上手くいかない事もある

「ミキサーやりたいなあ」

とある虐掲示板を見てて俺も無性にミキサーがしたくなった
ええとたしかあったよな…昔ジュース用に買ったやつあったあった。古いけど問題ねえだろ。次は、と
久々に外出だ。近場で実を買い、迷いの森へ
いたいた、ママンネとベビンネ二匹!散歩中かな?おっと、悟られないように実を投擲、言葉巧みに誘惑して、(略)


自宅にはケージに入れられ、喚くチビンネ二匹と縛られ身動きのとれないママンネ。否応無しにテンションあがるわ
さっそくミキサーをセットするがカップがなかなかはまらねえ。まあいいか

ケージに目をやるとベビンネが互いにかばい合うように身を寄せひたすら震えており、そんな姿に良心が…揺れることはなかった
「チィチィ…」
「ミェーン!ミゥーン!」
ベビンネちゃんいいねその不安そうな声や目、僕は今満たされてるよ。ママンネもいい反応だね、身を捩らせ大粒の涙を流しながら我が子を呼ぶ姿がいい

コンポにから流れるクラシック名曲集をBGMにさっそくケージから一匹の首根っこ掴んで…って思いの外暴れやがる!この野郎!
しかもなかなかカップに入らず手にしがみつくが二、三発叩き半ば無理矢理押し込んだら頭からすっぽり入っちまった
ベビンネは腕や腹がギュウギュウに詰まってるからこのままでは酸欠してしまう。真っ青なママンネににっこり微笑みかけ、スイッチオン!

ギャルルルルル!
「あああ!カワイイカワイイッカワイイッ!!!あああああああああ!」
頭から削られていく可愛さに大興奮した僕は思わず大声で騒いでしまったが、ミキサーはガタン!と止まっちゃった

「あれ?まあ古いからなあ」
ベビンネを取り出すとすごい事になってた
削れた頭はもちろん耳は皮一枚で辛うじて繋がり、片目は垂れ下がってる始末
なんといえばいいか、そう、カッパンネ!と言いたいんだけど錆びて腐食しだしている小汚ないブレードのせいか削られた部分はめちゃくちゃで河童の皿の綺麗さにはほど遠い
溢れ出す変な汁と血液に「正直これは酷い、やった奴は頭がどうかしてる」と思い俺は顔をしかめた

カップ内の血やこびりついた脳や毛を取り除いてとると背後からピチャッ、ズルッと音が
なんとカッパンネが立ち上がり泣き叫ぶ母親の元へ歩み出したのだ
「チィィ…」
目玉を揺らし、頭から変な汁をたらしつつ残った目から涙を流しながらも懸命に母親のもとへ歩みを進めている
脳が損傷しているのになんて生命力…母体を求める行為が体にしみついているからなのかそれとも奇跡なのか

「がんばれ…っ!がんばれベビンネ!男は独りで戦うんだ!自分と戦うんだ」
無意識に俺は拳を握りしめ応援していた。頬を熱いものが伝う
「みろ!お前の兄だが姉だか知らんが必死に生きようとしてるのに!貴様は自分が恥ずかしくないのか!」
稼働したミキサーを見てびびったのかだらしなく糞尿だだ漏れのもう一匹のチビンネを掴み出し、今度はちゃんと足からミキサーにいれる
こいつはさっきのより小さいからすっぽり入って蓋も閉まった
これならいける。でもいくまえにカッパンネを見届けねばならない。これは俺に課せられた義務だ

おう、感動の再会目前だな。ママンネもハム縛りにしといたのに身を捩らせカッパンネとの距離を詰めているじゃないの
まあ生命力があるとはいえ、あんなゾンビ状態でよく生きてるな
だが血まみれの手でママンネの顔に触れると静かに片方だけの瞳を閉じ、地にふせた

おそらくこんな会話があったにちがいない

「まぁま…は…ぼくが…まもる…しんだパパと…やくそく……」
「ベビちゃん!ママがママがいまいくからね!ベビちゃん!」
「ママ…あったかい…ぼく、また…妹やママと…オボン…たくさん…」
「うん!たくさんたくさん食べようね!だから…死なないで!」


「って感じかな?」
カップの中のベビンネに訪ねるが「チギャーチギャー」と泣くばかり
「は!?ちぎゃー(違う)?てめえ自分の家族を否定すんのか!?ええ!?」
絶対許さない。俺は今いいようの無い怒りに見舞われている
倒れたカッパの頭をペロペロ舐めてやってるママンネを引きずりお越し、椅子に座らせガムテープで固定
そしてダン!と音をたてもうママの鼻に触れそうな位置にミキサーを置きスイッチに手をかけるが、ママの反応は意外なものだった
涙を浮かべ、「どうしてこんな酷いことするの?」と訴えかけてきた。おいおい子供殺され、さらにもう一匹も命の危機なのに悠長だな
でもこいつ目が本気だ。媚びじゃなく純粋に俺の心に訴えてる
ベビンネはクソだらけの足で必死に壁面をかきママの所へ行こうと頑張ってる。糞に滑ってであろうな…茶色く伸びた跡が切ない

俺はなんて汚く腐った人間なんだ!もうこんなことしちゃいけないんだ!
ママンネのロープをほどいてやるとママンネはこちらにパアと笑顔をみせたが、俺はその腕をつかみミキサースイッチに押し付けた

「ミィヤアアアアアア!!」
目の前で子供が粉砕されるママの心境はどんなんだろうな。しかも無理矢理とはいえ、スイッチに手をかけてるのは自分だし
今回はうまくいっており、どんどんベビンネは紅く染まり赤い液が…と思ってたがはめ込みが甘かったのかカップがガタガタ回転し中身がぶちまけられた
ビシャアアア!とママの半身になんか具の入った液がふりかかり、俺の顔面にもぶっかかった
そしてママンネの頭にバチェんと削りきれなかったベビンネの生首がが可愛く乗った


「あ、あははははははは!」
俺は椅子ごと倒れるくらい笑い、腹が痛くてのたうちまわる。ベビンネの体だった液体は俺達どころか天井まで飛び散り辺り一面血の海ってやつだ
ママも片目に入った血を拭うとそのまま時間が停まったように固まってしまった。もちろん頭に生首のせたまま。可愛い

「やっちゃった。もう終わりか」
我にかえり掃除を始め、ちりとりでカッパンネの残骸を掃いた時背後から凄まじい殺気を感じた
「ミフーッ!ミギイイイ!」
生首を抱き締めたママンネは完全にぶちギレてるね。まあ俺の良心を信じようとして完全に裏切られたあげく二人の子供殺されたんだもん
いくら温厚なタブンネでもキレるよねえ

「こいよ。かかってきな」
「ミギーッ!!」
ドンッ!!
あれ?…俺の予定では華麗に避けて……あ……え……?
意識はここで途切れた

「いてて…俺は…」
気がつくと傾き夕日が部屋に差し込んでいた。どうやらママンネは窓から逃げたらしい。散乱したガラスに反射する夕日が眩しい
血と残骸まみれの部屋を見て俺はつくづく思った

うまくいかないもんだな

他の書き込みみたく綺麗にミキサーかかったり、ママンネも上手く始末できると思ってたのになあ

しかしママンネはどうなったんだろ。群れの仲間とかと逆襲にきてくれないかな!?所謂群れバトル?怖いな実際
俺に達成感はあまりなかった


ママンネはというと生首とカッパンネを持ち公園の土管に避難していたらしい
遊んでいた子供が発見した時には生首と頭の無い胴体を必死にくっ付けようとしていたようだ
ん?カッパンネの残った頭部はどうしたんだろうって?食われたんじゃね

最近出るらしいよ?頭と胴体を持ったタブンネが「くっつかないミィ…」ってさ
まあ一日で駆除されたらしいけどね

終わり
最終更新:2015年02月11日 15:22