タブ虐ルーキー軍

友人「実際問題タブンネの繁殖力ってヤバいよな、旧作では水辺には必ずコイキングがいたけど、今作では陸地ならほぼ何処でもって感じだな」
俺「ああ、普通にクリムガンとかどう見ても肉食系にしか見えないポケモンの生息地でも、何故か出て来るしな…」
友人「もしかしたら高い聴力はソリトンレーダー並みに高性能なんじゃないか?」
俺「だけど草を鳴らす意味がわからんな…人間とか天敵に対し逃げる事により数を増やしてきたと考えると…」
友人「此処で仮定を立ててみる」
1 逃げ損なった
2 求愛の為
3 可愛さアピール

俺「どれもこれも説得力に欠けるな…逃げ損なったにしてももがく時間長過ぎだし、求愛はそもそも危険な場所ではしないだろうし、可愛さアピールなら弱い奴を露骨に殺しに来る理由が…」

友人の兄「全部ダウト、あれは人類に対しての舐めプだ、あえて存在をアピールして、人間に使役されてるポケモン(同族であっても)を倒す事により愉悦に浸っているんだ」
「そもそもポケモンを倒しても、殺したとは表示されない、つまり奴らは、こちらが本気で殺したつもりでもしぶとく生きているんだ。」
「だから増えるし性格もアレな連中なんだよ、経験値の事も、他のポケモンと違って全力で殴れるから経験値がいっぱい貰えるんだ、わかったかい?」

俺はこの時、説得力が何なのかを知った気がする。

兄「それに、今はこんな事態になっているんだ」

友人の兄は徐に何かの資料を取り出した。
俺「ちょっとこれ…本当なの?!」
友人「ひでぇ…」
資料はタブンネの街に関する記述が書かれていたが、住民が決起したという中途半端な状態で終わっていた。

兄「残念ながらこの後どうなったかはわからない。 だけど実害が出まくっていたのはわかっただろう?」
「そこで、何度か駆除を試みたんだけど上手く行かなくてね…虫の良い話だとは思うんだけど、手を貸して欲しいんだ。」

俺「あいつらは聴力が優れてるなら、スタングレネードとかバクオングの力を借りれば…」
友人「確かに、無駄に聴力が優れてるなら耳に打撃を与えれば」

兄「実はこれがね…周囲のポケモンが出るってんで、使用が禁止されちゃって…どうしても一人とその手持ちじゃ辛いんだ…」
俺「虐待愛好会は? あそこなら喜んで協力してくれそうな気がするけど…」

兄「素人に協力するぐらいなら個人で潰した方が早いってんで、相手にして貰えない…そうなると、ね。」

友人「苦労してんだな…」

結局、俺達は準備をして外に出る事にした。

早速俺達はとある森を歩いていた。

俺達の住む街の近くに位置してはいるが、此処では生態系の破壊が行われているという。
兄「此処が落ちれば奴らはふてぶてしく街までやって来るだろう。」

友人「落ちるって?」
兄「奴ら、普通の野生種では使えない技を使える個体が繁殖したらしく、他の野生のポケモンを淘汰出来る強さを持ったらしい…それが原因で食料を貢がされて…」

俺「他のポケモンの食料が減って…って訳か…可哀想に…」
友人「それで、貢がせる対象がいなくなったら街へ可愛さアピールか…まるでイナゴだな…」

兄「街の人達はこの事を知ろうとしない…何処も同じで、気付いた時には取り返しの付かない事になっている。」
「何せ人間は、いらない事には興味を持たないし他人事には無関心、自分に影響が出なければ小さな範囲で絶滅が起こっても気にも止めない生き物だ…」

俺「本部が動いてくれない以上、俺達が動くしか無いって事なのか…」
友人「こりゃマジでヤバそうだ…生態系の頂点が死んでる…」

友人が見つけたのは…目を閉じて横たわったペンドラーだった。
…素人が一目で見ても、痩せすぎているのがわかる程、痩せこけていた。

兄「餓死…か…」

俺「どうしてこんな事に…ペンドラーならタブンネ相手に遅れを取る事なんか…」

兄「誤解している様だが、確かに個々の能力は戦闘に適した物ではないし、普通の野生種なら何てこと無い相手だろう」
「だが、今回のケースはあからさまにイレギュラーが存在する上、数の暴力まで習得している…森の生態系の頂点と言えど、連続で攻撃を仕掛けられたら…」

友人「サイキネとか火炎放射も使えるんだよな…それで数の暴力じゃ…」
「…見るに耐えない…ロマン、この子を埋めてあげるんだ…仇は俺達で取るぞ!」

友人のモンスターボールから出てきたのはドリュウズ、ボールから出された直後にショッキングな光景を見せられ戸惑っていたが、すぐに状況を察したらしく…
“あっしに任せてくだせぇ! せめて安らかに…”

埋葬は手早く終わった。

兄「今の穴を掘る音で気付かれた可能性があるな…だが、逆に好都合だ。」

俺「好都合? 逃げられて面倒なんじゃ…」
兄「奴らが草を揺らす理由は言ったよね? 普段聞かない音に関してはやたら反応を示す筈…つまり…」

俺「釣られて来るって事ですね…」

突然ガサガサと深い草むらが揺れる。

兄「来たか…だが、今はあまり抵抗をしないで欲しい、屈辱的だと思うけど、時間を稼ぎながらわざと敗北を装って、撤退するんだ」
「それと、君のSOMW(ギガイアス)を弟に預けて欲しい、ユウジ! 俺のスパイダス(デンチュラ)も預けるから、有りっ丈の罠を張るんだ! 良いな?!」

友人「任された! 合図にはライブキャスターを使う!」

友人が下がっていくと同時に、草むらからピンクの“奴ら”が現れた!
だが

俺「出やがったな! しかも同時に3匹だと?」

兄「気をつけるんだ、たとえタブンネと言えど、危険な技を持っている! 向こうは既にヤル気の様だな…」

皆に良く知られ、可愛いと言われるタブンネとは程遠い顔をしている…(それでいて鳴き声はあの甲高さ)正直今すぐにでも叩き潰したい…!

俺「ウォート(エンブオー)! 頼んだ! 守りながら時間を稼げ!」

(それがマスターの命令だと言うのなら、期待に応えてみせましょうぞ!)

兄「サイキネが来ると面倒だな、エッジ(キリキザン)、勇気ある彼を邪念から守れ!」

(今は守りか…次こそは暴れさせて貰いたいな!)


こうして“2012年タブ虐ルーキー軍、タブンネ&近所の森連合軍と戦闘開始”

兄「こいつらは元々遅い! 故にトリックを使われると厄介だが…見え見えのトリックなんて使わせる訳が無いだろう!」
「エッジ! 挑発だ!」

“来いよ〇〇〇チョッキ豚! トリックなんざ捨てて掛かって来い。 まぁお前らには無理だよな、トリックがなきゃ支援は愚か攻撃すら出来ねぇんだからな。”
(“全国のトリック使いの人達、本当にごめんなさい!”)

すると面白い事に、聴力が仇となって全員挑発に乗った様だ!
顔を真っ赤にして怒っている!

“そんな物が無くてもやってやる! バカにした事を後悔させてやる!”
“タブンネの結束を見せてやる!”
“鉄屑になれ~!”

俺「ウォート! エッジを守れ!」
“合点承知!”

案の定、エッジを狙った火炎放射が来るが、ウォートがエッジの前に立ちふさがり、火炎放射を受け止めた!

“ナイスだウォート! で、どさくさ紛れに誰が誰を鉄屑にするって?”

エッジが一回り小さいタブンネに狙いを付けた!

“ガキが…いい気になるなよ!”

兄「やりすぎるな! あくまで少しいたぶる程度でいい!」

“鋼と悪…格闘にズンドコに弱いが、お前らにはまともな“格闘戦”は出来んだろう!”

エッジが素早い動きで一回り小さい奴に肉薄する。

“ミィッ?!”

小さい奴が驚きの声を上げた直後!

“見よう見まねの世紀末羅漢撃!”

あからさまにやる気の無い突き(それでも普通の人間からしたら物凄く早い)を連続で繰り出し、子タブンネを弄んでいる。
………そもそもエッジが本気なら、タブンネの柔らかい身体では一発で貫通している。

“ミィィィッ! 痛い! 助けて!”
“おのれ! 弱い者を狙うとは!”
“この悪魔! 今助け…”

俺「ウォート! 妨害しろ!」
“プロレスは好きか?”

エッジに向けて懲りずに火炎放射を放とうとしているタブンネの一匹をウォートが掴む、そして…

“そらよ!”

“タブ~!”
“ミギャッ!
掴んだ奴をハンマースルー(プロレスでロープに向けて相手を投げるアレ)して、もう一匹にぶつけたのだ!


勢いよくブン投げた為、ぶつかった時の衝撃は相当な物となり、見ている側としては激しく“メタボなピンク”がゴロゴロと転がっていくという極めてシュールな光景を目にする事となった。
流石にこれは友人の兄にも滑稽に見えたのか、必死に笑いを堪えていた。

“痛いッ! 謝るから止めて!”
エッジはまだ羅漢撃を続けていた…
最終更新:2015年02月18日 17:44