義理兄妹 1

414 名前:義理兄妹 1  ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/03/28(月) 14:56:15.90 ID:vGThuI8z
「お兄ちゃんのばか!!」
「ご、ごめん。ホントに今月はきついんだよ」
「でも、あのとき来月には買ってくれるっていった」
「うーん、わかった、じゃあ、今日のご飯はサキちゃんの好きなオムライスにしよう」
「!ほんと!・・・いや、だまされなよ、買ってくれるっていったもん」
「だーかーらー、それは無理なんだよ。それ以外。」
「・・・・・・わかった。じゃあ、さびしいとき一緒に寝てくれる?」
「サキちゃん、もうすぐ小学生だよ」
「だって、寂しいんだもん」
「はあー。寂しいときだけだよ」
「うん♪」
量の少ない、小さなポニーテールを揺らしながら、自分の手を取って家路につく笑顔の少女。つないだ手を元気よくふりながら鼻歌を歌っていた・・・

ガタンゴトガタンゴ・・・プシュー
「終点、◎×駅。お忘れ物のないようご注意ください。本日のご乗車ありがとうございます」
えええ!!寝過した・・・サキちゃんに叱られるなあ、はあ。そもそも、帰りが少し遅れただけで怒りすぎだよね。前は早く帰ってこなかった罰だとかいって日曜は外にだしてくれなかったし・・・
ピピピピピピピ
来た。この着信はとると確実に耳元で火を噴きますよね。うん。無視して早く帰ろっと・・・


415 名前:義理兄妹 1  ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/03/28(月) 14:59:17.19 ID:vGThuI8z
・・・と思って帰ってきた三十分前の自分を殴りたい。ああ、36のおっさん
が17の娘さんに怒られてるってのは笑える場面だ。いや、俺が当事者
なんで、全く笑えないがね、はは。というか、正座きつい。
「全く、お兄ちゃんはなんでそんなに寝過しが多いのよ。
一体、何回目?多すぎて数えきれないわよね」
「いやいや、寝過し程度でキレすぎだよ。」
「毎回毎回、一生懸命作った食事が冷めていくのを見る虚しさがわかる?」
「はい、ごめんなさい。もうなにも言いません。」
大分、委縮した俺を見て、サキちゃんは一つ溜息をもらした。
スッと通った鼻筋、黒曜石のような瞳、若干、茶色がかった
色の髪、白い肌、後、何て言ったってプロポージョン、特に
足の綺麗さなんて国宝級です。兄としてはうれしい限りです。
しかし、心配なことが一つ。サキちゃんには彼氏がいないらしい。
確かに、兄としては大事に育てた妹がお嫁にいくのは悲しいけど、それ以上
に幸せになってくれたという喜びがあるわけで、兄はサキちゃんの
今後が心配なんだよね。
「あのさ、サキちゃん」
「なによ。」
「・・・彼氏できた?」


416 名前:義理兄妹 1  ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/03/28(月) 15:00:41.36 ID:vGThuI8z
「!!なんでお兄ちゃんにそんなこと言われなきゃなんないのよ。だいたい、そういうナイーブなとこ聞く?ほんっとにデリカシーがないよ。」
「違うよ。心配なんだよ。だから、ほら」
そう言いながら、差し出したのは地元の遊園地のペアチケットだ。
「なによ!わたしから、男を誘えっていうの?そんな、媚びた様な真似できないわよ」
「いや、でもさ、最近は肉食系女子ってのが流行ってるらしいし、ひとつ積極的になるのもいいんじゃないかと」
「・・・間に合ってるわよ」


417 名前:義理兄妹 1  ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/03/28(月) 15:01:43.75 ID:vGThuI8z
間に合っている?
間に合っている→必要ない→満足している→彼氏がいる!!
「うわー!どうしよう、どうしよう。お祝いは何がいいのかな?赤飯炊くべき?」
「??なにを勘違いしてるの」
「だって彼氏できたんでしょ」
「・・・もういい!!おやすみ!!!」
鼓膜が痛い。叫ばなくてもいいんじゃないかな。顔を真っ赤にしてサキちゃんは二階に上がっていってしまった。どうしよう、やっぱり女の子は難しいなあ。なにがいけなかったのかな。鼓膜いたい。


418 名前:義理兄妹 1  ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/03/28(月) 15:03:29.24 ID:vGThuI8z
猛省のなか、風呂に入り、布団のなかでうつらうつらしていると
ノックの音が聞こえてきた。サキちゃんが来たみたいだ。
「どうぞ」というと、枕をもったサキちゃんがゆっくりとした
動作で、暗闇のなか、入ってきた。
「あのさ、えっと、その・・・一緒に寝てもいい?」
「お嬢さん、御歳は?」
「17よ!!なによ、約束したじゃない」
「いやはや、あの頃は小さかったしね」
「もういい!!」
暗くて顔の色は解らないが、おそらく怒りで真っ赤なのだろう。
やばい、これ以上、怒らせては、明日の弁当が人参パラダイスと化す。
サキちゃんをからかうのは面白いが、人参はその楽しさを帳消しにする力がある。
「待って。なにも聞かないから。」
「・・・一緒に寝てもいいの?」
「バッチコーイ」
「・・・おじゃまします」
小ボケには付き合ってくれないらしい。ヤベー、相当怒らせてるよね。
反省、反省っと。
「すっごい寂しいことがあったんだ。」
「うん、知ってる。サキちゃんがこうするのって寂しい時だけだもんね」
「・・・・・・アリガト」
それ以後は会話はなかった。サキちゃんの肩と枕の隙間に片腕を通して、
もう片腕はサキちゃんの脇の下を通して、背中と後頭部を包み込む。
小さなころから二人で寝るときはこの格好だったなと思いながら眠りに落ちて行った。


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最終更新:2011年04月09日 17:28
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