魑魅魍魎 美食の宴_第二章4

shion(2006-10-24)

魑魅魍魎 美食の宴≫ 第二章 天狐

女将はいぶかしんだ。
「どういうことなんだい?
あの蕎麦屋っていうのは、最近出来た店のことだろう?」
「太郎蕎麦のことですか!?ボクも行ったことありますよ」
「うむ・・・そうじゃ・・・」
「あの店の主人も、あいつらの手先ということですか、先生?」
「・・・そうとも言いきれんのじゃが・・・」
「早耳の異名を持つセンセイにしては、妙に歯切れが悪いじゃないかぇ?」
「ワシにもまだはっきりしないことがいくつかあるからの・・・」
「ほう。センセイにも分からないことがあるのかい」
「茶化すでないぞ」

いつの間にか、日はほとんど暮れていた。
逢魔が刻である。

クダは話にほとんど付いていけていなかった。

「さてと、じゃあアタシは店に戻って薬でも取ってくるかね」
「こやつら三匹に、事情を聞かねばならぬからのう」
「そういえば、最近泥棒が入ってね、薬を盗まれたんだがね、一体何に使うつもりかね、あいつらは」
「へえ、君でもうっかりものを盗まれるなんてことがあるんだね。
さすがの鬼婆の目も濁ってきたのかい?」
「茶化すんじゃないよ」

鬼婆は宗旦狐を睨むと、立ち上がった。

と、そこへ・・・。
「女将~、大変でやんす!!」
風の神が飛び込んできた。


最終更新:2016年08月05日 21:59