5 :
人格転生 ◆qtuO1c2bJU [sage] :2012/08/16(木) 00:38:00.47 ID:Ng+Qz52/ (1/11)
>>1乙投下します。
登場人物
美里由衣(みさと ゆい) 妹、基本アホの子、多重人格で由利(ゆり)という天才の人格があったが…
美里良也(みさと りょうや) 兄、本人いわく普通の高校生、由利が言うには完璧な人間らしい
如月薫(きさらぎ かおる) メイドさん、家族不在のために雇われた使用人兼保護者、警察関係者?
姫乃愛理(ひめの あいり) クラスメート、ハードボイルド口調のクールな委員長でお嬢様だったが…
姫乃さつき(ひめの さつき) 由衣の親友、愛理を慕っているがこの子にも秘密が?
これまでのあらすじ
妹の由衣は元気なアホの子。
だが夕方には由利という別の人格になる多重人格障害(DID)を持っていた。
そんなとき、両親不在と兄の良也の負担を減らすという家庭の事情で家政婦を雇うことになる。
やってきた家政婦はバリバリのメイド姿の如月薫という綺麗な女性だった。
これに由衣は歓迎するが、由利は拒否する。由利は内情を知っているようだったのだ。
由利は天才であり、兄に内緒で何かの研究をしていた。
それが原因なのか由利は、由衣との人格を統合することになる。
そこでなぜか、ただの家政婦だった薫が、由衣と由利の人格統合を止めようとした上に
由利の研究していた装置のありかを聞き出そうとする。
だが由利が言うには由衣しか使えないので使い物にならないらしい。
由衣と由利は人格統合直前に、由利は兄に想いを告げ眠ってしまう。
そして起きた時には人格が統合されていた。
いつもどおりの日常を送り始めようとするが、クラスメートの愛理が皇帝だったことが世間に知れ渡る。
由衣と良也も大通りの巨大スクリーンで知ることになる。
そこに現れたメイドの薫は、危険が迫ってると言って、由衣と良也の身を案じて家に連れ戻すのだった。
6 :人格転生65 ◆qtuO1c2bJU [sage] :2012/08/16(木) 00:38:45.63 ID:Ng+Qz52/ (2/11)
リビングのソファに座り、さっき薫さんが出してくれたスポーツドリンクを飲む。
俺と由衣は隣に座り、薫さんは対面に座っている。
あれから家に戻ってきて、待っていたのは薫さんの説教だった。
それも俺ではなく由衣に対して。
「由衣様、なぜあのような危険な真似をされたんですか?」
「い、言ってることわかんない…」
「お惚けにならないで下さい。由利様の人格はあるのでしょう? でしたら私の言っていることがわかるはずです」
「…」
由衣は苦虫を噛んだ様な表情をする。
そして俺の方をチラチラと見てくる。
このへんの仕草は由衣そのものだ。
「そのために由衣様の携帯が…」
「だ、黙って!!」
由衣のでかい声にビビってしまう。
少なくともこんな『由衣』は見たことがない。
「あ…ごめん…」
「やはり、わかっておられるんですね」
「…うん」
「由利様の記憶はございますか?」
「…」
なぜか黙る由衣。俺もそこが聞きたいんだが…
「質問に答えていただけないなら…」
「…な…こ、今度は何? ま、また銃向けるの?」
俺の腕に体を寄せながら怯える由衣。
まあ、こんな態度を取っていれば由利の記憶があると言ってるようなもんで…
薫さんは目を閉じてため息をつく。
「次からは気をつけて下さい。何かあればまた駆けつけますが」
「う…うん、だから…」
「わかっています」
「あ、ありがとう…」
「いいえ、とんでもございません。では夕飯の支度をします」
って、なんか勝手に解決してるし。
こっちは全然わかんないわけで、もっと踏み込んだこと知りたいんだけど。
薫さんは由利は俺を巻き込みたくなかったって言ってたし、どうにも聞けない。
人格統合の際、由衣が眠ってる時も肝心な部分は一切答えてくれなかったし。
7 :人格転生66 ◆qtuO1c2bJU [sage] :2012/08/16(木) 00:40:04.01 ID:Ng+Qz52/ (3/11)
知りたいことは主に2つ。
由衣と由利は本当に人格統一したのか?
これは意外と方法がある。さすがに血の繋がった兄妹だけあって妹のことはよくわかってるつもりだ。
由衣と由利の癖や仕草は全然違うし、仮に由衣が由利の、由利が由衣の演技をしていたとしても当てられる。
カマをかけてやればすぐわかる。
これまでの仕草を見るには由衣に近いと思うが。
そこでもう一つの疑問だ。
由利はなんの研究をしていたか?
どうも姫乃総合病院の中で研究をしていたらしいが…
由衣はわかりやすい。
いつも朝起きて学校行って夕方帰ってきて日記を書いて寝る。
これだけだ。まあ色々と世話を焼くはめになるが。
そして日記を書いてから、由利と人格交代。
由利とは夕飯を作って食べてテレビやPCをしてから、俺と一緒に勉強。
勉強って言っても由利の知識は桁外れなので、俺が教えて貰う形だ。
由利は色んなことを知っていて、とても良い生徒というより教師だと思う。
はっきり言ってどの教師よりもわかりやすいし。
面白い雑学をいっぱい教えてくれる。
むしろ学校の点なんか取らない方がいいとまで言う奴だ。
おかげで学業に関しては問題ない状態だ。
あれ? 今思ったけど、よく考えたら、たいして学業の負担になんかなってないよな?
なんで薫さんを雇う必要があったんだ?
別に由衣はともかく、由利だって問題行動を起こす奴じゃない。
爺ちゃんに電話もメールも繋がらないからわからない。
あれから何度やっても繋がらないし。
まあ、そのことは置いとくとして…
由利はいつも夜の10時か11時ぐらいから寝るまでリビングの32インチのPCの前に釘付けになる。
そして3時にはきっちり寝ると言うのをくり変えていた。
夜中にトイレやキッチンに行く事はあったので何度も目にしてるし間違いない。
「寝ろよ」って言っても、「ごめんなさい」って言うだけだし、集中しすぎてて近づけない時もあった。
何やってるか聞いても、単に「自分の勉強です」としか言わなかった。
画面やPCデータも見たことあるけど、確かに大学レベルの勉強をしてる感じだった。
日本語と英語だけじゃなく他の言語もあったしよくわからなかった。
数式がならんでいたり、プログラムの羅列だったり俺には理解できなかった。
やってることも物理や生物、医学、脳科学やら人体、軍事、政治、経済…量も理解を超えていた。
8 :人格転生67 ◆qtuO1c2bJU [sage] :2012/08/16(木) 00:41:58.98 ID:Ng+Qz52/ (4/11)
「「ご馳走様でした」」
「お粗末様でした。お口には合いましたか?」
「はい」
「うう…」
なぜか由衣が呻く。
「どこか良くない点がございましたか…」
心配そうな顔で見つめる薫さん。
「あ…あたしもたまには作りたいけど…いいかな?」
「もちろんです。その時に言っていただければ」
「じゃ、明日一緒に…」
「ええ、喜んで」
そういうことか。って、完全に由衣は薫さんを認めてるけど、本当に人格が統合したんだろうか。
由利の記憶があるとすれば許さない部分もあるんじゃないだろうか。
あの時の殺意を消せるとは思えない。
やっぱりあの方法でどっちか試すしかないな。
「おい、由衣」
「ん、なに? ひゃっ…!?」
いつも朝、由衣の世話をしてるように由衣の肩に手を乗せてから、そのピンクのデザインのシャツに手をかける。
「ブラきついって言ってたよな。サイズ測るから脱がすぞ」
「…」
これでわかる。由衣なら「いいよ~お兄ちゃんのえっち~」で、由利なら「なんの冗談ですか?」と睨まれるだけだ。
断じてセクハラじゃない。
「…」
ん? 反応がない?
由衣の表情を見ると俯き加減になっててよくわからない。
俺は下からそっと覗く。
「う…うん…い、いいよ…は、測ろっか…」
頬が真っ赤な由衣がいた。俺と視線を合わせようとしない。
これまでにない反応…どうすりゃいいんだ?
「じゃ、じゃあ測るからな…」
「…う、うん」
くそ。口調が移っちゃったじゃないかな。
こうなりゃとことん反応を試すしかない。
机にあるメジャーを手にする。
「シャツあげろ」
「う…うん…こ、これでいい?」
自分でシャツをまくりブラがあらわになる。
由衣お気に入りの白いスポーツブラだ。
おっぱいをまじまじと見る。うーん、おっきくなったなあ。
妹の成長を嬉しく想いながらしみじみと思う。
由衣はなんだか体をくねくねしている。いつもの反応と違いすぎる。
由衣にしては可愛らしすぎるし、由利にしたらもっとクールなはず…
9 :人格転生68 ◆qtuO1c2bJU [sage] :2012/08/16(木) 00:44:49.52 ID:Ng+Qz52/ (5/11)
「お…お兄ちゃん…は、早く…恥ずかしいから…」
「わ、わかってるって…」
なんか兄妹でいけないことをしてる気になってきた。
これって冷静に第三者から見たら、兄が妹におっぱい見せろと強要してるようにしか見えないのでは?
まずい。これはまずい。非常にまずい。
「さ、触るからな」
「は、早く…」
…って俺は何をビビってんだ。いつも世話焼くとき触ってるだろ。
そう言ってから妹の胸を測るためにブラのホックを外す。
パサリと床に落ちる。
「あ…」
由衣の声と同時に、その顔が耳まで真っ赤になる。
これ…駄目だ…兄妹として…なんとかしないと…
異変に気づいた俺は床に落ちたブラを取って、由衣の胸を付け直す。
「…」
「…」
お互い微妙な空気が流れる。と、とりあえず、これでよしと。
「終わったぞ」
「え…でも測ってない…」
「目測で充分。たぶんトップが2~3cm伸びてると思う。よかったな」
「う…うん、ありがと…」
くそう。これじゃ確かめた結果がさらに混乱する羽目に…
はっきり言って由衣と由利のどっちかわからん。
でもまったく別の人格ではないし…
4つのケースで言ってた1番めの性格が由衣、知識が由利のケースだと思うけど。
どうもハッキリしない。
2人が一緒の人格になったと言えばそうなんだけど、なんか違和感がある。
この夜の時間帯に由衣が起きてることはありえないし。
かと言って由利でもない。
あー、ますます混乱してきた。
どう接すればいいんだ?
自分の髪の毛をガシガシとかく。
10 :人格転生69 ◆qtuO1c2bJU [sage] :2012/08/16(木) 00:46:55.56 ID:Ng+Qz52/ (6/11)
「お兄ちゃん…」
「ん?」
「あたし由衣だから…でも由利だから…」
「あ、ああ、わかってる」
「じゃ、じゃあ勉強しよっか?」
「いや、今日は休もうぜ」
「…え?」
「そんな顔すんな」
不安そうな由衣の頭をポンポン叩く。
「でも…宿題とかしないと…お兄ちゃんの…」
「おまえな、今の状態わかってないだろ?」
「どうゆうこと?」
「すげえ疲れてるぞ。ちょっとフラフラしてるし。それに眠いんじゃないか?」
「え…まあ…うん。そうだけど」
「ほら、今日は、部屋帰って休め」
「あ…」
由衣の両肩をつかんで階段の方を向かせる。
「きゃっ…」
その瞬間、由衣は崩れるように尻もちを付いた。
「おい…大丈夫か?」
「あ、うん…大丈夫。お、おやすみっ!」
すぐに立ち上がって急ぎ足で階段を登っていく。
あ、つまづいた。パンツ見えた。
大丈夫か? あいつ…
俺も部屋戻るか…ん?
「っ…」
足に何か違和感がした。靴下がネチャネチャする。
飲み物でもこぼしたかな?
見るとさっき由衣が尻もちをついた場所だった。
なんだこれ? 由衣もこれに滑ってこけたのか?
その場所をモップで拭く。
吹いたあとにテーブルの上の赤い日記に目が行く。
そういや今日は一度も見たり書いたりしてないよな。
これはどうすんだ?
しょうがない。由衣のところに持っていくか。
これからはこれも由衣と由利をつなぐ交換日記じゃなくて、由衣だけの日記になるわけか…
11 :人格転生70 ◆qtuO1c2bJU [sage] :2012/08/16(木) 00:48:00.56 ID:Ng+Qz52/ (7/11)
そんなことを思いながら日記をパラパラ見ながら階段をのぼる。
超下手くそな文字と、達筆な文字が交互にある。
由衣に渡そうといつもの感覚で由衣の部屋のドアを開ける。
「ぁん…ん…おにぃちゃ…ん…ん…あ…ぃぃ…あ…ぅん…ぁ…」
悩ましい声がベッドからしていた。呆然とするしかなかった。
背中を向けてTシャツだけの姿になってて、手で胸と股間をまさぐっていた。
俺がドアを開けたことには気づいてない。
「…ぃい…お兄ちゃん…来て…ん…あぁ…そう…ぃい…あん…もっと揉んで…そう…そこ…ん…」
そっとドアを閉めた。危なかった。
由衣が行為に夢中になってて気づかなかったのが幸いだった。
あいつのオナニーって初めてみたんじゃないか?
由衣も年頃の女子だ。性欲だってあるのは当たり前だ。
寝る前に一発抜くなんて俺だってしてる。
由利に見られたことだってある。
そう、問題ない。健全な行為だ。問題ないはず…
でも…その対象が…
頭を振ってその考えを消す。
誰だったかは考えないことにした。
自意識過剰だ。
明日からどうすればいいんだろう。
起こしに行くべきか。そうでないか。
とりあえずこの日記は明日渡そう。
俺も今日は色々と疲れた。
部屋に戻りベッドに倒れ込むとすぐに睡魔が襲ってきた。
最終更新:2012年09月01日 11:37