127 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 03:43:01.40 ID:2HPc1QEF (2/10)
……マジで気が狂いそうだった。
とにかく痛い。
痛すぎる。
激痛なんて日本語は、まさしくこの瞬間のために生み出されたんじゃないかと思えるほどだ。
具体的には、血が滴る傷口に固形物を無理やり突っ込まれて、さらに上下前後左右にえぐられる感じと言えば少しは想像できるだろうか?
あまりに酷すぎる痛みの前には人間は無力になると、どこかの小説で読んだが、どうやらそれは正しかったらしい。
この拷問が始まって最初の数分は、痛さのあまり陸揚げされた魚みたく体をのたうたせることもできたが、今ではもう、腕も足も麻痺したかのように力が入らない。
出来ることと言えば、せいぜい歯を食いしばって、眉間が引きつるほどに目を閉じるくらいだ。
もっとも、見方を変えればこの激痛に助けられてるとも言える。
この非現実的な痛さのおかげで、俺はいま、自分の情況を冷静に認知するという、人間として当然の理性の働きから解放されているとさえ言えるのだから……。
「兄さん、誰が目をつぶっていいと言ったんですか? ちゃんと上目遣いに、あたしを見なさいと“命令”してあったでしょう?」
その声と同時に、傷口をえぐっていた固形物の動きが止まり、俺の髪は強引に引っ張り上げられる。
“あたし”という女言葉がまったく似合わない、変声期を経た男の低音ボイス。
それも当然と言うべきか、俺が瞼を開いて最初に視界に飛び込んできたのは、醜く歪んだ嗤いを浮かべる男の顔だった。
もっとも、この男の名誉のために言っておくと、彼はオカマでもゲイでも同性愛者でもない。
何故それが分かるかと言えば、俺はこいつをこれ以上ないほどよく知っているからだ。
いや……もう取り繕っても仕方が無いので、この際ハッキリ言ってしまおう。
眼前にいる男は「俺」――すなわち世間から俺自身と認識されているはずの存在だった。
俺はいまセックスをしている。
もっともそれは、いわゆる恋のときめきとか愛の営みなどといった情感とは完全に無縁な一方的な性行為――つまり、いわゆる強姦というやつだ。
俺はこの男に押さえつけられ、無理やりにチンコを挿入されている。
……とだけ言えば、完全にホモによるホモレイプにしか聞こえない情況だが、そうではない。
なぜなら、俺の意識はいま女の――妹の肉体に封じ込められているからだ。
そして、妹の体になった俺の処女膜をレイプしているこの男の名は佐藤明――つまり、早い話が「俺」であり、さらに正確に言えばこいつも「俺」そのものではなく、俺と意識を交換した一歳下の妹――佐藤静香なのだ。
「自分の甘酸っぱい“初体験”の相手をちゃんと見なさいよ兄さん。せっかく女の子にしてあげたんだから、こんな一生に一度のイベントでそんなひどい顔されちゃ、殿方に失礼ってもんでしょ?」
そう言いながら妹――の憑依した「俺」――は、そのまま俺――の憑依した「妹」――の唇に、貪るようなディープキスをした。
それが自分自身のものである事を理解しながらも、初めて飲まされる「男」の唾液の気持ち悪さは、吐き気を催させるに充分なものだったが、これ以上こいつを挑発したくない一心で、俺は懸命に我慢し、その汚液を嚥下した。
128 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 03:50:01.15 ID:2HPc1QEF (3/10)
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俺の妹――静香は確かに“普通”の枠内に収まる女ではなかった。
静香はいわゆる“魔法少女”という存在であったらしく、俺とこいつがいま互いに肉体交換を成立させているのは、もちろん常識的な物理ではなく、静香の非常識な“魔力”とやらのおかげであるらしい。
らしい……というのは、そこら辺の詳細な事情は、こいつの兄である俺も知るところではないからだ。
もちろん俺は、自分の妹が生まれたときからこんな化物じみた超能力を発揮する存在ではなかった事を知っている。
だから、静香がこんなパワーを獲得した過程に関しては、俺は何も知らない。おおかた、どこぞの神か悪魔かフェレットかに貰ったとか、そんなところだろう。
しかし、妹のやつが小学生の頃から玩具めいたステッキを振り回して、近所の爺さん婆さんにお節介を焼いていた事や、クラスメートのトラブルを解決していた事は俺も知ってる。
まあ、こいつがここまでガチの魔法少女だったとは俺も今朝初めて知ったんだが。
もっとも妹が「リリカル~~」さんや「~~マギカ」さんみたく、変身してどっかの誰かとバトルするために魔法少女をやってたんだとしたら、さすがに兄として少しは心配しただろうけど、どうやらそうじゃないらしいという話なので、俺も安心してたんだが。
でも、その、なんだ……そこら辺はどうでもいい。
俺が静香に関して普通じゃないといいたい部分は、そんな“些細”なことではないからだ。
妹が明らかに常軌を逸している最大の点は、俺に向ける異様な情愛だった。
あいつが生まれながらの魔女ではないとさっき言ったが、とはいえ、このブラコン(という言葉で括るには妹の感情はあまりにも攻撃的だったが)に関しても実は、俺はまったく気付いていなかった。
というより、そこまで妹の存在に関心など無かったと言ってもいい。
だから数ヶ月前、こいつから、
「あたし、兄さんが好きなんです」
という、愛の告白めいたカミングアウトを聞かされても、俺としてはどういう顔をしていいかわからず、目をぱちくりさせながら、
「いやいや、何言ってるんだよオマエ、そりゃ人としてダメでしょ?」
と、半笑いで漫才のツッコミめいた拒絶をしてしまい、わんわん号泣されてしまったのだが、しかし当時普通にカノジョさえいた俺からすれば、他にどう答えればよかったのか、今でもわからない。
だからこいつが、その翌日から明らかに俺から距離をとるようになったのも、その方がまあ面倒臭くなくていいかな、とさえ考えていた程なのだ。
そりゃそうだろう。俺にだって気まずさはある。なにしろ俺は、妹をフッてしまった兄なのだから。
事態がおかしくなったのは、その一週間後からだった。
食事の時間にさえリビングに下りてこず、俺を避けていたはずの静香が、その日から全く何事も無かったかのような顔をして俺の前に顔を出すようになった。
それだけではない。
ことさら俺にべたべたとスキンシップを図るようになり、まるで幼児のような無邪気さで俺に甘えるようになった。
俺の登校下校に可能な限り自分も同伴しようとしたり、昼休みに弁当を持って俺の教室に現れたり、夕食時にわざわざ俺のテーブルの隣に座ろうとしたり……等々といった風にだ。
まあ、俺も一度は妹を拒絶してしまった身だ。これ以上こいつの泣き顔を見るのも本意ではなかったし、これでも一応兄貴である以上、人並みに
家族愛も兄妹愛も持ち合わせてるつもりだった。
なにより、そんな程度のスキンシップなら、まだ俺としても全然許容範囲だったからだ。
だが……困った事に静香の言動は日増しにエスカレートしていった。
家族として同じ家に住んでいるにもかかわらず、俺の携帯に一日に何十件もメールをよこし、眠れないと言っては夜中に枕を持って俺の部屋に押しかけ、背中を流すといっては俺が入浴中の風呂に乗り込んできたりした。
挙句の果てに、俺のカノジョに嫉妬して暴言やら罵倒やらを吐くようになったとくれば、さすがにもう笑って済ませるわけにもいかない。
129 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 03:51:29.23 ID:2HPc1QEF (4/10)
で、言っちまったんだよ。
「もういい加減にしようや」
ってさ。
「これ以上はもうシャレにならんぜ静香。どっちにしろ俺とオマエが結ばれるなんて結末は普通に在り得ないんだから、そろそろ前の俺たちに戻ろうや」
で、挙句がとどめの一言だ。
「ぼちぼち気も済んだろ?」
我ながら酷いことを言ったもんだと思う。
さすがに静香はショックを受けた顔をしてたが、それでも俺は発言を撤回する気にはならなかった。
なぜなら俺は何一つ間違った事は言ってないのだから。
あいつが俺の言葉を聞いて何を思ったかはわからない。
でも、多分泣いたんじゃないかとは思う。
多分……というのは、それから静香は自室に閉じこもったきり出てこなかったからだ。
晩飯も食わず、風呂にも入らず、部屋のドアに鍵をかけて、いくら呼びかけてもアイツは返事一つ寄越さなかったのさ。
それが昨日の夜の出来事だ。
で、今朝目が覚めたら、俺は女に――「妹」になってたってわけだ。
」」」」」」」」」」」」」」
驚いたかと訊かれれば、そらそうだと言うしかないが、それでも実は、前後不覚になるほど動揺を覚えていたというわけでもないんだ。
無論それは俺が鋼鉄の精神力を所有していた――などというわけではない。
たまげた――というより、あきらかに在り得なさ過ぎるシチュエーションに現実感が全く沸かず、なにか悪い夢を見てるような感覚しかなかったからだ。
この身を貫く破瓜の激痛も、むしろ現実感の喪失に一役買ってたと言ってもいいだろう。
だから何が言いたいかといえば、つまり、そんな野郎にパジャマのボタンを引きちぎられてベッドに突き飛ばされたとしても、ここにいたのが普段の俺だったなら当然のように反撃したはずだったってことなのさ。
実際DQNやヤンキーを気取るわけじゃないが、そこまで喧嘩と無縁な学生生活を送っているわけじゃない。十代後半の青少年として当たり前の血の気くらいは持ち合わせているつもりだ。
だがまあ……この体が思ったとおり動かないんだわ全く。
今から考えれば、朝イチの起きぬけってのも原因の一つなのかも知れないが、この妹の体ってのが、さっぱり動かねえ。まるで背骨に鉛でも詰まってるみたいだ。ギニュー隊長のボディチェンジよろしく慣れない体じゃ自由に動けないとか、そういう設定なのかも知れん。
まあ、もともと妹は体育会系の部活もやってないし、スポーツが得意だとも聞いてねえ。
むしろ家でポエムでも書いてるのが似合うようなキャラだと思ってたんだが……よくよく考えれば、俺は静香の事を本当に何も知らなかったんだなと心底思い知らされたよ。
(まあ、普段大人しいやつほどキレれば何するかわからんって言うけどさ)
そう思いながら目を開ければ、そこには「俺」に覆いかぶさって懸命に腰を振る男がいる。
まあ、てめえの顔と言ったところで、一日数回鏡越しで見る程度の顔だ。付き合いこそ長いが、クラスメートや部活のチームメイトたちと比べても、さほど馴染みがあるツラというわけじゃない。
そんな見慣れぬ男が、必死にエクスタシーをこらえながら腰を使っているザマは、ある種の滑稽ささえ含んでおり、破瓜の激痛に身を晒しているさなかとはいえ、思わず笑えてくる。
(そういや、アイツとはじめてヤった時も、実際に突っ込んで五分と持たなかったっけな)
一応、カノジョ持ちの俺は、年頃の青少年のサガというか……早い話が童貞じゃない。
まあ、海千山千のおっさんというわけでもないので、何百回も経験があるわけじゃないが、それでも性行為に対する自分の肉体の感度も当然わかってる。つまり早い話が……俺は結構早いし、受けに回ると割と弱い。
だから、この眼前の男が(というか、その「中」にいる静香が)かなりの努力を費やしながら、射精をこらえているという想像が、たまらなく俺の笑いのツボを刺激する。
が、俺のその反応は、静香を必要以上に挑発しちまったらしい。
130 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 03:53:22.74 ID:2HPc1QEF (5/10)
「なによ、その顔……ッッ!!」
その声と同時に頬が張られた。
「何がおかしいのよ!! そんな人を小馬鹿にしたような顔して……兄さん、自分の立場がまだわからないの!?」
いや、わかんねえって。
こんな意味不明なシチュエーションで、冷静に状況判断なんて出来るわけねえだろ。
俺はどこにでもいる当たり前の高校生なんだぜ?
「つーかよ……俺のツラでその口調で喋るなよ……キモさが一周してもう笑うしかないんだよ……」
その瞬間、俺をレイプし続ける「妹」の顔色が変わった。
どうやら俺はこいつをからかい過ぎたらしい。眼の光が怒りから殺意と呼ぶべきものへと変化を遂げる。
「いい加減にしなさいよ……ッッ!!」
その言葉と同時に、正常位で俺に覆いかぶさっていた「妹」の左手が「俺」の首をガッキとつかみ、頚骨も砕けよとばかりに枕に押さえつけて、「俺」の呼吸とおしゃべりを封じてしまう。
いや、こいつの攻撃はそこで終わらない。
さらに残った右手を握り締めると、その拳を俺の鼻っ柱に叩き込んできやがったのだ。
「ふざけないでよッッ!! ふざけるんじゃないわよッッ!! なんで兄さんはいつもいつもそうやってッッ!! あたしの言うことを真剣にッッ!! 真剣に聞いてくれないのッッ!!」
三発目。
四発目。
五発目。
「兄さんがそんなだからッッ!! 兄さんがいつもいつもそんなだからッッ!! あたしはッッ!! あたしはこうするしかッッ!! こうするしかなかったんじゃないのッッ!!」
六発目。
七発目。
八発目。
「こうなったのは兄さんのせいなんだからねッッ!! 兄さんの自業自得なんだからねッッ!! あたしは悪くないんだからねッッ!! 兄さんが!! あたしの告白を笑った兄さんが全部悪いんだからねッッ!!」
……まあ「中」にいるのが妹であるとはいえ、客観的な絵で言えば、平均的な体力を持つ男子高校生が、一歳年下の女の細首を押さえつけながら、ガチの下段突きを顔面に入れているのだ。
おそらくあと一分その状態のままだったら、俺は多分死んでいただろう。
状況描写が「死んでいただろう」という推測文なのは、俺は結果的に死ななかったからだ。
九発目のパンチを入れたその瞬間、射精をこらえていた「妹」の集中力が途切れたためだろうか……「俺」の膣内にねじ込まれていたペニスが一気に暴発しやがったのだ。
――どくん!! どくんっ!! どくんっっ!!
「~~~~~~ッッッッ!!!」
眉間に皺を寄せ、歯を食いしばって懸命にエクスタシーをこらえた「妹」は、その後しばし瞑目していたかと思うと、そのまま「俺」の首を絞め続ける左手もろとも脱力し、荒い呼吸に身を震わせながら「俺」の体に覆いかぶさってきた。
重ね合わせるバスト越しに「妹」の心臓の鼓動が、まるで早鐘のように鳴りまくっているのがわかる。
131 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 03:56:01.87 ID:2HPc1QEF (6/10)
(よっぽど良かったらしいな)
などと冷静に考える余裕が、何故その時の「俺」にあったのか――それはもう、自分でもわからない。
処女膜破れたてのバージンまんこにチンコを突っ込まれて、ピストンされ続ける痛みなどとは全く異質な、直接的な“暴力”によるダメージにさらされ、俺はもう身動き一つ出来ない。
熱いザーメンを中出しされて気持ちよかったかって?
それどころじゃねえよ、まったく。
切れた唇や鼻血は当然のこと、歯も何本か折れているだろうし、窒息しかけていた喉や気管も焼け付くように痛む。ぶん殴られた衝撃で脳震盪も起こってたのかもしれない。
が、そのとき俺の頭にあったのは暴力や強姦の痛みではなく(いや、それらの傷も充分痛かったが)たった一つの疑問だった。
――静香のやつは、俺と肉体を交換した謎パワーを使って、なぜ俺の心を支配しないのか。
――なぜ静香は、その“魔法”で、俺を自分に惚れさせないのか。
「……そんなことして、何の意味があるのよッッ!!」
その叫びと同時に「俺」の顔面がポッと温かくなり、鼻や唇や口内から痛みがみるみる消えていく。
重い瞼をむりやり開くと、「俺」に手をかざしてピンク色の魔力光を浴びせている「妹」が見える。
これはアレか、ホイミかべホイミか。
「魔法で好きになってもらっても!! 魔法でむりやり好きになってもらっても!! そんなの意味ないじゃないッッ!!」
おいおい、待て待て。
「だからあたしは……だからあたしは、兄さんの心にまでは手を出さないッッ!! 魔法で愛してもらっても、それはあたしにとっても兄さんにとっても――いや、あたしの魔力自体に対しても侮辱でしかないからッッ!! だから断じてそんな事はしないッッ!!」
いや、だからちょっと待てって静香……心には手を出さないとか何かいい台詞っぽく言ってるけど、それでお前が今やってるこの肉体交換の上のレイプって行為が、少しでも正当化できるとでも……。
「でもね……!!」
「妹」の口元がニヤリと歪んだ。
10発近くぶん殴られた顔の傷は、もうほとんど痛みを主張しない。口の中でカラカラ言ってた折れた奥歯もいつのまにか治っていたようだ。どうやら奴のホイミの威力は本物のようだ。
まあ、元をただせばこの顔は「妹」にとっては自分の顔なのだ。明日以降の日常生活に支障が出るような痕をそのままにしておくはずも無いだろう。
だが、こいつがホイミで回復させたのは、あくまで殴打の傷だけだ。
処女をぶち抜かれた内臓を引き裂かれたような激痛に関しては、まったく放置のままだ。
「兄さんにはあくまで、もっともとっと苦しんでもらいます。これからの日常は、今日の処女喪失なんて比較にならないくらい辛くて痛くて恥ずかしい目に遭ってもらいます。その上で兄さんを、あたしに惚れさせてみせます!」
「へ……?」
「兄さんを犯して犯して犯しぬいて、あたしなしでは生きていけない体にしてあげます!!」
妹が兄に告げるにはあまりにも異様な宣言ではあるが、しかし現に俺は、今やこいつに手も足も出ない。おそらく静香がその気になれば、ただの人間に過ぎない兄など、死体さえ残さず消し去る事も造作も無いのだろう。
「…………そっか」
132 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 03:59:11.20 ID:2HPc1QEF (7/10)
かすれた声で俺も答える。
ならば、俺にできる事なぞ知れている。
せめて兄としての余裕を気取って苦笑を浮かべながら、気の利いた言葉の一つでも返してやるくらいか。
というより、この状況においてもなお、俺はこの「妹」に一分の恐怖も抱いていなかったのだ。
理由を訊かれれば、やはり静香に対する兄としての信頼があるとしか言いようが無い。
どれほど怒り狂っていようが、やはりこいつが俺に対して、取り返しのつかない真似をするはずが無いという、「家族の絆」とでも呼ぶべき無言の確信があるからだ。現にさっきの撲殺未遂のときも、最後の一線を越える寸前でこいつは俺を解放したじゃないか。
それに何より……俺には、こいつにどんな目に遭わされても仕方の無い理由がある。
俺はこいつを泣かせてしまったのだ。
静香に女性としての魅力を感じていたかと訊かれれば、真顔で俺は首を横に振るしかないだろう。だが、それでも兄として、妹を傷つけた男を許すわけには行かない。たとえそれが「俺自身」だとしてもだ。
だからこそ、安易に許されたいなどと思えるわけが無かったのだ。
「いいぜ……存分にやれよ……それでお前の気が済むならな……」
「妹」の目が、一瞬何かに射抜かれたように動揺する。
だが、さっきの会話で理解したが、こいつは魔法で俺の思考を読める。
俺の本音が静香への贖罪だと瞬時に知った妹は、さらに怒りに口元を歪ませると、
「上等よ……じゃあ思う存分好きにさせてもらうわ……!!」
と呟き、いまだ血まみれまんこに挿入しっぱなしになっているチンコをさらに激しく動かし始める。
(ぐうッッ!!)
再開された激痛に俺は思わず目を閉じ、歯を食いしばる。
いや、それだけではない。
「妹」は、ふたたび掌にピンク色の魔力光を溜め、「俺」の下腹部にそれを押し当てる。
その瞬間だった――。
「ひゃあああああああッッッ!!! なっ、なにこれ……ひぎいいいいいいいいッッ!!!」
下半身から俺の全身に向けて発信されていた激痛が、突如その姿を変えたのだ。
そう、男として知るセックス――射精感の数倍、いや数十倍のエクスタシーが、俺の全身をまるで嵐のように蹂躙し、翻弄したのだ。
生傷を木刀で直接えぐりまわされるような痛覚が、その瞬間に俺自身も未経験の膨大な快感に変換されたのだ。それこそ俺の理性などひとたまりも無かったと言うべきだろう。
「はひっっ!! はあああああああっっっ!!!」
あえぎ声など叫ぶ余裕も無い。「俺」の口から出るのはまさしく悲鳴だった。
もしも今この瞬間、この家の前を通りすがった通行人がいたなら、最悪の場合警察に通報されていたかも知れなかった。俺の声はまさしく理性をなくした者にしか出せない叫びのはずだったからだ。
『どう兄さん? いま兄さんが味わっているのが、いわゆる“女の悦び”というやつよ』
駄々をこねる幼児のように首を振り、息の続く限りわめき散らしてエクスタシーの海で溺れ続ける俺の脳髄に、静香の囁き声がダイレクトに届いてくる。
これもおそらく妹の魔法のなせる業なのだろうが、むろん俺に返事をする余裕などあろうはずがない。
『兄さんが泣いて許しを請うまで痛い目にあわせてやろうと思ってたけど……気が変わったわ。そんな単純な痛みなんかで許してあげない』
そうテレパシー(?)で俺に宣告しながら、「妹」はさらに深くチンコを突き立て、二度目の射精を容赦なく子宮にぶち込む。
133 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 04:01:01.16 ID:2HPc1QEF (8/10)
その一撃――というより、まんこ深くに直接ぶち込まれた熱い生ザーメンの感触によって、これまでに倍する快感が俺の意識を襲い、とどめを刺す。
(これがいわゆる“絶頂”ってやつか)
(中出しが気持ちいいってのは結構マジなんだな)
……などと考える余裕は、今度こそ無かった。
「~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!!」
もはや声すら出せず、口や瞼を閉じる事さえできずに涙やよだれを撒き散らしながら「俺」はエビのようにのけぞり返る。
『発狂寸前になるまで追い込んであげる。痛みの何十倍もの気持ちよさでね!!』
その声とともに、俺は意識を失った……。
「「「「「「「「「「「「「「「「「
口から泡を吹き、マラリヤ患者のように痙攣しながら失神した「兄」……いや、自分の肉体を見下ろしながら、あたしはそこで始めて血まみれのペニスを引き抜いた。
その途端、どろり――という形容詞が意図せず浮かぶほどの様々な液体が、あそこからこぼれ落ちる。その光景……というより、その大量の体液が発する臭気に、さすがの私も顔をしかめざるを得ない。
赤いのは初体験での出血として、白いのは二度の射精で排出された精液や、おそらく本気汁というやつであろうか。そして黄色いのはやはり尿なのだろう。気持ちよすぎると失神と同時に失禁してしまうことは珍しくないとレディースコミックに描いてあった通りだ。
魔法で多少は快感を増幅したとはいえ、ここまで自分の肉体が敏感だったとは、さすがに自分のことながら驚かずにはいられない。
でも……、
(あたしと兄さんの体が、こんなに相性がよかったなんて)
そう思うと、あたしの心が何か暖かいもので満たされていく。
「$%&’>?”#」
脱ぎ捨てた服からステッキを取り出し、呪文を唱える。
立ちくらみのように目の前が真っ暗になり、次の瞬間、あたしは尻餅をついていた。
(肉体交換って初めて試してみたけど……結構くらくらするんだ)
目を開けてみてみると、元の姿に戻った兄さんは相変わらずベッドの上で失神したままだし、あたしの股間は、それはもうスゴイ事になってる。
なにより、さっき兄さんを失神させたアクメの余韻が、まだ体の芯に残ってる。意識の入れ替わりでそれも大分リセットされたはずだけど、それでもまだ足元がおぼつかないくらいだ。
(はやくシャワーを浴びよう……)
そう思って引き出しから新しいショーツを取り出し、お風呂場に向かう。すでに全裸になってしまっていることだし、むしろ早く熱いお湯を浴びないとこのままじゃ風邪を引いちゃうかも知れない。
134 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 04:03:22.38 ID:2HPc1QEF (9/10)
股間から溢れるジュースはまだまだ止まらない。
振り返って見てみると、廊下に点々とこぼれた水滴みたいに光ってるのがわかる。
途端に恥ずかしさが溢れて、あたしはステッキを振って雑巾を出し、急いでそれらを拭き取る。
『!”#$%&’(?』
ステッキに搭載された人格AIのレイジューノ君が、魔法で蒸発させればいいじゃないかと念話で言ってくるけど、あたしは無言で首を振る。
この魔法というパワーはあまりにも便利すぎて、使い慣れすぎると日常にちょっと思わぬ支障が出そうなので、あたしはなるべく使わないようにしてるのだ。
もっとも、兄さん相手にこんな使い方ができるなんて、昨日までは思いつきもしなかったのだけど。
(兄さん……)
いかんいかん、兄さんのことなんか思い出したら、とてもじゃないけど終わらない。雑巾がけをしながら水をこぼして回ってるみたいな状況になっちゃう。
あたしは構わず浴室に飛び込んでシャワーの蛇口をひねり、熱いお湯を頭から浴びた。
わかってる。
なんで興奮が収まらないのか。
これからのことを思わずにはいられないからだ。
魔法を使うなら、出来るプレイの選択肢はそれこそ無限だ。
二人とも透明人間になって授業中の教室でだって本番ができるし、審議中の国会や公演中のコンサートホールとか、リビングで夕食中の両親の前でだってできる。
あたしのクリをペニスサイズに巨大化させて兄さんのアナルに挿入することだってできるし……いやいや、兄さんの体を人形サイズに縮めて、一日中あそこにバイブレーター代わりに入れっぱなしにすることだってできる。
それこそ、どんな不可能なプレイだって無茶苦茶なプレイだって思いのままだ。なんといっても、あたしは“魔法少女”なのだから。
でも、魔法を使ってあたしを愛させるっていうのだけはNGだ。
そんなことで簡単に終わらせてなんてあげない。
兄さんが心からあたしを愛するようになるまでは、徹底的にやってやる。
その結果、兄さんがどうなったとしても許してなんかあげない。ストレスで心が壊れたら治せばいいし、自殺したとしてもすぐに生き返らせるだけの話だ。
(そうだ……どうせなら、兄さんをもっともっと追い込んでみよう)
(兄さんの友達を全員洗脳しよう、みんなが兄さんに嫌うように)
(いや、どうせなら兄さんを女にして、その友達全員にマワさせるっていうのもアリかな)
(どっちにしろ兄さんのカノジョには、一番ひどいやり方で兄さんを裏切ってもらわないとね)
べとべとだった体はとっくの昔にシャワーで洗い流されていたけど、考え始めたら、もう止まらない。
あたしの興奮は、どうやら当分収まる事は無さそうだ……。
最終更新:2012年06月10日 12:43