タブンネおでんというものがある。
祭りや祝い事がある時にふるまわれるとある地方の郷土料理だ。
生きたタブンネを3日間煮込み続けることで熟成されていく味を楽しむものだ。
それでは、その作り方を紹介していこう。
まずは下ごしらえとして、タブンネを3日ほど絶食させる。
お腹の中のものをすべて外に出してしまうためだ。
絶食している間のタブンネは、空腹からゆっくりとミィアドレナリンを分泌していく。
下剤で強制的に外に出す方法もあるのだが、これでは味が薄くなってしまう。
タブンネを絶食させ終えたら、次に全身の毛を剃っていく。
この時に尻尾はきれいに引き抜いておく。
あとはタブンネの上半身をタコ糸で縛れば下ごしらえの完了だ。
下ごしらえしたタブンネを水が張った鍋に入れる。
この時、タブンネをそのまま入れるか天井から吊るすかは各家庭によってちがう。
そしてあとは鍋につゆを入れ、具材とともに煮込むだけだ。
煮込まれることでタブンネが悲鳴を上げようとするだろう。
ここで、引き抜いておいた尻尾をタブンネの口につっこんで、静かにさせる。
タブンネの強靭な生命力ならば熱湯の中にいてもある程度は生き続ける。
3日間というのはタブンネが耐えられるおよその目安というわけだ。
もちろん、タブンネの状態によっては1日でダメになることもあるし、1週間ほどもつ場合もある。
ここは、各家庭の腕の見せ所だろう。
タブンネは煮込まれ続けている間、ミィアドレナリンを出し続ける。
それはタブンネの状態によって微妙に味わいを変えていく。
同じ具材を使っても、味の変化と深くなるコクによって毎日食べても飽きることがないのだ。
タブンネが息絶えると、その体は徐々にくずれていく。
その崩れた肉は何日にもわたっておでんの汁を吸っている。
タブンネの持つ旨みとまじりあい、何ともいえない不思議な味を生み出すのだ。
今紹介した方法はあくまで基本的な作り方である。
家庭によっては、メスのベビンネのみを使ったり、タブンネの家族を使ったりと様々だ。
さらに、煮込んでいる間に、タブンネにどのような処置を施すかというのも十人十色だ。
それを親子で受け継いでいくことで、家庭により、まったく異なるタブンネおでんができるのだ。
この地方で何かイベントがあるときは立ち寄ってみるのはいかがだろうか。
食べるたびに味が変わっていくタブンネおでん。
それをぜひ、堪能していただきたい。
最終更新:2015年02月18日 20:32