけるわ。
笑顔がこわい……
「何もおびえることはないだろう、私たちはキミの命を救ったのだから。
まあお礼として別荘づくりに協力してもらうがね」
えっ?別荘づくりなんてハツネできないよ。
ママのところへかえしてよ……
「断るなんてしないだろうね?そうするなら私があの若者のかわりに殺してあげるけど…」
そういって社長さんはハツネの頭をポンポン叩いたの。
……ハツネまだ死にたくないし、社長さんの言うことを聞くことにしたの。
「そうか、手伝ってくれるか。ここでの生活は不安だろうが安心したまえ、
私は趣味仲間からは『仏の社長』と呼ばれているんだ。
キミにも毎日お腹いっぱいの食事と週1回の休日を約束しよう、ハッハッハッ」
そう言って社長さんたちはハツネを連れて部屋を出たの。
社長さんに連れられたハツネはお外に出たの。
そこでは大勢のタブンネさんたちが草むしりをしたり土地を整備したりしてたよ。
どのタブンネさんも泥だらけ……それにふわふわのしっぽもなくなってる。
「ここでは雄雌10匹ずつのタブンネが働いているのだよ。
誰かが死んだらよそから同じ性別のタブンネを連れてくる。そういうシステムなのだ。
さて、早速仕事をしてもらうが、その前にキミの『アレ』をつくってやらなきゃな」
そういって横にいた男の人がハツネのしっぽをおもいっきり引っ張って持ち上げたの。
痛い!痛い!ってハツネは暴れたんだけど、
「うるせえ!」っていいながらしっぽをナイフで切っちゃったよ…… ドサッ
ハツネのしっぽがなくなっちゃった……それに地面に落ちちゃって痛いよ……
「おっと痛かったかな?今薬をぬってやるからな」
そういって男の人はハツネのしっぽのところにお薬をぬりはじめたの。
手当てするくらいなら最初からやらなければいいのに……
「今キミに塗ったのは永久脱毛の薬だ。こうすればもう元の暮らしに未練はなくなるだろう。
身軽になってよかったじゃないか、ハッハッハッ」
えっ?ハツネのしっぽはもう生えてこないの?いや!ハツネのしっぽかえしてよぉ!
ハツネはお願いするけど社長さんたちは笑ってるだけなの。
ハツネ、涙が出てきちゃった……
どうしてここの人間さんはハツネたちがかわいそうになることが平気で出来るの?
ハツネたちも痛かったり大事なものがなくなったら体もハートも傷つくんだよ。
タブンネはポケモンなんだよ、ポケモンにもみんなハートがあるんだよ……
しっぽがなくなったハツネはお仕事をさせられることになったの。
今日のお仕事は草むしりだって。
だけどこの草鋭いから手が傷だらけになっちゃうよ……
それなのに人間さん、ジュプトルさん、ストライクさんは
誰かが手を止めるたびに「サボるな!」ってハツネたちの背中をぶつの。
「ピシッ!!」 「ビシッ!!」
ハツネはお耳がいいから誰かが傷つく音や声が聞こえるたびに
自分のハートも傷ついちゃうの。他のタブンネさんもきっとそうだよね。
「おい!倒れてんじゃねえ!」
向こうでは人間さんが倒れちゃったタブンネさんに何度もムチをふるってる。
もう見てられない!ハツネも他のタブンネさんも傷ついてほしくないよ!
そう思ったハツネはタブンネさんのもとへいっていやしのはどうをしてあげたの。
「他のタブンネかまってねえで持ち場に帰れ!」
それを見た人間さんがハツネにムチをいっぱいふるうの。
痛い!痛いよ!でもハツネは負けない!
「どうして私にかまうのよ!早く戻ってよ!」
倒れたタブンネさんもやめるようハツネに言うけどそんなことできないよ!
ハツネはみんな幸せになってほしいもの。
その一心でいやしのはどうをかけてあげたよ。
倒れたタブンネさんはみるみる元気になったの。
だけどハツネは元気になったタブンネさんをみたら安心して倒れちゃった……
目が覚めたらお月様が見えてたの、ほかのタブンネさんも川で水浴びをして休んでるわ。
ハツネが倒れている間にお仕事が終わっていたのね。
「ハツネ君も目覚めたのか。ちょうどご飯の時間だよ」
ハツネたちのところに社長さんがトラックを引き連れてやってきたよ。
「今日もいっぱいご飯を持ってきたからね、残さず食べるんだよ」
社長さんはご飯はいっぱい食べさせてくれるって言ってたよね。
大自然の中だからおいしいきのみをいっぱいくれるのかな?
ちょっと期待しちゃうよ♪
だけどトラックのおじさんがもってきたのはたくさんのゴミ袋なの。
そしておじさんがゴミ袋をおくとみんなでゴミ袋を開けて食べ始めたよ!
それもみんな他のポケモンと取り合いっこまでして。どういうこと?
「街に住む人間というのは食べたいものだけを食べ、
食べたくないものは捨てる困った生き物なのだよ。
世の中には何日もご飯を食べられない人間やポケモンたちが大勢いるのにねぇ。
それを考えれば毎日お腹いっぱい食べられるキミたちは実に幸せだよ」
社長さんはタブンネさんたちをなでなでしながらお話するの。
「ほら、ハツネ君も食べなさい、早くしないと好きなものがなくなっちゃうよ」
ハツネはゴミ袋の中を見てみたの、そしたらビックリしちゃった。
中にはきのみの芯やお野菜の皮、お料理の食べのこしがグチャグチャになって入ってるの。
いや!ハツネこんなの食べたくないよ!
「安心したまえ、ここの食材はわが社できっちり品質と安全を調査したうえで
契約した農場や工場から出荷されたものばかりだ。
それとも何かね?おなかがすいていないのかい?
運動不足なら全員明日からの労働時間を増やすしかないなあ。
運ばれたご飯はすべて食べなくてはならないのがここのルールだからね」
そんな……ハツネこれ以上お仕事がんばれないよ。
仕方ないからハツネはグチャグチャになったお料理を食べてみることにしたの。
・
え~ん、固いし辛いしおいしくないよぉ。こんなの毎日食べたくないよぉ。
『ゴロゴロゴロ…』
ううっ、おなかが痛いよぉ。
おトイレに行かなくちゃ……
ハツネは同室で眠っている女の子タブンネさんたちを起こさないようにそっと歩いたの。
それなのに
「アンタが大きい音出すから目が覚めちゃったじゃない!どうしてくれるのよ!」
みんながハツネをにらんでるよ。
ごめんなさい!ごめんなさい!ハツネはみんなに謝ったよ。
「まったく、アンタは私たちの仕事は増やすわ寝るのも邪魔するわで最低ね!」
ハツネが助けたタブンネさんも怒ってるよ、ハツネは助けたのに……
「アンタが気絶したせいでアンタのノルマを私たちが引き受ける羽目になったのよ。
いつもよりずっと疲れたわよ、ムチでぶたれたほうが何倍もマシよ!」
そんな……ハツネはみんなに迷惑をかけてたなんて……
「何さ優等生ヅラしちゃって!」「周りのことも考えてよね」「アタシらを見下してんだろ」
他のタブンネさんもハツネに怒ってるよ……
お願い!もうやめて!!!!
『ブビッ! ブビビバババッ! ブビビブビッ!』
あっ……ウンチがでちゃった……
「やだ!女の子の前でウンチをするなんて最低!」
ううっ、恥ずかしいよぉ。
「ちょっとアンタ大人でしょ、もらさないでくれる?ケ・ツ・ネ・ちゃん♪」
「それにしてもすごい音だったわね。さすがケツネちゃんね」
「おしりから大きい音をだすからケツネって名前をもらったのね♪ピッタリな名前よ♪」
「ケ・ツ・ネ!」「ケ・ツ・ネ!」「ケ・ツ・ネ!」
みんなが大合唱して笑ってるの。
ううっ、わたしはケツネじゃないよ、ハツネだよ。
そんなお下品な名前で呼ばないでよぉ。
「ほら、泣いてないで早くそのクサいウンチをはやくふきなさいよ!」
泣いてるハツネのお顔に大声と一緒に雑巾が投げつけられたの。
あれ?この雑巾さわり心地に覚えがあるよ。
……ハツネはイヤな予感がしちゃったの。
「ほら、そのアンタのしっぽで早くふきなさいよ、アハハハハ」
いやあぁぁぁぁ!!!!
最悪の夜をこえてようやく朝がきたよ。
今日は週に1度のお休みの日なんだって。
もうハツネの体とハートはボロボロだよ……はやくおうちに帰りたいよ……
お休みの日はみんな大きい部屋に集められたの。
そこには電車のおもちゃやサッカーボールがおいてあって好きに遊んでいいんだって。
だけどみんな悲しそうな顔してじっとしてるの。
そうよね、毎日ムチでぶたれながら働かされてたら遊ぶ元気なんて出ないよね。
ハツネもボロボロの体とハートを癒すためにゆっくりすることにしたの。
そのため横になろうとおもったら片耳しかないタブンネさんが近づいてきたの。
このタブンネさんはたしか『カタミミ』ってみんなから呼ばれてたかな?
「お前ハツネだろ?ネットで見たことあるぜ」
ハツネを知ってるなんてなんかうれしいな♪
「俺はバトルの成績がふるわなくてトレーナーに捨てられ……
ここの連中に連れ去られて1か月が経った。
この1か月、生きることに何の喜びも感じず、ただつらいことだけしかなかったんだ」
そうよね、ハツネなんて1日でボロボロなのに1か月も働かされたら
何の喜びも持てないよね。
「だけどよ、ネットで見て憧れてたハツネに会えたことで生きる希望が持てたぜ」
よかった、ハツネは昨日迷惑かけちゃったけどハツネに生きる希望を持ってくれる
タブンネさんもいてくれたのね。
「毎週お前を抱けるようになるなんて思わなかったからな!」
そう叫びながらカタミミさんはハツネを押し倒したの!
「ヘヘ、お前写真で見るより可愛いな。サイコーだぜ!」
いや、やめてよ!ひどいことしないで!
ハツネは抵抗するけどカタミミさんは無視してハツネにのしかかってくるの。
痛い!痛い!やめてよ!
「ヘヘヘ、これが子作りか!最高だぜ!!」
やめてよ!ハツネは愛する王子様との子供を産みたいの!
こんなかたちで子供をつくりたくないよ!!
「安心しろよ、お前はもう子供産めねーから。」
えっ?
「なんだ?社長から聞いてなかったのか?お前はここに連れてこられたとき
子供ができなくなる薬を注射されてるんだぜ。
労働タブンネ20匹という数を維持したいらしいからな」
そんな……ハツネはもうママになれないの?
大勢の子供に囲まれて暮らすハツネの夢はかなえられないの?
ハツネの頭のなかは真っ白になってきたよ……。
「カタミミ、早く代われよ」「僕もハツネちゃんの相手したいよ~☆」
そんなハツネの周りにはいつのまにか他の男のタブンネさんが集まってきてるの。
「ハツネちゃんはモテモテね♪」「おばさんうらやましいわ~」
女のタブンネさんはハツネをみながらニヤニヤしてるだけ。
そして、そんなハツネたちを黙って撮影し続ける人間さん。
ハツネは痛みとみんなの笑い声しか感じられないなか、
ずっと男のタブンネさんの相手をさせられたの……
・
・
・
何時間たったんだろう?ハツネが気付いた時には誰もいなかったの。
残ったのはハツネの体についたいろんな体液、
誰も助けてくれない孤独、夢まで奪われた悲しみだけ……
ハツネがここに来て3日目の朝がきたよ。
お休みなのに体とハートがもっとボロボロになっちゃったハツネは
6日間連続で働けないよ……働きたくないよ……
だけど他のタブンネさんはこころなしか笑顔が戻ったみたい。
なんで笑顔になれるの?
そんなことを考えながらお外をみんなで歩いていたらポケモンセンターの
トラックが停まっていたよ。
トラックの荷台からはラッキーさんが笑顔で石を荷下ろししてるわ。
幸せをもたらすといわれるラッキーさん、ハツネたちにも幸せをください……
「ありがとなラッキーちゃん、あとはこっちがやるぜ」
荷下ろしが終わったラッキーさんはスタッフさんと帰っちゃった。
「よ~しダメポケども、今日の仕事は石運びだ、ポケモンセンターから
庭園用の使わなくなった石を譲ってもらったからな、それを運ぶんだ!」
タブンネはダメポケじゃないよ、いろんなことができるポケモンなのに
なんでそんなこと言うの?
そもそもそう思ってるならこんなコトさせなきゃいいのに……
だけど、攻撃力がとっても低いラッキーさんが軽々と荷下ろしてた石だから
今日のお仕事は簡単なのね。
ハツネ、そう思ったら気が少し楽になったよ。
せ~の!
・
あれ?この石重いよ……ハツネは持ち上げるのに精いっぱいだよ……
「オラ!さっさと山道上って別荘まで運べ!」
『ビシッ』人間さんはムチをたたきながらハツネたちに命令するの。
タブンネさんたちは10歩くらい進んでは石をおろし、また持ち上げて進んだの。
だけどハツネは5歩くらいでもう限界!石をおろすの。
だけど人間さんはそれすら許してくれないの。
「休んでんじゃねえ!昨日一日休んだんだから充分回復してるだろ!」
ううっ、ハツネは休んでないよぉ。
「ったく、ミイミイ泣いてねえでさっさと運べ!」
『ビシッ!ビシッ!』ってムチがとんでくるよ。
「ったく、この石1個15kgだぜ、お前の半分以下の重さじゃねえかほれ」
そういって人間さんは石を頭の上まで持ち上げたの。
それならあなたがやった方が効率い…… ゴッ!!
「おっとすまねえ、バカな頭がもっとバカになっちまった。ハハハハハ」
ううっ、痛いよぉ。なんでこんなことするの?
もうハツネこんな生活いやだよ!
私たちを元の暮らしにかえしてよ!
ハツネは悲しみを人間さんにぶつけたよ。
「ミイミイミイミイうっせーんだよ!
要件があるなら俺にわかるようしゃべりやがれ!」
だけど人間さんはもっと怒っちゃってハツネに何発もムチをふるうの。
痛い!死んじゃうよ!!もうやめてぇぇぇぇ!!!
「これこれ、そのくらいにしないと死んでしまうよ」
その時、車で社長さんが通りかかったの。
人間さんはハツネをいじめるのをやめてくれたよ。
だけど社長さんが下りてきてハツネの前にやってきたの……
「ハツネ君……どうしたのかね?私はタブンネの言葉がわかるから
話くらいは聞いてあげるよ」
社長さんはハツネをなでなでしながら話しかけてくれたよ。
社長さんたちは何でこんなことをするの?人間さんもポケモンさんも
みんな幸せになるために生まれてきたんだよ。
タブンネもポケモンなんだよ。幸せになるに生まれてきたんだよ。
それなのに……どうして幸せを奪うの?
返してよ!体を……ハートを……子供を……夢を……もとの暮らしを……
幸せを返してよ!!
ハツネは力を振り絞って社長さんに訴えたよ。
叫んだら涙があふれてきちゃった。
「なぜこんなことをするかって?それはキミたちに幸せを感じてもらうためだよハツネ君」
社長さんからは信じられない言葉が返ってきたの。
「私もねえ、この世界を知った当初はいかにキミたちを苦しめるかばかり考えていたよ。
だけど生命力の強いキミたちは何をされても必死に生きようともがくんだ。
あらゆるものを奪われる絶望から自分なりの小さな幸せを見つけようともがくんだ!
その姿こそがタブンネの最も美しい姿だと気付いたのだよ!」
「ほら、あそこにいる『クソブタ』のタトゥーを掘られたタブンネ。
彼女は唐揚げが大好物で食事の時間は唐揚げを求めていつもゴミ袋をあさっているのだよ。
向こうにいるタブンネは一時期ストレスで全身の毛が抜け落ちたが
自身の治癒力でちょっとずつ毛が生えてきていることに喜びを感じている」
社長さんは大声になって楽しそうにお話しするの……
「そして、ほかのタブンネたちも各々小さな幸せを感じていたが
最近新たなる幸せを見つけることができたのだよ!
それはハツネ君!キミだよ!」
えっ?ハツネがみんなを幸せにしてる?みんなハツネにひどいことするのに……?
「昨日キミはオスタブンネたちに襲われたんだってね。
その前の晩はメスタブンネたちにいじめられた。
彼らはここでの苦しみやストレスをキミにすべてぶつけることで
さらなる幸せを手にしたんだ。
今朝の映像で彼らの顔を見たとき、今までで一番幸せそうな顔をしていたよ。
そして私たちもそんなキミたちを見られて実に幸せだよ、ハッハッハ」
違うよ、誰かを傷つけたり苦しめたりして得る幸せなんてないよ。
ハツネはそんなことされて幸せじゃないもの。
ハツネはママと暮らしてたころから知ってるよ、
愛するポケモンや人間さんたちと
みんなが助けあって笑顔で楽しくすごせることが本当の幸せだって……
「さあ、キミの話は聞いてあげたよハツネ君。
がんばって別荘づくりを続けてくれたまえ」
社長さんは立ち上がったけどハツネは疲れとムチのダメージ、
ボロボロのハートだから動けないよ……
もう働きたくないよ……かえしてよ……
それなのに
『ドゴッ』
ハツネのハートに社長さんがキックしたの。
ううっ、息ができないよぉ、苦しいよぉ、死んじゃいそうだよぉ……
「仏の顔も三度までという言葉を知ってるかいハツネ君?
これがその意味だよ。
私は別荘で待ってるから頑張るんだよ、ハッハッハ」
そう言い残して社長さんは車に乗って上にいっちゃった……
4日目の朝が来ちゃった……
昨日は石をいっぱい運ばされたから体中の筋肉が痛いよぉ。
それにムチでたたかれたところもまだヒリヒリするし……
今日はどんなことされるんだろう?
ハツネがそんな不安を抱えてたら人間さんが起こしにきたよ。
「おら、今日も精いっぱい働け……『プルルルル プルルルル』
ってなんだよ朝っぱらから……
・
・
何?昨日社長が倒れた?とにかく全員事務所に集まれって?
タブンネどもはどうすんだって……
そんなのほっとけ?ああ、分かったよ。
すぐ行く」
人間さんは大慌てでいなくなっちゃった。
だけど社長さんが倒れちゃったって……
怖い人だけどなんだかかわいそうね。
それにしてもハツネたちはいったいどうなるんだろう。
お外へのドアはカギがかかってるからハツネたちはお部屋で待っていたよ。
それからどれくらいたったのかな?
『バンッ!』って大きな音と一緒に
聞きなれない人間さんの声が聞こえてきたの。
「タブンネを労働させる愚か者はもうここにはいない。
みんなこっちに来るんだ」
やった!ハツネたちは助かったのね。
ハツネは人間さんの声のする方に行ったよ。
だけど……
「アンタが来ると迷惑だから来るんじゃねえ!」
『パンッ!』『パンッ!』『ドカッ!』
何で?女のタブンネさんたちはみんなでハツネに攻撃するの。
ううっ、動けないよぉ。
「じゃあね~♪ケ・ツ・ネ・ちゃん♪」
タブンネさんたちはハツネを置いていなくなっちゃった……
「これで全部だな。よし行くぞ!」ブルルルル……
あっ……助けに来た人間さんたちもいなくなっちゃった……
ううっ、置いて行かれちゃったよぉ。
ちょっと休んだらハツネはまた動けるようになったの。
人間さんが戻ってくる前にハツネもここから逃げなきゃ。
そして、ママのところに帰るの。
ハツネは別荘をでて山を下りたよ。
道はわからないし、ここがどこかもわからないけど……
とにかく山を下りて行ったの。
・
・
何時間ぐらい歩いたのかな?お日様も沈んできちゃった。
まだ街は見えないの…… ズザァァァッ
キャアアアアアアア!!!!
・
ううっ、坂道を滑り落ちちゃったよぉ。
ハツネはおしりをさすった後地面を見ると2匹のポケモンさんの影が見えたの。
「なんでこんなところにタブンネが?」
「さあ?でもこのリボン見覚えがあるぞ。
確か……タブンネだいすきクラブのハツネって子がつけてたリボンだ。」
ハツネを見て話をしてたのはライチュウさんとキノガッサさん。
このポケモンさんたちは社長さんのポケモンさんなのかな?
そんな、せっかくここまで逃げてこられたのに……
もうダメ……ハツネは連れ戻されるんだわ……
ハツネは緊張の糸が一気に切れてまた倒れちゃった……
最終更新:2015年01月03日 00:49