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 ……ピピピピ!ピピピピ!

 ……う~ん……もう……朝?……

 目覚まし時計を止めて時間を見る……朝の7時だった。
 私は台本を読みながら寝ちゃったみたい……
 そして恐る恐るショーツに手を入れる……

 やっぱり……濡れちゃってるよね……
 ?……濡れてない!よかった……

 ホッと胸を撫で下ろし、朝の用をすませるとジャージ姿で学校の体育館へ向かった。

今日は土曜日。上凪さんと安全教室の練習をする日。
 体育館に着くと、もう玄関の前で上凪さんがジャージ姿で待っていた。

「すみませんでした!」
「え!」
 上凪さんは私に会うやいなや深々と頭を下げた!
 私はあわててその頭を上げさせた。

「私の不注意で……眞田さんに大変な役回りをさせることになってしまって……」
「いえいえ。それより……指のほうは……」
 私がそういうと、上凪さんは隠していた左手を見せてくれた。小指にはぐるぐると包帯が巻かれている……

「転んでしまったときにやってしまって……でも婦警さん役なら出来ます!本当に申し訳ないです……」
「気にしないでください。私、着ぐるみ慣れてますから。」
「え?着ぐるみ着たことあるんですか?」 

 ……あっ!まずい!

「と、友達に誘われてバイトで着る機会があって!」
「そうなんですか!それは心強いです!」
 私はあたふたしながら適当にごまかした。
 まさか後輩がもってて、それを着せてもらってるなんて言えないし……
 でも上凪さんはなぜか嬉しそうな顔になってた。

「じゃあ今日も頑張りましょっか!」
「はい!」
 こうして私たちは体育館に入り安全教室の練習を始めた……

 一緒に台本を持ちながら練習……
 もちろんいつもと役が逆だから、お互いに教え合いながらやった。
 初めはぎこちなかったけど、何回も一緒に練習してるから結構スムーズに覚えられた。
 私も今日は調子がいい(?)のか、着ぐるみ役を演じているのに全然もやもやした気持ちにならなかった。
 お昼を一緒に食べて、午後もちょっと練習した。二人とも結構完璧になってきた。

「ふぅ~……今日はこれぐらいにしましょうか?」
 上凪さんはタオルで汗を拭きながら私に尋ねてきた。
 夏の体育館は日差しがないかわりに、すごく蒸し暑い……
「そうですね。ジュース飲みませんか?」
「あっ、いいですね!」

 荷物を持って体育館の鍵をしめる。そして二人で学校の外にある自動販売機に向かった。
 上凪さんはポカリスエット、私はもちろんピーチdeジュースを買って飲んだ。
 渇いた口の中に桃の香りが広がる……運動したあとのピーチdeジュースはすごくおいしかった!
「ゴクッ…ゴクッ……おいしい!」
 子供に人気があるジュースを飲んで喜んでいる私を上凪さんはちょっと不思議そうに見てた……
「本番は外なので着ぐるみの中はサウナ状態になると思います。頑張ってくださいね!」
「はい。お互い頑張りましょうね♪」
「はい♪」

 今日の感じなら全然だいじょぶかも……あそこも濡れてないし……
 よし!頑張らなくちゃね!

 これぐらいの運動なら着ぐるみを着ても問題ないと思っていた。
 その考えが甘すぎた……

その後も上凪さんと何度か会って練習した。
 そしてあっという間に時は過ぎ、いよいよ安全教室を明日に控えた。

 その日の夜……
 私はお風呂からあがり、明日持って行くものをバックに入れ終えてベットの上で台本を呼んでいた。

 明日は久しぶりに着れる……やっぱりテレビで見た通りなのかな?……そしたら……恥かしい……
 みんなの前で着なくちゃいけないけど……でも……早く着てみたい……
 明日も暑いのかなぁ……でも……だいじょぶよね!最近調子いいし♪

 練習の日から私は着ぐるみのことで一度も濡らしていなかった。
 色々と心配ごとが絶えないけどやっぱり胸がワクワクしてる……
 台本をバックに入れて私はベットに潜った。
 今日も念のためナプキンをつけて……

交通安全教室の当日。日曜日の朝7時半。

 私は目覚まし時計の音とともに目を覚ました。
 トイレにいきショーツを確認する……濡れてない!

 よし!今日もだいじょぶ!

 私は朝ごはんを食べ、支度をする。

 メイクは……一応しとこ♪

 メイクをちょっとだけしてバックをもって部屋を出た。
 もうすぐ着ぐるみが着れる!そんなことで子供のようにワクワクしてた。

 私の住んでるアパートから学校までは歩いて5分ぐらいのところにある。
 今日の空は雲一つなく、青々としていた。
 まだ朝なのに歩くだけで汗が出てくる。

 すごく暑くなるかも……だいじょぶかな?

8時ちょっと過ぎに学校に着いた。安全教室は10時からだしまだ全然余裕がある。
 校庭にはもう教頭先生と上凪さんがいた。昨日かいた白線が消えてないか確認してる。

「おはようございます。」
『おはようございます。』
 二人とも首にタオルをかけていた。

 挨拶を終えると、教頭先生が私のもとへと歩いてきた。
「今日も暑いわねぇ。会議室の冷蔵庫にスポーツドリンクとか入れておいたからどんどん水分とってね!じゃないと倒れちゃうわよ!」
「はい、ありがとうございます。」
 今日は学校の二階にある会議室が私と上凪さんの控室になっている。
 そこで着ぐるみに着替えたり二人でお昼を食べたりする。

 教頭先生とかおりんは校庭にある大きなテントで子供たちやお母さん方と一緒にカレーを作ってお昼を食べることになってる。
 ずっと外だから私たちより大変そう……

「上凪さん、あとは私がやっておくから眞田先生と一緒に会議室に行ってて。二人で最後のチェックでもしててね。
 時間になったら呼びに行くから、それまでには準備しておいて。」
「はい!わかりました!じゃあ行きましょっか?眞田さん!」
「はい。」
 学校に入ろうとしたら教頭先生が私の肩を叩いた……何だろう?

「これだけは約束して、絶対に無理しちゃだめよ!」
「へ?……はい!」
「アリスちゃん役、頑張ってね!」
 教頭先生は私の背中をポンと叩き優しく微笑んだ……

会議室に入るとクーラーがきいててかなり涼しい……まるで別世界だった。
 部屋には入ってすぐのところに大きな鏡があるから、毎回思わずびっくりする。

 テーブルの上にはすでに二つのダンボール箱が置いてあった。
 一つは上凪さんが着る婦警さんの服、もう一つは私が着るアリスちゃんの着ぐるみが入ってる……
 すごく中身が気になってきた……

 どっちに着ぐるみが入ってるか予想してたら上凪さんに声をかけられた。
「さっそくですが、最後まで通してやってみましょっか?」
「は、はい!」

 何回も練習したからもう二人とも完璧だった。でも時間の許す限りチェックを続けた……

 そうこうしてるうちにもう9時半……窓から校庭を覗くと子供達とお母さん方が集まってきていた。

 みんな来てくれてるかな……ちょっと楽しみ♪

「眞田さん、眞田さん!これが今日着てもらう着ぐるみです!」
「え?……」
 私が振り向くとテーブルの上にはアリスちゃんの着ぐるみセットが並べてあった。

ゾクゾクッ!……ぶわっ……

 あぁぁん!……な…なんで……

 着ぐるみを見たとたんに、私の胸がパンパンになる……
 あそこからいっきに蜜が噴き出してきたのがわかった……

 あぅぅ!……だ、だめ……

 私は何とか波にのまれずに持ちこたえた。
「……す、すみません……ちょっとおトイレに!」 
「?……はい……」
 私はあわてて部屋から飛び出してトイレに駆け込んだ。
 そんな私を上凪さんは茫然と見ていた……

 トイレのドアを閉め、便座に座り込む。

 なんで……最近全然だいじょぶだったのに!

 震えが止まらない……どんどん体がほてってくる……

 こんなんじゃ……だめ!落ち着かなきゃ……

 胸に手をあてて大きく深呼吸する……ちょっとだけ落ち着いてきた……

スカートとショーツを下す……ナプキンがもうグチョグチョになってる……
 まだ着てないのにもうだめになっちゃった……

 私は用をすませるとあそこをよく拭いてから、だめになったナプキンをトイレのゴミ箱に捨てた、
 そして鏡で自分の顔を見た……頬が真っ赤だった……

 メイク落としも兼ねて私はトイレの水道で顔を洗う……水が冷たくて気持ちよかった。

 ……しっかりしなきゃ!

 いつもよりも強めにほっぺを叩き、タオルを忘れちゃったからハンカチで顔を拭いてトイレを出た。

 会議室に戻ると上凪さんがアリスちゃんのマスクを持ち上げて中を観察してた。

 上凪さんに濡らしちゃうのを知られるわけにはいけない……普通にしてなきゃ……

「さっきは急に出ていっちゃってごめんなさい……着ぐるみ着るの手伝ってもらえます?」
「はい!じゃあ上着を脱いでこれ着てもらえます?着替え終わったら声かけてください。」
 上凪さんはそう言いながら肌タイを私に差し出し、私も手を伸ばした……

 ……あっ!まだナプキンしてない!

「ちょ!ちょっと待ってください!」
「え?……」
 上凪さんは肌タイを持ちながら不思議そうに私を見ていた。

 絶対変な人だと思われちゃうよ……もっと落ち着かなきゃ……

 上凪さんに背を向けてバックの中にあるナプキンを探す。

ハイレグだから染み出るとあそこが濡れてるのばれちゃう……
 そんなことになったら大変だもんね……
 ……あれ?……ない!

 バックの中を隅々まで探す……でもナプキンがない!

 どおしよ……忘れてきちゃった……

 全身から冷や汗が出てきた……

「どうかされたんですか?」
「きゃっ!」
 後ろから急に上凪さんが話しかけてきたからちょっとびっくりしちゃった……
 振り返るとまた不思議そうな目で私を見てる……
「あ、あの……ちょっとティッシュが見つからなくて……」
 ごまかしながらポケットティッシュを探す……5個ぐらい入ってた。

「お貸ししましょうか?」
「すみません、ありました。」

 女の子の日じゃないのに「ナプキン貸して」なんて言えないし……
 しょうがない……ティッシュで我慢しよ……

上凪さんは私に肌タイを渡すとくるりと背を向けて、再びアリスちゃんの着ぐるみを観察し始めた。
 ちょっと寂しそうな顔をしてる……ほんとは着たかったのかもしれない……

 私は肌タイのチャックを下し、この肌タイを調べてみた。
 顔の部分以外は覆われるタイプのもので、サキになったときと同じような感じだった。
 さすがに股にチャックはなかったけど……
 指先がちょっと痛んでるけど、他の部分は穴一つ開いてない。
 恐る恐る匂いを嗅いでみる……全然臭くない。保存状態はいいみたい。

 私は髪をゴムでまとめ、スリッパを脱いで下着姿になった。

美優の前じゃないから……下着まで脱がなくてもいいよね……  

 ショーツの中にティッシュを5枚くらい入れてから、肌タイの中に右足を入れる……
 柔らかいもので肌をなぞられるような……なつかしい感覚が肌タイから伝わってくる……
 そのあと、左足、右手、左手、頭の順に肌タイに体を入れていく……
 肌が覆われるたびに、私の脈も速くなっていった……

 ドックン!ドックン! 

 ちょっと……ちっちゃい気がする……きつい……
 ブラジャー……取っちゃおっかな……

 サイズが合ってないらしく、全身がちょっとだけ締め付けられる……
 特に腰回りと胸らへんがきつい……

 私はブラジャーを外しバックに入れた。
 胸が直接肌タイに触れる……
 ちょっと動くだけで敏感になってるところが擦られちゃう……

 はぅぅ!………落ち着かなきゃ……
 あとは……チャックを閉めるだけ……

「着れました……」
「あっ!はい!」
 上凪さんは私の方を振り向き次に着るあのスクール水着を持ってきた。
「じゃあチャック閉めますから背中向けてください。」
「はい……」
 上凪さんに背中を向ける……もちろんブラジャーをつけてないことは気づかれた……
「え?……眞田さん……ブラジャーは……」
「ちょっときつかったから……外しちゃいました……」
 私は耳まで真っ赤になった……すごく恥かしい……

「……はい……じゃあ、閉めますよ!」

 ジ~~

 上凪さんは戸惑いながらもチャックを上げていく……
 どんどん背中が肌タイに覆われていく……さっきよりも体を締め付けられる……

 遂に完全に閉じられた……もう胸がいっぱい……
 クーラーがきいててもかなり暑かった。

 私が振り返ると上凪さんはあの白いスクール水着を広げて見せてくれた。
「次はこれです。」
 私は息を飲んだ…… 

 アニメで見たまんまだった……
 ハイレグでふわふわな尻尾もついてるし、ハイネックで首にはファーがついてる……背中も全部覆われちゃう……
 生地は結構厚いくてふわふわしてる……
 背中のところがチャックで開くようになっててそこに足を通して着れるみたい……

 上凪さんはチャックを開けて私の足元にしゃがみ込み、そのスクール水着を広げた。

「片足づづ入れていただけますか?」
「は、はい……」
 足が入る穴に両足を通すと、上凪さんはそれを腰まで一気に引き上げた。
 スクール水着がきゅっと股に食い込んでくる!
「あぅっ!」
「?……どうかしましたか?」

 やだ!変な声出しちゃった!

「な、なんでもないです!続けてください……」
「……はい……」

 さっきから……ドキドキしちゃって……気をつけなくっちゃ……

 続いて両手を通して背中のチャックを首まで上げてもらう……

 なんか肌タイよりもちっちゃい……すごくきつい……
 股とお尻がピッタリしてて……歩くと食い込んじゃいそう……
 それに……暑い……

 まだ着たばっかりなのに額がプツプツと汗をかき始めた……
 なんかふとももと肩が露出してるのが逆によかったと思えてきた。
 でも鏡を見たらそうも思えなくなった……

 やだ……かなりエッチぽい……腰回りとか……ふとももとか……
 それにふわふわ尻尾が……こんな歳して……恥かしい……

 また脈が速くなってきた……

 自分の恰好に顔を赤くしていたら上凪さんがこんなことを言った。
「ちょっと……過激ですね……」
 上凪さんも顔が真っ赤になってた……
 私の顔もさらに真っ赤になった……
「そ、そうゆうこといわないで……恥かしいです……」
「ごめんなさい♪」
 上凪さんはニコニコしながら次のパーツを取りに行った。

 上凪さんは私を椅子に座らせると次にブーツを持ってきた。
「右足上げてもらえますか?」
「はい……」
 ブーツは内側が革みたいになっていて、外側はスクール水着みたいな白いふわふわの生地で覆ってある。
 ちょうど膝下あたりまであってそこをベルトでギュッと絞り固定する。
 かなりピッタリと足にフィットするし、分厚いからすぐに蒸れてきた……

 じめじめする……水虫になっちゃいそう……

「次は手袋です。」
 続いてミトンの手袋。
 ブーツみたいに内側が革で、外は白のふわふわになっている。
 手首のところに首に巻いているみたいなファーがついてる。
 そのファーの中にゴムが入ってて手袋がスポッ!って取れ無いようになってる。
 手の中もすぐに蒸れてきた……

 これも……生地が厚い……

 手を握ったり閉じたりしてみる……ムギュムギュと音がする……

 これで顔以外……私はアリスちゃんだ……あぅぅ!……
 ティッシュが……もうビッショリになってる……
 こんな調子じゃ……もたないよぉ……

 私は不安で一杯になってきた……
 今でさえこんな状態なのに、さらにマスクを被ってみんなの前に出なくちゃならない……
 しかも外は炎天下……絶対に体力がもたないと思ってきた……
 私は顔を真っ赤にしながらビクビクと震えていた……

 そんな私に気づいたのか、上凪さんは私の前にしゃがみ込み、私の両肩に手を置いた。
「ちょっとリラックスしましょっか?」
「へ?」
「大きく息をしてみてください。はい!すってーーはいて~~、すってーーはいて~~……」
 私は目をつむり、上凪さんの合図とともに大きく深呼吸をする……
 だんだん気持ちが落ち着いてきた……

 目を開けると、そこには優しく微笑んでいる上凪さんがいた……
「あがっちゃったときは深呼吸が一番!それだけです♪」
「ありがとうございます……おかげで落ち着けました。」
「いえいえ!」

 私ったら……年上なのに……

 ちょっと恥かしくなってまた顔を赤らめた……

上凪さんはニコニコしながら立ち上がり、もう一つのダンボール箱から婦警さんの服を取り出すと、
 左の小指が使えないのにテキパキと着替えた。
 半袖でミニスカートだからかなり涼しそう……

 それから少したった。上凪さんは腕時計を見る……
「45分……そろそろマスクつけましょっか?」
「は、はい!」
 上凪さんがアリスちゃんのマスクとウィッグを持ってくる。
 そして私の前にしゃがみ込み、マスクにウィッグを被せてどんな顔なのか見せてくれた。
 私がはじめて着ぐるみをきたときのことを思い出した……

 アリスちゃんはサキとは全然違う顔だった。もちろんうさみみが生えてる。
 口を開けて元気に笑ってる。
 目はちょっとキリっとしてて瞳がまっかっか……たぶんうさみみライダーだからだと思う…… 
 髪は黒のショート。ウィッグでうさみみの生えぎわ(?)が隠れるようになってる。
 やんちゃで元気いっぱいな女の子って感じ。

 上凪さんはウィッグを外し、マスクの説明をしてくれた。
「えっとまずは……呼吸穴から説明します。口の部分が開いててそこから息が出来ます。
 布が貼ってあるので中の人の口は見えませんから安心してください。
 口にしか穴が開いてませんからなるべく口で息した方がいいです。」
「?……はい。」

 そっか……普通のマスクは猿轡なんてついてないんだ……よかった……

「次は覗き穴です。目がサングラスになってますからそこから外が見えます。
 でも視界が真っ赤になるし、小さいですから注意して下さいね。」
「はい、気をつけます。」

「最後にマスクの固定方法です。」
 そういうと、上凪さんは頭頂部を支点にしてマスクを前後にパカッと開いた。

 なんかこの光景も……見たことあるかも……

「このマスク、あごひもで固定するんじゃなくて、マスクの横をこのパーツでがっちり固定するタイプのものなんです。
 こうゆうのは普通、戦隊物のやつに使われるんですけど……」

 そういいながらマスクを閉じて、手に持ったコの字型のパーツでマスクを閉じた。

 やっぱり……サキと同じ固定方法だ……自分じゃ取れない……
 それにしても……上凪さんすごく着ぐるみ詳しそう……そう言えばバイトで何回も着たことあるって言ってたっけ……

「それと中にスポンジが入ってて、そのスポンジを着てる人の顔と密着させてマスクをずれないようにしてあります。
 もともとが小顔設計なんでかなりきついと思います……頑張ってください!」
「はい!」

上凪さんはマイナスドライバーでマスクの固定パーツを取り、座っている私の頭の上にマスクをもってきた……

 ドックン!ドックン!ドックン!

 やだ……また変な気分に……なってきちゃった……

「それじゃあ被せますよ?」
「は、はい……」
 マスクがどんどん目の前に降りてくくる……
 さっきまで落ち着いてたのに、また心臓がドキドキしてきた……

 これを被ったら……私はもう……アリスちゃんになっちゃう……んくぅ!

 そう考えながらまた感じちゃった……

 それと同時に私の頭はマスクにサンドイッチされ、隙間をパーツで閉じられてウィッグを被らされた。

 んん!……かなり……きつい……サキよりもきついかも……

 こうして私はアリスちゃんになった……またあそこから蜜がでてくる……
『はぅぅ!』
「ごめんなさい!どこか挟みましたか!」
『ち、違います!ちょっときつかったから……つい声が出ちゃって……』
「そうですか?よかった……」

 だめ……変な声出しちゃ……
 それに上凪さんに迷惑かけっぱなし……

「ちょっと確認したいことがあるので立っていただけますか?」
『え?……はい……』
 私は上凪さんに手をかりて立ちあがった。

 あぅっ!……立ったりするとすると……股がちょっと擦られちゃう……
 ……重い……肩こりそう……

 うさみみがついてるからマスクが結構重かった。
 上凪さんはアリスちゃんの衣装のチェックし、私の目の前で手をふった。
「見えますか?」
『はい、見えます。』
「次はその場で足ぶみしてください。なるべく手を大きく振ってくださいね!」
『わ、わかりました。』
 言われた通りに足ぶみをする……

 あぁん!……あそこが……ティッシュで……擦られちゃう……
 それに……ノーブラだし……ふぅぅ!……乳首も……
 ちゃんとつけとけばよかった……

「マスクが重いからたまに俯いちゃう時があります!なるべく胸をピシッ!と張るように心掛けてみてください!」
『は、はい……ごめんなさい……』

 うぅぅ……上凪さん……厳しい……
 目がちょっと怖い……あぅぅ!……

 私がアリスちゃんになってから上凪さんの態度がちょっと変わった気がする……
 そんなことを思うと……また感じちゃう……

「最後にポーズの確認です!私がアリスちゃんを最初に紹介する時のポーズをやってみてください!」
『えっと……このポーズですか?』
 私は左手を腰に添え右手は敬礼、そして右足をちょっと前に出して踵だけを床につけた。
 これがアリスちゃんの決めポーズらしい……
「OKです!このポーズは握手会のときに何回もすると思うので、忘れないでくださいね!」
『はい……』

 今日は午前中に安全教室をやって、お昼休みを挟んだ後に午後から握手会がある。
 この炎天下の中だから、かなりハードなスケジュール……

「あっ!子供たちの前では絶対に声を出さないでくださいね!
 みんな眞田さんのことをアリスちゃんだと思ってますから。 
 それとアリスちゃんは元気一杯な女の子ですから体の動きをかなり大げさにしてください。
 それに正義の味方だから疲れてもぐったりしちゃだめです!子供たちが心配します!」

 かなり大変そう……でも頑張んなくちゃ!

『はい!』
 私は大きく頷き、胸をポン!と叩いて、任せて!のポーズをしてみせた。
「そうです!その調子でお願いします♪」
 私がアリスちゃんになってから上凪さんがやっと笑ってくれた。

「まだ少し時間がありますね……私、おトイレに行ってきます。」
 上凪さんは時計を見ながら、会議室を出て行った。

会議室にはアリスちゃんとなった私独りが残された。
 自分の呼吸音がやけに大きく頭に響く……
 それに私が吐いた息がマスクの中に留まって、あんまり外の空気が入ってこない……結構息苦しい……

 私は鏡の前に立ち、今の自分のカッコをあらためて見てみる……
 まぎれもなくアリスちゃんだった……

 ドックン!ドックン!ドックン!

 もう私……アリスちゃんなんだ……
 やっぱりこの恰好……恥かしい……
 お尻のラインがわかっちゃうし……前も……はぅぅ!……
 どおしよ……まだ着たばっかりなのに……

 上凪さんと一緒だったから気がまぎれてたのかもしれない……
 どんどん体がほてってくるし……脳がとけちゃいそう……
 だめだと思ってても……感じちゃう……

 鏡の前でモジモジしてたら急に部屋のドアが開いた!

 だ、誰!!

 あわてて振り向く……そこにはかおりんが立っていた。
「そろそろ時間です……あっ!アリスちゃん!」

 かおりんはアリスちゃんになった私に走って近寄ってきた。
「すごい!アニメで見たまんまだね!……それより……だいじょうぶ?苦しくない?」
『ちょっと苦しいけど……だいじょぶ。』

 かおりんはアリスちゃんのふわふわ尻尾を触りながらちょっと顔を赤くした。
「かなり……エッチぽいね……」
 上凪さんと同じこといわれた……マスクの中で顔が真っ赤になった……
『あんまり見ないで……恥かしんだから……この恰好……』 
「でも似合ってるよ♪……そういえば……上凪さんは?」
『今、おトイレにいってるの。』
 そういった瞬間ドアが開き、上凪さんが入ってきた。

「あっ、岬さん!そろそろ時間ですか?」
「はい。私、先に行ってますから、準備できたら校庭にきてください。」
「わかりました!」
 かおりんは部屋から出て行こうとしたけど、振り返って私の耳元でこう囁いた……
(着ぐるみ頑張ってね!)
 私は大きく頷いた。

 そしてかおりんは部屋から出て行った。

 それから少し経つと、上凪さんが私の手をとった。
「そろそろ行きましょっか!」
 私は大きく頷き、手を引っ張ってもらって会議室を出た。
 部屋の外はむんむんしてる……すぐに肌タイが湿ってきた……

 まだ学校の中なのに……

 上凪さんに手伝ってもらって階段を降りる。
 衣装がきついしノーブラだから……歩く時よりも……敏感なところが擦られちゃう……
 しかもティッシュでよけいに……刺激されちゃう……

 んん!……やだ……グチョグチョ……染み出ちゃうよぉ……

 私のおつゆでティッシュがもうビッチョリになってた。
 それに……どんどん奥に……入ってきちゃう……

 やっとの思いで玄関に着くと、体中汗まみれになってた……
 また胸がドキドキしてきた……

 暑いよぉ……でも外はもっと暑いんよね……
 ……もうすぐ始まっちゃう……着ぐるみ着て……みんなの前に……あぅぅ!……
 だめ……このままじゃ……おかしくなっちゃいそう……

 暑さのせいもあり、頭に血が昇ってぼぅっとしてくる……
 こんな状況でも私は……感じちゃってた……

『ハァ…ハァ……んっ!……ハァ…ハァ…ハァ……』

「眞田さん、肩の力を抜いてらく~にしてみてください。」
『え!……』
 興奮して肩で息をしていた私に気づいたのか、上凪さんは後ろから私の背中をさすってくれた。

「はい!大きく深呼吸してくださ~い。」
『は、はい……すぅーーふぅ~~、すぅーーふぅ~~』
 息を吐くと同時にあたまのもやもや感、体にこもった熱が出ていく気がした……
 そして私は落ち着きを取り戻してきた……

 すると上凪さんは私の前に立ち、私の胸に手を置いた。
「だいじょぶですよ!絶対うまくいきますって!」
 そういい、ニコッと微笑んでくれた。
 私はまた上凪さんに助けられた……
『……すみません……私……迷惑かけっぱなしで……』
「いえいえ!……みんなが待ってます!行きましょう!」
『はい!』
 こうして私たちは玄関を出て、みんなが待っている校庭へと向かった。

最終更新:2014年12月02日 19:30