魑魅魍魎 美食の宴_プロローグ3

George(2006-10-13)

≪魑魅魍魎 美食の宴≫プロローグ

ここは、国産の良質かつ安心な和の食材で、美味に富んだ洋食を出す「キツネ亭」

珍しく、オーナーの宗旦狐と先輩狐のクダが揃って外出中で
本日、初のアルバイト三匹が店を任されていた…。

「ふぅ~っ…」
「大丈夫ですか?網切さん!?」

嵐のようなランチタイムが終わり、やっと休憩時間に入ってほっと溜め息をつく
「網切」に「髪切り」の髪助が話しかけてきた。

網「いやぁ、だいぶ慣れて来たと思ってたんですけど…ダメですねぇ、私」
髪「そんな事ないですよ、今日なんかオーダーミスゼロだったじゃないですか!」
網「はあ……」

熱心なファンの方々は御存知かもしれない…今こうして会話をしている二匹…
謎の刺客集団「切り切りトリオ」の、もと親分「網切」子分「髪切り」の二匹なのだ!!
なぜこの二匹が、敵であるはずの「キツネ亭」でアルバイトをしているのか?

…そう、この二匹…「キツネ亭」によって囚われの身となった
仲間の「黒髪切り」の黒吉を救うべく、「黒塚亭」で飼われているペット
「ケルベロス」を利用しようとして、逆に「黒塚亭」の女将、鬼婆によって
「まいんどこんとろーるの術」の実験台となっってしまったのである。
今の二匹に、以前の記憶は無かった…。

網「でも、こうして〝三人〟で仕事するって楽しいですよねぇ」
髪「あ、そうですねぇ…私達も、やっとオーナーから認められたんでしょうかね?!」

記憶を失っても、もと親分「網切」を気遣う「髪切り」の髪助…
そう、彼は根っからの「子分気質」なのだ。

髪「そう言えば、最近ヘンな噂がたってますよねぇ…なんでも妖怪料理界を
  メチャメチャにしようとしてる連中がいるとか!?」
網「へぇ~、そうなんですか…物騒ですねぇ…」

まさか自分達が、その連中の一派だと言う事に、まったく気づく様子の無い
二匹…そこへ奥の厨房から、のっそりと大柄の妖怪が間延びした声で
話しかけて来た。

「コレ…作った…食べる…?」

そう言って「黒髪切り」の黒吉が差し出したのは、何とも美味しそうな
デザートだった…。

網「あ、美味しそうですね!! 何なんです、ソレ!?」
黒「オーナーに…休憩時間…食べナ…言われた…」
髪「レシピ、教わったんですか?」
黒「…ウン」
網「おお、美味しいですね!!」
黒「…コレ…ぬらりんのブルブルプリン」
髪「ブルブルプリン?」
黒「疲れてるトキ…甘いのいい…」
網「ふう~っ、いきかえりますねぇ…」
髪「ホント…いいですねぇ…」

そんなのん気な事を言っててイイのか三馬鹿トリオ!!!?
このままでは、全国のファンが泣くぞ!!!!

さて、この三馬鹿の運命はどうなるのか?
…このままで、終わるはずがないっ!!!!


最終更新:2016年08月05日 22:13