20 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:13:12 ID:9vWjo5/7
小説家を目指す姉が言い出した。
「セックスというものをしてみたい」
姉は物心ついた時から自分は将来小説家になるものだと半ば決めつけていて、
ことあるごとに弟であるところの俺に小説のモデルになれだのネタはないかだの警察官を父に持つ知り合いはいないか取材したいからナシをつけておいてくれだのと、
あれこれと種々様々な雑用や無理難題を立て続けに押し付け続けてきたから、
ちょっとした用事なら俺はもう動じることはない。
しかし今日の姉・京子の発言にはさすがのおれも面食らった。
「…ハッ?」
「セックスだ、知らないのか。英語で言えばエス、イー、エックス」
おれの部屋の扉を(いつも通り)ノックもなしに開け放った姉は、
腰に両手をあて、小さな胸を堂々とそらすようにして言い放った。
英語で言ってどうなるというのだ。
「知らなくはないけど」
なにを言ってるのだろうこの馬鹿ねーちゃんは。
「うむ、よろしい」
おれのあいまいな言葉に対して鷹揚に頷くと、姉のひっつめ髪に整えられたポニーテールが少し揺れた。
高校でバレー部に入っている俺よりもずっと小さな姉はもう大学2年生にもなるというのに、
胸も尻も実につつましい成長具合で、洗いざらしの綿を胸下で絞り、のこりは体のラインが流れるにまかせた、エプロンのようにシンプルなデザインのワンピースが嫌みなく似合ってしまう。
などとぼんやりかんがえながらこの威張った小動物のような姉を観察していると、おもむろにそのワンピースの胸元のボタンを開け始めた。
「では母さんが帰ってくる前に済ませてしまおう」
「はいストーップ、ストーップ、ハイストーップ。見えませーん、全然話が見えませーん」
胸元のボタンをはずそうとする両手を止めると、姉は眉根にしわを寄せ、冬眠中に起こされた熊のような怪訝な、凶暴な、少し残念そうな顔をした。
「いや、だから、セックスをするんだよ」
「誰が」
「私以外にだれがいる」
「誰と」
「お前以外にだれがいる」
姉は明朗に応えた。
21 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:14:21 ID:9vWjo5/7
んっ?
「えっなんて?」
「ええい勘の鈍い奴だなこの愚図でのろまな亀のオタンチンパレオロガスめ」
いつも舌ったらずなくせに悪口を言う時は必要以上によく回る口だ。
姉は眉間に作られた短い皺をやや深くしながら続けた。
「つまり私は悟ったのだ。古今東西、名作小説や名演劇には、おしなべて男女の情愛が描かれているものだと!」
「じょうあいですか」
「うむ。情愛とはつまるところ性欲が人間性や社会秩序によって穏当な形に昇華されたものだ。つまりは性欲だ。性欲」
「言い切りましたね」
「うむ。言い切りの口調が文章にリズムを生むのだ。と小説ハウツー本に書いてあったのだ」
「はぁ」
「ええい話の腰を折るサバ折り雷電為衛門だなお前は。つまり小説には男女の情愛が必要なのだ」
「それで」
「つまり名作を書くには男女の愛を知らねばならん。男女の愛を知るには――」
姉は人差し指を中空に向かって立て、芝居がかった口調で喋る途中に思いきり長い間を取った。
目をつむり明後日の方向を向いているが、薄目を開けたまぶたの下からちらちらと俺の様子をうかがっている。
「…セックスを知らないといけない、と」
「その通り!」
仕方なくおれが言葉を続けると、姉は音が立ちそうなほどの勢いで人差し指を俺の鼻先に突きつけた。
なぜこうも自信満々に人の顔に指を突きつけられるのだろうか。
人を指さしちゃいけませんとしつけられなかったのだろうか。
親の顔が見たい。
仕事が終わり次第帰ってくるだろうから。
「話はわかった。…まぁ落ちつこうか」
姉をベッドに座らせる。
狭い俺の部屋には来客用のソファやスツールを置くスペースなんてない。
あとは勉強机と小さな本棚があるくらいだ。
「なるほど! 部屋に椅子を置かないことで自然と女性をベッドに誘導する作戦か! これがリアリティというものだな。勉強になる」
俺が狭い部屋を使っているのは、
姉が資料用の本を山ほど、控え目に言って剱岳くらいの本を置かないといけないから広い部屋じゃないとダメだと言って独占してしまったからなのだが。
そんなことを洞察も推察も想像もできないのは、小説家志望としての前に、人間性に欠陥があると言わざるを得ないのではないだろうか。
22 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:14:52 ID:9vWjo5/7
「姉よ。俺が弟としてお前に言いたいことは山ほど、控え目に言って野口五郎岳ほどあるが、まずはこれだ」
姉はベッドに座って上目づかいに俺を見る。
俺は小さい子に諭すように言った。
「俺たちは姉弟だぞ」
「そうだな。それがどうかしたか」
んっ? おかしいな。
おれの持っている一般的な常識というやつでは、姉弟というやつは、仲良くなりこそはすれそこに肉体関係、性交渉を持ってはいけないというのがあるはずなのだが。
姉は細く黒い眉を白い額にきりりと上向けて、丸い目を見開いておれを見ている。
「どうかしたか、って。ダメでしょ。姉弟でセックス」
「なるほど。社会的タブーというやつだな」
「そうそう、それ」
「ちょっとこっちへ来い。もっとちこう寄れ」
「ねーちゃんあんたは殿様ですか」
姉がベッドの上で少し体をずらしスペースを空け、こいこいと手招きをしたので、その空いたスペースに座る。
袖のないワンピースからむき出しになった姉の二の腕が、おれの二の腕に触れて、熱が伝わってくる。
姉の肌は火照って熱を帯びている。
子供みたいに平常体温が高いのかな?
姉が高い声で話し始めた。
「社会的タブー、物語製作上では『枷』というやつだな」
「ああそれが…む゛っっ」
生返事の途中でむりやり遮られた。
頭を両手でむりやり抱えられ、むりやり姉の側に顔を向けられ(首の骨が鳴った)、
姉の顔が間近にあると思ったら、唇に柔らかな感触が触れていた。
「…んっ……むぅっ……ハァ…っちゅ……」
姉は目をつむったままで、俺の唇をもてあそんでいる。
唇で、唇を挟んだり、撫でたり、少し離して、またくっつけたり。
首から回した腕を後頭部の後ろで交差させている。
唇から少し突き出された舌が、たっぷりと唾液を持って、俺の唇をなぞっていった。
離れられない。
姉の両手がおれの顔をロックして離さない。
離れる気が毛頭ないようだ。
しばらくの間、好きなように俺の唇を味わいつくした後、
ゆっくりと姉は顔を離し、耳元でぼそぼそと囁いた。
「ん…はぁ……枷があってそれを乗り越えるところにドラマがあるなんてことは、小説書きの基本のきだ」
乱れた呼気と、少しかすれた声が耳を撫ぜて、背筋にぞくぞくとした快感が走った。
23 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:15:14 ID:9vWjo5/7
「ちょ、ちょっとまってくれ。ちょっと、ちょ」
さらに抗うおれの唇を、姉の唇が無遠慮にふさいだ。
む、むぅ。
姉の唇がおれの唇に当たる音が、当たって離れる音が、静かな部屋に響いている。
チューってホントにチュッチューいうからチューっていうんだな。
柔らかいものが口の中へ滑り込んできた。
舌だ。
最初はおずおずと、おれの様子を窺うように。
次第に大胆に、口中を動き始めた。
姉の舌が俺の舌を撫ぜている。
歯を舌先でなめ、歯の裏を舐めるように舌が伸ばされ、
軟体動物のような姉の舌は俺の口の中で別の生き物のように自在に動いている。
柔らかく、濡れていて、なまめかしい。
熱のこもった鼻息が鼻先にかかる。
姉の体が熱くほてっている。
首にまわされた腕から、密着されたからだから、何より口の中の舌から熱が伝わってきて、
伝わった熱が溜まっていくように、自分の体の底に熱を帯びてくるのを感じた。
「…どう?」
姉がすっかり上気した顔を離して聞いてきた。
「なにが…」
「キスの感想」
「感想って…」
「感想を言ってくれないと小説の取材にならないじゃないか」
あっ、そういうこと…。
「どうだった?」
「その…きもちよかったよ」
「どんな風に?」
「どんなって…なんていうか、柔らかくて」
「具体的には何が?」
「唇と、舌。…それになんていうか、お姉ちゃんの」
小さなメモ帳に何やら書きつけていた姉がこちらを見て小さく口角を上げた。
「お姉ちゃん、と久しぶりに言ってくれたな」
そう言えばそうだ。
いつからか、姉のことを“お姉ちゃん”と呼ぶのが恥ずかしくなって、
おいとか、なぁとか、お前とかと呼ぶようになっていた。
「昔は私の言うことをよく聞くかわいい弟だったのにな」
などと言ってふくれている。
今でも十分言うことを聞いていると思うのだが。
24 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:15:54 ID:9vWjo5/7
「ま、今でも聞いてくれているか。こうして」
姉はそうして、
俺の足の間に座り背中を預けてきた。
後ろで縛られたポニーテールが首のあたりに当たる。
広いでこすけと生え際の境が白く光っている。
ちょうどいい位置にあったので、
顎をその頭の上に置いた。
いいにおいがする。
立ち上ってくる汗のにおい。
「うりうり」
顎を動かして姉の頭をごりごりする。
柔らかい髪の感触。小さな姉の頭が顎の動きに合わせて揺れる。
「やめんか」
姉の体は小さく、
あぐらをかくようにして坐り後ろから腕を回すと、
その体がすっぽり収まってしまうくらいにこぢんまりしている。
「姉ちゃんの体、熱い」
「…お前こそ」
視線を落とすと、
軽くうつむいている姉の顔が見える。
その下に、
少し開いたワンピースの胸元。
肌が桜色に上気している。
その奥は陰で少し暗くなっていて、
肌と布の隙間に影が黒く谷を作っている。
姉のつつましい胸はなだらかな丘のように自らを主張している。
とても山とは言えない。
ましてロケットのような盛り上がりは望むべくもない。
せいぜい子供を連れてピクニックへいくのにちょうどいいわ、というような高台、
あるいはちょっとした坂道程度の盛り上がりだ。
その盛り上がりとも呼べないような丘陵の先端に、
肌の色よりわずかに濃い色が見えた。
「姉ちゃん――!」
「なんだ」
「ブラ、してないの…?」
「だって脱ぐだろう」
こともなげに言うのだ。
つい、視線を下ろしたままじっと見てしまう。
胸が小さいからか、服の間と隙間が大きく開いて、
さほど大きくない乳輪と、やはり小さな乳首が見え隠れしている。
(巨乳AVの人はみんな乳輪大きいもんな。おっぱいと乳輪の大きさには相関関係があるのだろうか)
などと考えていると姉がそっと両腕を胸元にやって、服を押さえた。
25 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:16:16 ID:9vWjo5/7
「何で隠すの」
「だって…お前、ちょっと、見すぎだろう」
恥ずかしがっているのか、姉なりに。
何を言っているんだ「セックスをするのだ」と鼻息荒くして意気揚々と部屋に乗り込んできたのに。
「ひょっとして、姉ちゃんおっぱい小さいの気にしてるの?」
腕の中の体がぴくんと反応した。
姉は口をへの字に結んでいる。
「ねぇねぇ、気にしてるの?」
「べっ、別にそんなことは…」
「気にしてるんでしょ」
「気にしてるわけじゃないけど…」
「ないけど?」
「…男はみんな大きいのが好きだろう」
「いやぁそれは…人それぞれじゃないかな」
「だって!」
姉が急に大きな声を出して、
上を向くようにして俺の方を見た。
こころなしか瞳がうるんでいる。
「だって…お前のDVDに出てる人みんな大きなおっぱいじゃないか…」
何の話だ。
「お前の部屋に置いてあるエッチなDVDも…いかがわしい本にも…みんなおっぱい大きい、スタイルのいい人ばかりじゃないか…」
ちょっと待て。
つまりなにか、
勝手に俺の部屋に入って家探しをして俺秘蔵のアレやコレやの本やらDVDやらを勝手に見ていたと、
つまりそういうことか。
それで女優やモデルのスタイルのよさやおっぱいの大きさにショックを受けているてのか。
「人のプライバシーをなんだと思ってるんだ」
「…小説のネタになりそうなら弟の部屋くらい土足で踏み荒らすわ」
「酷いことを言うな。それに、別に俺は巨乳好きってわけじゃない」
「だって…」
「あれくらい、ああいう仕事の人なら普通サイズなの! そりゃあ、姉ちゃんに比べたら巨乳だけど」
腕の中で体をこわばらせたのが伝わってくる。
姉は小刻みに腕を震わせながら、自らの胸に両手をあてた。
「わ、私だってないわけじゃないもん…」
自らの感触を確かめるようになんどか手を動かす。
なるほど姉の小さな手にしてみれば、柔らかさもちょうどぴったり収まるサイズといったところなのだろう。
「お、」
姉が胸に手をあてたままなにか言う。
片手ならなにか宣誓でもするのかと思うが、両手を胸にあてがっているからちょっと違う。
26 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:16:47 ID:9vWjo5/7
「お、おまえはこれくらいの、その…(小さな)…胸でも満足できるのか…?」
小さな、という言葉は全く小さな声で、そのまま消え入りそうな声だった。
姉が上を向くように俺を見る。
期待と不安が入り混じったような、表情をしている。
子供のような丸い瞳が怯えたように俺を見ていた。
そのとき、なんというか、心臓が5センチほど喉元に上がるような、
そんな気持ちになった。
「…満足できるかどうかは、試してみないとわからないかな」
「ひゃあっ!」
ワンピースの脇の部分から両手を差し込む。
覆いかぶせるように姉の胸に手を当て、何度かぱふぱふと大きさを確かめる。
小さい。
まな板とは言わないまでも、まな板の上に裏返した小皿を二枚並べて置いたような、
そんなさびしいボリューム感だ。
「こっ、こら、そんないきなり! 手を入れるな! 揉むな! まさぐるなぁ…!」
「あっでも柔らかいよ、やわらかい」
肉まんを裏側から食べて、
底面と中の肉をすっかり食べてしまって、
残った上の部分だけを揉んだらこんな感触だろうかというサイズだ。
「あの…なんていうか…無くはない、無くはないよ!」
「そんなのっ…慰めになるかっ……! こらっ…! そんな何度も…パタパタ…するなぁっ…」
掌に小さな突起の感触がある。
小さいながらも柔らかい土台に比べて、
確固とした固さを持ち合わせていながら、その突起は上下左右自由に動き回り、
掌の中でこそばゆいような感覚を生んでいる。
「この感触は…そうだ、ゲームキューブのCスティックに似てるな」
「なっ、なにがぁ…!」
友達の家にあった、古いゲーム機のことを思い出した。
掌の中のCスティックを動かすごとに姉の体がぴくんぴくんと小さく反応する。
そうかCスティックのCはCHIKUBIのCだったのか。
Cスティックを上に動かすと姉の体がのけぞるように、
下に動かすと我慢できないというように下を向き、
左右に動かすとそれぞれの方向を向くように顔を動かしている。
「ちょっ…ちょっと…それっ…ンッッ……」
切なそうに眉根を寄せ、歯を食いしばりながらCスティックの思い通りになる姉。
そんな姉の様子を見るのは面白い。
「こうするとどうなるのかな?」
ラジオのボリュームを回すように、小さな乳首をつまんで、コリコリと回してみた。
「馬鹿ぁっ…!」
おお、声が大きくなった。
すごいなCスティック。
27 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:17:12 ID:9vWjo5/7
そのまわりの乳輪に、触れるか触れないかというギリギリの距離で人差し指を回し優しく刺激すると、
姉の口からも出ているか出ていないかわからないほど細い吐息が甘く漏れだした。
「んっ…はぁっ…はっ……ぅ…ぁっ…」
「気持ちいいの?」
吐息が漏れるばかりで姉は応えない。
徐々に吐息が荒く、熱のこもったものになってきている。
気持ちいいんだろう。
親指と中指で乳首をつまみ、
人差し指で乳首のてっぺんをツンツンと刺激したりカサカサこちょがすように動かしながら聞いているから、
答えられないのかもしれない。
「気持ちいいんでしょ?」
乳首を責めながら、
薄く広がった小さな乳房を軽くマッサージするように叩いてやる。
姉のうなじが上気して、赤く染まっている。
肌が白いから赤くなるとすぐわかるんだな。
そっとうなじに細い息をかけると、姉の背中が総毛立つように小さく痙攣してくるのがわかった。
姉がこくりと小さくうなずき、それに合わせてポニーテールが揺れた。
「やっぱり気持ちいいんだ。それじゃあちょっと早く動かすよ」
掌ですばやく胸全体をこすったり、
乳首をつまんでぐりぐりうごかしたり、
脇から胸へと続くラインを人差し指でなぞったり、
とにかく姉のワンピースの中の両手を動かし続けた。
乳首をはじくように指で弄ぶと、
それに合わせて体が小さく震える。
姉は右手で俺の胸辺りの服を掴んで体を縮めている。
姉のうなじに玉のような汗がいくつか浮かんでいる。
じっとりと熱い。
からだ全体から汗と、蒸気を発しているような身の熱さだ。
「ぅ…んっ……ハァッ……ゥゥンっ……」
横顔を俺の胸に押し付けるようにしている姉は、目をつむり、
口を結んで声を出すまいと耐えているようだが、
それでも胸に刺激を与えると、
時折その口から吐息とも、声ともとれない切ない音が漏れだしてくる。
それまで、
意識して避けていたが、
これだけ気持ちよさそうなら多少乱暴にしても大丈夫だろう。
乳首を親指と人差し指で挟み、思い切ってつねりあげた。
28 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:17:34 ID:9vWjo5/7
「きゃ、んんっ……!! はっ、ああっ…んああっ……!」
その瞬間、
姉の身体がひときわ大きく震え、息が強く吹きだされた。
姉は眉間やまぶたの上にしわができるほど強く目をつむり、痙攣させるように全身を振るわせた。
痙攣は2~3秒続き、身体の震えが収まったあと、姉はゆっくりと息を吸って、また吐いた。
「ひょっとして今のって……イッたの?」
姉はつむっていた目を大きく見開いた。
「いっ、イってない……」
しかし弱弱しく首を左右に振るその様子は、
どう見てもなにか絶頂を迎えた後のしびれの中にいる人間のそれだった。
「いや、だって」
「む、胸だけでイクわけ…ないし……」
「だって今痙攣してたし」
「わ、私が胸だけで行くような淫乱ドスケベ娘な……わけ…ないし……」
「現に息切れてるじゃん」
そこでハタと思いついた。
「あ、さては隠しておいたエロ漫画も読んだだろ」
「!」
姉の体がピクリと震える。
「確かにあれには『胸だけでイクなんてドスケベ淫乱女だなぁ』みたいなセリフがあったけど」
「!!」
「でもまぁ、たぶん普通の女の子でも、そういうこともあるんじゃないかな」
「ほ、本当かっ!?」
姉は目に光を取り戻しておれの目を見る。
「うん。たぶん」
「そうか、普通にあるのか…」
よかった、と小さな声で呟いて、姉はまた俺の胸に顔を寄せた。
「てことは、やっぱりイッてたんじゃん」
「うわ、うわああああああああ! 違うぞ! イッてなんか、イッてなんかないぞ!!」
「何を恥ずかしがってんの、姉ちゃんが『セックスする』って言ったのに」
「う、ううぅぁ……だって…」
顔をうずめるように隠してしまった。
「恥ずかしいし…」
ボツボツと俺の胸板に向かってしゃべる姉であった。
姉の羞恥心の線引きがよくわからない。
29 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:18:19 ID:9vWjo5/7
かと思うと、パッと顔を上げ、
「いやしかし、やはり自分で体験してみるものだ。他人に触られるのがこんなにすごいとは」
と言うなり先程のメモ帳に何やら書きつけている。
「なになに、『最初はこそばゆいだけだったが、次第に変な感じが腰のあたりにたまっていき、最後は全身が電流に貫かれるように――』?」
「馬鹿っ、まだ読むな!」
姉は体でメモをかばうようにして隠した。
「でもそれ小説のネタに使うんでしょう、できたら読むじゃん」
「今はまだメモだから他人に読ませるようなものじゃないんだ」
メモはだめで、小説にすればいいというのはやはりよくわからない。
「そういえば今、『他人に触られるのがこんなにすごいとは』って言ってたけど、じゃあ自分で触ったことはあるの?」
聞くと、姉はメモを取っていたペンを取り落とし、見る間に顔を赤くした。
「わたっ、私、そんなこと言ったか!?」
「言った」
耳まで赤くなった顔を隠すように、姉は再び俺の胸に顔をうずめてしまった。
その様子がなんだかかわいらしかったので、ほとんど無意識に姉の体を抱き寄せた。
小さいからだが俺の腕にすっぽりと収まる。
姉は俺に体重を預けて黙っている。
「…たっ、」
「た?」
「たまにその、ちょっとだけ、触って…しているだけだ」
「何を?」
腕の中の姉の体が小さくこわばるのを感じた。
「…ぃ」
「えっ? なに? なんて?」
「……にぃ」
「何だって?」
胸の中でもじょもじょとなにやら呟いている。
何を呟いているのかは文脈とその様子から判断できたが、
わざと聞き返してみる。
いま俺の顔にはニヤニヤといやらしい笑顔が張り付いているだろうが、
ニヤニヤと笑いたくなるようないやらしい話をしているのだからそれも仕方ないだろう。
「なにをしてるんだって? ホラ大きな声で元気よく言ってごらん?」
「……ぉ…おな…」
「ホラもうちょっと、ホレホレがんばれがんばれっ」
姉がうずめていた顔をきっと上げた。
興奮と羞恥で赤くした眼がうるうるとして、
ちょっと涙目になってる。
「私ももう大人なんだ! 大人がオナニーをしてたら悪いのか! 悪いのかええおう!?」
「やだなぁそんな大声でオナニーだなんてはしたない第一このおっぱいじゃとても大人に見えなイダブベシッ」
殴られた。
30 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:18:46 ID:9vWjo5/7
「この…馬鹿っ! 大体誰のせいで…」
姉は俯いて肩を震わせている。
「お前のいやらしい本を読んだせいで、その、身体が疼いたり、詳しいやり方を覚えたりしてしまったんじゃないかあ!」
「あっなに姉ちゃん俺のエロ本とか見てこっそりオナニーしてたわk」
また殴られた。
右こぶしで殴られたあと左こぶしで殴られた。
頭がクラクラする。
「ハァ…ハァ……ん、そうだ!」
姉が何かを思いついたような様子で顔を上げた。
瞳にはまた、涙とは別の輝きが宿っている。
いったい何を思いついたのであろう。
「男のオナニー見せてくれ!」
……ハァ?
「お前の部屋にあったエロ…つまりその、資料には女の描写や絵はあるんだが、男のオナニーしている様子が描かれているものが一つもないから、
よくわからないんだ。この機会にぜひ見ておきたい」
また何を言ってるんだこのバカ。
「いやだよそんなの。恥ずかしいし」
姉は作家志望とはばからずいうだけあってどこか常人離れした性格であるが、
おれは至ってノーマルだ。
他人にオナニーを見せつける趣味は持ち合わせていないし、
代わりにまともな羞恥心は持ち合わせていると自負している。
俺のまっこうからの否定に、姉が不満げな様子で口を開いた。
「『チキチキ! 24時間耐久制服美少女ハメドリ大作戦』というDVDを買うのは恥ずかしくないのにか?」
俺の秘蔵ビデオのタイトルである。
「どこで見た」
「10巻までコンプリートするのは恥ずかしくないのにか?」
「俺の机を開けたのか」
「お前なぁ、誕生日を鍵の番号なんかにしたら、家族には開けられるに決まってるじゃないか」
姉は阿呆を見下すような口調で言う。
確かに俺は阿呆であった。
「他にも色々あっただろう。『忍者ハメドリくん』だの『パイパニック』だの…」
「やめろ。やめてくれ。やめてください」
「ご町内のみなさーん! この男は
部屋の窓を開け大声をだそうとする姉の口をあわててふさいだ。
この女は本当にやりかねない。おれの秘蔵DVDタイトルをご町内にむかって喧伝するなんてことを。
しゃくではあるが、言うとおりにした方が得策なようだ。
31 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:19:59 ID:9vWjo5/7
「わかった。…だけど、見てもそんなに面白いものじゃないと思うけど」
「面白いか面白くないかはこちらが決める。お前はお前にできる最高のパフォーマンスを行えばいいのだ」
「パフォーマンスて」
「毎日やっていることだろう。いまさら何を恥ずかしがる」
「決めつけるなよ」
「やってるだろ?」
「……やってるけど」
「ウム、それでこそ若い健康的な男子と言えよう」
姉は妙に満足げにうなずいた。
「あ~…、う~…」
「何をウンウン唸っているのだ。まるで○○○○みたいに見えるぞ」
「えっなんて?」
「小説家なれば問題のある表現は避けてならないからな。ええいまだるっこしい。お前がやらないなら私が手伝ってやろうか」
姉が機敏な動きでおれのベルトに手をかける。
素早い。
「馬鹿っ! この変質者! 痴女!! そんなもの、他人に見せられるか!!」
「なんだ、恥ずかしいのか」
「さっきからそう言ってるだろ! このっ…」
「わかった。ではお前が恥ずかしくないようにまず私のをみせてやろう」
「はっ?」
言うが早いか、
すっくと立ち上がった姉はおもむろにワンピースの裾をめくり上げ、
さっと下着を脱ぎ捨てた。
「ふむ」
素早く脱ぐとベットの端に放り投げた。
胸の前で、両手を払うようにはたく。
今、姉のワンピースの下は、ノーブラで、ノーパンだ。
あの布一枚下に、一糸まとわぬ姉の体があるのか。
鼓動が変に高鳴る。
姉はおれが見ているのを意に介さないように、
スカートの裾に右手を滑り込ませた。
左手で右ひじを支えるようにして、少し前かがみになっている。
「あ……」
姉の口から熱い吐息が漏れた。
目に怪しい光が灯り、ねっとりと潤んでいる。
触って、いるのだろうか。
「ちょ、ちょっと」
「ん…ふぅ……、どうした……?」
「俺はまだ、なにも、するとは」
姉がスカートから右手を引き抜いた。
右手の人差し指と中指が、うっすらと光っているように見える。
32 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:20:26 ID:9vWjo5/7
まさか、
本当に触っていたのだろうか。
だとすれば、光っているのは、濡れているのだろうか。
おれがさっきからおっぱいをいっぱいいじっていたせいで、
姉は濡れたのか。
姉はゆっくりと俺に向かって手を伸ばし、
その次に顔を近づけてきた。
唇が触れ合う。
舌を入れられる。
軟体動物のような姉の舌先が、俺の口の中をしばらくさまよう。
「んっ……つまらないことを…言うな……」
姉が唇を離した代わり、
人差し指を突っ込んできた。
条件反射的に姉の指を嘗め取ってしまう。味わってしまう。
「ん…お前の舌、気持ちいいな。指でも」
姉が熱っぽい瞳でこちらを見ている。
自分の体の血管が膨張しているように感じる。
血圧が上がっている。
心拍数も上がっている。
つまるところおれは――
「興奮している、のか? お前も」
姉が表情を変えずに尋ねた。
その通りだと思った。
「もう一度言うが、お前のオナニーを見せてほしいんだ」
実のところさっきから、おれの股間は膨らんでいた。
屹立していた。
すごく硬くなっているのが、見ないでもわかる。
触りたい、刺激を送りたいと思っていた。
「……これっきりだぞ」
観念して下着を脱ぐことにした。
33 :名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:21:04 ID:9vWjo5/7
ベッドから立ち上がり、意を決してジーンズとトランクスをいっしょくたに脱ぎ捨てる。
少し迷って、
着ていたTシャツも脱ぐことにした。
下半身だけ素っ裸になるというのはやはりなんだかまぬけな気がするから。
姉相手とはいえ、
やはり、銭湯でもないのに全裸を見せつけるのは、気恥ずかしいものがある。
「おお……これが、勃起時のペニスか。通常時から3倍くらいの体積になっているんじゃないか? すごい膨張率だ」
「ボッキ時て。いや、たしかにそうだけど。っていうか、通常時のモノをみたことあんのかよ」
「あっ」
姉の表情は「口を滑らせた!」と明朗に語っていた。
最終更新:2011年01月24日 22:32