nanaki(2006-10-23)
≪魑魅魍魎 美食の宴≫ 第二章 天狐
却説、話を戻そう。
妖界3凶の一人・キツネ亭の宗旦狐はその右腕、管狐のクダと最近話題の蕎麦屋、「太郎そば」で怪しい視線を感じ、ほどなくして帰路についた2人。
ようやく店に戻ってきた頃はもう店の営業が一段落した頃だった。
宗「ああ、皆悪かったね。少しばかり遅くなってしまった」
クロ「うん。大丈夫。」
クダ「あとは俺がやっておくからお前達はもう休んでていいぞ」
髪きり「おお…それではお言葉に甘えて…行きましょう。網きりさん」
網きり「そうですね。それではお先、失礼します」
キツネ亭の2階は住み込みの寮になっている。
ここで働く妖怪達は身寄りのない妖怪がほとんどで、宗旦狐はそうした妖怪を放っておくことができずに、店で働かせるようにしている。
妖怪達もそうしたオーナーの恩を忘れられないのか、店をやめる者は誰一人としていない。
宗「クダ君も、もういいよ。あとは僕がやっておくよ」
クダ「宗さん、少し疲れているようですぜ。先に休んでてくだせえ」
宗「いや、まだやる事があるんだ」
クダ「やる事?」
宗旦狐は昼間見つけた「天狐屋」のチラシ、謎の文、そして先ほどの視線…
これは何か別々のようで一つに繋がっている…そんな気がしてならなかった。
そしてまだ誰も知らない大きなモノがウラで暗躍しているに違いない。
宗「(明日、あいつに聞いてみるか…)」
そう思った矢先、2階から叫び声が聞こえた…
宗「(……あの声は…クダ!?)」
宗旦狐は2階に駆け上がる。
引き戸を開け放つ、宗旦狐が中に入る、すると突然目の前が真っ暗になった。
最終更新:2016年08月05日 22:00