企画21 | 兄妹をテーマとした普通のADV
OP部分
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匿名ユーザー
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一也
「眠い……」
「眠い……」
まだ眠気を引きずる体を無理やり起こし、二階からリビングに降りる。
時刻は朝の七時二十分。
高校へはまだ十分間に合う時間帯。
高校へはまだ十分間に合う時間帯。
?
「休みでもないのに随分とのんびりなお目覚めだね……」
「休みでもないのに随分とのんびりなお目覚めだね……」
一也
「ん、ああ乙女、おはよう」
「ん、ああ乙女、おはよう」
リビングで出迎えてくれたのは、乙女。
少し生意気な二つ下の妹だ。
少し生意気な二つ下の妹だ。
乙女
「はい、おはよう。早くお兄ちゃんも朝ごはん食べちゃってよ、片付けられないんだからさ」
「はい、おはよう。早くお兄ちゃんも朝ごはん食べちゃってよ、片付けられないんだからさ」
一也
「ああ……。あれ? 母さん達は?」
「ああ……。あれ? 母さん達は?」
乙女
「……あのさお兄ちゃん。早く顔でも洗って目を覚ましてきたら?」
「……あのさお兄ちゃん。早く顔でも洗って目を覚ましてきたら?」
一也
「失敬な。目は覚めてるぞ。こうしてきちんと制服にも着替えてるし……」
「失敬な。目は覚めてるぞ。こうしてきちんと制服にも着替えてるし……」
乙女
「ボタンかけちがえてるよ」
「ボタンかけちがえてるよ」
一也
「お前の洞察力を試したんだよ」
「お前の洞察力を試したんだよ」
乙女は呆れてものも言えないってな感じで溜息をつく。
乙女
「人を試す前に思い出すことがあるでしょ?」
「人を試す前に思い出すことがあるでしょ?」
一也
「……なんだっけ」
「……なんだっけ」
乙女
「本当にわからないの? 若年性健忘症? 私お兄ちゃんの介護とか絶対にしないからね」
「本当にわからないの? 若年性健忘症? 私お兄ちゃんの介護とか絶対にしないからね」
一也
「ボケてねえよ! って、あーそうか」
「ボケてねえよ! って、あーそうか」
乙女
「やっと思い出した?」
「やっと思い出した?」
一也
「そういや、母さん達旅行に行っちゃったんだよなあ」
「そういや、母さん達旅行に行っちゃったんだよなあ」
寝ぼけていた頭がようやく回り出す。
そうだ、両親はテレビ番組の抽選で一週間のフランス旅行を当て、子ども二人を置いて優雅な旅に出かけていったんだ。
確かにボケたと思われても仕方ないかもしれない。
乙女
「お兄ちゃん腐っても高校三年生でしょ? そんなにボケてて大丈夫なの?」
「お兄ちゃん腐っても高校三年生でしょ? そんなにボケてて大丈夫なの?」
一也
「誰が腐ってんだよ。お前は俺の優秀さを知らないから……」
「誰が腐ってんだよ。お前は俺の優秀さを知らないから……」
乙女
「はいはい、優秀なお兄様。時間ないんだからトーストさっさと食べちゃってくださいね」
「はいはい、優秀なお兄様。時間ないんだからトーストさっさと食べちゃってくださいね」
一也
「チッ。……これお前が作ったのか?」
「チッ。……これお前が作ったのか?」
テーブルの上にはトーストと牛乳だけという簡素な朝食が並んでいる。、
乙女
「他に誰がやるの。家政婦雇う金がウチにあるとでも?」
「他に誰がやるの。家政婦雇う金がウチにあるとでも?」
一也
「いちいち一言多いなお前は。いただきます」
「いちいち一言多いなお前は。いただきます」
うん、さくさくといい焼き加減だ。
妹の料理(とは言ってもトーストだが)なんて、中学の時の調理実習の時以来だけれど。
妹の料理(とは言ってもトーストだが)なんて、中学の時の調理実習の時以来だけれど。
なんだ、結構ちゃんと食べられるじゃないか。
一也
「これでこの家の食生活は守られたか」
「これでこの家の食生活は守られたか」
乙女
「は? 言っとくけど貸し1だからね。帰ったら家事分担決めるから」
「は? 言っとくけど貸し1だからね。帰ったら家事分担決めるから」
一也
「えー……面倒くさい。お前全部やれよ」
「えー……面倒くさい。お前全部やれよ」
乙女
「嫌だよめんどくさい。別に私は自分の分だけやってもいいところを譲歩してあげてるんだよ? そこんところわかってる?」
「嫌だよめんどくさい。別に私は自分の分だけやってもいいところを譲歩してあげてるんだよ? そこんところわかってる?」
一也
「……へいへい」
「……へいへい」
確かにぐうたらな俺の性分からして、乙女がいなければこの家は一週間でゴミ屋敷と化すだろう。
一也
「ごちそうさま。うまかったよ」
「ごちそうさま。うまかったよ」
乙女
「……別に、こんなの焼くだけだし。あーもう洗うのは帰ってからでいっか」
「……別に、こんなの焼くだけだし。あーもう洗うのは帰ってからでいっか」
一也
「帰ったら俺がやっとくよ。それで貸しはチャラで」
「帰ったら俺がやっとくよ。それで貸しはチャラで」
乙女
「そ? じゃあよろしく。あ、家の鍵持ってる?」
「そ? じゃあよろしく。あ、家の鍵持ってる?」
一也
「問題ない」
「問題ない」
乙女
「ハンカチは? ティッシュは?」
「ハンカチは? ティッシュは?」
一也
「母親かお前は……。ちゃんと持ってるよ」
「母親かお前は……。ちゃんと持ってるよ」
乙女
「一週間限定の母親ね。お兄ちゃんだらしないんだから」
「一週間限定の母親ね。お兄ちゃんだらしないんだから」
一也
「じゃあ俺は父親か?」
「じゃあ俺は父親か?」
乙女
「さしずめギャンブルと酒浸りの駄目亭主がいいとこかな」
「さしずめギャンブルと酒浸りの駄目亭主がいいとこかな」
一也
「お前は本当に失礼な奴だなあ……」
「お前は本当に失礼な奴だなあ……」
乙女
「馬鹿にされたくないなら、少しは尊敬されるように普段の生活見直すことだねー」
「馬鹿にされたくないなら、少しは尊敬されるように普段の生活見直すことだねー」
一也
「むう」
「むう」
正論すぎて何も言い返せない。
実際、乙女は高校一年の割りにしっかりしすぎている程に真面目だと思うしな……。
乙女
「もう、無駄口叩いてる時間なんてないじゃない。ほら、さっさと行くよ!」
「もう、無駄口叩いてる時間なんてないじゃない。ほら、さっさと行くよ!」
一也
「はいはい。行くとするか!」
「はいはい。行くとするか!」
まあ、慌しくもこんな感じで。
仲がいいんだか悪いんだか分からない。
俺と妹……二人っきりの生活が始まるのだった。