『ふぐぅぅ!!』
いたっ!鼻と口にマスクが!!
だめ!もう限界!!
遠心力で鼻のなかの筒と口の猿轡が食い込んでくる!
痛かったから3回ぐらいしか回れなかった……
「すごいすご~い♪さっすがサキちゃん!かっこいい!」
でも美優はピョンピョン跳ねながら喜んでる。
いつつつ……まだジンジンする……鼻ん中切れちゃいそう……
それに暑い……ビチョビチョ……
まだ外は涼しいけど着ぐるみ着て運動したらすごく暑い……
鉄棒によっかかって休んでたら美優に手を引っ張られた。
「次あれにしよ!ほらほら♪」
美優はルンルンしてる……ちょっと休ませてよぉ……
そんな私に気付いてくれない。そのあとも滑り台とか砂場でいろんなポーズで写真を撮った……
もう美優のされるがまま……
「次で最後だよ♪……うぅ!……もうちょっとで終るからね……」
そういって美優はブランコの台をティッシュで拭いてから私をそこに座らせた。
でもさっきから美優の様子がおかしい……顔色が悪くなってきてる……
「じゃあ内股で手を膝に置いて……そおそお!かわいい……」
美優はモジモジしながシャッターをきった。
もしかして……おトイレいきたいのかも……
「……ごめんねサキちゃん……私……おトイレいきたいの……ちょっと待っててね!」
やっぱり……
美優は公園トイレに向かおうとする……そのときだった!
「あれ?磯崎じゃん!なにしてんの?」
私の後ろから男の人の声が聞こえた!
「へ?……あっ!川上先輩!!おはようございます!」
え?……川上くん!!
私は後ろを振り向いた!そこにはジャージ姿の川上くんがいた!
全身から冷や汗が出てきた!
「って!おお!びっくりした!!」
川上くんは着ぐるみを着た私を見て後ずさりしていた。
見られちゃった!どおしよ!どおしよ!
恥かしい!!
あぅぅ!……だめ!こんなときに!
私はパニックになりながら体をブルブルと震わせた。
しかもこんな状況なのにあそこがまた濡れてきちゃう……
「えっと……この子は高校の友達で着ぐるみが大好きなんです!だから私が写真撮ってあげてるんです!」
美優もパニックになりながらごまかしていた。おしっこを我慢してるのにすごいと思う。
……そっか……べつに私が入ってるってわかんないんだし……
だいじょぶ……落ち着かないと……
「へ~、そうなんだ。あっ!俺、川上涼!よろしく!君は?」
川上くんが私に握手を求めてきた。私も思わず手をさしのべ、声を出そうとした。
……あっ!しゃべれないんだった!
それに声出したら……私だってばれちゃう!
これじゃあやしすぎるよ!
川上くんも不思議がってる!どおしよ!
「あっ!磯崎サキちゃんです!それと着ぐるみは声出しちゃいけないらしいんです!そおだ!先輩も一緒にどうですか?写真♪」
美優があわててフォローする。でも磯崎って……
「え?いいの?何か悪いね。じゃあ……こんなかんじかな!」
川上くんはブランコに座った私の隣に立ってピースした。恥かしくないのかな?
「OKです!いきますよ!はいっチ~ズ!」
カシャ!
写真を撮り終わると川上くんはさっきみたいに私に手をさしのべた。
「じゃ!あらためてよろしく!サキさん!」
川上くんは私の手を強く握りしめた。大きくたくましい男の人の手だった……
私も頷きながらギュッと握り返した。
相変わらず川上くんは川上くんだった。さわやかで……細かいことは気になんないみたい……
「あの……すみません……私……おトイレ行ってきます!」
美優は内股になりながらトイレに走って行った。もう限界だったらしい。
私と川上くんは茫然と見送っていた。二人で手を握ったまま……
「……おっと!握りっぱだった!」
川上くんは顔を赤くしながらあわてて私から手を離した。
……あっ!二人きり!
美優がトイレに行っちゃったから二人きりになっちゃった!
かなり気まずいよぉ……
少し沈黙が続く……お互いに目をそらした……
そしたら川上くんの口から予想もしてなかった言葉が飛び出した!
「……眞田……だろ?」
『……!!』
私の背筋が凍りつく……
え!……うそ!
私は川上くんを直視したまま動けない……
川上くんは頭をかきながらサキの顔を見て笑った。
やだ!ばれちゃった!こんなカッコしてるのが!……は、恥かしいよぉ!
いや……こんなのいや!
あぁん!……え!だめ!こんなときに……川上くんがいるのに!
あっ!……なんで!……だめだよ!らめぇぇぇぇぇぇ!!
ブワッ!……
私がサキの中に入っているのがばれちゃった……そんな自分がすごく恥かしくて……いっちゃった……
しかも川上くんのまえなのに……
「なわけないよな……ごめんごめん。なんとなく俺の友達に雰囲気が似てたから……
……その子、女の子なんだけどすっげ~バドミントン上手くてさ。完璧に勝てるように朝からジョギングってわけ!
へへ……ごめん!なんか愚痴っぽくなっちゃって……次に会うときは顔みせてね!じゃ!」
そういって川上くんは公園から出て行った。
川上くんは私のことを話してた……目の前の着ぐるみの中には私が入ってるのに……
そのギャップで……またあそこから蜜が大量に染み出してきちゃう……体はビクビク痙攣してた……
今になってあの時の選択を後悔する……あそこで撮影会を終わりにしとけばよかったのに……
しばらくしたら気持ちが落ち着いてきた。
私……なにやってるんだろ……
全身をタイツに覆われ、そのうえマスクまでしていることを体で感じた。
自然と目から涙が溢れだしてくる……
ひっく…ひっく……そうだ……絶対ばれちゃったよぉ……しかも川上くんに……
そのうえ……いっちゃうなんて……
ひっく……やっぱり私……変態だ……
美優はまだトイレから帰ってこない……
私はブランコから立ち上がりトイレに向かった。
「あれ?サキちゃんもおトイレ?」
トイレに入ると鏡の前で美優が手を洗ってた。
私は美優に目もくれず便座に座りドアのカギをかけた。
コンコン!
「サキちゃん開けて!手伝うよ♪」
美優がドアをノックする……でも今は独りにしてほしかった……
『ひっく…ひっく……ひや……』(ひっく…ひっく……いや……)
「……なにか…あったの?」
『ふぅぅ……』
美優が心配してるかもしれない……
私はドアを開け美優を入れた。
美優はドアの鍵をかけ、ポーチからラジオペンチを出す。
そしてマスクを外してポケットティッシュで私の口を拭いてくれた。
「……ばれちゃった……」
「え?」
「川上くんに…私が着ぐるみ着てるの……ばれちゃったの……うぅぅ……」
私は肌タイの手で顔を覆って泣きだしちゃった……
そんな私の手をどかし、美優はハンドタオルで私の顔を拭いてくれた。
そして私に優しく微笑みかける……
「だいじょぶですよ♪顔見えてませんし!」
「ぐすっ…ぐすっ……ほんとに?」
「はい♪声もだしてないでしょ?」
「……うん……」
「ならだいじょぶです♪川上先輩のことだから明日にはケロッと忘れてますよ!」
「……そうだよね……顔見られたわけじゃないし……」
「はい♪じゃ帰りましょっか♪」
「……うん!」
私は美優の言葉でなんとか立ち直れた。
美優は手をとって私を立たせ、私にマスクをかぶせる。
私はまたサキになって美優と一緒に帰ることにした。
帰り道は誰にも会わずに美優の部屋まで辿りつけた。
結局会ったのは川上くんだけ……
時計はまだ7時を過ぎたくらい。
美優は部屋に入るとマスクは外さずに私の服を脱がせ始めた。
「はい!右足上げて♪」
またされるがまま……着せ替え人形みたい……あぅぅ!
まだマスクを取ってもらえない……
私はショーツだけを履いてるサキになった。
鏡で見ると肌タイがそこらじゅう汗染みだらけですごくいやらしい……
たぶん股は……もっと酷くなってると思う……
美優……マスクはずしてよぉ……
私はマスクを指でつつく。美優はニヤニヤしてる……
「ちょっと自分で外してみて♪いざってときのためだよ♪」
え……そんなぁ……
私は座ってマスクの横にあるパーツに指をかける……全然外せない。
それにどうやって外せばいいかもわかんない……
ただカリッ、カリッと頭に音が響くだけだった。
美優はパソコンを立ち上げ、デジカメとパソコンをケーブルで繋いだ。
私には全然目もくれずに……
「外せなきゃずっとそのままだよ♪がんばってね♪」
……美優のいじわる!
私はちょっとムキになって肌タイの指でパーツをひっかいた!
カリッ!カリッ!カリッ!パキ!
『ひは!……』(いた!……)
左の人差し指が痛い!肌タイが茶色くにじんできた……
いたたた……あっ!爪割れちゃった!
あわてて指をくわえようとしたけど、そこにはサキの顔がある。
指をマスクにぶつけてまた指に激痛が走った。
いつっ!……いたい……ぐすっ……
もうやだ……ぐすっ……はやく……マスクとってよぉ……
このままなんて……やだ……うぅぅ……
『ふぎゅぅ……ひっく…ひっく……』
「え?サキちゃん?」
泣いてる私に気づいて美優がこっちに歩いてきた。
「?……あっ!どうしたの!指!」
『ふぅぅ……』
美優はいそいでマスクを外し、ジッパーを腰まで下して私の上半身を肌タイから出した。
「爪……割れちゃった……ぐすっ……いたいよぉ……」
「ちょ、ちょっと待っててください!」
美優は小物入れからマキロンを取り出し、おもいっきり指に吹きつけた!
「いたい!」
「あっ!すみません……」
美優はフーフーしながら私の指にバンドエイドを巻いてくれた.
まだちょっとジンジンするけど血は止まってきたみたい。
利き腕じゃなくてよかった……
「ごめんなさい……」
美優は私に頭を下げた。
「私がいじわるしなきゃ……こんなことには……」
美優の目から涙がポロポロと落ちてる……
「な、泣かないで!もう痛くないから!だいじょぶだから!ねっ♪」
「うぅぅ……ごめんなさい!」
美優は汗でビッショリになった私の胸に泣きついた……
そんな顔されちゃ怒れないでしょ……
私は美優の頭を手で抱えてギュッと抱いてあげた……
「そうだ!お風呂わいてる?」
「へ?……はい……」
美優が不思議そうな顔で私を見る。私はニコッと笑った。
「入ろっか!今日は私が美優の体洗ってあげる♪」
「ほ、ほんとですか!ヤッタ~♪」
美優がいつもの元気な美優に戻った。
ほんとかわいんだから……ふふ♪
私は股のシミを見られないようにショーツごと肌タイを脱いで美優と一緒にお風呂に入った。
お風呂から出たあと、私たちは一緒にお買い物に出かけた。
お昼も夕飯も外ですませてきちゃった。
久しぶりに「真紀」として美優と遊べたからすごく楽しかった。
一回美優の部屋に荷物をとりに戻ってから私は自分のアパートへ帰った。
「けっこう……あるなぁ……」
部屋に入って紙袋をドサッと床に置く。
かなり買っちゃった……今月大変かも……
時計を見ると夜の9時をこえてる。今日は一日中美優と一緒だった。
私はパソコンを立ち上げて、帰りがけに美優に貰ったUSBを差し込んだ。
中にはサキの写真がいっぱい入ってる……この前のメイド服の写真……それに今日の写真……
最近のことなのに、なんかすごく懐かしく感じる……
このときはおしっこ行きたかったんだっけ……すっごい内股……
あっ!やっぱりショーツ見えちゃってる!……はずかしい……
鉄棒の写真は……あんまりちゃんと撮れてない……回ってたからね……
写真とともに、そのときの記憶が蘇る……そのたびに体も反応しちゃう……また濡れてきちゃった……
とうとう最後の写真……
こんなかたちで叶っちゃった……川上くんとの……初めてのツーショット……
でも……私なんだけど……私じゃない……
これは……サキなんだから……あぅぅ!……
またナプキンがグチョグチョになっちゃった……
一日中つけっぱなし……女の子の日じゃないのに……
今日は早かったからお風呂入って、10時前なのにベットに潜った。
そしたら美優の笑ってる顔が目に浮かんできた……
そういえば……美優との写真一枚もない……
そうだ!次着るときは一緒に撮ってあげよ♪
美優……喜ぶかな……ふふ♪
そんなことを考えながら私はいつの間にか眠りについた……
<おしまい>
最終更新:2014年11月28日 23:07