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登場人物紹介

主人公:眞田真紀(さなだまき)
大学3年、教育学部、専攻は国語。
4年生は就活があるので引退し、今年度から女子のバトミントン部の主将となる。
成績優秀、運動神経抜群でみんなから慕われるタイプ。
おっとりした優しいお姉ちゃん系。練習中はちょっと活発な子になる。
胸までまっすぐ伸びた黒髪、モデル体型の和風美人。
少し臆病。すぐ驚く。
「ピーチdeジュース」という子供に人気がある桃のジュースが大好き。

磯崎美優(いそざきみゆ)
大学2年、教育学部、専攻は国語。バトミントン部の真紀の後輩。
誰にでもなついてくる妹系。ちょっと喜怒哀楽が激しい。
真紀を姉のように慕っている。
ツーテール、茶髪。真紀より背は低いが胸は大きい。
「あっ!○○」と言う癖がある。


あらすじ

美優が真紀に「今度の休みに一緒に買い物に行きませんか?」と約束をし、
真紀を自分の部屋に招いたことからはじまった。
長袖だと少し汗ばむくらいの日の出来事である……

ピンポーン♪
 私は美優の部屋のインターホンを鳴らす。
「は~い!」
 美優の元気な声がドア越しから聞こえ、ダッダッダッと足音が近づいてきた。
「おはよう美優。」
「あ、先輩、おはようございます♪ささっ、入ってください!」
 美優は私が靴を脱ぐのと同時に私の手をとって部屋に連れ込む。
 そして私はいつものように部屋の隅にバッグを置きクッションに座る。

 美優の部屋はいつ来てもすっきりしていて、テーブルにクッション、テレビ、ベット、タンス、大きな鏡ぐらいしかない。
 壁も白に統一されていてることもあり広々としている。
 でも、今日は大きなダンボール箱が部屋の隅に置いてある。何が入ってるんだろう?
 私がダンボール箱を発見したことに気づいたのか、コップにペットボトルの麦茶を入れていた美優が声をかけてきた。

「これですか?実は、今日はこれの為に先輩に来てもらったんです!」
「え!?お買い物は……」
「あ…すみません……先輩に来てもらうために私…嘘つきました……」

 そんな……久しぶりに美優とお買い物ができると思ったのに……

 今日は工学部で行事があり、部員がほとんどいないので、バトミントン部の工学部以外の部員は休みとなった。
 バトミントン部は平日はもちろんのこと、土日も練習がある。
 教育学部である私と美優にとって久々の休日であった。

私が落ち込んでいるのを察したのか、悲しそうな顔で、
「本当にごめんなさい……」
 と美優は頭を下げる。
 私はこの顔に非常に弱い。
 しょうがないから箱の中に何が入っているかを聞くと、美優は急に元気になり、
 重そうにダンボール箱を私の隣に運び、それをそ~と置く。
 元気になった美優を見て安心すると、美優が思いもよらぬことを口にする。

「単刀直入に言います!先輩に…お人形さんになってもらいたいんです!」
 美優は隣の部屋にも聞こえるぐらい大声で叫んだ。

 え!?どういうこと?

 困惑している私の前に、美優は立ち上げてあったノートパソコンを持ってきて色々な画像を私に見せ始めた。
 パソコンの画像は、アニメで出てきそうな女の子のマスク(?)と鮮やかな色のウィッグをかぶり、
 肌色の全身タイツの上に制服やメイドさんとかの衣装を着た人達の写真だった。

「先輩にはこれの中身に……着ぐるみを着てほしいんです!」
 いきなり持ちかけられた話に頭が混乱してる……

 お人形?着ぐるみ?私が中身?なんで私が?

 そんな言葉が頭の中をかけめぐっている最中に、
「着てくれませんか!着ぐるみ!」
 と目を大きく見開きクリクリ輝かせて、私の口から「うん」や「いいよ」等々の言葉が出てくるのを期待している。

「ちょっ、ちょっと待って!」
 このペースだと承諾しちゃいそう……まず、一つ一つ聞いてみよう。
「べ、別に、私じゃなくても…」
「だめです!」
「自分で着てみたらいいんじゃ…」
「私は見て楽しむ派なんです!」
「そうだ!ネット!インターネットで探せば沢山見れると思…」
「ネットだと中身が男ばっかりなんです!かわいくないんです!」

 私の答えに間髪いれずに返答する美優。美優の熱弁はまだ続く、
「中身が女性でもどんな人が入ってるかわからないし、やっぱり中身が大事なんです!だから先輩に着ぐるみを着てほしいんです!」

 私には美優の言っていることがよく分からない。
 男の人が女の子の着ぐるみを着ているのは違和感を感じる……
 でも、女の人ならどんな子でも体系が合ってればいいんじゃないかな、と思う。
 だって、マスクをかぶれば中の人の顔なんて見えなくなっちゃうし……

 そのことを美優に聞くと、
「先輩みたいに綺麗で、かわいい人にかわいい着ぐるみを演じてほしいんです!だからお願いします!」
 美優は頭まで下げて私に着ぐるみを着るようにお願いする。

かわいいだなんて…同性に言われても嬉しい……
 でも……「いいよ」とは素直に言えない……
 仮に「この服を着てください!」と言われて、コスプレとかするんだったら承諾できたかもしれない。
 だけど、着ぐるみは違う。全身をタイツで覆われて、マスクで顔を隠されて……閉じ込められちゃうような……
 自分が自分でなくなる感覚が私を不安にさせて、着ぐるみを着るということを拒絶している。
 考えるだけで心臓がバクバクなるし、体がビクビク震え、膝の上に置いてある手から変な汗が出てきた。

 美優には悪いけど……ここははっきり言わなきゃ!

「ごめんね……私には…できないよ……」

 がっかりする美優。頭の中で何度も美優に謝る……私の為に用意してくれたのに……
 でも、嫌なことは嫌と言わなきゃいけないと思った。私は美優に頭を下げた。

 次に頭を上げると、美優の顔がさっきの落胆していた顔から意を決したような顔に変わっていた。
「本当はこんな真似したくなかったけど……奥の手を使います。」
 美優は普段出さないような凄みのある声で私を威圧する。
 怖さと不安で私の心臓が止まったような気がした……

 でも奥の手ってなんだろう……危ないこと?

 美優はそんなことする子じゃないから乱暴なことをするとは考えられない。
「先輩の秘密をみんなにばらします!」

 秘密!?

 びっくりしたけど唖然としてしまった。
 美優に隠しごとをしたことはないと思う。
 美優が知ってる私の秘密って……とりあえず聞いてみよう。

「秘密って?」

 私の顔をじっと見ながら美優が口を開く。
「みんなが帰った後に先輩が部室でしてることです……」

 ……あっ!!!

 体から火が出そうになった。
 私の赤くなった顔を見て美優は、
「そうです……部室の鏡の前ですっぽんぽんで…」
「それ以上言わないで!!」
 堪らず大声をだしてしまった。

私はバトミントン部の女子の部室の鍵の管理を任されているから、いつも最後まで部室に残っている。
 部室は広くて大きな鏡があるから、毎日みんなが帰ってからその鏡を使って素振りやフォームチェックをするのが私の日課になっていた。
 それにひきかえ、自分の部屋が小さいし鏡もないからそれができない……だから部室はいい練習上でもあった。
 最初は練習着を着てやっていたけど……誰も見てないことをいいことにどんどん服を脱いでって……
 最近は下着さえ脱いで……裸でやってる……そのほうが体の動きがちゃんと見えるからというのもあるけど……
 ちょっと普段の練習じゃ味わえない解放感があるから、という気持ちのほうが大きいかも……
 どうやら、それを美優に見られていたらしい。

 そんなことをばらされたらバトミントン部は辞めさせられるし、みんなから変態扱いされちゃう……
 最悪退学なんてことも……そんなのイヤ!

「お願いだからみんなに言わないで!!」
「じゃあ着ぐるみ着てくれます♪」
 急に美優は元気になり、満面の笑みで私を見る。

 今日着ぐるみを着るか、それともずっと変態扱いされるか、選択の余地なんて無かった……

「私が……私が着ぐるみを着れば…秘密をばらさないって約束してくれるなら……」
「着てくれるんですね!約束します!絶対言いません!やった~♪」
 美優は私が着ぐるみを着るといったので飛び跳ねていた。

 逆に、私は着ぐるみを着ることが決まり、さっき芽生えた感覚が……
 着ぐるみという檻に閉じ込められ、自分が自分でなくなるという感覚が胸のなかで急激に成長し、
 私のすぐ隣にあるダンボール箱を見るたびに、心臓の音が大きくなり、体中から変な汗をかきながらビクビクと震えていた。


 部屋の時計の針が10時をさした。

「フン、フフン、フフ~ン♪}
 美優は小物入れからカッターを取り出すと、鼻歌を歌いながらダンボール箱のガムテープを切っていく。
 箱の中は発砲スチロールや、つぶすとプチプチ鳴るビニールがぎっしり詰まっている。
 美優が箱の中のものを一つ、また一つと出すたびに美優自身のテンションはあがっていく……
 私の脈も美優のテンションともに早くなってる……気温はそこまで高くないのに額がプツプツ汗をかき始めた。

 だめだ、少し落ち着かなきゃ。

 気持ちを落ち着かせようと胸を撫で下ろしていると、美優の大きな声が耳に入ってきた。
「先輩、先輩!見てください!これが今から先輩が着る着ぐるみですよ♪名づけて着ぐるみセット!」

 いつの間にか私の隣に着ぐるみセット(?)がずらりとならんでた。

 肌色の全身タイツ、メイドカフェのメイドさんが着ているような紺色の長袖のメイド服、
 白いニーソックス、ピンク色のリボンがついたベルト、茶色いウィッグ、
 そして……私の顔を隠してしまうヘルメットみたいな形のプラスチック製のマスク……

これ、全部着るの?

 着ぐるみセットを直視したまま動けない……
 また心臓がバクバクなってる……

「先輩、顔赤いですよ?大丈夫ですか?」
「きゃっ!」
 いきなり美優の顔が目の前に現れたのでかなり驚いた。座ってたのに後ろにのけぞって尻もちをついてしまう。
 どうやら、ボーとしていたり、落ち着きがなかった私を心配してくれていたようだ。

「だ、大丈夫。ちょっとボーとしてただけだから。」
 と答えると、美優はまた元気になった。
「そうですか、よかった!じゃあ早速着てもらいましょ~♪まずは服を脱いじゃってください!」
「え!いきなり……」 
 美優のテンションがまた始めた。

「あ!」
 美優が何かを思い出したように、はっとした顔をした
「その前にお化粧おとしちゃってください、着ぐるみが汚れちゃうんで。
 洗顔フォームとかタオルとかは洗面所にあるんで適当に使ってください♪」

 私よりも着ぐるみを心配したように感じたので少し、ムッとした顔をしたが美優は全然気づいてない。
 しかたないから私は洗面所にいき、クレンジングと洗顔フォームを借りてメイクをおとす。
 顔が熱くなってたから冷たい水が気持ちいい……

 ……しっかりしなきゃ!

 濡れたほぺったをパンパン!と手ではたき、顔を拭いて美優のもとに向かう。

 私が帰ってきたのを見ると私の手をとり着ぐるみセットの前に立たせる。
 そして私の顔を覗き込んで微笑んだ。
「すっぴんでもやっぱり先輩かわいいです♪」
「え!?ありがと……」
 不意の誉められたからさっき冷やした顔がまた熱くなってきちゃった……

 美優のテンションがさっきよりも上がっている。

最終更新:2017年12月15日 22:51