健吾「さて、後は手と頭を入れて…と」
手はすんなりと通り、頭を入れてみる。
まだ、背中のチャックは閉めていないが、頭の中は全く隙間がない程に密着していた。
健吾「じゃあ、背中閉めるよ…」
背中のチャックが閉められた。
すると、体のほうも着ぐるみが厚く作られているのか、かなりの密着具合であった。
つまり顔から体、足の先まで全身が軽く締め付けられているような状態だ。
明江(これ…かなりきつく出来てるな…全く隙間ないや…)
健吾「大丈夫だね!じゃあ、スタジオに行くよ」
どうせ声は、小さな唸り声しか出ないので、軽く頷く明江。
そして、リアルなゴリラは隣のスタジオへ移動を始めた。
しかし、足が完全に伸びない作りになっているため、一応歩くことは出来るが、
中腰で、半ば片足ずつのうさぎ跳びをしている状態。
これは明江にとっては、かなりきついウォーキングである。
明江(…こ…これ…歩くの…かなり…きついな…)
すぐ隣のスタジオに移動するだけだが、スタジオにつくころには、
明江は外から見て、ゴリラが立て揺れするのが分かる程に、息が上がっていた。
明江(…撮影が…始まる前から…かなり……暑いよぉ……)
ラバースーツを着た上、かなり厚めの着ぐるみ、しかも中の空間はまるでなし、
暑くなるのは当たり前である。

健吾「さてと、最初のカット。ゴリラちゃん、合図でここからあのタレントさんのところまで、
   走っていって!」
明江(!?走る!!!…ここまで来ただけできついのに…走る?)
しかし、声も出ない明江は言われた通りの事をがんばってやるしかない。
健吾「じゃ、リハーサルから。準備はいい?」
明江も仕事だからと、腹をくくった。
健吾「よーい、スタート!」
健吾の掛け声と共に、先程のきつい体勢で出来る限りの走りをした。
健吾「はいストップ!」
明江(…はぁ…はぁ…何…この…着ぐるみ…きつ…すぎ…)
リハーサルの一回だけで、倒れるのではないかというくらい息があがり、
当たり前だが、既に着ぐるみの中はかなりの高温、大量の汗が出ていた。
そんな明江とは裏腹に、
健吾「ゴメンゴメン!カメラの調整が追いつかなかったから、もう一回!」
明江(…え…もう一回…?)
本来なら、健吾に殺意を抱いてもいいくらいの状況だが、声も出せず反論も出来ない、
そして、明江は健吾に対して満更でもなかった為、やり切る事を選択した。

健吾「じゃ、もう一回ね。よーいスタート!」
またも出来る限りの走りをする明江、しかし…
健吾「ダメだな…この角度じゃ、映り方が悪いな…逆から走ってみよう」
明江(…はぁ…はぁ…ダ…ダメ…なの…きつい…よぉ…)
その後、結局リハーサルだけで10回は越えて明江は走らされた。
そして、ようやく本番が撮影された。
健吾「オッケー!問題なし!ゴリラちゃん大丈夫??」
そう聞かれたものの、明江は返事をする気力もなかったが、
健吾だけに聞こえるくらいに、きついことを伝えようとした。
明江「…ぅ…ぅ~…ぅ…」
健吾「さすが!慣れてる人は違うねぇ~じゃあ、少しそのまま休憩してて」
ゴリラから漏れてきた声に健吾はそう言って、その場から離れて行った。
明江(ち…違う…きつい…脱がしてほしい…)
明江は脱がしてはもらえず、そのまま次の出番まで待つこととなった。
かなり着ぐるみ内は暑くなってはいたが、走る事が終わったので、
呼吸を整えることは出来た。

そのまましばらく待たされたが、明江には時間を知る術もない。
しばらく、ボーっとしていた明江に健吾が声をかけた。
健吾「お待たせ!次は木登りのシーンだから、ワイヤーつけるね」
そう言って、明江を引っ張り起こし、背中に何かをつけ始めた。
健吾「はい!出来た!じゃ、一回あげてみてください!」
健吾がそういうと、突然、明江の体が引っ張られた。
明江(痛…痛いよ…ベルトが食い込むよぉ…)
ワイヤー用に取り付けたベルトが、明江の体に食い込みながら、着ぐるみごと宙へ持ち上げる。
明江の体に食い込むベルトが、明江の体重と着ぐるみの重さを支えるのだ。
痛いのは当然である。
そして、ゴリラはスタジオのかなり上まで吊り上げられ、宙ぶらりんの状態となった。
健吾「吊り上げ、大丈夫だね。じゃ、下ろして。撮影は木をマッハでよじ登る感じだから。
   合図で、勢い良く引っ張りあげてね!ゴリラは登ってつ感じの演技で!」
明江(え!?勢い良くって!?…かなり…痛いんじゃ…)
健吾「じゃテスト!よーい、スタート!」
健吾の合図と共にワイヤーが引っ張りあげられる。その瞬間、かなりの力でベルトは、
明江の体を締め付ける。
明江(い…いたい!!!…でも……なん…だろ…)
自分では自覚はなかったが、どうやら明江には締め付けられる事に、快感を感じていた。
着ぐるみが好きで仕事にしているのも、その辺りがあるのだろう。
それ故、ラバースーツ、かなりきつい着ぐるみ、ワイヤー用のベルトでの緊縛、
彼女にとっては最高の快感であった。

健吾「もう一回いくね」
そうして、何度かテストは繰り返され、ようやく本番となった。
テストをする度に明江の快感は増されていった。
健吾「じゃあ本番ね!」
最高の緊縛、そして着ぐるみによる暑さから明江の頭の中はグチャグチャになっていた。
明江(え…もう…本番…でも…わたし…どうかなっちゃいそう…)
健吾「本番!よーい、スタート!!」
健吾の合図と共に今までにないくらいの勢いでワイヤーが引き上げられる。
その締め付けが明江を最高の快感へと誘う。
明江(あぁ!…ぁ…もぅ…あ…ぁぁ…ぁあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!)
引きあげられながら明江は逝ってしまった。

最終更新:2015年03月21日 09:51