昼ごろのヤグルマの森、この森に一人の男が来ていた。
「昼飯だ。出てきな。」
彼はそういうボールからモンスターを出す。出てきたのはギガイアスとシンボラー。
どちらもこの地方に生息しているポケモンで、愛用するトレーナーも多い。
「驚くなよ?今日はデザートはお前らが好きなオボンだ。飯食ってからな」
そういって彼はリュックからポケモンフーズを出すと二匹はそれを待っていたかのように食う。
彼はそれを見て、自分の弁当を取り出し、静かに食べ始めた。
食事が終った頃、どうやら二匹の食事も終わったようで、主人にオボンをねだった。
「はいはい、お前ら好きだもんな。食べ終わったら、今年も手伝ってもらうからな」
そういいつつ彼は荷物からオボンを出そうとしたその時である。
「タブー…タブぅねぇ…」
ピンク色の豚のようなポケモン、タブンネである。恐らくオボンのにおいをかぎつけて来たのだろう。
ギガイアスとシンボラーはタブンネを威嚇している。
「てめぇなんぞにやるもんはねーよ。さっさと群れに帰るんだな。お前ら、あんなのほっとけ。馬鹿がうつるぞ。」
男はタブンネを追い払うようなしぐさをした後二匹にオボンを渡そうしたその時。
「たぶうううううううううううう!」
タブンネは彼の言動が気に入らなかったのか、ふくれっ面をして突撃してきた…
だが、シンボラーがそれに気付きサイコパワーで静電気を一瞬で増幅させ、タブンネに向けて打ち出した。電磁波だ。
「タブっ!」
「おっ、ありがとうな。」
タブンネが面くらったのには無理はない。今なら自慢の捨て身タックル何とかできる。そう思っていたのだろう。
しかし、シンボラーがタックルの最中に電磁波を撃ち込んだものである。当然タブンネはその場に転倒する。無様である。
「おいそこの豚、そんなことするってことは覚悟はできてんだよな?」
軽蔑のまなざしをタブンネに向け男はギガイアスとシンボラーに自由にしろという旨を伝えその場に座り込んだ。
タブンネはあきらめずに無様なつらを晒しながら捨て身タックルを叩き込もうとするが、
それは叶わず、ギガイアスが岩をタブンネにぶつけていたのだ。鋭い岩を相手にぶつける技。ストーンエッジだ。
「ブギュッ!グべッ!ダブっ!ぶぶぶぶぅ!」
とがった岩がタブンネの体を切り裂く。逃れようとしても麻痺しているうえにタブンネの身体能力では抜け出すことはかなわない。
そしてそれを見たシンボラーが便乗するような形で岩ごとサイコキネシスでタブンネを打ち上げた。
「ブンネ…たぶぅ…ブぉっ!たぶぉおぉぉぉぉぉぉ!」
「ははっ!派手にやるねぇ!」
男は二匹の行動に絶え間ない拍手を送っている。ギガイアスはシンボラーの行動に爆笑しつつ
タブンネの落下すると思われる場所にステルスロックをばらまいた。
そして、シンボラーがとどめのサイコキネシスを叩きこみタブンネはステルスロック地点に落下しする。
「びゅぎゅあああああああ!」
絶望に満ちた悲鳴を上げ、タブンネは息絶えてはいなかった。みる限り全身の骨は粉々になり全身の神経は耳以外機能しているかも怪しい。
それを見るなり男と二匹はオボンをもちながら近付いた。そしてタブンネの前でオボンを食べさせ始めた。
ギガイアスとシンボラーはそれをほおばり優越感と幸福感を味わっていることは確かである。
「おかわりはあるからな。さて、後始末したらさっそく始めますかね。」
タブンネは歯がみしてこの状況をみていた。本来ならばあれを自分が食っていたはずだった。
だが現実はあのにっくき二匹が自分を叩きのめして食っている。
タブンネは無力な自分に嫌になったのか涙を流し始めるが、男がサバイバルナイフをもって近づいてきたのですぐに止まった。
男は無事な方の触手を握り占めながら…
「(悔しいかな?もうそんなことを考えることもできなくしてやんよ。)」
男は笑みを浮かべナイフをタブンネの胴体につきたてた。
それから約4時間後、男と二匹は中身がぎっしりと詰まった鍋にキノコと出汁醤油と肉を鍋にぶち込み煮込み始めた。
当然、二匹は見張りについている。
「この時期はここでとれるキノコがうまいんだよなぁ…何時もはキノコだけなんだが、タブンネが入るとは思ってなかったぜ。
さんざんやったせいか下処理すんのは大変だったが。」
そういうと具を煮込み始めた。煮込んで数十分、キノコとタブ肉の香りが充満する。
彼が、ここに来た理由、それはキノコ狩りである。この辺でとれるキノコは煮込むととてもうまいのだ。
「今年の鍋は一段とうまくなりそうだ。あいつらも喜ぶだろうな。もしかするとオボンより好きになったりしてな」
男はそう呟きながら鍋をかき回し、匂いを嗅ぎつけた別のトレーナーとの鍋パーティーになるのだがそれは別の話。
おしまい。
最終更新:2015年02月18日 17:06