さあ、3日目の朝が来たわよ。
今日はオフだから体と心をリフレッシュしたいんだけど
ラッキーやイゴ先生が気になってしょうがないわ。
だからちょっと様子を見に行きましょう。
モモミは地下の
ナース寮をでてポケモンセンターに向かったの。
「ガヤガヤ」『パシャッ パシャッ』
あら?天使の耳がポケモンセンターに人だかりができてるのを
キャッチしたわ。
また大事故でもあったのかな?
モモミは受付室に着いたわ。
そしたらびっくりしちゃった。
カメラを持った人間がいっぱい来ていたの。
モモミ、テレビで見たことあるわよ、これは取材っていうのよね。
きっとキュートで優秀な
モモミちゃんが入ったから取材しに来たのね。
仕方ないわね、今日はオフだけどみんなのためにがんばってあげるわ。
ウフフ♪モモミって優しいわね。
「すいませ~ん、こっち向いてもらってよろしいですか?」
「あ、僕の方もお願いします」
あら?モモミの写真を撮りたいの?
好きなだけ撮りなさい♪
モモミは手を組んで上目使いをしてジュエルのような目をウルウルと輝かせたわ。
・
………あれ?誰もモモミにカメラを向けてくれないよ。
「いや~とっても可愛いですね、ラッキーちゃん」
えっ、ラッキー?
モモミはみんなの見てる方に目を向けたの。
その先にはラッキーとイゴ先生がいたわ。
「昨日の大火事でやけどしたポケモン達をアロマセラピーで救った
スーパーナースラッキー。
先生はこのコをどう思われますか?」
「ラッキーはわがポケモンセンターの誇りですよ。
このラッキーがいるからこそ私も質の高い医療を皆様に提供できるのです」
「このラッキーはナース殿堂入りとの情報が入りましたが本当ですか?」
「はい、審議会を通さないと確定ではないですが、殿堂入りは間違いないでしょう」
何よイゴ先生ったらデレデレしちゃって。
質の高い医療?それならモモミのいやしのはどうといやしのこころに決まってるじゃない。
「ラッキーちゃん、アロマセラピーをしてくれるかな?
その姿をテレビ映したいんだ」
「は、はい……」
そういってラッキーは目を閉じて集中し始めたわ。
そして緑のオーラとともにアロマの香りが広がったの。
「癒されるわ♪」「香りでやけどを治すなんてポケモンってすごいな」
何よ何よ!アロマくらいで騒いじゃって。
モモミだってアロマパフュームをつけているのよ。
だからそのラッキーより優秀なモモミちゃんを取材しなさいよ!
ほら、キュートなポーズもしてあげるから♪
あら?なんかこっちからも匂うわね……あっ、
ねえ、見てみてあのタブンネ」
あっ、ようやく近くにいたお姉さんが気づいてくれたよ。
「おっ、こいつはすげぇタブンネだ」
横にいたカメラのおじさんも気づいたみたい。
「おいタブンネ、ちょっと撮るからな」
そういっておじさんはカメラをモモミに向けたわ。
このおじさんはモモミの素晴らしさをわかってくれる素晴らしい人間ね。
だからモモミとっておきのポーズをプレゼントしてあげるわ♪
モモミは後ろを向いてフワフワのしっぽをアピールした後振り向くポーズをきめたの。
このポーズはお姉ちゃんがエリートタブンネさんをメロメロにした
トクベツなポーズなのよ♪
このポーズをみたら街中の人間もポケモンもモモミにメロメロになること間違いないわ♪
「さっきのポーズでよかったんだがな……まあいいや」
『パシャッ』
ああ…♪これがカメラなのね♪
この音とフラッシュがモモミの心を癒してくれるわ♪
そして他のみんなもモモミを撮りはじめたわ。
さぁ、好きなだけ撮りまさい!
「よし、夕刊の【ヘンテコポケモンフォト】はこいつで決まりだな。
タイトルは誰も見てないのにポーズを決めるタブンネ…と」
えっ?何それ?モモミがキュートだから撮ったんじゃないの?
「つーかこのタブンネマジウケるんだけど」「ママ~あのポケモンヘンだね」
「「「「アハハハハハハ」」」」
うっ、みんながモモミを笑ってるわ。
モモミが笑われるなんてふさわしくないのことなのに…
モモミにふさわしいのは「キュートね♪」「優秀ね♪」って
褒められることと大きな拍手なのよ!
おねがい、やめて~~!!
気が付いたらモモミは寮まで戻ってたの。
もう今日はお外に出ないでこのまま寝てよっと。
そう思ったモモミはベッドに横になったわ。
・
・
……どれくらいたったのかな?モモミはおなかがすいたから目を覚ましたの。
きのみを食べよっと。
そう思ったモモミは食堂に向かおうとしたの。
だけどそのとき
『ガチャ』「あっ、モモミちゃん…ちょっとお話ししたいことがあるんだけどいいかな?」
エンゼルちゃんがモモミの部屋にきたの。
「私……ナースをやめようと思うの」
エンゼルちゃんのお話を聞いてモモミびっくりしちゃった。
どうして?エンゼルちゃんもナースがんばってるじゃない。
「私もここに来たときは立派なナースになるようがんばろうって思ったよ。
だけど、失敗ばっかりするし仕事は遅いからイゴ先生に毎日怒られちゃうの。
怒られてると自分がナースに向いてないのかなって悩んでいたの。
そして、昨日のラッキーちゃんをみてたらますます自信がなくなっちゃって……
それでやめることを決めたの」
そうなんだ…でもこれからどうするの?
外の世界できのみをとって生活するの?
「うん、それなんだけど人間さんに一緒に暮らしてくれるようお願いするつもりなの」
えっ、それって危ないでしょ?
「えっ?どうして?」
エンゼルちゃんは不思議そうな顔をしてモモミに聞いてきたよ。
だって人間ってポケモンを戦えるように育てる人が多いって聞いたことがあるよ。
タブンネって相手を傷つけることしかできない
低能なドラゴンポケモンや格闘ポケモンと違って
トレーニング次第では氷や超能力をだして相手をやっつけることもできるし
リフレクターみたいなカベをつくってみんなをサポートもできるのよ。
その優秀さに目をつけられて戦わされたりでもしたら……
「心配しないでモモミちゃん。人間さんはタブンネを絶対可愛がってくれるよ」
エンゼルちゃんは心配するモモミにスマイルで答えたの。
なんでそんな自信たっぷりに言えるの?
「だってポケモンセンターには毎日いろいろなポケモンがやってくるけど
ケガや病気をしたタブンネってこないでしょ?」
そう言われるとそうね、ここでも研修してた所でもタブンネが来たことはないわね。
「何でタブンネは来ないのかなって考えたんだけどそれは
人間さんがタブンネを愛してくれるからだと思うの。
きっとケガも病気もしないようにお世話してくれるんだよ」
そうか、そうよね。こんなキュートで優秀なポケモンですもの。
誰からも特別扱いされて当然よね。
「だから私、街に出て人間さんに一緒に暮らしてもらえるようお願いするけど
モモミちゃんも一緒にいかない?
今のままだとイゴ先生、治療させてくれないよ?」
確かにこのままだとモモミはナースじゃなくて雑用係になっちゃうよ。
だけど……モモミはみんなから愛されるナースになるのが夢なの!
モモミの優秀さをアピールするチャンスはきっとくると思うし、
そしたらイゴ先生だって治療をさせてくれるはずなの!
だからここで頑張るよ!!
「そう……じゃあ私だけで行くね。3日間どうもありがとう。
私がいなくなったら多分別のナースタブンネが来ると思うから
そのコと頑張ってね」
そういってエンゼルちゃんはいなくなっちゃった……
エンゼルちゃん……
次の日の朝が来たよ。
モモミはポケモンセンターの受付を掃除させられてるの。
だけどエンゼルちゃんが気になって仕事が手に着かないよ。
ちゃんと人間に保護されてればいいけど……
「イゴ先生!イゴ先生!!」
あら?その時バッフロンみたいなヘアースタイルのおばさんが大声で来たの。
「おお、飲み屋のママじゃないですか。どうしたんですか大声あげて」
「うちの店の前でタブンネが死んじゃってるのよぉぉぉ!」
そういっておばさんが連れていたゴーリキーが袋に入ったタブンネを見せてくれたよ。
うっ、何これ……
モモミとっても気持ち悪くなってきちゃった。
そのタブンネは体中がおう吐物で汚れてるし両耳と右腕がなくなってて
全身殴られたような跡もあるの。
あら?このタブンネの背中に見覚えのある羽みたいな痕が……
まさか……
「おおかた酔っ払いにでもからまれたんだろうな。
ちっ、脱走なんてくだらねぇことしやがって」
そんな、タブンネは誰からも愛されるポケモンじゃなかったの?
ねえ、目を開けてよエンゼルちゃん!
エンゼルちゃ~~~~~~ん!!!
エンゼルちゃんが亡くなったことでモモミのジュエルのような目からは
涙がとまらないわ。
ラッキーも泣いてるけどピンクの悪魔のことだから
うれし泣きなんでしょうね、性格の悪いポケモンはこれだから困るわ。
そしてオセロ先生もその話を聞きつけてやってきたの。
イゴ先生とお話しするためお部屋に入っちゃった。
モモミは2人のお話を聞くためにドアの前に行ったよ。
「イゴ先生、エンゼル君のこと残念だったね」
「はい、まさか脱走なんてやらかすとは……
俺、タブンネがますます信用できなくなりましたよ」
「うむ、私もエンゼル君がこんなことをするなんて仕事を見る限り
想像できなかったなぁ」
あれ?オセロ先生もエンゼルちゃんが悪いみたいに思ってる?
オセロ先生はタブンネの味方じゃなかったの?
「だいたい何でタブンネなんかナースにするんですかオセロ先生。
ナースポケモンはラッキーが一番向いているのはわかるでしょう」
イゴ先生は怒ったような声でオセロ先生に話したよ。
「仕方ないだろう、ラッキーは♀しかいないうえに繁殖がとても難しい。
さらに人間のドクターの数が年々増加する利用者数に追いつかないんだ。
そうなると繁殖が比較的容易でいやしの力をもつタブンネに
頼らざるをえないんだよ。
いくら技術や薬が進歩しても医療には生きた目が重要なんだよ」
何で?何でタブンネがナースをやることをしょうがないみたいに思ってるの?
みんなが求めるからタブンネがナースをやるんじゃなかったの?
「そんなこといったってタブンネがミスやトラブルを起こしていることは
上層部だって知ってるはずでしょう。
ラッキーや人間だって失敗することはありますけどタブンネは起こしすぎです。
オセロ先生は教育で失敗はなくせるとよくおっしゃいますが
どんなに優秀なドクターでも限界がありますよ」
「まぁイゴ先生の気持ちはわかりますよ。
私だって現場で働いていた頃はタブンネのミスを
なくすにはどうすればいいか毎日悩んでいたからね」
「やっぱりオセロ先生もタブンネに悩んでたんですか」
「それでオセロ先生、エンゼルのかわりはどうするんですか?
俺、タブンネとこれ以上仕事したくありません。
ラッキーを入れてくださいよ」
「ラッキーは無理だよイゴ先生。
ラッキーのいないポケモンセンターもあるからそっちが優先されるからね。
ラッキーがすでにいるここに新米ラッキーがくることはないよ」
「マジかよ……タブンネなんかいらねぇよ……」
イゴ先生はがっかりしてるみたい。
何よ、タブンネはミスやトラブルが多いから嫌ですって?
そんなのタブンネにお掃除とかふさわしくない仕事をさせるドクターが悪いんでしょ?
自分の無能さをタブンネのせいにするなんて信じられない。
「しかし、イゴ先生。
イゴ先生は【MNP(More Nurses Project)】を知っているかね?」
「ああ、聞いたことがあります。
ポケモンナースの確保と医療の無限の可能性を目的とした
ラッキー・タブンネ以外のポケモンをナースとするプロジェクトですよね」
「そうだ、実は先日プロジェクトの第一段としてナース教育を施した
サーナイトが研修を修了したんだ。
サーナイトをここで働かせてみないかね」
「サーナイトですか……ナースのイメージわかないけど大丈夫なんですか?」
「心配いらないよ、必修のいやしのはどうはもちろんのこと
衛生などナースに必要な知識や技術はきちんと教育してあるよ」
「そこまでオセロ先生がいうなら……お願いします」
今度ここに来るのはサーナイトですって?
あんな変な格好のポケモンをナースにするなんて何考えてるの?
待って、これはチャンスじゃない?
サーナイトにナースなんてつとまるはずがないわ。
サーナイトの失敗をモモミがカバーすれば
「やっぱりナースはタブンネが一番だ」ってイゴ先生もオセロ先生も考えるはずだわ!
モモミちゃんの優秀さをアピールするチャンス、今度こそ成功させなきゃ♪
次の日、サーナイトが事務室にやってきたわ。
「サーナイトです。よろしくお願いします」
「よろしくなサーナイト。
とはいえ俺はお前がナースとしてどんなことができるのかわからない。
今日の午前中は実力拝見ということで俺と診察室へ来い」
「かしこまりましたイゴ先生」
「おいモモミ、お前は先輩になったんだ。
サーナイトをフォローしてやれ」
えっ?モモミも診察室なの?
サーナイトのミスをフォローして優秀さをアピールしなくちゃ♪
ウフフ♪今日こそステキな一日になりそうね。
モモミ達はみんなで診察室へ行ったよ。
そして最初のお客さんがきたの。
「スピア―のミサイルばりが刺さっちゃって抜けないんです。
治してやってください」
そういってお客さんは倒れたワニノコを出したの。
とっても苦しそう……でもモモミが癒してあげるからね♪
「う~ん、針を抜かないと治療できないな……
モモミ、アレもってきてくれ」
アレ?アレって何よ。
モモミに指示するならもっと具体的に出しなさいよ。
「何ボーっとつっ立ってんだ。さっさとアレもってきてくれ。」
うっ、だからアレって何よ……
『フワ フワ』
あら?そのときイゴ先生用の手袋が浮いてやってきたわ?
そして手袋はイゴ先生のところにいったの。
「サーナイトか?ありがとな」
「いえ、当然のことです」
なんで?なんで来たばっかりのあなたにイゴ先生が手袋をほしがってるのがわかるのよ!
「予知する力をつかってイゴ先生が何をするかを見たのです。
モモミさんが動かなかったらイゴ先生は自分で手袋をとりにいく未来が見えたのです。
それにしてもタブンネは相手の気持ちを理解できる耳をお持ちだと聞いていますが、
そのような素晴らしいものがあるならもっと活用されてはいかがですか?」
うっ、ちょっと体が大きいからってモモミを見下してるんじゃないでしょうね……
後輩のくせになまいきよ!
あなたはモモミちゃんの優秀さをみせつけるための引き立て役なんだから!
「よし、じゃあ針を抜かないとな」
手袋をはめたイゴ先生はワニノコのところに向かったよ。
針を抜かないといやしのはどうはできないからイゴ先生が抜くまで待っていようっと。
モモミのお仕事は傷ついた体と傷をいやすことですもの。
針を抜くなんて地味な仕事はイゴ先生がやればいいのよ♪
「いけない」
あら?そのときサーナイトが手を前に出したわ。
「サイコパワーか?体が……動かない」
するとイゴ先生が止まったの。
「どういうことだ……サーナイト」
イゴ先生がサーナイトに怒ってるよ。
サーナイトにナースがつとまらないのはわかってたけど
まさか直接邪魔するなんて思わなかったわ!
だからタブンネ以外のナースはダメなのよ!
「ここは私がやります」
そう言ってサーナイトはワニノコを浮かせたわ。
『スッ……』
そしてサイコパワーで刺さってる針を抜いたの。
『パアァァァァ』
そしていやしのはどうで傷を治したわ。
「おいサーナイト、何で俺を止めてまで勝手に治療したんだ」
動けるようになったイゴ先生はサーナイトにこわいかおで怒ってるよ。
当然よね、まあサーナイトは自分が目立ちたいから治療したんでしょうけどね。
こんな自己中心的はポケモンは早くクビにして
優秀なナースタブンネを入れてほしいわ。
「いや、助かりました。ありがとうございます」
そのときお客さんがお礼を言ってきたよ。
「実をいうとうちのワニノコよその人間やポケモンに体を触られるのを嫌がりまして…
触ると暴れちゃう癖があるんですよ。
そのこと言おうとしたんですけど何か超能力で治療したみたいで……
いや、先生たちが無事でよかったです。
では失礼します」
そういってお客さんはワニノコを連れて帰っちゃった。
「サーナイト……お前は俺が治療したらワニノコに暴れられると思ったから
自分で治療したのか?」
イゴ先生はサーナイトにきいたよ。
「はい、イゴ先生の危険を察知しました。
そのためイゴ先生の動きを止めて自分で治療しました。
勝手に治療して申し訳ありませんでした」
サーナイトはそう言ってるけど言い訳でしょ。
人間はポケモンの言葉が完全にわかるわけじゃないからそんなこと言ったって
イゴ先生には通じないでしょうけどね。
「サーナイトはトレーナーの危機を感じたら最大パワーのサイコパワーを使うって
聞いたことがあるな。それが今回みたいなことなのか?」
あれ?イゴ先生なんか納得してるよ?
「うん、それならいいんだ。ありがとう。
それにしてもサイコパワーを使った医療か。
ポケモン医療に新しい可能性が見えてきたな」
そしてイゴ先生は笑顔になっちゃった。
「何だよ、ナースできるじゃないかサーナイト。
何で今までお前をナースにしようとする考えがでなかったんだろうな?
これでナースの人員確保問題は解決できるな」
うっ、なんかイヤな予感がするわ。
「いや~今まで使えないナースがいても人手不足でなかなかクビにできなかったけど
これで不祥事起こしたナースは容赦なくクビにできるぜ。
なぁ~モモミ♪」
な、何よそのスマイルは?
まさかモモミをクビにしようっていうの?
そうはさせないわ!キュートで優秀なモモミちゃんがクビなんてありえないわ!
だけどイゴ先生治療させてくれないから優秀さをアピールすることができないし……
どうしたらいいの?
モモミの優秀さをアピールする方法を考えていたらお昼になっちゃった……
どうすればいいのか全然分からないよ……
「おいモモミ、俺とサーナイトは先に休憩入るからな。
ちゃんと受付にいるんだぞ。
急患がきたら俺を呼べよ」
それだけ言ってイゴ先生とサーナイトはいなくなっちゃった。
さて、イゴ先生たちがいないうちに早くどうすればいいのか考えなきゃ。
モモミはクレバーなんだから絶対いいアイディアが思い浮かぶよね。
『ウイーン』
あら?誰かきたみたい。
「タブンネ!私のゴンべを助けて!」
そういって女の子は泣きながらゴンべをモンスターボールから出したわ。
「道路で遊んでたんだけどゴンベったら私がトイレに行ってる間に
ゴミ袋に入ってたものを食べちゃったみたいで……
そしたら急に苦しそうに……」
う~ん、これはもうどくを受けてるみたいね。
モモミは優秀だから見ただけでどくなのかもうどくなのかが分かるのよ♪
それにしてもゴミ袋のモノを食べるなんていやしいポケモンね。
みじめな捨てられポケモンじゃないんだから。
さて、急患がきたからイゴ先生を呼ばない……!
待って?これはモモミの優秀さをアピールするチャンスじゃない?
モモミがゴンベを治療すればゴンベはこの人間に
「キュートで優秀なタブンネが僕を治療してくれたんだ」って言ってくれるはず。
そのことを聞いた人間はモモミに感謝して
みんなにモモミの優秀さを伝えてくれるはずよ!
それにイゴ先生だってモモミが治療できるとわかったら自分が治療しなくても
モモミに任せれば安心だって思ってくれるよね?
よし、じゃあモモミがゴンベを治療しないと!
モモミはゴンベをボールに入れて診察室まで運んだよ。
「お願いタブンネ!はやく先生を呼んでゴンベを治して!」
ウフフ♪イゴ先生より優秀なモモミちゃんが治療するから安心してね♪
診察室まで来たモモミはゴンベをボールに出してベッドに寝かせたよ。
さあ、モモミちゃんが治療してあげるから待っててね♪
まずはいやしのはどうでもうどくのダメージを回復させて……
『パアァァァァ』
そして【もうどくがなおりますように】っていやしのこころで祈ってあげるだけ♪
「ふぅ…」
ほら♪もうどくはきれいになくなったよ。
あとはいやしのはどうで体力を完全にすればおしまいよ。
こんな優秀なナースをクビにしようだなんてイゴ先生はなんて無能なのかしら……
「うっ……」
あら?ゴンベがまた苦しみだしたわ?
もうどくはいやしのこころで治療したはずなの……!
どうして?ゴンベがまたもうどくにおかされているの!
いやしのこころが足りなかったのかしら?
だけどもう一回治せばいいのよ!
いやしのはどうでもうどくのダメージを回復させて……
『パアァァァァ』
そして【もうどくがなおりますように】っていやしのこころで祈ってあげて……
「ふぅ…」
ほら、今度こそ治ったわ。
もうどくは完全に治ったはず……
「うぐっ……」
どうして?なんで勝手にもうどくになるの?
こんなもうどく見たことも聞いたこともないわよ?
その後もモモミはいやしのはどうといやしのこころでゴンベを治したよ。
だけどゴンベは治しても治してもすぐもうどくになっちゃうの。
はぁ、はぁ……ダメ、もう疲れちゃっていやしのはどうを出せないよ……
それなのにゴンベのもうどくはまだ治らないし……
そうだ!イゴ先生を呼ばなきゃ!
……ダメよ!呼んだらモモミはどくも治せないナースって思われちゃうし
それにこんなこと見つかったらクビにされちゃうよ!
だけどこのままにしたらゴンベは死んじゃうし……
そしたらモモミ、あの人間にも恨まれちゃう!
どうしよう……どうしよう……
『ガチャ』
「イゴ先生、急患ですか?
あんまり無理をしすぎるといけない、ここは私がやりますよ」
あっ、オセロ先生……
「んっ?モモミ君?イゴ先生はどうしたのかね?」
えっと……その……
「まさか……君だけでこの子を治療しようとしたのかね?
まずい!」
そういってオセロ先生はゴンベのところへいったの。
「これはもうどくだな……しかしいやしのこころで治せるはずだが……
ということは……」
オセロ先生は機械を使ってゴンベのおなかを見始めたの。
「やはりどくどくだまを飲み込んでしまっているな。
これでは治してもすぐに再発するではないか」
どくどくだま?それが原因なの?
「早くゴンベからどくどくだまを取り出さなくては……」
そう言ってオセロ先生は治療の準備をしたよ。
モモミも手伝ってあげなきゃ。
「君はこの部屋から出ていきなさい!!」
うっ、オセロ先生……こわいよ……
けどこれ以上怒られたくないからモモミはお部屋を出たの。
・
・
「ほら、ゴンベは元気になったよ。
ゴンベはおなかがすくと周りのモノを手当たり次第に食べ始めるからね。
最近は安くておなかも膨れやすいポケモンフーズもあるから
きちんとお家でご飯は食べさせるんだよ。そうすれば拾い食いはなくなると思うよ」
そういってオセロ先生はゴンベを女の子に渡してあげたの。
「うん、ありがとう先生!私これから気を付けるね!」
そして女の子はスマイルをオセロ先生に向けて帰ったよ。
ゴンベが助かってよかった……
「さて、モモミ君……」
オセロ先生がモモミの方を向いて話しかけてきたよ。
「どうして君だけでゴンベを治そうとしたのかね?」
どうしよう……どう答えればいいのかな?
「イゴ先生が大変だから自分が代わりにやろうと思ったのかな?」
えっ?そ、そうよ、イゴ先生が大変だからモモミが治療したのよ♪
モモミはとってもキュートなスマイルでオセロ先生にこたえたよ。
これならオセロ先生も許してくれるよね♪
「そうか…… ふざけるなぁ!!!」
『バキッ』
うっ、どうして…?
「私が君の考えてることを見抜けないとでも思っていたのか!
自分の力をアピールしたいがために治療したんだろう!
いやしのはどうもいやしのこころも自分のためにあるんじゃないんだぞ!」
『バキッ』『バキッ』
痛い!痛いよオセロ先生!モモミのラブリーな手を踏むのはやめて!
「他者の命を危険にさらすいやしの力など……二度と使えないようにしてやる!」
『バキッ』
ギャアアア!!!骨が!骨がコナゴナになっちゃう!!
『ガチャッ』
「オセロ先生?来てたんですか……って何やってるんですか!?」
そのときイゴ先生がきてくれたの。
そしてオセロ先生を止めようと体をおさえたの……
「離してくれイゴ先生!私はこの子を……」
だけどオセロ先生はまだ怒りがおさまらないみたいでモモミをまだ踏みつけるの……
「こいつが何をやったか知らないけどこのままじゃ死んじゃいますよ!
ドクターがポケモン殺しちまうのはまずいですってオセロ先生!」
「……!私はいったい……」
よかった……ようやく怒りがおさまったみたい……
「はぁ……はぁ……あやうくドクターとしてあるまじき行為をするところだった…
この子の態度に我を忘れてしまうとは情けない……」
オセロ先生はなんだか悲しそうな顔をしてるよ。
「だがモモミ君、私は君を許すことはできない。
君にはナースをやめてもらう」
えっ、嫌!モモミお外でなんか生活したくないよ!
モモミはナースでいたいの!
「何だねその顔は、あれだけのことをしてまだナースでいたいというのかね。
君みたいなナースは必要ないんだよ。
君より優秀なナースはいっぱいいるからね」
そういってオセロ先生はモモミのナースキャップを捨てちゃったの。
いや!お願いオセロ先生!
これからはお掃除もゴミ捨てもちゃんとやるからナースでいさせて!
「……イゴ先生、あとはよろしく頼むよ。
私は少し休んでくる」
そう言ってオセロ先生はどこかに行っちゃった。
オセロ先生!モモミを捨てないで!捨てないで~~!!
・
・
・
・
・
・
・
・
………あれからどれくらいたったんだろう。
モモミは人気のない路地でひっそりと暮らしてるよ。
人間に拾われることも考えたんだけどエンゼルちゃんをみてると
それも怖いし………
『グウゥゥ』
うっ、おなかがすいたよぉ……
あれからおなかいっぱい食べられたことがないからひもじいよぉ……
食べ物を探さなきゃ……
『ガサゴソ……』
あっ、子ミネズミ達がゴミ袋から食べられそうなものを探してるよ。
モモミもわけてもらわなきゃ……
ねえ、モモミ何にも食べてないの。モモミにも食べ物ちょうだい♪
モモミはとってもキュートなスマイルでミネズミにお願いしたよ。
「ここはボクたちのいえだ!キミはでていけよ!」
「そうよ!これはあたしたちのごはんなのよ!だれにもあげないわ!」
そんな、モモミ死んじゃうよ。なんでもいいの!食べ物をわけて!
「うるさい!でていかないと……こうだ!」
『パリン!』
うっ、痛いよぉ……ミネズミったらモモミのお顔に
汚いビンをなげつけたの。
モモミのおでこからはいっぱい血が出てきちゃった……
ゴミすら食べられないどころかこんなにボロボロにされちゃうなんて
モモミみじめすぎるよぉ……
みんなから愛されるナースになるはずだったのになんでこんなことに……
モモミはそのあとも食べ物を探したけど何にもみつからなかったよ……
うっ、さっきの傷がズキズキするよ……
いやしのはどうで治さなきゃ……
『パアァァァァ』
あれ?全然治らないよ?どうして?
どうしていやしのはどうは自分の傷は治せないの?
他のポケモンの傷は治せるのにどうして自分の傷は……
キュシュン!
あれ?なんだか寒くなってきちゃった……
冬のお外にずっといたからカゼひいちゃったのかな?
おなかもすいたしボディーはボロボロだしそのうえカゼもひいちゃうなんて……
モモミ、このまま死んで天国に行っちゃうのかな……
いや…モモミはまだ天国に行きたくないよ…
モモミはみんなから愛されるナースになるまでは絶対死なないんだから……
ナース?
そうよ、ポケモンセンターに行けばいいのよ。
ポケモンセンターに行ってかわいそうなモモミを見ればきっと治してくれるはずよ。
そして元気になったらお礼にナースのお仕事を手伝ってあげて……
もう一度ナースをするの。
それしかないわ。
そうと決めたら……行かなくちゃ。
ポケモンセンターがどこにあるのかわからないけど……
人間がいっぱいいるところを探せば……見つかるかな?
モモミは天使の耳でにぎやかなところを探して歩き出したよ。
だけど……フラフラして全然歩けな……
『バタッ』
あれ?からだが……うごかないよ?
そんな……モモミは……ここでしんじゃうの……?
いや……だれか……たすけ……
『カッ カッ カッ』
「この路地に野良タブンネがいるって話は本当だったみたいだな。
よし、こいつにするか……」
だれ……あなた……?
モモミを……たすけて…くれる……の?
「ねぇ、だいじょうぶ?目を覚まして」
……あれ?モモミはねむってたの?
モモミがめをさますとどこかのたてものがうつってたよ。
「よかった、もう大丈夫だからね」
そして、まわりにはナースキャップをかぶったタブンネちゃんが5ひきいたの。
「ようこそタブンネ、いまからお前を優秀なこいつらが治してくれるそうだ」
そしてさっきのこえのにんげんがいたの。
ということはここはポケモンセンターであのにんげんはドクターだったんだ。
モモミをたすけにきてくれたのね。
「さあタブンネども、治療を開始しろ」
なのにせんせいはカメラをむけてるだけでちりょうはぜんぶタブンネにまかせたよ?
たしかににんげんよりタブンネのほうがゆうしゅうだしはやくちりょうができるけど……
なんでカメラなんか?
「「「「「は、はい」」」」」
それにタブンネちゃんたちはちりょうをまかされているのにうれしくなさそう。
なんかとってもきんちょうしてるみたい。
どういうことなのかな?
タブンネちゃんたちはまずてんしのみみをつかってモモミのからだをしらべたよ。
「……あれ?心臓の音ががとっても小さいよ?それにリズムが変だよ」
そんな、モモミのからだそんなにわるいの?はやくなおして。
そのあとタブンネちゃんたちはモモミのまわりにあつまっていやしのはどうをかけたよ。
『パアァァァァ』
たすかった……これでモモミはげんきになれるよ……
・
……あれ?ぜんぜんこうかがないよ?
ビンのきずもなおらないし……
「あれ?この子全然元気にならないよ?」「いやしのはどうがたりないのかな?」
タブンネちゃんたちもモモミがげんきにならなくてびっくりしてるみたい。
みんなあわてちゃってるよ。
「とにかくもう一度いやしのはどうよ」「うん、みんなやりましょう」
『パアァァァァ』
タブンネちゃんたちはもういちどいやしのはどうをしたよ。
だけどモモミはげんきにならないの……どうして?
「おい何やってんだ!患者さんを困らせてるんじゃねえ!
いやしのはどうといやしのこころでさっさと治療しろ!」
あっ、せんせいがおこりだしたよ。
おこられたタブンネちゃんたちはいやしのはどうをしたりいのったりしてるんだけど
なにをやってもモモミはげんきにならないよ……
あっ、1ぴきのタブンネちゃんがせんせいのところにいって
なおしてあげるようおねがいしてるよ。
『ドゴッ』
でもせんせいはそのタブンネのおかおをけったの。
「何俺に頼ってんだ!お前らが掃除はイヤだのいやしのはどうを使いたいだの
うるさいから実力をみるためにわざわざ弱った野生のタブンネを連れてきてやったのに
俺に泣きつくんじゃねえ!
タブンネの癒しの力は人間よりすごいんだろ?だったらそのすごさを見せて見ろよ。
治せたらこの動画を上層部に送ってお前らをもっと大切にするようお願いしてやるからさ」
どういうこと?このせんせいはなにがもくてきなの?
おこられたほかのタブンネちゃんたちはみんなしたをむいて
かなしいかおをしてるよ。
「ま、それがお前たちの実力だ。5匹集まろうが瀕死のタブンネ1匹救えないんだよ。
だから俺のサポートを真面目にやってりゃいいものを文句たれやがって……
ま、どっちみちお前たちの治療してるところは上層部におくるけどな。
MNPの成果がでてきている今お前たちナースタブンネを追い出すいいチャンスだ」
そんな、ナースタブンネをみんなおいだすなんてひどいよ……
「残念だったなタブンネ、
死ぬ前にお前になぜいやしのはどうがきかなかったか教えてやるよ」
そしてせんせいはモモミのまえにきてはなしはじめたよ。
「それはお前が死にかけだからだ、いやしのはどうもいやしのこころも
ある程度の体力がある奴にしかきかないんだ。
今のお前は栄養失調、カゼ、ケガによる細菌感染などで弱りまくって
いやしのはどうもいやしのこころも受け付けない状態なんだよ。
まあ俺なら点滴うったりいろいろほどこせばそれなりに元気にはできるがな」
そんな……いやしのはどうがきかないほどよわってる…なんて……
せんせい……たすけて……
「なんだ?俺に治してほしいのか?それはできないな」
なんで……?モモミはしにそうな……かわいそうな…ポケモンなんだよ……
「それはお前が野生のポケモンだからだ。
ドクターは野生の世界に入ってはいけない、それがルールなんだ。
今回お前を連れてきたのはこのナースタブンネどもが治療したいっていうから
連れてきただけだ。
助けてほしけりゃそいつらに頼むんだな」
そういってせんせいは…もどって……またカメラをとり……はじめたよ……
「ほらてめえら!タブンネが死んじまうぞ!さっさとなんとかしてやれ!」
タブンネちゃんたちは……なみだを…ながし…なが…ら……
モモミの……まわり……で……てを…くん…で……る……よ……
そんな……ことし……てない……で……たす……けて…よ
たす……け…て…… た………す………
おしまい
最終更新:2015年01月03日 01:00