カオスなお話

太古の浪漫…この言葉を聞いてピンと来る人はいっぱいいるだろう。


私は所謂TH(トレジャーハンター)という奴で、遺跡等を荒らす事を生業としている。
私達の住むこの世界(俗世で言うポケモン世界とは全く違うカオスの塊の世界)には、貴方達(スクリーン前のアナタです!)の世界と同じく沢山の古代の遺物があるのです!
少し違う所と言えば、天空の城の様な航空力学完全無視な物体が浮かんでいたり、あからさまに構造のおかしい建築物がある事ぐらいだ。


遺跡の情報を求めて街を歩く私の横を、ピンクのチョッキを着た豚が運ぶ御輿が通り過ぎる。


人やポケモンが随分と多いのは、どうやら祭りが理由らしい、奴隷を使った祭りとは…余程好きと見える。


最初にこの祭りを考え付いた人は賞賛に値すると言わざるを得ない。
通りすがりのエルフーンの悪戯(追い風)で先程の御輿がゴール前でクラッシュするが、みんな大笑い、どうやら乗り手の人が仕組んだ様だ。
私もこの祭りを楽しみたいが、生憎お金が無い…(装備の強化はいつもピンハネ!)さっさと街の情報屋へ行こう…


周りの屋台からはジューシーな肉が焼ける美味しそうな匂い…おなかすいたなぁ…


話は少し飛んで、今私は先程の街より程近い雪山の山頂付近にいる。
此処にも遺跡があるという情報を仕入れた私は…


「無駄な前置きは捨ててさっさと行け! 目の前にデカい扉が見えるぞ、何が出てきてもビビるなよ…」


相変わらず怖いオペレーターだ…
私は迷わず扉を開ける…と同時にACSを…
「システム、戦闘モードに移行します!」
「敵勢反応確認、遺跡タブンネです、彼等は群れでの遠距離攻撃を得意とします。 動きは遅いため、遠距離からのグレネードによる攻撃か、素早く接近しての攻撃が有効でしょう。」


一斉に破壊光線や火炎放射などの攻撃が飛んで来るが、見え見えな不意打ちなど全く脅威では無い。 軽く回避してやる。


「被弾、無駄弾など論外だ、一気に畳んでしまえ!」


私は素早く近付き、破壊光線を撃って動けなくなってる奴に“月光”で攻撃する!


「ミギャッ!?」


「リーダーがヤられたミィ!」 「こんな奴相手に出来ない!逃げるに限…ギャッ!」


私が追撃をする前に逃げだした豚が勝手に倒れる…よーく見ると頭に矢が刺さっている。
忘れてる人も多いだろうが、此処は遺跡なのだ、盗人を撃退する為の罠の一つや二つ、珍しい物では無い。
私は臆する事無く、進む。


壁から矢が飛んでくるのは珍しい物でもない、走って回避する。


しかし遺跡タブンネか…嫌な予感しかしない。


「無駄弾、苦戦は論外だ」


奴らの繁殖力は半端ではなく、時折増えすぎた遺跡タブンネが外に溢れ、近隣の街等を襲う事すらある。
襲われた街は相応の防衛戦力でも無い限り、まず無事ではいられない。


所詮タブンネだろう? と思う人もいるだろうが、数の暴力という物を考えて欲しい。
貴方達なら強いポケモンを使ってタブンネを迎撃するだろうが…遺跡タブンネ相手にそんな事をしよう物なら…ハイパーボイスが使えるポケモンでもいない限り、残念ながら帰って来れる可能性はほぼゼロだ。


奴らは遺跡という環境で進化しており、個々の戦闘力は俗世で知られるタブンネの極めて高レベルの個体並みであり、凄まじい成長力と繁殖力を生かし、アイアントやスピアーの様な圧倒的な数で押し寄せて来るからだ。


………それでも怖さが伝わらないのであれば、最愛の手持ち6匹でバトルという概念でなく、喰うか喰われるかの渦中でサムライアリの如くレベル100のタブンネが押し寄せて来たら…
長くなってしまったが、無様に死にたくなければ、虐待アイドルは街の中の普通のタブンネだけにしておこう。
トレジャーハンターとの約束だ!


しかし、遺跡というのは良い物だ。
そう思うだろ? ………思わない…のか…?


「その扉の先の狭い通路に敵勢反応多数、抜かるなよ。」


射撃戦に持ち込むとなれば、弾薬コストの掛からないエネルギーライフル1択なのだが、下手をすれば押されてしまう。
だが、ここでビビってはTHの名が廃る!
なので、覚悟を決めて私は扉の開ける為に用意されたレバーを下げる…が…
扉は開かない、代わりに扉の奥から耳障りな断末魔が聞こえる。


私は身の危険を感じ、扉の直線上から外れた位置へと移動する。
すると、扉をぶち破り、トゲトゲの付いた巨大な鉄球が転がってきたのだ!
案の定…通路には潰れた豚が満載だった。
汚いので細かい描写はカットさせていただく、期待してた人には悪いが、文字数制限なんでな。


ちょっとの油断が死を招く、こうなりたくなければ、いつでもがめつく、かつ欲張らずの精神を忘れてはならない。


トレジャーハンターとの約束だ!


「その先は広く、かつ入り組んでいるぞ…宝をみすみす逃すなよ…!」


水源があり、広く入り組んでいる迷路…THの天敵の多いエリアとなりそうだ。
レーダーには敵勢反応、水辺にもこの豚共はいやがるとは…電撃には注意しなければならないだろう。


私は宝を回収しながら進む、10000ポケ、高性能標準機、有角ソード、コントロールロッド、種蒔き機、こだわりスカーフ、麒麟の剛角…


宝の回収に集中していたが、ガシャン、ガシャンと、何かの音を聞き取る。


「音は感知出来ているがレーダーに反応が無い、警戒しろ!」


突然物音の鳴るペースが速くなる! 私はその場から全力で逃げ出した。


「此処で会ったが100年目タブ! 貴様を肉にしてや…」


目の前に糞豚の群れが…ジャンプで飛び越えスルーする。


「逃がしはしないミィ、10万… ズサー!ガリガリガリ!」


「敵勢反応感知、シャルクルスS(ステルス仕様)です、超高度の光学迷彩と高い機動力を持ち、腕のドリル式ブレードによる不意打ちは危険です! 敵の攻撃直後で視認可能な時を狙い、距離をとっての的確な射撃が有効でしょう。」


ダッシュしながらの攻撃を受けた豚の顔がバラバラに… あんなの絶対受けたくない!
みんなのトラウマは未だ健在の様である。


遺跡のガーディアン、これも珍しい物ではないが、ガーディアンの中でもかなり手強いシャルクルスはあまり相手にしたくない。
遺跡タブンネは勝手に遺跡に住み着いた、いわば部外者も同然なので、彼等の攻撃対象にされる事もあるが…


無駄な数はガーディアンをもってしても難儀する様だ。


「前方に糞豚多数、お前の事が本格的に豚共に察知された様だ、迷路の分岐点に大量に待ち構えているぞ… 忌々しい…!」


仕方ないのでグレネードキャノンを使い、強行突破しようとするが…


「ひゅ~~~… ドスン!!


前方に待ち構える豚共の後方に、巨大なローラーの様な物が降ってきたのだ。
………よーく見てみると、透明な人型の何かが八頭身AAの様にローラーに跨がっているのか…?


「あれは…?! 全力で退避だ! 近付くなッ!」


突如として、巨大なローラーがこっちに動き出したのだ!
まるでロードローラーの如く、タブンネを黙々と轢殺していく様は貪欲なドットイーターである。
ローラーは逃げる豚を的確に追い、群れを潰したら次へ、また潰したら次へと狙いを変えていく…


「なんなんだアンタ! こっちに来…ミッぎゃあぁぁぁぁっ!」


「助けて! このままじゃ殺されてギニャアァァ!」


次々と豚は死んでいくが、私はまだ、最初以外何もしていない。


「データベースの情報と合致、アンノウンはヤマトアメビトです。 名前以外の情報は殆ど無く、弱点は不明です。」


相手にする必要も無い、彼には遺跡クリーン作戦をしていてもらおう。
潰れる豚の悲鳴をバックに、私は迷路を突破した。


「あれだけの豚がいたんだ、間違いなくグロテスクなのが潜んでいるぞ…!」


女王か…ますます頭が痛い…迷路の奥にあった大層な建物の中は…行き止まりで、先には進めそうになかったが…
一ヶ所だけ色の違う足場がある、どうやら下の階層へ降りられる様だ。
私は迷わず飛び降りた!


飛び降りた先の周りを見て私は驚愕した。 ここは…太古の処刑場だ!
酷い有り様だ…これも細かい説明はカットさせていただくが、今は奴らの屠殺場とされているらしく、犠牲となってしまった可哀想な者達の…


黙祷を捧げたい所だが、そんな余裕は与えられていなかった。


「ブヒャヒャヒャ! お前がミィ達の住処を荒らす不届き者だブヒね!」


なんだコレは!? 不快な毒音波レベルの声が奥から聞こえて来たのだ!


「敵勢反応確認、クイーンタブンネです。 敵は動きませんが、圧倒的な生命力を持ち、配下のタブンネを使って攻撃、防御を両立した行動を取る事が確認されています。 生半可な攻撃では太刀打ち出来ないので、一点火力に特化した攻撃による短期決戦が有効でしょう。」


処刑場の最深部に存在したのは、まさに糞豚AAを最終進化させた様な奴だった。
醜いなんて次元を通り越している。


「まるで宇宙の寄生生物の女王だな、異常進化で下手なACS以上の生命力と攻撃能力を持っている、油断だけはするなよ。」


油断をするつもりは無い、何せこんな奴に倒されてしまえば、私は生き恥を晒す羽目になり、全てのTHからバカにされる日々を送る事になってしまうのだから。


しかし、格闘戦を仕掛けるのは余りにも危険な相手だ…女王豚はお供に鉄壁の守りをさせているのだろう、非常に腹立たしいドヤ顔でこちらを見下している。
軽量グレネードではあの守りを突破出来るかどうかも怪しい… 私は…どうしたら良い?


(この話を見てくれている人へ… 貴方の一言が主人公である“彼”を助けます。)
(友軍候補を呼ぶも良し、“神の一手”を加えるも良し、遺跡の機能を使うも良し…)
(もし良ければ、彼を救う足掛かりとなってあげてください!)
最終更新:2015年02月19日 00:44