還元濃縮姉

552 名前:還元濃縮姉1[sage] 投稿日:2011/09/21(水) 01:14:43.39 ID:iClNYImP
「兄さん」

僕の妹、頼子は非の打ち所のない人間だ。
成績は常にトップで運動神経も抜群。だからといってその優秀さを鼻にかけることもない。
母譲りの美貌に高校生とは思えないスタイル。
本人は胸の小ささを気にしているようだけれど、そんなもの、周囲から見れば悩みの内にも入らないだろう。

「兄さん」

男はおろか、女の子からも毎年、愛の告白を受けていると聞いたのはもう随分前のこと。
うってかわって中肉中背、これといって長所もなければ短所もない、無い無いだらけの兄である僕とは大違い。
おそらくきっと、兄に与えられるはずだった才能とか色んなものを全て妹に取られてしまったのだろう。
だから僕は「ツインズ」という映画を笑えないし、ドラえもんには同情だってする。

「兄さんっ」

でも仕方ないことだ。妹のほうが稀有な存在なだけで、誰だって凡庸な自分に悩むんだ。
妹との差を見せつけられる度、僕はそう思うことにしている。
けど、それでも納得いかないことが一つだけある。

「兄さん!!」


553 名前:還元濃縮姉2[sage] 投稿日:2011/09/21(水) 01:23:58.64 ID:iClNYImP
「ヒドイです、兄さん。私がこんなにも呼んでいるというのに」

そう言って頼子は本当に、本当に悲しそうな顔をする。
やめてくれ頼子。お前にそんな顔をさせるほど、僕はたいした人間じゃない。
そういった旨を伝えても、頼子はスッと綺麗に伸びた眉をハの字にさせるばかりだ。

「いえ、愛する人のことですから。悲しむのは当然のことです」

愛する人。その言葉を聞いて僕の目の前は何度もチカチカと点滅する。
そう、完全無欠の妹の唯一にして最大の欠点。
実の兄である僕を愛しているということだ。
幼い頃から僕の側をついて離れず、成長し、周囲から際立った人間として注目されるようになってからもそれは変わらなかった。
おかげで幾度と無く妹と比較され、以前はそんな妹に恨みさえ抱いていたが、結局は彼女の愛の前に全てを屈服するハメになるのだ。

「丁寧な説明、ありがとうございます。では、今の兄さんと私の状況も説明していただけますか?」

そう言って頼子は万人を魅了する笑顔を向ける。
けど、僕にはその笑みが餌を前にする猛禽類の昂ぶりにしか見えない。
なにより僕は今、彼女に捕食されているのだ。


554 名前:還元濃縮姉3[sage] 投稿日:2011/09/21(水) 01:31:02.52 ID:iClNYImP
「それでは語弊があります、兄さん。正しく精確に、私とセックスしている、と」

僕の上で跳ねる妹。キュッと絞まる肉襞が僕の分身を容易に追い詰めていく。
妹も興奮しているのだろう。烏の濡羽色なんて呼ばれる長い黒髪を乱しながら、頼子は目を細めた。

「ほら、兄さん。我慢なんてしないでください。また私の中に、ん……!」

僕の上で妹が小刻みに震える。おそらく絶頂に達しているのだろう。
同時に僕のソレが急激に絞めつけられ、抵抗することも出来ずに僕は妹の中に射精してしまう。

「ふぁ……兄さんの……! すごいっ。なんで、こんな、ん! ……気持ち良いことを我慢して……!」

いずれはこういうことになるだろうと思っていた。
お互いにもう男女として分別をつけなければいけない年齢になっても妹は僕から離れようとしない。
むしろ、事あるごとに僕に愛を囁きながら添い寝だの、一緒にお風呂だのを要求していたのだ。
両親もいる前で言い出した時にはヒヤリとしたが、両親からのお咎めは一切なし。おそらく上手く言い逃れているのだろう。

「んあ……また、中で大き、く……! 嬉しいです……!」

もう何回戦か分からない状況で、また妹が嬉々として動き出す。
いくら縛られているとは言え、いい加減、どうにかしなければならない。
なにより、僕が襲われているのは居間。共働きの両親がそろそろ帰ってくる頃だ。


555 名前:還元濃縮姉4[sage] 投稿日:2011/09/21(水) 01:36:59.68 ID:iClNYImP
「頼子、頼むからっ。もう……母さんが帰ってくる……!」
「兄さん……兄さん……!」

僕がなけなしの体力を振り絞って説得しようとしても頼子は聞こうとしない。
むしろその悦楽の笑みの中に、なにかもっとドス黒いものが垣間見えたのだけれど、僕にその真意が読み取れるはずもない。


しばらく後、玄関から物音がした。ついに親が帰ってきた。
なりふり構わずに体をバタバタと動かそうとしてもビクともしない。廊下を歩く音。
まずい。まずい。僕はともかく、妹までこんなことで傷つけたくないのに!

ガチャリ。

運命の音が響き、母が顔を見せる。頼子の姉と言っても通る若々しさは子供ながら誇らしいけれど、そんなことは今は関係ない。

「あら……」

目の前にはソファの上でまぐわう兄妹。言い訳する言葉も見つからないまま、目を合わせて硬直してしまう。
終わった。何もかもが爆発し、目の前が真っ暗になりかけた刹那、母は「ただいま」とでも言うように口を開いた。


556 名前:還元濃縮姉5[sage] 投稿日:2011/09/21(水) 01:42:46.30 ID:iClNYImP
「やっと結ばれたのね。これでようやく安心したわ」
「ご心配おかけしました、母さん」

え? え?
真っ暗どころか目の前が極彩色になりそうなくらい混乱した僕に、母は垂れ目がちの大きな瞳を細めた。

「でも羨ましいわ。私も久しぶりに弟く、お父さんとイチャイチャしようかしら」
「それは良いことですね。でも避妊はしっかりお願いしますね。今更、泥棒猫なんていりませんから」

なにかとんでもなくとんでもない会話を続ける二人。
そのうちに母さんはニコニコと別室へ移動し、また僕と頼子の二人だけ。

「頼子、これはどういう……」

先ほどまでの獰猛な美貌はどこへやら、どこかすっとぼけた笑顔を浮かべる妹はしばらくの逡巡の後、こう答えた。

血は争えないということですよ。兄さん」

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最終更新:2011年10月21日 22:39
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