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朝日が玄関の隙間から差し込む。
まだまだ早朝であり、幾ら山の朝が早いと言っても日が昇ったばかりの時間から男と女はプレイの準備を始めていた。
女はダッチワイフの恰好で箱の中に立っている。
箱はベニヤで作られた簡単なものだ。
足場が作られ、少々高くなっていること以外は正面が開いていること以外何の変哲もない。

「ぴったしだな」

「ちゃんと測ったもんね」

男が無駄に感心する。
正面のドールの部屋の扉は内開きであり、中へと扉を開いて箱を設置。
箱は扉の部分にぴったりと収まり、正面から見ると部屋ではなく納戸みたいになった。

「それじゃ、被せるぞ」

男はダッチワイフにそう声を掛け、正面を蓋するように板で塞ぐ。
板のやや上方に丸い穴が開いており、そこからダッチワイフが顔を出す。
そのダッチワイフに雄鹿の頭部の剥製を被せた。
この剥製、掃除している時に見つかり、実家に電話して貰ったものを女が改造したのだ。
剥製は喉元まであり、穴を覆い隠す。
正面から見るとベニヤの壁に鹿の剥製が飾ってあるように見えた。

「それじゃ、行ってくるな」

男は鹿の剥製に声を掛けて玄関を出る。
玄関を閉める前にリモコンのスイッチを入れた。
玄関を閉め施錠した男は車に乗り込み、一時間30分ぐらい走った先のスーパーへと向かった。
山の中であり、田舎の端にある為、車でもそれぐらいかかる。
着く時間がちょうどそのスーパーのオープンに合わせてこの時間から出たのだ。
女は男が帰ってくるまで振動にさらされていることになる。
その事に男は自身の股間が朝だからという理由以外で大きくさせた。

女は正面を向いたまま、箱の中で体を捩じらせる。

(これ、結構辛い…)

今までのプレイとは違い立ったままなのだ。
そのうえで膣に異物が入っており、とてもじゃないが立ってはいられない。
頭が抜けたり、首が締まったりしないよう肩の所を紐で持ち上げているが、それとて凭れるわけにもいかない。
ベニヤに簡易に打ち付けただけなのだから、何時外れるか解らないのだ。

(空気が入ってくるだけ、ましね)

女が鼻で息を吸い込む。
剥製の鼻の部分は穴が開けられており、内側には市販の風邪マスクを切ったものを張り付けてある。
多少息苦しいが、それでも呼吸制御とか比べればなんともなかった。
眼の所には内側にガチャポンのケースを改造して入れてある。
外を見るのに何の支障も無かった。

(まだまだ、帰ってはこないわね。)

男は先ほど出て行ったばかりなのだ。
最低三時間はこのまま。
玄関に差し込む光も変わっておらず、時間が経っていない事を示す。

(ひ、あ、ああ)

不意に振動以外の快楽が押し寄せてきた。
それは目覚まし時計を改造して、デンマと組み合わせ、タイマー式で攻める道具。
それのタイマーが入ったのだった。

(ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…)

女は呼吸を荒くする。
タイマー式のデンマは20分毎に1分だけ作動する。
そのように設定したのは女であったが、動き続けるローターの振動で気をやった後、降ろしてもらえずそのまま更なる高みに逝くのだ。
鼻からしか息ができない事もあり、女は気絶寸前であった。
気絶していないのが奇跡なぐらいで、女は今のが何回目なのか分からなくなるほど。

(き、きつい)

縛られているわけではなく、手足も自由だ。
しかし、折角こんなプレイをしているのだからと、女はデンマを外すようなことはしない。
その時、外から車の音が聞こえた。
男が帰ってきたのだ。
ガチャガチャと鍵が開けられる音がして、玄関が開けられた。
男が顔を出し、ただいまと言う。
女もお帰りと返そうとして、不意にデンマが動き出した。

『ブフォォォォォ…』

「ブフッ」

女が不意の快楽に喘ぎ声を上げてしまった。男は何故か笑い転げ、蹲っている。

男は別荘の前に車を止める。助手席に置いた買い物を手に持って車を降りた。
約4時間経っている。女がどうなっているか心配な男は急ぎ足だ。
車に鍵を掛け、内ポケットから玄関の鍵を取り出し、開けた。

「ただいま」

買い物は玄関脇に置き、正面の鹿の剥製に意識があるかの確認を込めてただいまと言った。
流石にお帰りと言う言葉は期待していないが、洋人形の様に言葉を制限していないため、女なら気絶していない以外、何かしら返すだろうという思惑である。

『ブフォォォォォ…』

「ブフッ」

流石に不意打ち過ぎた。
まさか雄鹿の剥製が舌を出して鳴くとは思わなかったのだ。
舌はダッチワイフの口内だろう。
鳴き声は、鼻に張ったマスクが振動して出たものだろう。
しかし、まさか鳴き声で返されるとは思わず、男は腹を抱えて笑ってしまったのだ。
無駄にツボに入ってしまった為、男は少しの間笑い転げてしまったのだった。

田舎の山の中。そこそこ標高が高く、昼間だが暑苦しいというわけではなかった。
長袖一枚羽織った方がいいぐらいで、女は少し意気揚々だ。
男と並んで歩いても親子と間違えられず、イチャついていても援交と間違われる事もない。
当り前だろう、この山の中には今男と女しか居ないのだから。
昼飯を食べた後、ピクニックに行こうと元々計画しており、女の背中にはリュックサックが背負われている。
その中身はタオルとレジャーシート、お弁当だ。

「ぜぇ、ヒュー、ぜぇ、ヒュー…」

「遅いぞぉ、がんばれ男の子」

「む、無茶言うなよ、これって結構重いんだぞ…」

その後ろ臼に似た物を担ぎながら荒い息で着いてくる男が居た。
女はふざけて声援を送る。
30前であり、男の子と言う歳でもないがその事に突っ込む気力もなかった。
中が空洞になっている事もあり、それ程重たいわけではないが、それでも結構な重量を持っての山登りはキツイ。
男が元バスケットマンで体格が良く、担いでいる物がそんな重さで無いと解っていても、男の様子に無茶だったかなと思う女。

「…、もう、ここ、でいい、よな」

「本当に大丈夫?」

途切れ途切れに言葉を紡ぎ、臼の様なものを下す男。
元々途中までしか運ばない予定だったとはいえ、男の様子に心配そうにする言葉を掛ける。

「ああ~、大丈夫、大丈夫」

「先にお弁当にしようか?」

「ああ、ありがとう。そうだな…、そうするか」

流石に女に心配されたままと言うのは男のプライドに触ったのだろう。手を振って大丈夫だとアピールする。
女はそんな男に水筒からお茶を出し渡す。男も礼を言ってお茶を受け取り、女の提案を受け入れたのだった。

掃除を終わらせ、家具を運び入れた日。
男の実家から男に電話があった。
それは男が通った小学校が今年度を持って廃校になるというものだった。
今はちょうど夏休みだが、先生達が使わなくなったもの等を処分しているそうだ。
行ってみたら如何かと言う内容であった。
女が行ってみたいと言い出し、帰りによることにした。

「あら、懐かしい顔ね。」

「先生、ご無沙汰してます。」

初老の女性。頭は白髪交じりになり、顔にも昔はなかった皺がある。
男が高学年の時に担任であった女性だ。
昔は男子も女子も憧れたパワフルな女性であったが、もうその印象はなく温和な笑みを浮かべている。

「それで何をしに来たのかしら」

「廃校になると聞いて、最後に見ておこうって」

「そう、よかったら使わない教材とか、記念になりそうなものでも貰ってく?」

先生の言葉に男が返した。男の言葉に先生はなら記念に何か持っていくかと言う。
当然まだ授業は残ってはいるが、低学年はもう居らず、高学年も前半の授業は終わっている。
買う時は高かった教材も、廃校になると同時に処分されるのだ。
そうでなくても、学校の思い出になるものは多く、壊してしまうのなら欲しい人に上げているのだという。
先生の先導でそんな物が集めてある木工室に入った男と女。

「大した物はないけどねぇ…」

「いえ、思い出が詰まってますから」

「そうね」

大したものはないという先生だったが、男の正面にある校歌の書かれたボードを見て笑う。
それは男がバスケットボールをぶつけて落としてしまった物だ。
その後新しい物になったんだが、まさか古い方を取ってあるとは思わなかった。

「これって何ですか?」

「ああ、それ、今年の正月に記念として仮装大賞出たのよ。その時のものね」

女がそんな物の中にある臼の様な物に着目する。
臼みたいだが結構な高さがあり、真ん中に二つの穴が開いている。
後ろ側に壁の様なものがあり、そこにも二つ穴が開いていた。
先生曰く、去年夏終わりには廃校になることが決まっており、記念として某仮装大賞に卒業生と一緒に出たのだ。
森の精という題名でやった仮装で、その臼見たいな物は木の精霊役の物だという。

それも持って行く?と聞く先生に何かに使えるからと図々しくも貰う女であった。
男は件の校歌のボードを貰い、学校を後にするのだった。
この臼、木工の先生が自作したものであり、本物の丸太をくりぬいて作られている。
色々と軽くする工夫をされている物の結構な重量があった。

「着替えるね」

「あいよ」

弁当を食べ終わり、一息ついた後女が切り出した。
木々の中で上着を脱ぎ、スカートを下す。
素っ裸になった訳ではなく、中に木目の全身タイツを着込んでいたのだ。
男に頭の部分を被せてもらい、後ろでチャックを閉めてもらう。
男に抱きかかえられ、臼の中心に降ろしてもらった。
元々小学生用に作られているとはいえど、女の身長は低く、下手な小学生よりも幼児体型だ。
改造したが、それでも難なく臼に収まった。
二つの穴に足を入れる。足は届かず、中心に突き出たデンマが女の股間に突き刺さる。
後ろ手に二つの穴に通し、それを縄で結んで貰う。これで自力では抜け出せなくなった。
男がさらに女性の顔に見えるだけの、凸凹だけで色も何もついていない面を女に被せた。

「すげぇ、仮装用とはいえ、ここまでハマるなんて」

男が驚く。周りの木々と同化して本当にファンタジーから抜け出してきたようなドリアードが其処に居た。

木工の先生が丸太を削り出して作り出した為、自然に溶け込んだのだ。
女が全身タイツを染める時も妥協等しなかった事も、面が木の板を削り出して作った事もあるのかもしれない。
浮くだろと思っていた男の思惑を外した形となった。

「…あ、スイッチ」

思わず呆けていた男はこの後の手順を思い出す。
デンマのスイッチを入れる為、女の股間辺りでゴソゴソしだしたのだ。

「う、うん、…」

「もう、ちょっと我慢しろよ」

男の手が女の股間を刺激する。
女が我慢しようにも声が漏れた。

「ふぐぅぅぅぅぅ…」

「おっ、入った」

唐突に振動が女を責める。デンマのスイッチが入ったのだ。
足が届いておらず、全体重をデンマで受け止めている形になる為、その振動はダイレクトに伝わる。
常に押し付けている状態であり、喘ぎながら、イヤイヤするように女は首を振るのだった。

女の視界は面によって遮られている。
何時何処から責められるか分からない状態を女は楽しんでいた。
股間に僅かに埋没するデンマはいまだ激しく振動しているのにも関わらず、女は更なる刺激を欲した。
しかし、今の自分は人形だ。
喘ぎ声は仕方ないにしろ、言葉を発する訳にもいかない。

「あぐ、むぅぅぅぅ…」

しかし、不意に女の胸の先端。
乳首と呼ばれる場所に刺激が走った。
聞こえる音から、男が持ってきたもう一つのデンマを押し当てているのだろう。
それは女が待ち望んだ快楽。
足が届かない為、股間で自身の軽い体重を支えているが、抜け出せない以上快楽が続く。
二つの快楽に襲われ、あっけなく女は逝った。

男は興奮を抑えながら、少し離れた場所でドリアードになった女を見ていた。
山の中なのだ。放置プレイといきたい所であったが、人よりも野生動物が怖く、そんな事は出来ない。
少なくとも誰かが見張っていないといけないのだ。

(なんだ?)

男は不意に女が何かを訴えている事に気づいた。
流石に長い付き合いで、何かを言いたいというだけなら解る。
喘ぎ声が出ている以上、言葉にして言えばいいではないかと男は考える。

(ああ、今は人形設定だったな)

そこで男は閃く。人形プレイの最中なのだ。
何だかんだと凝り性の女の事なのだ。
プレイに合わせて声を出さないようにしていてもおかしくはない。
喘ぎ声は我慢できていないが、それでも喋らないのは凄いと思った。

(ああ、刺激が欲しいのか…)

何度か普通のセックスもしている。
ああやってモジモジしている時は、もう一つ刺激が欲しいという女の癖なのだ。
股間に食い込むように振動しているデンマだけでは足りなかったようだ。
男は予備で持ってきていたデンマの電源を入れる。

「あぐ、むぅぅぅぅ…」

女が嬉しそうに鳴く。
デンマを女の性感帯、それも決まって股間と乳首を刺激するとすぐに逝ってしまうほど弱い場所。
そこにデンマを押し当て、振動を強へと変えた。
股間と乳首。
女の弱い場所二つにデンマで刺激を加えた為、案の定女はすぐに逝ってしまった。

女は気絶したのかぐったりとしている。
そこで男は気付いた。

(あ、やっちゃった…)

そう、この後片付けを男がしなければいけない事に。
しかも、女と、女が持ってきた荷物も男が持たなければいけない事に。
女が気絶するほど逝くと、普通に歩くぐらいならば問題ないが、流石に山下りは酷だろう。
元々、ここまでヤルつもりはなく、股間のデンマで一回逝けばやめるつもりだったのだ。
幾ら女が刺激を欲しがったからと言って、ここまでヤル必要はなかったのだ。

(………、がんばるしかないか)

女を放置する訳にもいかない。
弁当等を残していけば、風に吹かれてゴミになるかもしれない。
野生動物が寄ってくるかもしれない。
もう結構時間が経って、暗くなり始めているから、臼の様なものだけをもう一度取りに来るわけにもいかなかった。
男は覚悟を決めて、後片付けをし、臼を持ってきた時に使っていたロープで臼を背中に背負い。
女のリュックを肩にかけ、女を横抱きにして下山する男。
緩やかで、下りだったこともあり、更に舗装こそしてないものの、落ち葉が躓く様な物を覆い隠していたこともあり何とか下山できたのだった。

最終更新:2016年09月21日 21:46