冬の全国交通安全運動

ベビンネが1匹、よちよちと歩いています。
ママンネが木の実を獲りに行っている間、おとなしく待っているようにと言われていたのですが、
退屈でついフラフラと外に出てきてしまったのでした。
その内、道路に行き当たりました。
道路が危険なところなどとは知りませんから、よちよち渡ろうとします。
その時、大きな音を立てて乗用車がやってきました。
「チィッ!?」
慌てて逃げようとしますが、焦って転んでしまいます。
そんなベビンネに気づかず、車はベビンネの足を轢き潰してしまいました。
「チギャァァァーーー!!」
ベビンネの絶叫にも気づかないまま、車は走り去っていきます。
足はグシャグシャ、激痛で体が動きません。
「チィチィ…」
ベビンネは涙を流して後悔しました。ちゃんとお母さんの言うことを聞いていればよかった、
じっとお留守番していればこんなことにならなかったのに。
「チィィー!!…チィィー!!」
か細い声を振り絞って助けを求めるベビンネの耳に、地鳴りのような音が聞こえてきます。
その目に最後に映ったのは、自分めがけて迫ってくるダンプカーの巨大なタイヤでした。

「ミィミィー!!ミィー!」
いなくなったベビンネを探して、ママンネが必死な声を上げています。
道路の辺りも見回しましたが、そのまま他の場所へ行ってしまいました。
あの後何台もの車に轢かれ、砂埃まみれでアスファルトに残された平べったい残骸が、
ベビンネの変わり果てた姿とは気づかなかったのです。

皆さんも道路を渡る時は気をつけましょうね。
最終更新:2015年02月11日 15:24