【名前】犬坂毛野胤智(いぬざか けの たねとも)
【性別】男
【年齢】作中年齢16~20前後(満年齢では14~18、9)
【容姿】
体格は小柄で細身。少女と見紛う程の美少年。
表情は少々きつめ。生まれつき体の色素が薄く
色白で、髪が赤茶けている。
八犬士である事を示す体の牡丹の痣の位置は、右肘。
【一人称】俺
【流派】
武芸の師を持ち得なかったため、完全な我流。
幼い頃から習い覚えた軽業の術と、高い身体能力を活かした
速さ重視のアクロバティックな剣戟を使う。
その戦いぶりは鳥に例えられる程であり、数百の兵卒と渡り合った。
また、扇谷家中随一と称された、籠山逸東太を
一方的な勝負の末に屠っている。
また、居合いの術も習得している。
【剣術以外の特技】
武芸十八般も独学で習得しており、特に手裏剣の術を作中で度々披露。
暗闇の中で相手の首に正確に打ち込んで倒すなど、夜目もかなり効く模様。
また「智」の剣士だけあり、頭の回転も非常に早い。
変装も得意であり、女芸人、乞食、香具師などに化けている。
旅芸人一座で育ったため、様々な芸や歌、和歌、漢詩、楽器、遊び
占い、各地の方言にも精通している。
自身の容姿も武器として割り切っており、最大限利用。
【性格】
顔立ちの割りにかなり男性的かつ能動的な性格。
つっけんどんした口調で、シビアな思考回路の現実主義者。皮肉もよく口にする。
単独行動を好み、「協調性が無い」と仲間の犬山道節に評されている。
生まれる前から命を狙われ続けてきた結果、自ら「心の中に鬼を飼っている」と
称している通り、敵と見なした相手には容赦無く、対牛楼での敵討ちの際では、
仇とは無関係の飯炊き女を口封じのために眉一つ動かさず切り捨て、
仇のまだ二歳の娘も容赦なく殺害する冷酷さも併せ持つ。

だが、自分の(他人の話として語った)身の上を心配してくれた
犬田小文吾は、対牛楼の仇討ちの際、積極的に助けようとしており、
彼が毒を飲まされた時には珍しく取り乱している。
また一緒に物乞いをしていた乞食が試し切りにされた際は
それの仇を討ち弔う、また鈴繁森の仇討ちの際、河鯉守如や蟹目御前を巻き込んで
死なせてしまった際は、毛野本人の過失では無いにも拘らず、心を痛める等、
表面上隠しているが実際は心優しく、熱い激情の持ち主。
幼子を殺害したときの台詞からも、一人で何もかも背負い込み、思いつめてしまう
性分である事が伺え、他者との関りあうのを嫌うのも、自分と関った人が
傷つく事を極端に恐れているため。

自分を偽るのが下手な信乃とは違い、演技や、本音と建前を使い分けるのは得意。
相手や状況によっては、媚を売る事も、愛想を振りまく事も出来る。
犬士の面々に対しては、仲間と認めている分、普段通りの無愛想。
前述の通り、初めてであった犬士である小文吾とは特に仲が良いらしく、
口では悪態をついているが、彼と接しているときに一番感情を表に出しており
またよく一緒に行動する。動物、特に猿好きで、これらと接しているときも
珍しく笑顔を見せている。

【作中の行動】
名門千葉家の分家筋にあたる、武蔵千葉家の家老・粟飯原(あいはら)胤度(たねのり)の
庶末子。母は下女の調布(たつくり)。母は彼を三年も身ごもっており、実際元は
腹中に溜まった血塊か主要であったらしい。その間に胤度は同僚の
馬加(まくわり)常武(つねたけ)と籠山(こみやま)縁連(よりつら)の策謀で
謀反の罪を着せられ、殺害。胤度の正妻と異母兄弟も皆処刑された。
ただ、調布だけは発狂したふりをし、腹の子供も暴行を加えたり、薬を飲ませても
堕ちなかったため、病と判断され、命を助けられる。
相模国まで逃れた母調布はある日、懐に飛び込んできた里見の伏姫の霊力と
妖犬・八房の精気が宿った珠を拾うが、この珠の霊気と感応して、胎内の
血塊に命が宿って人間となり、おなじく相模犬坂の地で毛野を出産した。

鼓を得意としていた母・調布は旅芸人の一座に入り、追手の目を欺くため、
毛野を女として育てた。十三歳の時、母が病死するが、臨終の際、
自分の出生の秘密を聞かされ、一族の仇を討つ事を決意。
以後、自らに胤智の男名を与え、三年で独学で武芸十八般を習得した。
その後、仇・馬加の治める武蔵石浜にやってきた毛野は常胤と嫡子
倉矢吾に取り入って、芸人一座を抜け逗留。お抱えの白拍子として、
城内に入り込み、対牛楼で開かれた酒宴に乗じて、常胤とその一族を皆殺しにする。
この時、馬加に客遇という名目で軟禁されていた、犬士の一人、犬田小文吾と
親しくなり、素性を明かして、ともに脱出を図るが、小文吾が船に飛び乗り損ねた
ため一度そこで別離。

その後、故郷の相模にしばらく潜伏した後、残る仇籠山の行方を捜索。
信濃国善光寺の前で乞食に化けていた際、小文吾と再会し、犬士の
一人・犬川荘助と再会。二人に八犬士の事を聞かされる。
二人に敵討ちへの協力を申し入れられるが、毛野はそれを断り、
二人が寝ている間に一人、宿を抜け出す。

その後、湯島神社で関東管領扇谷定正夫人、蟹目上の猿が木から下りられなく
なっていたのを助けたのが縁で、彼女の屋敷に招かれるが、そこで自らの
正体を知る、定正の家臣・河鯉守如に、籠山が扇谷家臣になり、専横の
限りを尽くしている事を聞かされ、彼を討つ計画を打ち明けられる。
これに賛同した毛野は鈴繁森で籠山を討ち取るが、折り悪く、
他の犬士・犬山道節らが仇敵・扇谷定政を襲撃したため、謀叛の
汚名を着せられた蟹目と河鯉は自害してしまった。
ここで初めて、信乃ら他の四犬士と邂逅、彼らに兄弟として
迎えいれられた毛野は、ようやく八犬士の仲間になる事を決意した。

その後、他の六犬士と穗北で共同生活を送り、下総結城で
伏姫の法要に参加するため旅支度を終えるのだが、
毛野はここでこの御前試合に参加する事になる。

【把握用作品】
碧也ぴんく 『八犬伝(漫画)』
現在は文庫版全八巻が市販されており、
角川新書版、集英社文庫版ともに、古本屋にもよく置いてあるので
入手は比較的容易と思われる。

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最終更新:2009年02月02日 13:46