67 :
狂依存 288 [sage] :2011/12/01(木) 18:43:30.82 ID:knyNFC3e (2/14)
「どうしたんだろう……?」
携帯電話を見つめ、ぼそっと呟く。
もう10日以上、沙耶さんと会ってないし、電話もメールもまったく来ない。
こちらからかけても、全く応答が無いし、麻由お姉ちゃんに聞いても知らないという。
前は嫌がらせかと思うくらい、メールも送ってきたし、僕を待ち伏せして強引にホテルや自宅に連れ込んだり、家に押しかけてきたりしてたのに……。
明らかに何かあったのだろう。
どうしよう?家に行って様子を来ようかな?
「ふふ……どうしたの、そんな難しい顔をして」
「うわ!あ……麻由お姉ちゃん……」
麻由お姉ちゃんが背後からそっと抱きつき、胸を押し当ててくる。
「あの、麻由お姉ちゃん。本当に沙耶さんどうしたのか知らない?もう10日以上電話もメールも来ないんだけど……」
「あの女のことが心配なの?私という奥さんがいながら、他の女の心配をするなんて罪な男ね」
「心配って、それはその……」
沙耶さんは一応、僕の……彼女、なのかな?
僕の女にするとか勝手な事を言っちゃったけど、付き合うとかそういう事は言ってなかった……いや、今はどうでもいい。
「言っておくけど、私は沙耶との事を認める気は一生無いわよ。ただ、しばらくはあなたの好きにしていいわよと言っただけ。あなたには私がいれば十分じゃない。ん……んふう……」
麻由お姉ちゃんは僕の顔を掴んで強引に口付けをしてきた。
「ん、んふう……ねえ、大輝……早く夜のお勤めしましょう……昨日はしてくれなかったじゃない……」
「あ、あのね、麻由お姉ちゃん。もう追い込みをかけなきゃいけない時期だし、あまり遊んでいる暇は……」
ただでさえ、勉強がかなり遅れがちなのに、これ以上セックスで時間と体力を奪われたら、本当に何処も受からなくなってしまう。
麻由お姉ちゃんと同じ大学……は、もう無理かもしれないけど、やるだけの事はしないと……。
「大丈夫よ。今の成績でもそれなりの大学には行けるわ。それより、気分転換にお姉ちゃんとセックスしましょう……ここ、昨日からご無沙汰してるんでしょう」
僕の股間を指でつんつんと突き、頬にキスしながら誘ってくる。
まさかとは思ってるが、麻由お姉ちゃんは僕の受験勉強を邪魔してる様にしか見えない。
僕に勉強よりも自分の事を優先させろとでも言いたいのだろうか?
「もう……じゃあ、こうするわ……」
「ふえ?ちょっと、何を……」
麻由お姉ちゃんはしゃがみこみ、僕のズボンのファスナーとトランクスを引きずり下ろして肉棒を露出させる。
「ん、はむ……ちゅっ、ちゅぷ……ちゅ……これで、我慢してあげるわ。ん……」
僕のち○ぽ手で軽く擦った後、口に咥え、フェラを開始する。
「あん……ん、ちゅぷ……じゅるっ、ちゅ……したくなったらいつでも言ってね。ちゅっ、んちゅ……」
したいのは山々だが、もう時間もあまり無いし、今は勉強を最優先させたい。
やったら、時間も体力も奪われてしまうし、仕方ないのでこのまま好きにやらせる事にした。
気持ち良すぎて集中できるか怪しいけど……。
「ん、ちゅっ……ん、んぐっ……!ん、んふう……」
腰を動かして肉棒を出し入れし、麻由お姉ちゃんの口にセックスしている時みたいに使う。
これで、早く出してさっさと部屋から出てもらおう。
「ん、んふう、ちゅぷっ、んちゅっ……ちゅるっ、ちゅるっ、じゅっ、じゅるっ、ん、んふうっ!!」
やっている内に麻由お姉ちゃんの口を犯している事に妙な興奮を覚え、次第に腰を動かすスピードを速める。
麻由お姉ちゃんもその動きに応じて、懸命に僕の一物を舌まで使って丁寧にしゃぶり、口の中に出し入れしていく。
「ん、んふう……ちゅっ、んふっ……じゅるっ、じゅるっ……じゅっ、んちゅ……ん、んううう……!」
結局、このまま麻由お姉ちゃんの口の中に出し、そのまま遅くまで勉強を続けた。
まあ……良い、気分転換にはなった……かも……。
翌朝――
朝起きて、早速携帯をチェックするが、やはり沙耶さんからのメールも電話も来ていない。
一応、こちらからも掛けてみたが、着信拒否でもされているのか、繋がらなかった。
「本当にどうしちゃったんだろう……?」
流石に心配になっていく。あれだけ、しつこく迫ってきた沙耶さんが今になって急に音沙汰がなくなるなんて……。
「沙耶さんの家に行って様子を見たほうが良いのかな……?」
ちょうど、今日は休みだし行って家に行って様子を見てくるべきなのかも。
とは言え、一人で沙耶さんの家に行くのは流石に抵抗がある。
沙耶さんのお母さんとは以前会ったとは言え、あまり良い印象を持たれなかったみたいだし、どういう関係か説明したら良いのかもわからない。
68 :狂依存 289 [sage] :2011/12/01(木) 18:44:10.62 ID:knyNFC3e (3/14)
一応、沙耶さんとの交際を認めてくれているのかな……?いや、でもやっぱり……そうだ。
「麻由お姉ちゃんに行かせて、様子を見てもらうのは……」
「そんなに沙耶の事が気になるのかしら?」
「うわっ!って、麻由お姉ちゃん?」
背後から、いきなり声を掛けられ、思わず声を上げる。
この人はどうして、僕の気づかない間に背後に立っていることが多いんだろう?
「また、沙耶と三人でセックスしたいのかしら?……私という奥さんがいながら、本当に罪な夫よねえ……」
麻由お姉ちゃんと沙耶さんと三人でセックス……この前、沙耶さんが家に来た時にしたのが最後だからもう10日以上やっていない。
以前は嫌であったが、やり始めると頭がおかしくなりそうなぐらい気持ち良くなるし、麻由お姉ちゃん一人相手のセックスもそろそろ飽きてきた頃だ。
だから、そろそろ……。
(って、何考えてるんだ……僕は……)
「あなたが望むなら、私があいつの家に来て無理矢理にでも引っ張って来てやっても良いわ。遠慮なんかしないで、私を頼ってえ……あなたの言うことなら何でもするって言ってるでしょう……」
麻由お姉ちゃんは僕に抱きつき、目と鼻の先まで唇が触れ合うんじゃないかというぐらいまで顔を近づけて、艶かしい声で迫ってくる。
う……確かに、麻由お姉ちゃんに行かせれば楽なんだろうけど、正直何をしでかすかわからないし、何より僕の方からちゃんと沙耶さんと話をしたい気持ちもある。
「ん、んふう……ちゅっ……優しいのね……でも、大丈夫よ。あいつに危害を加えないって約束はしてあげるから……ちゅっ……」
僕にキスをして、おねだりする様に体を擦り付けて来る麻由お姉ちゃん。
仕方ない……ここはお言葉に甘えるとしよう。
「ん……じゃ、じゃあお願いできるかな?別に連れ出さなくてもちょっと様子を見てくるだけでいいからさ……」
「ふふ……わかったわ。じゃあ、今支度して行って来るから。楽しみに待っててね」
「うん、ありがとう……」
「本当に大丈夫かな……」
電柱に隠れて、沙耶さんの家に向かう麻由お姉ちゃんの後を付ける。
車で行っても、沙耶さんの家は完全に塀に囲まれていて余分な車庫も無い為、置く場所に困るという事なので歩いていくことにした様だ。
これは好都合とばかりに、麻由お姉ちゃんの後を付けて沙耶さんの様子を見に行く事にした。
麻由お姉ちゃんに任せはしたものの、やはり不安感を拭う事は出来なかったからだ。
もしかしたら、麻由お姉ちゃんも僕が後をつけてくる事に気づいているのかもしれないが、それならそれで別に構わない。
(僕が付いてきてるとわかってれば、沙耶さんに変な事もしないだろうしね……)
ピンポーン
そう考えているうちに麻由お姉ちゃんは沙耶さんの家に着き、呼び鈴を鳴らした。
鳴らした後、インターホンに近づき、しばらく誰かと会話をすると、すぐにこちらに向かってきた。
やばっ……こっちに来る。
「そんなに怖がらないで。別に怒っていないから」
「え……ああ、ごめん……」
麻由お姉ちゃんは交差点の角に隠れていた苦笑しながら、僕に話しかけ、観念して僕も麻由お姉ちゃんの前に姿を現す。
やっぱり、後を付けているのに気づいていたのか……。
「あの……沙耶さんは何だって?家に居たの?」
「おばさんが出たけど、あいつは今、体調が悪くて寝込んでいるそうよ。お見舞いに行くのもしゃくだから、それだけ聞いてさっさと帰ったけど」
「そう……体調が悪いっていつから?この前家に来た時、様子がおかしかったと思うんだけど」
麻由お姉ちゃんと一緒に出かけて、帰ったあの日の夜――あの時、沙耶さんはまるで何かから逃げ出すように家から飛び出していった。
僕の部屋もやたらろ散らかっていたし、一体何があったんだろう……?
「悲しいわ……私という女がいながら、他の女の心配をするなんて……」
僕が考え込んでいると、麻由お姉ちゃんは僕の肩に手を掛けて体を擦り寄らせ、艶かしい声で呟いてきた。
「へ……いや、そりゃ体調が悪くって寝込んでるって聞かれれば、心配にもなるわけで……」
「そんなに沙耶とセックスしたいの……?私だけでは不満?ん……」
「ちょっと、駄目だってこんな所で」
僕に抱きついて、軽くキスをしてきたので慌てて麻由お姉ちゃんの体を引き離す。
69 :狂依存 290 [sage] :2011/12/01(木) 18:45:06.69 ID:knyNFC3e (4/14)
「沙耶はもうあなたの事は飽きたのよ。あいつはあんだけ、あなたが好きだの愛してるだの言ってたのも、ちょっと酔っていただけ。それが醒めたのよ。あなたへの愛も所詮、その程度だったんだわ」
「そ、そうなの……?うーん、でも……」
ちょっと、酔っていただけ……確かに沙耶さんは何かに憑りつかれたみたいな感じだったというか、変な薬でもやってたんじゃないかというぐらいの豹変ぶりだったしな。
それが、何かの拍子で突然正気に戻ったという事なのだろうか?
でも、それでも……。
「それでも、沙耶さんとはちゃんと話をしたいんだ。お互いの気持ちをはっきりさせておかないと、いけないと思うし」
「お互いの気持ち?あなたはあいつの事、体しか考えてなかったでしょ。好きな時に好きなだけやらせてくれる女。ただ、それだけの存在。その女があなたへの愛が冷めて、もう抱かせてくれないっていうなら、もう用済みじゃない」
「そんな事……!」
無い……とは、言えない……。
僕は沙耶さんを何度も抱いたけど、本当にそれだけの関係だった。
好きだったわけでも無いけど、好きなだけやらせてくれるみたいな態度を取ってたし、実際にやらせてくれたから、その好意に甘えて好き勝手やってたけど、向こうにその気がなくなったのなら、もうこちらから無理強いする事は出来ない。
元々、沙耶さんの事は何とも思ってなかったし、初めて抱いた以降はむしろ、迷惑に思ってたじゃないか。
「早く、帰りましょう。あなたの事を真に愛しているのは私だけってのがわかったでしょ?もうここに来る事も無いし、あいつも姿を現す事もないわ」
「うん……そうだね……」
腑に落ちない所もあったが、麻由お姉ちゃんがそこまで言うのなら、そうなのかもしれない。
「一つだけ、約束してくれるかな?」
「何?」
「沙耶さんには何もしないで欲しいんだ。こうなったのは僕の責任でもあるんだし、麻由お姉ちゃんの気持ちを踏み躙って、沙耶さんを何度も抱いたのは事実だから、責めるのなら僕を責めてくれ」
「あん……自分の愛する夫を奪うような女に何もしないなんて、無体な要求しちゃって。お姉ちゃん守れるかどうか自信ないわ」
再び、僕に抱きつき、ふざけた口調で僕のお願いにそう答える。
「お願いだから……ね?沙耶さんが僕に愛想をつかして、姿を現さなくなったっていうなら、それ以上何もする必要ないじゃないか」
もし、麻由お姉ちゃんが沙耶さんに何かしたら、またおかしな事になりかねない。
そっとしといた方が一番、良いんだ……。
「……わかったわ。その代わり、私の事をこれまで以上に愛してもらうわよ」
「これまで以上って?」
「もちろん、あの女を忘れさせるぐらい、お姉ちゃんを満足させてねって事よ……ん、んふう……」
麻由お姉ちゃんは僕に抱きついて、またキスをした後、僕の手を引いて二人で家へと帰った。
まだ、気がかりではあったけど、ほとぼりが冷めるまで待ったほうが良いかと思い、今はこの場を後にする事にした。
「ああんっ!!は……やっ、あああああぁぁぁっっ!!」
麻由お姉ちゃんを裸に引ん剥いた後、陰唇を吸い、秘所全体を口で貪る。
帰宅した後、麻由お姉ちゃんの部屋に行き、すぐにベッドに押し倒して交わり始めた。
何となく、ムラムラして麻由お姉ちゃんとセックスしたかった。
「ああんっっ……そこ、強くしちゃ……あ!あっ、はんっ!!」
ただ、何となく姉とセックスしたいからするなんて、普通じゃないのはわかってる。
だけど、今はそんな事はどうでも良かった。
「あっ、あああっっ!!ねえ……早く、入れてえ……お姉ちゃんのおまんこお……夕べから、ぐちょぐちょなの……はっ!ああああぁぁぁっっ!!」
麻由お姉ちゃんのリクエスト通り、股を思いっきり開いて、秘所に肉棒を当ててすかさず挿入して、ぐいぐちいと押し当てる様に腰を降り、子宮を突く。
「はああっっ!!良いわ!もっと、突いてえ!あっ、あっ!!んああっっ!!はあんっっ!!」
いつも以上に激しく犯すと、麻由お姉ちゃんも膣中で締め付けて、腰をいやらしく振る。
とにかく、今は麻由お姉ちゃんとしたい。犯したい。それ以外の事は考えられなかった。
「はあんっ!!あっ、はふ……ん、んふうっ……ん、んふう……」
体を倒して麻由お姉ちゃんにキスし、二人で抱き合いながら寝返りを打って激しく唇を押し付けあう。
沙耶さんは本当にもう抱かせてくれないのか?そう思うと、何故かもやもやした気分になって、その気分を晴らすかのように麻由お姉ちゃんを犯しまくった。
「ん……!やっ、そこは駄目……あっ、はああああぁぁぁっっ!!」
70 :狂依存 291 [sage] :2011/12/01(木) 18:46:20.88 ID:knyNFC3e (5/14)
口を離した後、麻由お姉ちゃんを四つん這いにして穴にぶち込む。
「はぐうんっ!!あっ、やん……きついい……あっ、ああああっっー!!」
苦しそうな声をしてるが、それでも構わず腰を振り、麻由お姉ちゃんをお尻を自ら突き出して喘ぎまくっている。
今更だけど、
その後も様々な体位で犯しまくり、中にザーメンを思いっきり注入していった。
とにかく、麻由お姉ちゃんを
「ふふ……寝ちゃったか……」
私の膣中で何度目かの射精をした後、犯り過ぎて疲れてしまったのか、そのまま倒れこみぐっすりと寝てしまった。
「こんなに私だけを愛してくれるなんて……もう、すっかり私とのセックスが生活の一部になったみたいね」
今日のこの子は沙耶の事を忘れたいがために、私を犯しまくった。
妻としてこんなに嬉しい事は無いわ。
だって、体で夫のご奉仕をするのが妻としての一番の役目だと思ってるし、そんな理由で抱いてくれるなんて本当に好きでなければ出来ない。
「でも、まだあの女の体が忘れられないみたいね」
私を抱く事に躊躇がなくなったのは良い事だが、困った事に沙耶の体の味も完全には忘れられずにいる。
まだまだ、私の体だけで満足させるには時間がかかりそうだ。
「そろそろ、行こうかな」
頬に軽くキスした後、立ち上がり、着替えて身支度を整える。
あのクズ女との話をつけなければならない。
大輝の幸せの為に私がやらなければならないんだ。
ピンポーン……
再び、沙耶の家に行き門の呼び鈴を鳴らす。
「はい……っ!?」
インターホンから聞き慣れた返事がすると、驚いた様な声が上がった。
「あら、起きてたの。体調が悪いからって聞いて、改めてお見舞いに来てやったわ。おじさんとおばさんはいるの?」
「今、出かけてる……でも、大丈夫だから早く帰って」
震えているのか明らかに覇気の無い声で、返事をする。
「ふーん……大輝が心配してお見舞いの品を渡す様に頼まれたんだけど、いらないのね。じゃあ、このまま帰るわ」
「待って!……良いよ。やっぱり上がって」
と、慌てて答えた後、門を開けて玄関へと向かう。
「入って……」
「お邪魔します。何よ、元気そうじゃない」
家に入ると、青い顔をして私を出迎え、がたがたと震えていた。
不死身とかほざいて、大輝にしつこく付きまとっていた時の面影は既に無く、今まで見たこと無いくらい弱々しい姿を私の前に曝け出していた。
「ここに来るのもしばらくぶりね。この前来たのは、大輝と一緒だったかしら?」
震えている沙耶を尻目に勝手に家に上がり、階段を昇って沙耶の部屋へと歩いていく。
「……私をどうする気?」
「ん?あんたの想像通りだけど……!」
「ぐっ!んがああっっ!!」
階段を昇り終わろうとした所で沙耶が声を掛けると、すぐに振り返り、首を掴む。
「がはっ!んあああ……!」
「あっ、ははははっっ!!どうしたのかしら、そんな苦しそうな顔をして?あんた不死身なんだから、これぐらい何とも無いはずよね。あははは!おら!」
沙耶の首を絞めながら、部屋に入り、ベッドに放り投げる。
「げほっ!!ごほっ!!」
「ふふ……すっかり、正気に戻ったみたいね。嬉しいわ……大好きな友達の病気が治ったみたいで」
愉快な気分でベッドで苦しそうにむせている沙耶の襟首を掴み、
「それにしても、あんたの愛も脆い物だったわね。たかが昔の主人の写真を見たぐらいであんなに取り乱して、そのまま醒めちゃうなんて。それで、大輝の婚約者面して、私の事を小馬鹿にしてたなんてね!!」
「がはっ!!止めてえ……」
沙耶のお腹にパンチを食らわせて黙らせた後、ベッドに跨り、更に首を絞める。
今までとは違って、明らかに苦しそうなで余裕の無い表情。
大輝への愛が崩壊して、妙な神通力もなくなってしまったようだ。
(ああ……何て、愉快な顔。この泥棒猫を始末出来る日がようやく来たわ)
このまま絞め殺してやりたいが、簡単に殺してはつまらないのでもう少し話を続ける事にした。
71 :狂依存 292 [sage] :2011/12/01(木) 18:47:11.35 ID:knyNFC3e (6/14)
「今日もついさっき、家で大輝とセックスしたばかりよ。あの子ったら、私のお尻まで犯しちゃって……ふふ……もう、私の体全ての虜になったみたいね……ああん……」
「ごほっ!何が言いたいのよ……」
「あん?折角、私たち夫婦がどれだけ愛し合っているかじっくり聞かせてあげようとしているのに、何よその態度は?ああ!?」
パンっ!!
沙耶の顔を思いっきり、平手打ちし、
「ふん。つまらない女ね。ほら、大輝からのお見舞いの品よ」
「……」
バッグから取り出した物をベッドで悶えている沙耶に強引に手渡し、見せ付ける。
「何……これ?」
「見てわからない?首吊り用の縄よ。あの子、もうあんたに飽きたから、死んで欲しいって。光栄に思いなさい。愛する人が
プレゼントした縄で果てる事が出来るなんて女冥利に尽きるじゃない」
「嘘よ……私を殺したいなら、早くやれば良いじゃない……どうせ、謝っても許してくれないのはわかってる。だったら……」
「ふーん。わかってるみたいで何よりね。でも、私もあんたの元友達として正気に戻ったお祝いに、自ら命を絶つ権利をプレゼントしてやるわ。さっさとしなさい」
突き放した様に、言うと沙耶は起き上がって黙って手渡した縄を見つめる。
この前、同じことを要求してまんまとこいつの罠に嵌められたが、今のこいつは抵抗する気力を完全に失くしているので、警戒する必要も無い。
「うっ……うっ、う……」
俯いて、涙を流して泣き始める沙耶。
罪の意識からか、絶望感からか、その両方か?一つ確かなのは、今回は演技ではなく、本当に泣いていた事であった。
うーん……良い顔。こいつの絶望した泣き顔を見れただけでも来た甲斐があったわ。
「くくく……散々、私達をコケにしてきたのに、随分と余裕がなくなっちゃったじゃない」
「私は……本気で大輝の事を好きだったんだよ……全部好きだと思っていたし、幸せだった。でも、昔のアルバムの写真を見たら急に自分の気持ちに自身がなくなってきて、それで何やってたんだろうって気持ちになって……」
どんな表情をしているか窺い知る事が出来ないくらい、俯いてゆっくりと震えた口調で語りだす。
その様子は傍から見たら、哀れそのものであった。
「自分の心の中で、崩れ落ちちゃった様な気分になったんだ。そしたら、急に体が重くなって体のあちこちも痛くなってきて……もう、大輝とは会わない。これじゃ、会っても何も出来ない……」
「言いたい事はそれだけかしら?」
「え?」
「もう、思い残す事は無いわよね。感謝しなさいよ、、遺言を私に打ち明かす時間までくれてやったんだから。そら……!」
「がは!あっ……!」
沙耶を再び押し倒し、首を思いっきり締め付ける。
さあて、このままゆっくりと絞め殺した後、縄にくくりつけて自殺に見せかけておくか。
「あがっ!あっ、いぎい……」
沙耶は首を絞めてる私の手を掴んで、必死にあがいている。
だが、元々非力な女である沙耶に私の手を引き剥がす事など出来るはずもなかった。
じわりじわりと締め上げる力を強めると、どんどん青白い顔をになっていき、苦悶に満ちた表情をしながら涙が零れ落ちていた。
ああ……遂に大輝と二人きりの時間が来るのね……。待っててね、あなた。
もうすぐ、終わりにしてあげるから……
「がっ!あは……ん、んあ……」
沙耶の抵抗も弱まっていき、いよいよ、この女の命も風前の灯となってきた。
さあ!地獄行きの片道切符をプレゼントしてやるわよ。
これで大輝と二人で……
麻由お姉ちゃん――
「っ!?」
「んっ!げほっ!ごほっっ!!」
……
こいつをもうすぐ絞め殺そうとした瞬間――ふいに大輝の顔と声が頭に浮かんだ。
「がほっ!げほっ、ごほ……麻由ちゃん……?」
どれくらい、そうしていただろうか?
手を離し、咳き込む沙耶に跨りながら、しばらく動く事が出来なかった。
何をしていたんだろう?今のこいつを殺して、何が変わると思ったんだろう?
私はあの子の将来を血で染めようとしていたのか?
「何を……しようと……」
本当にあの子の事が好きなら、あの子の将来まで台無しにするような真似をするなんて、思わないはず。
それなのに、沙耶が憎いってだけで、無抵抗で弱ってるこいつを手に掛けようとして……。
自分の事しか考えていないじゃないか。
私は本当に大輝の事……
好きなの――?
72 :狂依存 293 [sage] :2011/12/01(木) 18:48:11.72 ID:knyNFC3e (7/14)
ドクン!
「あっ、あぐうううっっ!!」
あれ?頭が……何?
「あぐっ……!は……」
突然、頭がキーンとして重くなり、ベッドからずり落ちて、床で頭を抱えながら四つん這いになる。
何……?何なの?
誰か、助けて……。
「うっ、あああああぁぁぁぁっっっ!!!!」
「……ま、麻由ちゃん……?」
今までやっていた事が走馬灯のごとく次々と頭をよぎり、その度に胸が締め付けられていく。
そして、心の中で何か大事な物が外に溢れ出して、止まらなくなってくるような感覚に襲われた。
嫌だ……何だ、この気持ち……?嫌だ!駄目だ!!出て行かないで!!
大輝……助けて……!
「あっ、あああ……」
「え、えっと……どうしたの……?」
「くっ、嫌だ……こんなの、嫌だ……!嫌だっ!!!!」
頭を抱えながら、沙耶の部屋を出て、走って家を飛び出す。
どうして……どうして、いきなりこんな気持ちに……?
いや、私は何を……大輝に何をしてきたの?
今はどうでも良い。とにかくここにはいられない。
「ん……?あれ、麻由お姉ちゃんは?」
目が覚めると、麻由お姉ちゃんが家の何処にもいなかった。
買い物にでも出かけたのかな?何て、思いながら階段を昇り部屋に戻ろうとすると、
バタンっ!!
「っ!?何だ!?」
突然、玄関のドアが閉まる音がしたので、降りてみると麻由お姉ちゃんが靴を脱ぎ捨て、走って自分の部屋へと駆け込んでいった。
「ちょっと!どうしたの?」
部屋のドアをノックして、麻由お姉ちゃんに呼びかけるが全く返事が無い。
入ろうとしても鍵が掛けられていて、立ち入る事も出来なかった。
「麻由お姉ちゃん!何があったの?何処か、具合でも……」
話しかけても一向に返事が無い。
今まで、見たことも無いような取り乱した様子で、家に帰って部屋に閉じこもっていたので、一体何があったのかと不安になる。
「どうしよう……?返事も無いし……」
何があったか良くわからないが、とにかくしばらくそっとしておこう。
いずれ、落ち着けば事情も話してくれるだろうと信じて、その場を後にした。
「う……お腹空いた……」
机に向かいながら、時計の針を見ると既に夜の8時を過ぎていた。
麻由お姉ちゃんが帰ってから、受験勉強をして気分を落ち着かせていたが、一向に部屋から出てくる様子も無い。
今日の夕飯、どうしよう……?
お母さんたちがいなくなってから、ご飯の用意は全部麻由お姉ちゃんがやっていたし、それが当たり前になっていて今日もそのつもりだったが、もし麻由お姉ちゃんが具合が悪くて作れないのなら、僕が作らなければならない。
「麻由お姉ちゃん。夕飯はどうするの?麻由お姉ちゃん」
部屋を出て、麻由お姉ちゃんに呼びかけるが、尚も返事が無い。
流石に心配になってきたが、鍵が掛けられてるので入る事が出来ない。まさか、中で首でも……と、不吉な予感に襲われる。
「麻由お姉ちゃん!そこにいるんだよね?お願いだから、返事だけでもして」
強くドアを叩き、更に大声で話しかけるが、未だに返事が無い。
どうしよう?いざとなったら、ドアを蹴破って……何て、出来るのか……?
そうだ、携帯のメールで……
「ごめん……今日は良い……」
「え?麻由お姉ちゃん?」
と、ドアの向こう側からぽつりと麻由お姉ちゃんの声が聞こえ、再びドアをノックする。
何て言ってたかは良く聞き取れなかったが、ようやく声を聞く事に出来たので、とりあえず安堵した。
仕方ない、僕は今日はカップ麺でも良いか……と、思い台所に降りて納戸を調べて、いくつか取り出して見る。
思い起こせば、カップ麺なんて久しく食べていなかった。ずっと、麻由お姉ちゃんが作ってくれていたから、食べる機会もなかったのだ。
このカップ麺もお父さん達がいる時に買い溜めしたものだと思う。
カップ麺だけでは足りないので、炊飯器も開けてみたが、見事に空であった。
うーん……どうしよう?具合が悪いのなら、麻由お姉ちゃんにも何か作って食べさせてあげないといけないけど、カップ麺を食べさせるわけにもいかないしなあ……。
料理などほとんどした事無いが、一応米の炊き方と味噌汁の作り方はお母さんに念入りに教わったので、ご飯だけでも炊いておくか。
73 :狂依存 294 [sage] :2011/12/01(木) 18:49:32.24 ID:knyNFC3e (8/14)
「麻由お姉ちゃん。今日のご飯だけど、具合が悪くて食欲が悪いならお粥でも作るけど……」
米を研いで、炊飯器にセットした後、麻由お姉ちゃんの部屋に行って話しかけるが、やっぱり返事が無い。
「ねえ、本当に良いの……」
がちゃっ
「あ……」
突然ドアが開かれると、ようやく麻由お姉ちゃんが出てきて、僕を無視し廊下を歩いていく。
虚ろな目と青い顔をした完全に生気を失っている様子でふらつきながらトイレへと入っていった。
あんな、麻由お姉ちゃん初めて見たかも……。
どうする?具合が悪いのなら、医者に診てもらうとかしないと。
「あ……ね、ねえ、麻由お姉ちゃん……何処か具合悪いの……?」
しばらくすると、俯きながらトイレから出て、話しかけてみたが何も答えず、また部屋に入って閉じこもってしまった。
結局、この晩の食事はカップ麺でご飯で済ませ、麻由お姉ちゃんにはお粥を作ってドアの前に置いてあげたが、一切手を付ける事はなく、そのまま寝込んでしまった。
「ん……?まだ、こんな時間かよ……」
翌朝――いつもよりかなり早く目覚ましが鳴り、止めて二度寝するがすぐに思い出し、ハッと飛び起きた。
「そうだ!麻由お姉ちゃん……」
すぐに飛び起きて部屋を飛び出し、麻由お姉ちゃんの部屋に向かう。
「麻由お姉ちゃん。朝だよ。まだ体調悪いの?」
シーン……
ドアの向こう側からは、何も返事が無い。本当にどうしたっていうんだよ?
思い返してみるが、昨日の昼までは特に変わった様子はなかった。
いつも通り、麻由お姉ちゃんとセックスして……その後、疲れて寝ちゃって……起きたら、誰もいなくて……。
何かあったとしたら、僕が昨日寝てた間しか、考えられないけど……。
(ああ……どうしよう?これから、学校もあるし……)
「麻由お姉ちゃん。学校に行くけど、大丈夫?良かったら、今日は休もうか?」
シーン……
ドアノブを回してみても、鍵が掛かっていて入れないし、呼びかけても何も答えてくれない。
うう……まさか、嫌われちゃったのかな……?
「あの……大丈夫そうならやっぱり、学校に行くね。何かあったら、すぐに携帯に連絡してね。すぐに駆けつけるから」
嫌われたのかもしれないと思うと、その場に留まる事が出来ず、逃げ出すように階段を降りて台所へと走っていった。
麻由お姉ちゃんを何か、怒らせるような事をしただろうか?
「う……思い当たる節は結構あるけど……」
優柔不断な態度を取ったり、沙耶さんと好き放題やったり、酷い事をしてきたが、それでも今になって、あんな話もしない様な態度を取るのは正直、良くわからない。
モヤモヤした気分で朝食のパンを食べ、着替えて登校した。
麻由お姉ちゃん、大丈夫かな……。
授業が終わった後、急いで学校から帰り、家へと急ぐ。学校にいる間も何も連絡は無く、不安は増す一方であった。
何もなければ、良いのだけど……。
ピンポーン
「……出ないな」
呼び鈴を押して、しばらく待っても出てこないので、合鍵を使って中に入る。
「ただいま……」
恐る恐る家に上がると、中は不気味な程シーンとしており、人気が全く感じられなかった。
家にいるんだよな……?玄関を調べてみたが、一応麻由お姉ちゃんの靴はあったので、家にいる事は確かだろう。
「麻由お姉ちゃん……あ……」
二階に上がり、麻由お姉ちゃんの部屋のドアノブを回したら、鍵が掛かってなかったので、ようやく中に入れた。
「麻由お姉ちゃん、大丈夫?具合はどう?」
中に入ってみると、麻由お姉ちゃんは苦しそうな顔をしてベッドに寝込んでおり、不安が一層増してくる。
「ねえ……大丈夫?本当に医者に行った方が良いんじゃ……」
「……何しに来たのよ……」
「え……?」
「勝手に入ってこないで……!私は大丈夫だから、すぐに出てってよ!」
「ええ!?ど、どうしたの……急に?」
「良いから、出てって!」
僕に背を向けて布団にくるまり、低く怖い声で呟いた後大声で叫ぶ。
「わ、わかった。ごめんね」
麻由お姉ちゃんの怒号に負け、言われたとおり、すぐに部屋を出て自分の部屋に駆け込んだ。
74 :狂依存 295 [sage] :2011/12/01(木) 18:51:05.18 ID:knyNFC3e (9/14)
嘘だろ……一体、何があったんだよ……?
あんなに苦しそうな顔をして、しかもあんな怒声を僕に浴びせるなんて……。
まさか、本当に嫌われたのか?だとしたら、一体どうすれば……?
沙耶さんと言い、いきなりの事で訳が分からず、頭の中はぐちゃぐちゃになりそうであった。
それから、次の日も、そしてその次の日も麻由お姉ちゃんはほとんどずっと閉じこもったまま外出もせず、僕に話しかけもしなかった。
明らかに具合が悪そうだったが、医者に行く事を頑なに拒否しているので、無理に連れて行く事も出来ない。
食材が減っていたので、学校に行っている間に食事は多少取っているのはわかったし、シャワーも浴びているみたいだったので少しは安心したが、僕が家にいる間は部屋に閉じこもって寝たきりに近い状態であった。
翌日――
「どうしよう……もう、金が無い……」
学校から帰り、空の冷蔵庫を見て、今日の夕飯をどうするか悩む。
買ってくれば良いのだが、親から送られる生活費は全て麻由お姉ちゃんが管理してしまっているので僕は勝手に持ち出せないし、家にある食材や手元の小遣いで惣菜とかを買って凌いでいたが、先ほど来たガス屋の集金にうっかりそれを使ってしまい、小遣いも尽きてしまっていた。
銀行に行けば預金はあるけど、今はやってないし、僕のキャッシュカードは金庫の中にしまい込んであるので、暗証番号がわからないと開けることが出来ない。
うう……本当にどうしよう……?
洗濯物も溜まりに溜まっちゃってるから、これ以上は放置できないし、掃除も学校の課外補習に出ていて時間も無かったので、部屋と風呂場の掃除を軽くしているぐらい。
料理もほとんど出来ないし、今までどれだけ麻由お姉ちゃんに依存しきっていたのか、そして自分の生活力の無さを思い知らされた。
全部任せるって言うからそれに甘えていたけど、もう少し無理にでも手伝って家事を覚えれば良かったと後悔している。
麻由お姉ちゃんとも話が出来ないし、仲直りしようにも完全拒否されていて理由が分からないから、糸口が掴めない。
本当に嫌われてしまったのだろうか?
「だとしたら、悲しすぎる……こんな、いきなり……」
あの時、神社で『麻由お姉ちゃんと仲良くなれますように』って、お願いしたのは何だったのか?
あの日から、沙耶さんとも連絡がつかなくなったし、それから間もなく麻由お姉ちゃんともこんな状態になってしまった。
麻由お姉ちゃんと仲良くしたい……また、話をしたい。また麻由お姉ちゃんの笑顔が見たい。
嫌だ。今のままなんて嫌だ。このまま失うなんて嫌だ。
また、麻由お姉ちゃんに会いたい。麻由お姉ちゃんが作ったご飯が食べたい。甘えたい。
また……したい。
「麻由お姉ちゃん……!」
いてもたってもいられなくなり、麻由お姉ちゃんの部屋に駆け込む。
こんなのは耐えられない。耐える事など出来ない!
バタン!!
「麻由お姉ちゃん!!」
名前を叫びながら、ドアを思いっきり開ける。
幸いにも鍵が掛かっておらず、麻由お姉ちゃんの部屋に入り込む事が出来た。
麻由お姉ちゃんは相変わらず、布団に包まったまま僕に見向きもしなかった。
「……麻由お姉ちゃん!」
「きゃっ!!何よ……!」
布団を引き剥がして、驚いている麻由お姉ちゃんにそのまま抱きつく。
「ちょっと、止めて!入ってこないでって言ったでしょ!」
「嫌だ!ずっとこうしてる!何でも僕の言う事聞いてくれるって言ったんだから、良いじゃないか!」
「止めなさい……あっ……」
抵抗する麻由お姉ちゃんにしがみついて、ぎゅっと抱きしめる。
かなり、弱っていたのか本気で抵抗していなかったのか。
麻由お姉ちゃんは少し前に見せていた怪力も影を潜め、僕でも強引にねじ伏せて抱きつく事が出来た。
「いきなり、酷いよ……今まで嫌だって言っても、強引にエッチな事してきたのに話もしてくれないし、ご飯も作ってくれないし……何があったか、理由ぐらい聞かせてくれ!」
「大輝……」
「何か怒らせるような事をしたなら、謝るから……もう我侭言わないから……麻由お姉ちゃんの好きな様にさせてあげるから……だから……」
「……」
麻由お姉ちゃんの背中に必死にしがみついて泣きつくと、しばらく沈黙し、そして、
「わからないの……自分でもどうしちゃったのか……」
「え?」
75 :狂依存 296 [sage] :2011/12/01(木) 18:52:22.52 ID:knyNFC3e (10/14)
「あの日、あんたとした後、沙耶の家に行ってあいつを始末しようとした。でも、出来なかった……あなたの顔が浮かんで……出来なかった……そしたら、急に頭がおかしくなって、いてもたってもいられなくなって……」
震えながら、重い口調で語りだす麻由お姉ちゃんの言葉をじっと聞き入る。
そんなに辛い事があったの……?
「何かが、心の中から一気に出て行っちゃうような感じだった。大切な気持ちがどんどん洪水のように流れて出てって……あいつとは、沙耶とは違うって確信していたのに、同じだったのかって思うと益々流れ出ていって……」
「麻由お姉ちゃん……」
「自分でも何がなんだか、わからない。何故か自分が自分でいられなくなるような気がして、おかしくなりそうになって……」
ベッドに横たわり、背を向けながら、一言、一言搾り出すように語る。
正直、僕も何がなんだかわからないが、とにかく辛い思いをしているというのはわかった。
「麻由お姉ちゃん……ごめんね、みっともない所見せちゃって……でも、どうしても今の状況が続くのは耐えられなくて……」
ようやく、冷静さを取り戻し、麻由お姉ちゃんの頭を撫でながら、先ほど取り乱して部屋に押し入った事を謝る。
たかが、何日か相手にされなかったくらいで、あんな思いをするなんて
「その……もう、体の方は大丈夫なの?」
「うん。だいぶ楽になってきたわ。私の方こそごめんね。急に閉じこもるような事しちゃって。あと……心配しているのは良くわかったから、もう離れてくれない?」
「あ、ごめん……」
慌てて、抱きついていた手を放し、ベッドから起き上がる。
「本当にごめんなさい。いきなり、部屋に押しかけちゃって……お腹空いてないかな?何ならすぐに用意するけど……」
「良いわ。私が作る。もう、平気だから……うっ……」
麻由お姉ちゃんが体を起こそうとすると、立ちくらみでもしたのか、頭を手で抑え俯く。
「ほ、本当に大丈夫なの?今からでも病院に……」
「大丈夫よ。ちょっと、眩暈がしただけ。そんなにヤワな体していないから、心配しなくてもいいわよ」
「駄目だよ、無理しちゃ……熱は……」
「ちょっと、触らないで!」
ビシっ!
「え……」
苦しそうにしているのを見て、麻由お姉ちゃんの熱を測ろうと額に手を当てたら、すぐに手を払いのけられてしまった。
「な、何で……?」
「何で?じゃないわよ。勝手に私の肌に触れないで。非常識じゃない」
「なっ……!」
あからさまに嫌悪感に満ちた表情で信じられない事を口にし、凍りつく。
勝手に触れないでって……。
「べ、別に変な事しようとした訳じゃないよ。ただ、熱を測ろうと……」
「……大丈夫だから、
「……」
何で、そんな事言うんだ?
これまで数え切れない程、抱き合ってきたし、キスもした。僕が嫌がってもそっちから襲ってきてた。
いや、お母さん達がいる時から、麻由お姉ちゃんは家では僕に抱きついたりしてきてたし、GWの時に風邪で寝込んだ時も、額に手を当てて看病していたじゃないか。
それなのに、ちょっと熱を測ろうとしただけで、こんな露骨な拒否反応をするなんて……。
「やっぱり、もう少し寝るわ……あんたは洗濯とリビングの掃除だけはやっといて。ご飯は私が何とかやるから、あんたは自分で勝手に何でも食べて」
「麻由お姉ちゃん……」
頭の中が
真っ白になり、掛け布団に包まってふて寝している麻由お姉ちゃんを見つめていた。
ふいにベッドに横になった麻由お姉ちゃんの肩に手をかけ、顔を近づける。
冗談じゃなかったら、このままやらせて……。
「……っ!?いやっ!!」
パンっ!!
麻由お姉ちゃんの悲鳴と共に、僕の頬を平手打ちした音が部屋に響き渡った。
「聞こえなかったの?もう少し、寝るから出て行けって言ってるでしょ!」
「……どうして……?」
「今はそんな気分じゃないの。二度とあんなふざけた真似しないで……体がだるくてやる気が起きないの……」
「二度と……?」
二度とするなって、どういう意味?
もう、今までみたいに抱かせてくれないってこと……?
「ねえ、麻由お姉ちゃん……」
「……」
話しかけても無視して布団を頭までかぶせて、僕に背を向けて黙っていた。
最終更新:2011年12月05日 02:11