企画21 | 兄妹をテーマとした普通のADV
妹グッドエンド
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匿名ユーザー
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妹GOODエンド
両親が帰ってきた。
まあ、それだけのことだ。
少しだけ特別だった日々が終わり、今まで通りの日常が始まるだけ。
……変化がなかったといえば、そんなことはないと思うけれど。
一也
「ねむ……」
「ねむ……」
母
「一也、さっさと朝ごはん食べちゃいなさい。乙女はもうとっくに食べたわよ」
「一也、さっさと朝ごはん食べちゃいなさい。乙女はもうとっくに食べたわよ」
一也
「はいはい」
「はいはい」
テーブルに用意されたトーストを牛乳で流し込むようにして食べる。
……乙女と母さんじゃ、微妙に焼き加減が違う。
そんな些細なことが、気になった。
そんな些細なことが、気になった。
母
「ねえ、乙女とはちゃんと仲良くしてた?」
「ねえ、乙女とはちゃんと仲良くしてた?」
一也
「仲良くって……まあ、ガキじゃないんだから、普通にしてたよ」
「仲良くって……まあ、ガキじゃないんだから、普通にしてたよ」
母
「普通って、あんたねえ」
「普通って、あんたねえ」
一也
「この歳で仲良くってのも、変だろ」
「この歳で仲良くってのも、変だろ」
母
「そうかしら?」
「そうかしら?」
一也
「そうだよ」
「そうだよ」
乙女
「おかあさーん、いってきまーす! あ、ついでにお兄ちゃんもね」
「おかあさーん、いってきまーす! あ、ついでにお兄ちゃんもね」
洗面所で髪でも梳いていたのだろう、乙女がダイニングに少しだけ顔を出していった。
母
「はい、いってらっしゃい」
「はい、いってらっしゃい」
一也
「ごちそうさま」
「ごちそうさま」
母
「あら、もう食べたの? 相変わらず早いわね」
「あら、もう食べたの? 相変わらず早いわね」
一也
「日本人の美徳だろ。じゃあ、俺も行って来る」
「日本人の美徳だろ。じゃあ、俺も行って来る」
母
「いってらっしゃい、車に気をつけるのよ!」
「いってらっしゃい、車に気をつけるのよ!」
一也
「ガキかよ!」
「ガキかよ!」
相変わらず、過保護なのかどうなのか……。
一也
「なんだかな」
「なんだかな」
玄関で適当に荷物を確認し戸を開くと、そこには意外な人物が立っていた。
一也
「乙女? 先行ったんじゃないのか」
「乙女? 先行ったんじゃないのか」
乙女
「んー、たまには一緒に行こうと思ってさ」
「んー、たまには一緒に行こうと思ってさ」
一也
「一緒に……? いいけどさ、途中でどうせ別れるんだから意味ないだろ」
「一緒に……? いいけどさ、途中でどうせ別れるんだから意味ないだろ」
乙女は、俺と兄妹ってことが知られたくないらしいからな。
乙女
「いいじゃん別に、そういう気分なんだから」
「いいじゃん別に、そういう気分なんだから」
一也
「気分ねえ」
「気分ねえ」
乙女
「何か文句ある?」
「何か文句ある?」
一也
「いや、別に……」
「いや、別に……」
俺としては、反対する理由はない。
周りの人間に乙女が妹だと知られようが、俺は別に恥ずかしいことなど何もないのだから。
一也
「……でさ、あの先生は女子だけ宿題忘れを許したんだよ」
「……でさ、あの先生は女子だけ宿題忘れを許したんだよ」
乙女
「ふーん」
「ふーん」
一也
「男女差別激しいんだよな、あいつ……」
「男女差別激しいんだよな、あいつ……」
乙女
「お兄ちゃん、それは男女差別じゃないよ」
「お兄ちゃん、それは男女差別じゃないよ」
一也
「いや、どう考えても男女差別だろ」
「いや、どう考えても男女差別だろ」
乙女
「それは、ただの美少女優遇だよ」
「それは、ただの美少女優遇だよ」
一也
「……何かそう言われると、まだ納得できる気がするな」
「……何かそう言われると、まだ納得できる気がするな」
ただの言葉遊びだが、開き直っている分まだ清々しい。
乙女
「でしょ? やっぱり可愛い子に優しくなるのは当然のことだもんね~」
「でしょ? やっぱり可愛い子に優しくなるのは当然のことだもんね~」
まるで自分が可愛いとでも言いたげだが、俺は敢えてそこには突っ込まず無視することにした。
そして、そろそろ学校が近くなってきて、周りを歩く学生の数も増え始める。
たまに一緒にくることがあっても、乙女はいつもこの辺りで一人で走って行ってしまうのだが。
今日は――
乙女
「それでさー」
「それでさー」
何故か、そのまま隣を歩いている。
……この歳で兄妹揃って登校してる奴なんて、そうそういないだろうな。
少し気恥ずかしさを覚えないでもない。
一也
「なあ、今日は走っていかないのか?」
「なあ、今日は走っていかないのか?」
乙女
「え? あ……まあ、ね。いいでしょ別に、兄妹なんだから恥ずかしいでもなし」
「え? あ……まあ、ね。いいでしょ別に、兄妹なんだから恥ずかしいでもなし」
恥ずかしいでもなし、とか言ってる割りに、乙女は少し恥ずかしそうにしていた。
乙女
「それにしてもさ」
「それにしてもさ」
一也
「ん?」
「ん?」
乙女
「帰ってきたんだよね、お母さん達」
「帰ってきたんだよね、お母さん達」
一也
「ああ、それがどうかしたか?」
「ああ、それがどうかしたか?」
乙女
「いや、一週間って短いなーと思ってさ」
「いや、一週間って短いなーと思ってさ」
一也
「……そうだな。確かに短かった」
「……そうだな。確かに短かった」
乙女
「いろいろとさ、あったしね」
「いろいろとさ、あったしね」
一也
「あったか?」
「あったか?」
乙女
「あったよ」
「あったよ」
たった一週間の二人暮らし。
少しだけ特別な時間。
乙女
「あ……もう予鈴鳴ってるよ! 急がないと!」
「あ……もう予鈴鳴ってるよ! 急がないと!」
一也
「まだ間に合うって」
「まだ間に合うって」
乙女
「お兄ちゃん、のんき過ぎ! ほら、走る走る!」
「お兄ちゃん、のんき過ぎ! ほら、走る走る!」
それは。
妹に兄の手を取らせる程度に、二人の距離を縮めたようだった。
一也
「おい、馬鹿やめろ! 恥ずかしいって!」
「おい、馬鹿やめろ! 恥ずかしいって!」
だけど、乙女は聞こえない振りをして走っていく。
乙女
「遅刻なんてしたら、もっと恥ずかしいってば!」
「遅刻なんてしたら、もっと恥ずかしいってば!」
一也
「お、お前なあ……」
「お、お前なあ……」
走っている間、何人かのクラスメイトと目が合った。
多分、後で質問責めに合うだろうな。
俺は幾らか言い訳を考えつつ、乙女の小さな手を握り返す。
精々、振りほどかれないように。
精々、振りほどかれないように。
……たまにはこんな日があってもいいか。
俺は妹と共に風を受けながら、ほんの少しだけ思った。
乙女
「ほら、行くよ! お兄ちゃんっ!」
「ほら、行くよ! お兄ちゃんっ!」