私の名前は明江。あるCM制作会社でアルバイトをしている。
今日は上司の健吾さんから言われ一週間は缶詰め状態の仕事があると
聞いて撮影スタジオに来た。
明江「おはようございます。健吾さん今日はどんな撮影なんですか?」
健吾「おはよ、あ!言ってなかった?あれ、あれ」
そういって健吾が指をさした先には獣らしき姿があった。
明江「え!ちょっと、なんですか?動物がいますよ!」
明江は真剣に慌て、逃げようとした。
健吾「あ、明江ちゃん大丈夫だよ、あれ、着ぐるみ」
明江「え!?着ぐるみ…ですか?」
落ち着いて見てみたが、言われても分からないくらいリアルなゴリラがそこにいた。
近づいて触ってみると、本当に生き物ではなかった。
明江「すごいですね…これ…まるで本物と区別がつかないですね…」
あまりのリアルさに見とれてしまっていた。
健吾「明江ちゃんが着るんだよ、それ」
明江「え??これ、私が?」
健吾「今日のCM撮影に登場するやつ。いつも通りよろしく!」
明江「…は…はい…」
明江はここで働く前から着ぐるみの経験があったので、CM撮影に使う着ぐるみはいつも彼女の役目だ。
そのため着ぐるみは慣れたものだが、こんなにリアルな動物ものは初めてだった。
健吾「じゃあとにかく、タイツに着替えて!」
そういって健吾はタイツを明江に渡した。
明江「え…これ?ゴムですか?」
渡されたのはラバースーツ。いつもはナイロンのようなタイツで、明江もこれはまだ着た事がなかった。
健吾「今日の撮影は特殊だから、丈夫なものじゃないといけないんだよ」
明江「はあ・・・」
明江は理由は分からなかったが、とにかく着替えのため奥の部屋へ入っていった。
破けないようにゆっくりとラバースーツを着ていく。
明江(これ、ピッタリだ…私サイズって感じ。しかも何だろ…もうちょっと暑い感じがするな…)
手足を通し背中のチャックを上げるところまで着たところで健吾を呼ぶ。
明江「健吾さん!出来ました、背中のチャックお願いします!」
健吾「おう!今行くよ!」
いつもの流れなので、明江はこのタイツ姿を健吾に見られることに抵抗は無くなっていた。
健吾が部屋に入ってきてチャックをあげる。
健吾「それでさ、今日の撮影着ぐるみをワイヤーで吊るんだよね」
明江「え!?」
健吾「このベルトみたいなやつ、体につけなきゃいけないんだよ」
健吾の手には体にワイヤーを固定する為のベルト、しかも複雑に体を縛るようなものがあった。
健吾「でもさ、これ専門のスタッフさんにつけてもらわないと、俺じゃ出来ないんだよね」
明江「え!?他の人にですか!?」
さすがの明江も、体のラインがくっきりと分かるこの格好を健吾以外に見られるのには
少し抵抗があった。しかもベルトをつけると言う事は、体を触られるはずだから。
明江「ちょ…ちょっと…この格好で他の人に見られるのは…」
健吾「そういうと思って、これを用意しておきました!」
そう言って取り出したのは、顔を全部覆ってしまうゴム製のマスクだった。
健吾「これ被っちゃえば、誰だか分からなくなるから、恥ずかしくないでしょ!」
相変わらずの健吾の押しで、明江は戸惑ったものの、少し納得もした。
明江(確かに…これを被って、のっぺら坊みたいになっちゃって、撮影が終わったらここで脱げば
誰かは分からないよね…じゃ…いっか)
明江「分かりました…じゃ、健吾さんお願いします」
健吾「さすが!物分りがいいね!」
そう言って健吾は、明江にラバーのマスクを被せる。
目の部分は薄い布になっており、かなり視界は悪いもののなんとなく周りは確認できる。
呼吸は鼻の所に穴が開いているだけで、口は完全に塞がれていた。
健吾が後ろでどういう閉め方をしているのかは全く分からないが少し時間がかかっていた。
健吾「よし!オッケー!閉め終わったよ!息出来てる?」
その質問に明江は答えようとしたが、顔のサイズに完全にピッタリ出来ていたため、
全く口が動かせず、うなることしか出来なかった。
明江「うぅ~」
健吾「大丈夫ってことだね!じゃあベルトつけてもらおうか!」
明江(何これ…まったくしゃべれないけど…まあ着ぐるみ着たらしゃべらない訳だし…いっか)
そして二人はまたスタジオの方へ戻った。すると一人の男が近づいてきた。
スタッフ「健吾ちゃん、この娘?…ベルトをつけるのは?」
健吾「そう、早いとこよろしく!」
どうやら二人は結構仲が良さそうだったが、明江の視界では顔もよく見えないうえ、
今自分が、誰かも分からないのっぺら坊なので、それが誰でも関係は無かった。
するとスタッフがベルトをつけ始めた。
スタッフ「また『今回は』スタイルがいいね…」
やはりそういう見方をされていると思うと、マスクを被っておいてよかったと明江は思った。
ベルトを体に固定され準備は完了。
健吾「今日はこのゴリラの着ぐるみで、地上のシーンと木へ上るシーンがあるから。
撮影はタレントさんペースでいくから、逐一俺が指示をだすね」
明江「うぅ…」
声にもならない程度の大きさでうなり返事をする明江。
健吾「さてと、着ようか…まずは足から…」
ゴリラの背中側に開いた入口から、足を通そうと入れてみた。
しかしゴリラの足は何故か真っ直ぐにはならず、中で曲がっている。
健吾「これね足が伸びきらないようになってるから、入れるときは手伝ってもらって
無理やり入れないとダメなんだよね」
そう言って健吾は両足の膝くらいまでゴリラに入った明江を押し込み始めた。
健吾は明江を後ろから抱きかかえたような状態で、お尻をぐっと押した。
明江(あ!?健吾さん…ちょっと!お尻…)
ラバー越しにお尻を触られて少し驚いたが、着ぐるみの足を通すにはどうしようもない。
明江(あ…もう…はずかしいけど…健吾さんなら…まあ…)
明江の感情とは裏腹に、健吾は物を扱うように明江のお尻を押し込む。
何度か押し込んだ末、なんとか両足は入った。
後は手を通し頭を入れれば完成である。
最終更新:2017年12月15日 12:30