がんばれサイキッカー

俺はサイキッカー。主にエスパータイプのポケモンを愛する男だ。
隣にいるのは昔からの相棒(どこぞの電気鼠と違って愛棒ではない)のフーディン。俺がサイキッカーに超能力に目覚めた時に親父に貰ったユンゲラーが進化したんだ。
今日、俺がジャイアントホールにいるのはエスパー・鋼のメタグロスが欲しいからだ。まずは揺れる草むらを探さないと…。

―――― そこだ!!

野生のタブンネが現れた!
…なんだ。ただのタブンネか。…まぁ、俺は今はフーディンしか持っていないので、万が一の為にも捕まえておく。

捕まえたタブンネの技を少し変えて、メタグロス探しの続きをした。
この動作を4回ほど繰り返した。


ピキーン(ニュータイプ音)

――― そこだ!!
野生のメタグロスが現れた!

ビンゴ!! 最初はフーディンの気合い玉で体力を削る。ピキーン!!
“メタグロスのコメットパンチが来る!!” そう感知した俺はフーディンを引っ込め、先程のタブンネを繰り出す。
「ミィミ――ミグボォ!!」
哀れタブンネ。モンスターボールから出た瞬間にコメットパンチで吹き飛んだ。
あと少しで勝てる ――そう考えているタブンネに電磁波を指示する。
メタグロスは麻痺したが、タブンネはメタグロスのアームハンマーを喰らって
地面にめり込んだ。


俺は残りのタブンネを出す。ミィ? と鳴くタブンネ達の背中を蹴り、メタグロスの方へ押しやった。
彼らは囮だ。俺はメタグロスを捕まえるまでボールを投げ続けた。

踏み潰されるもの、噛み砕かれるものなど様々だったが、互いに癒しの波動をし合う姿は――
…おっ!メタグロスを捕まえたようだ。
血だらけのタブンネ達は「ミバァ…、ミバァ…。」と肩で息をしながら俺に寄り添ってくる。
「フーディン、サイコキネシス!!」
フーディンはタブンネを念力で俺から引き離す。
「穢らわしい。俺は頭の悪い奴が嫌いなんだ!!」
さて、どうしてやろうか…。そうだ!
「メタグロス!お前の力を見せてくれ。」

※ ここからはポケモン目線でお楽しみ下さい。

「俺はフーディン。宜しく頼むぞ」
「リョウカイ。メタグロス、モクヒョウヲハカイスル」
キュインキュインとカメラのようにメタグロスの目が動く。どうやらサーモグラフィのようだ。

「ミツケタ!ミツケタゾ!!セカイノユガミヲ!!」
メタグロスはタブンネの体温を頼りに近くの巣を踏み潰していく。
「…? 何が起こっ――ミガッ!!」
「待ち伏…がぁぁぁぁ!!」
「ミーガン!!」

メタグロスの足に踏みつけられ、タブンネは生き埋めにされていく。
予期せぬ襲撃にタブンネ達は混乱し、巣穴から離れようと飛び出してくる。その数は10…100、およそ300のタブンネが集まった。

「…おいおい、なかなかヤバイんじゃねぇか?」
目の前をピンクに埋め尽くすタブンネに流石の主人も冷や汗を垂らす。
「なんとかなるか?」
当たり前だ。策はある。
「いくぜ、メタ!!」
「リョウカイ!リョウカイ!」

私はメタグロスにタブンネの位置情報を転送する。
ピン! ピン! ピン! ピン!
タブンネは端からメタグロスにロックオン(覚えません)されていく。

「乱れ…「ミダレウツゼェェ!!」………。」
メタグロスは電磁浮遊で浮き上がり、4本の足の裏からラスターカノンを四方八方に撃ちまくる。
「ミガァァァァ!!」
「ミギョブェェェ!!」
「ミギャァァァァァ!!」
タブンネの断末魔が響き渡り、地獄絵図が完成した。

「…あれは!?」
「我々の住みかが!!」
食料採集に出ていたエリートタブンネ20匹は変わり果てた集落を見て膝をついた。リーダータブンネは低い声で呟く。
「奴等を…、逃がすな」

「…まずは作戦を立てる。五匹ごと4チームに分け、Aチームは後ろから、Bチームは正面から挟み撃つ。C、Dチームは退路を断つんだ」
「「ラジャーミィ!!」」


「…このあたり一帯のタブンネは狩り尽くしたかもな」
生き物の焦げる匂い。メタグロスが辛うじて生き残ったベビンネを踏み潰すのを見ながら主人は言う。
ピキーン!!
「セイタイハンノウ!!セッキンシテキマス!!」
2方向からタブンネが迫りくる。主人の顔が引きつった。
「このままじゃやられる………訳ねぇーだろ!! フーディン、テレポート!!」

タブンネの攻撃が当たる前に、近くの見晴らしのよい岩の上に移動する。
「消えた…? ミギッ!?」
「か、体が動かないミィ!!」

「悪いな。お前達が攻撃がするのはわかっていた。サイキッカーに勝負を仕掛けるなど…愚かなんだよ!!」
「お前たちには互いに殺し合ってもらおうか」

「ふざけるなミィ!!誰がそんな事を――ミグッ!?」
タブンネ達の片足を念力でへし折る。
「警告だ。次は全身を砕く。最後に生き残った奴は生かしてやろう」

タブンネは互いに見つめ合っていたが、暫くするとタブンネA(仮)が捨て身タックルで近くのBを吹き飛ばす。
C「何するんだミィ!!」
A「このまま奴等と戦っても勝ち目がないから、ボクだけは生き残ってやるミィ!!」
Aの言葉を聞き、タブンネらは仲間割れを始める。
D「俺の火炎放射を喰らうミィ!!」
F「き、貴様…ミガァァァ!!」
D「ははは!汚物は消毒だミィ!!…ミゲボォ!!な、なんだミィ!?」
i「毒々の味はどうだい?」
リーダー「何をしてるんだ!?仲間同士で争ってどうするんだミィ!!」
A「…お前こそなんだミィ!!いつもリーダーぶってて気に入らないんだミィ!!」
i「俺もミィ!!毒々!!」
リーダー「あ、あああああ!!やめろ!!裏切――ミブゥゥゥ!!」

毒で蝕まれたリーダーの体が炎に包まれ燃え尽きる。
「…高見の見物は気分がいいね。最高だよ」
炭と化したリーダーを見ながら主人は呟いた。

AとHが最後の2匹となり、互いに傷付き消耗していく。AがHの喉元に食らい付く。その時――
A「!? 体が動かな…」
H「今だミィ!!」
Hは大口を開けていたAに火炎を流し込み、Aは内側から焼き焦げた。

「ど、どうだ。勝ったミィ。だから生かし――
タブンネHが突然倒れる。メタグロスの腕から硝煙が出ていた。
「ダレガイカシテヤルトイッタ?オレハイッテナイ。ゲ-ムセットダ」

※再び人間視点でお楽しみください

「ミィィィ!!」
C、Dチームによって後ろから冷気のビームが放たれる。サイキッカーとはいえ人間、冷凍ビームを視認してから避けるまでタイムラグがある。
しまった――。そう思った時にはもう遅かった。しかし、ビームは俺に当たる事なく何かに遮られる。
「フーディン!!」

運悪くフーディンの体は氷つき、冷凍ビームが連続でヒットする。タブンネの特攻とはいえ、フーディンは苦しそうに呻く。
「ミガァァァァ!!」
タブンネは雄叫びをあげ、フーディン目掛けて捨て身タックルをしかける。
「くっ…、メタグロス!コメットパンチ!!」

タブンネは顔面でコメットパンチを受け止める。首の骨が砕けて頭が吹き飛ぶ。

「連続でコメットパンチ!!」
「パワ-ポイントダウン、パワ-ポイントダウン」
PPが切れた…!? これを機と見たのか次々とタブンネが突っ込んでくる。
メタグロスは意を決したかのような顔(?)をしてタブンネに特攻していく。
「まさか…お前!?」
「コレハシデハナイ!ワレワレガイキルタメノ…!!」

メタグロスの大爆発!

辺りを爆風が覆う。爆心地を見ると黒焦げた瀕死のメタグロスと消し炭になったタブンネの残骸があった。

俺は瀕死となったメタグロスとフーディンをボールに戻し、早足にその場を去った。
その途中、誰かに足を捕まれた。足元を見ると再生力により吹き飛んだ下半身が中途半端に再生したタブンネだった。
あまりの仰々しさに飛び退く。辺りには大量のゾンビンネが濁った目で俺を見据えていた。

万事休すか…。俺は此処で終わるのか…? 俺は目の前が真っ暗になった。

「諦めるな、少年!!」
逆光で姿はよく見えないが、初老の男性が俺にモンスターボールを投げた。片手で受け止めた瞬間に、掌からポケモンのサイコパワーを感じ取った。

迫りくるゾンビンネ。
ボールの開閉音、閃光。
「ミュウツー!エレキボール!!!」

圧倒的な力によってゾンビンネは塵も残さずに消滅した。
俺の意識もそこで途絶えた。


気がつくと俺はポケモンセンターの一室にいた。
なんでも、ポケモンセンターの出入り口に倒れていたらしい。
俺はあの男性について尋ねてみたが、情報を持っている人は誰一人と居なかった。
俺はあの出来事があってから、謎の男性を探しながら旅をしている。
仲間の3匹のポケモン達と共に。
end
最終更新:2015年02月18日 17:22