338 名前:
人格転生42 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 19:53:02.67 ID:KEXA8M/t
今日で丸二日。あれ以来、由利…由衣は目を覚まさないままだ。
俺は薫さんと交代で由衣の世話をしている。
由衣の部屋のベッドに寝かせたまま、ずっと眠り続けている。
「なぜ何もお尋ねにならないのですか? なぜ私について詳しく訊かないのですか?」
「そりゃ知りたいですよ。でも俺がそれを知ったとして、由衣が早く目覚めるんですか」
「申し訳ございません…お許しください。あの時の事に関してはなんなりと罰は受けます」
「その言葉は由利に…言って下さい。俺には何が起きてるのかわからなくて…」
俺の顔を見ながら困った顔をする薫さん。たぶん俺はもっと困った顔をしてるんだろう。
あれから俺も寝ていない。眠れたと思っても気づいたら3時間経ってただけだった。
「それに薫さんの秘密を全部教えてくれって言えば、教えてくれますか?」
「それは…すみません。それは由利様の思いを踏みにじることになりますので」
「なんですかそれ。訊けって言って教えられない? それが由利の思い? ざけんなよ!」
「…本当に申し訳ございません」
くそ…人に当たっても仕方ない。
俺自身が由利と由衣のどっちに対応すればいいのか、考えていたのもある。
とにかく頭が整理できてない状態だ。
「…当たってしまって、すみません」
「いいえ…当然の事です。
これは私の推察になりますが、由利様は良也様を守られたのだと思います。
一連の事について巻き込みたくなかったのでしょう」
「由利も言ってました。そのうち分かるって」
「…そう言ってもらえると助かります」
深々と俺にお辞儀をする薫さん。
保護者兼使用人か…恐らく由利と由衣に秘密があるんだろうけど。
両親に連絡を取りたいと言ったけど却下された。
電話も繋がらない。爺ちゃんにも繋がらなかった。
ベッドで眠っている由衣を見る。
由衣のことだって、医者に連れて行こうと何度も薫さんにお願いしたが受け入れられなかった。
本当は今日の朝でも目覚めないんだったら、薫さんを無視してでも連れて行くつもりだった。
と、思っていたら、さすがに薫さんも誰かに家に来るように連絡を入れていた。
そのあと明らかに民間の医者じゃない、ラフなスーツ姿の男が薫さんの指示を受けて診察に来た。
由衣はきちんと呼吸はしている。すぅすぅという寝息も一定で普通に眠ってるとしか思えない。
339 名前:人格転生43 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 19:55:09.33 ID:KEXA8M/t
ん…声が聞こえる…
「お兄ちゃん…起きて…お兄ちゃん」
…!
その声で飛び起きる。
この感じは由衣か?
「由衣!?」
「わっ! びっくりした…」
起きてる。由衣だ。間違いない。
目を開けてこっちを見ている。
「ちょっとどいて。重いから」
「あ、ごめん」
どうも俺は、由衣のベッドに倒れ込むように寝ていた。
「よいしょっと」
「おい、大丈夫か…」
「なんか体ダルい…」
「そりゃそうだろ。丸3日寝てたんだし」
「3日? で、今何時?」
「朝の8時半」
「学校行かないと!」
「無理だって。休んどけよ」
「いや! お兄ちゃんと学校行ってご飯食べる!」
結局そのあと遅れて学校に行く事になった。
薫さんが送っていくと言ってくれたけど、由衣はいつもどおりに学校に行く事にこだわった。
あと、薫さんとの一件についても、特に何も言わなかった。
承知済みみたいな感じだった。
薫さんは頭を下げていたけど、由衣はこだわってない感じだった。
それより御飯作って、って感じだった。
今のケースだと由利の言っていた1番目のケースが近いんだろうか。
由衣の性格が大きくでていて、由利の知識はあるという状態に見える。
340 名前:人格転生44 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 19:56:10.98 ID:KEXA8M/t
その日の学校はかなり違った。
何しろ由衣のいつものパターンが違う。
クラスにも来なかったし。二人とも遅刻だった。
「ふぅ…」
ため息を付く。とりあえず由衣と由利がいなくなるという最悪の状態はなくなった。
でも、これからどうしたらいいんだろう。
昼休みまでそんなことを考えていた。
周りを見ると、今日は愛理も休みだということに気づく。
ふぅ…由衣のせいで友達少ないんだよな、俺。
クラスの同性にも由衣の告白騒動で嫌われてるし。
異性からもシスコン野郎認定だしな。
せめてどこかの世界みたいに、親友Aとかいないのかよ…
この昼休み、どうして過ごしたもんか…
「はぁ…」
またため息をつく。
「大丈夫? 幸せ逃げるよ?」
声の方を見る。こいつも数少ない友人の一人だ。
そうかなり小さい友人。身長140くらいのクラスメートの女子。
由衣が来てもかまってくれるし、俺のこともシスコン扱いしないし。
愛理とこの子くらいだよな。
「神咲…久しぶり…」
「なんで休んでたの?」
「ん…いろいろあってさ」
「愛理ちゃんと、どっか行ってるのかと思ったよ」
「は? なんで愛理?」
「え、月曜から一緒に休んでるし…」
「あいつもずっと来てないのか?」
「…うん」
「さつきちゃんは?」
「来てるよ」
あとで、さつきちゃんに訊くか。
すると今度は神咲から質問してくる。
「由衣ちゃんは来てるの?」
「ああ、今日一緒に来た」
「そう…よかった…!」
そう言ってニコッと微笑む。
ぶっちゃけ小学生にしか見えないことは黙っておく。
おさげがよく似合ってる。小さいけど本当いい奴だ。
「じゃあさ。逆に一緒に向こうのクラスに行ってみようよ?」
「おまえも弟いたんだっけ?」
「うん!」
341 名前:人格転生45 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 19:57:24.36 ID:KEXA8M/t
下級生のクラスに行くのは勇気がいる。
逆の立場を考えると、本当に由衣は勇者だったんだな。
二人で由衣のクラスを覗きこむ。
「由衣坊の復活を祝うでー!」
「おっしゃー!」
「あははあはははは!」
「ハッピバースディ~トゥーユー~イー~」
「誕生日ちゃうわ!」
「いいじゃん。もう誕生日でもさ」
「だよねー由衣がいない間、あたしら寂しかったよー」
なんだこのハイテンション?
どっかの異次元世界に放り込まれた錯覚に陥る。
でも良かった。由衣が幸せで。見るとちょっと涙ぐんでる。
くそ…うちのクラスも見習って欲しいぜ。ちょっと悲しくなってきた…
「よーし! こうなったら合コンしようぜ!」
「いいね!」
「えーマジー?」
「あたし由衣ゲットー」
「ちょっと! 由衣坊はウチのんやで! あんたらは別グループや!」
前言撤回。なんか流れがおかしくなってきた。このリア充どもめ…
素直に喜べない自分が悲しい。
とりあえず由衣が元気そうで安心したからいいか。
一緒に来た神咲を見ると、真剣な目でクラスを見ている。
決してちっちゃいから、隣にいても見えなかったわけじゃない。
なんなんだ? 由衣を見てるわけじゃなさそうだけど…
「おい神咲、帰るぞ」
「う…ん…もうちょっと…もうちょっとだけ見てく」
342 名前:人格転生46 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 19:59:00.89 ID:KEXA8M/t
放課後。それは突然だった。
「ちょっと! 美里クン!」
「な…なんだよ…」
神咲の声に思わずびっくりしてしまう。
小さい割に声量あるんだな。
アニメ声だし声優にでもなればいいんじゃないか?
「由衣ちゃん達、クラスで合コンするんだって」
「そっか。まあ騒げばいいだろ。あいつも嬉しいだろうし」
「それでも由衣ちゃんのお兄ちゃんなの?」
「え? なんで?」
「由衣ちゃんが心配じゃないの?」
「へ?」
神咲は涙目で必死になってる。
ひょっとして男子の方はそういう目的なのか?
だとしたら話は変わってくる。
「場所はどこだ?」
343 名前:人格転生47 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:00:52.31 ID:KEXA8M/t
俺と神咲は学校を離れたあと、一緒に由衣たちをつけることにした。
しばらくすると由衣達のグループを見つける。
男子二人に由衣を含めた女子三人。
全員見知った顔なのは偶然か?
男子2人は知り合い。一人はある先輩の弟。もう一人はここにいる神咲の弟だ。
女子3人も知り合い。さつきちゃんと最近関西から転入してきた子だ。
で、由衣と合わせて合計5名。
その5人は仲良くカラオケボックスに入っていった。
「カラオケか…」
思ってたより健全で安心した。俺は帰ろうとするが神咲に手を引っ張られる。
「おい…ちょっと…」
由衣たちが部屋を決めたあと、俺は神咲に引っ張られる形でとなりの部屋に決まる。
「おい、神咲。なんだよ、これ?」
「由衣ちゃんがどうなってもいいの?」
目が真剣だった。
「なんだそれ?」
「久しぶりに再開したクラスメイト」
「たった3日だろ」
「いやでもカラオケで盛り上がる中」
「別に普通だろ」
「二人は見つめ合いながら」
「イメージしにくいんだが…っていうか誰と誰がだよ」
「じゃあちょっとこっち見て」
「ん?」
神咲の方を見る。
自分の口に右人差し指を当てている。
344 名前:人格転生48 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:01:50.80 ID:KEXA8M/t
『たっくん、久しぶり』
『ああ、美里こそ…』
…あれ? 今、なんかイメージが…
カラオケで他のみんなが盛り上がってる中、由衣が神咲の弟と話してる。
『休んでたけど大丈夫か? 一身上の都合で聞いてたんだけど』
『うん、ちょっと家で色々あって…』
『相談に乗るけど?』
『お兄ちゃんにね…フラれちゃったの…ぐす…』
違う。これは由衣じゃない。
由衣はこんな事言わない。
こんな可愛い仕草はしない。
それに今の由衣は由利もいる状態だ。
このイメージは全然違う。
『わかるよ…俺も姉ちゃんなしじゃ生きていけないし…辛いよな』
つーかこれが神咲の妄想だとしたら相当痛いな。
どんだけブラコンなんだよ。正直引く。
っていうか何、気安く由衣の肩に触ってんだよ。
『もうあたし家に帰れない…気不味いし…お兄ちゃんに会わす顔ないよ…』
『美里…いや…由衣って呼んでいいか?』
よくねえよっ! なんだよ! この超展開は!
『うん、いいよ…あたしも、たっくんって呼んでいい?』
二人の顔と唇が重なり合おうとする瞬間…
345 名前:人格転生49 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:08:51.64 ID:KEXA8M/t
「―よくないっ!!!」
神咲の叫び声で、それまでのイメージが
真っ白になって一瞬で消えた。
「うわっ! びっくりしたっ!」
「はぁはぁ…何たっくんとキスしようとしてんの…ダメ…そんなのダメ…はぁはぁ…」
神咲を見ると額に冷や汗をかいて呼吸をしていた。
そのミニマムな体が大きく揺れていた。
「そんなに苦しむなら、無理に妄想させようとすんなよ…」
「こ…こういうこともありえるってことなの…」
「わかった…協力するよ。で…何したらいいんだ?」
「じゃあとりあえず…」
ちなみに俺も少し鼓動が早くなっていたのは内緒にしておく。
第一、俺は神咲みたいなシスコンじゃない。
346 名前:人格転生50 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:09:47.66 ID:KEXA8M/t
なんで俺がこんなことしないといけないんだろう?
「あの、店員さん…いいですか?」
「何でしょうか」
目の前にはメガネをかけた女性の店員さん。
嘘だとわかってても、すげえ緊張する。
「あの…一目惚れしました。ちょ…ちょっとでいいですから俺と話してもらえませんか?」
「…へ…は? …な、何?」
「と…とにかくこっちです」
「ちょ、ちょっと…!」
そして、そのまま手を引いて、神咲のいたカラオケルームに連れて行く。
「ただいま」
「あ、美里クン、おつかれさま」
「…ああ」
子供みたいにオレンジジュースを飲みながら近づいてくる。
店員さんは俺と神咲を見比べながら変な顔をしている。
「あなた、私に好きとか言っといて、ロリ…そういう人だったの?」
「…黙って!」
「女だったら誰でもいいのね…こんな中学生相手に…」
「あたし高校生だよ! 制服着てるでしょ!」
神咲は怒りながら、さっきと同じく口に指を当てる仕草をする。
「…!? …えっと…あれ…」
店員さんの表情が変わる。
すると神咲はニッコリ笑ってから言った。
「いい? これからメールで隣の部屋の状況を教えて? ケータイ貸りるね?」
「はい、わかりました。どうぞ。ドリンクはいかがなさいますか?」
「ん、もうひとつオレンジジュース。美里クンは?」
「お…俺? じゃ、じゃあコーラで。あ、ゼロで」
「ご注文ありがとうございます。ではごゆっくり下さい。
あ、ケータイはこちらのアドレスに連絡すればよろしいんですね」
「うん。頼むね」
「了解しました」
何事もなかったように店員さんは去っていく。
一体何したんだ?
347 名前:人格転生51 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:11:06.72 ID:KEXA8M/t
「おい、今の…」
「催眠術」
「バカ、そんなのあるわけ…」
でも神咲の真剣な幼い顔を見ると何も言えなくなってしまう。
そうだ。現実に今のを見てしまったんだ。
あれは明らかに催眠術そのものだったじゃないか…
「でも…どうやって…」
「相手の心理を乱した状態にするの。そのあと目を見つめて催眠状態に持ってくだけ。はぁ…疲れたぁ…」
ルームの黒いソファにゴロンと倒れかかる。
「こんな特技があったなんて…」
「特技っていうのかなぁ」
そのオレンジジュースを飲む仕草に釣られ、俺もコーラを飲みながら考える。
「でも、そんなに気になるんなら直接たくやに催眠術かけた方が早いんじゃねえの?」
「…早くない。すぐに解けちゃうし…忘れちゃう…」
その幼い顔が寂しそうな表情になる。
こんな神咲は珍しい。
「じゃあ、あの店員さんも…」
「うん、役割終わったら覚えてないと思う」
「ふーん、催眠術って言っても万能じゃないんだな」
「…っ!」
「それに本気でできたら卑怯だもんな」
「…ぅう…」
神咲の表情がますます暗くなっていく。
やばい。ちょっと話題を変えるか。
「でもさ、そういうのって夢があっていいよな。良かったら俺にも教えてくれよ」
「え?」
はっとした表情になる。よかった。表情戻って。
なんか神咲の泣きそうな表情見ると、小学生泣かせたような罪悪感感じるんだよな。
無駄にちっこくて可愛いしな。
「催眠術。あいつらが歌ってる間、俺らも暇だろ」
「う…うん」
348 名前:人格転生52 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:13:11.22 ID:KEXA8M/t
気づいたら俺の意識はボーっとしていた。なんだか夢の中にいるみたいだ。
「あ…本気でやったら、かかりすぎちゃった…どうしよ…」
「ん…あ…神咲…?」
目の前の神咲はハッキリしてるんだけど、周りの景色がボヤけて見える。
そう、ピントが神咲にしか合ってない。
「あの、これが催眠状態。さっきやった手が重いとか言う暗示は催眠がかかりやすくするためなの」
「ふぅん…そっか…なんかフワフワしてて気分がいいよ…」
「たぶん美里クンはかなりかかりやすいんだと思う。たっくんの場合は2ヶ月以上かかったし完全にはかかんなかった」
「たくやにも…かけたことあるんだ?」
「うん」
「どんなのかけたの…? ふわぁ…」
体がポカポカして気持ちいいなぁ…
「それは…どうせ覚えてないからいっか…」
「すぅ…はぁ…ああ…体浮いてる…」
「あたしを『犯して』って。あたしの体、気持ちいいよって。最悪でしょ? あたし本気で弟好きなんだ」
へえ、こんな幼い体を…
神咲って小柄で140くらいしかないけど胸は大きよな…
このつぶらな瞳で上目遣いされたらひとたまりももないだろうな…
「…そっか…姉弟同士で恋愛感情か…由利と同じだな…」
「由利? 誰?」
「…妹」
「由衣ちゃんの他にもいるんだ」
「…いや…由利は由衣だよ」
「え…?」
「…で、その弟とはどうなったんだ?」
この魅力的な幼い体をどうしたのか…
犯したのか…? こんな小さくて柔らかそうで気持ちよさそうな体…
こんなロリとセックスするって犯罪じゃないのか?
「抱いてくれたよ。でも…」
「…!!」
処女じゃないのか…?
それより神咲のこの幼い体を…
…抱いたのか?
「向こうは覚えてないの…うぅ…」
バカ、こんな子を泣かすなよ…
この小さな身体を守ってやりたくなる…
俺も抱いてみたい…このカラダを…
「…どういう風に誘ったんだ?」
「あ…え…あの、あたしのカラダ気持ちいいよって。フェラしてあげるって…何言わせるのよ、もう!」
その瞬間、頭がクリアになると同時に、神咲をソファに押し倒していた。
覆いかぶさって神咲の幼い顔を見つめる形になる。
349 名前:人格転生53 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:15:52.06 ID:KEXA8M/t
「きゃっ…」
「これ、催眠だよな?」
「え、う…うん」
目を逸らしながら答える姿が可愛い。
「さっき俺に犯してって命令したよな?」
「え…し…してない…」
「したんだよ」
その柔らかそうな唇を塞ぐ。
神咲は信じられないという表情をしてる。
構うもんか。誘ってるんだろ?
「ん…んん…ちゅ…」
「…ん…んっ…」
一方的にその幼い唇に懸命にキスする。
「ん…や…やめて…あたしはたっくんが…」
唇を離して神咲を見つめなおす。
俺は意地になっていた。絶対に神咲を抱くと。
こんなところでやめるほど人間できてない。
「…じゃ、教えてくれよ…」
「え? 何を?」
「セックス…俺童貞だし…」
くそ。むちゃくちゃ恥ずかしい。
きっと俺の顔は真っ赤になってると思う。
神咲の顔をまともに見れない。
「…いいの?」
その言葉でもう一度、その幼い顔をまともに見ることができた。
「初めて…あたしなんかでいいの? 処女じゃないし、催眠術で無理やり弟抱くような変な女だよ?」
「…姉弟で愛しあうのがそんなにおかしいか?」
由利だって同じだった。
実の妹じゃなかったら本気で抱いてもいいようないい女だった。
あいつは本気で俺のことが好きだった。
それを変とかおかしいとかで片付けたら、あいつに失礼だ。
由利は…もう由衣の中にいないんだろうか…?
今の由衣は由衣と由利が一人になっている状態だし、まだどっちかわからない。
「美里クン…?」
怖い顔をしてたんだろうか。
その幼い顔は上目遣いになってこちらを伺っていた。
その唇に軽くキスしてから答えた。
「初めては神咲がいい…一年の時からずっと可愛いと思ってたし…好きだったよ…」
照れくさいけどハッキリと告げた。神咲の顔が真っ赤になる。
「あ…ありがと…あたしも…たっくん以外なら美里クンが一番…気になってたかな…」
「…」
350 名前:
人格転生54 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:17:24.20 ID:KEXA8M/t
コツンと頭を優しく叩いてやる。
「え? 何?」
「別に…なんでもない」
この場面で他の男の名前を出すなって。
正直っていうか、純粋なのところまで子供みたいだな。
それがこいつの良い所なんだろうけど。
改めてその呆けてる小学生みたいな顔にキスをする。
「ん…ちゅ…ん…美里…クン…」
「神咲…ん…ちゅ…ん…好きだ…ん…」
「あたしも…ん…好き……んちゅ…」
お互い顔を離す。神咲はとろけた顔になっていた。
「良也って呼んでくれ…俺のこと」
「う…うん。あたしも瑠璃子…瑠璃でいいよ」
「じゃあ、みんなが呼んでるみたいに瑠璃でいいか?」
「うん…良也クン…」
神咲…いや瑠璃のカラダを食い入るように見つめる。
低身長の割にナイスバディとでも言えばいいのか…
ちっこい割にエロいカラダしてる…
「ぬ…脱がすぞ…触っていいよな?」
「う…うん、ど…どうぞ」
由衣の世話で女子の制服の脱がし方は知っていたので、簡単に脱がすことができた。
お互いにパンツ一枚になる。瑠璃は胸を隠しながら俺の体を凝視してる。
瑠璃のカラダは華奢で小さくて壊れそうだったけど、すごく魅力的だった。
程よく出た胸。程よく締まったウエスト。
今すぐにでもむしゃぶりつきたくなるような尻。
「瑠璃って意外といいカラダしてるよな」
「…意外って何? 小さいってこと?」
「ああ…って、痛てっ!」
「ひ…人が気にしてることを!」
ポカポカ叩いてくる。全然痛くないし。
「…あっ!」
その腕を取ってから、ソファにもう一度倒す。
そして、おっぱいに顔を埋める。
「ひゃあっ! ちょ…あん…舐めないで…ぅん…あん」
「…ほら、乳首立ってるぞ」
「や…ちょっと…やだ…あん…うふん…ん…」
徐々に舐めるのを、瑠璃のカラダをおっぱいから大事な部分に移していく。
「あん…ちょっと…そこは…」
パンツを足にずらして直接大事な部分を舐めていく。
おまんこは愛液でぐっしょり濡れていた。
「あん…ん…あ…やだ…んん…あは…ん…良也クン…うん…」
はっきり言ってもう我慢出来なかった。
351 名前:人格転生55 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:19:29.73 ID:KEXA8M/t
「い…入れていい?」
「う…うん…って、ちょっと待って!」
「…え?」
嘘? ここに来て生殺し?
「あの…ナマは…今日たぶん危険日だし…」
「…嘘だろ…」
「ゴム持ってない…」
そんな殺生な…俺も持ってないし…
持っとけばよかった…じゃあ口でしてもら…
「あ、大丈夫!」
「え?」
「こっち見て」
瑠璃は自分の唇に人差し指を当てる。
「…あ」
少しだけクラっとする。でもさっきほどはかかってないと思う。
…っていうか、今、意識したけど、もう催眠覚めてる?
「ちゃんと目と指見て」
「ああ」
そのあとブツブツ『出さない方が気持ちいい』と何回もつぶやきながら、俺の目をじっと見つめてくる。
「うん。大丈夫」
「何が大丈夫なんだ?」
すると瑠璃は顔をモジモジさせながら苦笑いで言う。
「セックス…大丈夫…入れていいよ…」
その言葉にリミッターが切れた。
「きゃっ!」
俺は瑠璃を正面からソファに押し倒して、パンツを脱いでからペニスをヴァギナに押し当てた。
その入り口はぬるぬるで、すぐにでも俺を受け入れる体勢が整っていた。
「い…入れるからな…?」
「う…うん…やさしくね?」
ゆっくりと膣に挿入を開始した。
瑠璃のまんこはキツくて入りにくいかと思ったけど、少しづつ入っていった。
「ん…おっきい…あん…入ってる…ぁん…」
「はぁはぁ…動くぞ…」
中の締め付けがキツくてすぐにでも、膣内に精液を注ぎ込んでしまいそうだ。
すぐにでも出したい。この幼いカラダをむちゃくちゃにしたい。
射精したい。普段の純粋な少女が俺のザーメンに塗れる姿を見たい。
352 名前:人格転生56 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:21:19.38 ID:KEXA8M/t
でも…中出しはヤバイ…く…
理性を必死で保ちながらゆっくり加減しながら腰を振る。
神咲瑠璃子という女の子を想いながら、優しく抱いていく。
「あん…ん…あん…うん…気持ちいいよ…」
「く…俺も…で…出そう…」
1年の時からこの子は有名人だった。
どう見ても高校生には見えないどころか中学生にも見えなかった。
そんな子と今セックスをしている。
ぬちゃぬちゃと膣内が俺のペニスを圧迫する。
気持ちよさで思いっきり腰を振りたい。
中に何度でも射精したい。
「あん…うん…いい…いいよ…美里ク…良也クン…優しい…」
「く…ホントはもっと激しく動きたいよ…でも動いたら出ちゃうから…」
「ん…あん…うん…優しんだ…好き…由衣ちゃんが羨ましいな…あん…」
「そういや…隣の部屋で由衣たちは歌ってるんだっけ…」
「うん…あん…そ…そうだったね…じ…時間もないかも…あん…」
すっかり忘れてた。あまり時間もないのかも知れない。
もし由衣達にこの声が聞こえてたらと思うとゾッとする。
「もし隣に聴こえてたら…あたし達…どうしよ…あん…あん…」
「考えてること一緒かよ…くっ…出そうだ…」
「だ…出していいよ…ぅふん…あん…」
「…え?」
「出せなくしてるから…それに…あたしもイキそう…あん…ぅふん…」
「出せなく?」
「うん…さっきの…あん…催眠術で…かけたから…大丈夫…あん…」
「ぐ…出そう…信じるからな…」
瑠璃の幼いカラダを持ち上げて、俺が腰を振りやすい体勢を作る。
俗にいうバックという体勢だ。
俺は後ろから瑠璃の腰をガッチリと掴み、瑠璃はソファの背もたれに手を掴んでいる。
瑠璃のきついマンコにしっかりと挿入してから用意をする。
「激しく行くからな…声出すなよ?」
「うん…大丈夫…来て…」
そこで瑠璃のケータイが鳴った。
「あ、あの店員さんからだ。たっくんと由衣ちゃん達あと10分くらいで部屋から出ちゃう…早くしないと…」
それが合図だった。俺は後ろから瑠璃の口に手を当てて声を出さないようにする。
さっきまで瑠璃に思いっきり我慢していた分、腰を振りまくった。
俺の腰を瑠璃の幼い尻に打ち付ける音が鳴り響く。
「んー! んん! ん…うん!! ぁん! んー! んん! ん!」
「くっ…う…」
「んー! んー! ぅんぁん!! ん!」
「ほら…声出す代わりに俺の指かめ…く…瑠璃の中キツ…」
「んーーー! んーーー! んん!!」
声を押し殺す瑠璃は涙目になりながら俺の指を噛む。
痛いけどこの程度なら快感の方がよっぽど上だ。
もし声が漏れて、あいつらにこんなとこ見られたら終わりだ。
353 名前:人格転生57 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:24:49.44 ID:KEXA8M/t
「なあ…今の俺らのしてるとこ…あいつらに見つかったら、どんな目で見られるんだろうな?」
「…ん? んーーーーーーー!!! いぃ!! んーーー!!」
そう言った瞬間、瑠璃のマンコが急激に締まった。
「んーーーーーっ!!」
瑠璃もビクンビクンッと背を逸らしている。
俺もそれと同時に射精した。つもりだった。
「は……はぁ…はぁ…」
ぐったりした瑠璃はソファに倒れこむ。
あれ…? でも射精の快感はあるのに出してない?
それより寸止め感があって変な快感が続いている。
瑠璃のマンコも丸見えだけど精液は見えないし…
「はぁはぁ…じ…時間ないよ…良也クン…こっち来て…あたし、ちょっと動けないから…」
俺は言われた通り瑠璃の側に寄る。
「しゃぶってあげるから、おちんちん出して…」
「あ、ああ…でも俺まだイッてないんだけど…」
「いいから、おちんちん口に入れて…早く…時間ない…」
瑠璃にペニスを向けると、瑠璃は俺を見てから指を自分の口に当てた。催眠術?
それからブツブツ『出した方が気持ちいい』と何回もつぶやきながら、俺のチンコをくわえ込んだ。
「ん…ちゅ…ちゅぽ…ちゅ…ちゅる…ちゅ…ん…」
「くっ! あっー!」
瞬間、寸止めの快感が無くなって、普段の感覚に戻る。
ヤバイすぎるって! 気持よすぎる!
瑠璃が上目遣いで俺のチンコに手を添えながら上下にしゃぶる。
「ちゅ…ん…おいひ…ん…だして…口の中に…はして…ちゅ…ん…ちゅぽ…ひひよ…ん…ちゅ…」
「…くっ…出るっ!」
「ん? んんーーーー!」
本来、膣内に出していただろう分を、そのちいさな口の中に注ぎ込む。
「んー! かはっ…う…はぁ…はぁ…うぅ…はぁはぁ…かはっ…はぁはぁ…」
少し咳をしがなら瑠璃は上目遣いで、口から出した両手の中のザーメンを俺に見せてくる。
「いっぱい出たね」
「ああ…」
「ごめん、いっぱいだったから、ちょっとしか飲めなかった」
「…そこまでしなくていいって…」
「ううん…したかったから…良也クンの初めてだったし…」
「神咲…あ、いや…瑠璃…」
「あ…」
思わずその幼い体を抱きしめていた。
もう一度嘗め回すように瑠璃のカラダを見る。
この子とセックスしたんだ。俺の初体験…
354 名前:人格転生58 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:26:12.08 ID:KEXA8M/t
「ど…どう? よかった?」
「ああ、初めてが瑠璃で良かった」
「あ…あたしも実質初めてのようなもんだから…」
「…そっか」
向こうは覚えてないんだっけ? 俺もこの体験を忘れるのか…?
「俺も瑠璃としたこと忘れるのかな?」
とてもそうは思えないけど。ここまでの瑠璃との行為は鮮明に覚えてるし。
「わかんない…美里ク…良也クンはもう催眠状態解けてるし…」
「じゃあさ、またしようぜ」
「う…うん…そだね…でも…」
瑠璃は一瞬嬉しそうな顔をしたあと沈んだ表情になる。
弟のこと気にしてんのかよ。そんなに好きなのかよ。姉弟だぞ?
だったら俺と付き合ったほうが…
『愛してました…家族としても異性としても…』
…! 由利の告白が鮮明に蘇る。
兄妹だから好きになるってこともある。俺はそれがわかってるはずだ。
ここで付き合おうと言うのは簡単だけど、今の考えだと由利…いや、瑠璃の気持ちを踏みにじることになる。
「ごめん…あまりにも瑠璃がよかったからさ…」
「あ…ありがと…」
「それにこれ以上おまえとセックスしたら捕まりそうで…」
「む…! どういう意味?」
「俺、ロリコンでもシスコンでもないしさ…」
「良也クン…歯食いしばってくれる?」
「…ああ」
俺は覚悟をして目を瞑る。
そう、こいつとは今までの関係の方がいい。
このことも催眠でなかったってことだ。
―ちゅ…
え? 頬に鉄拳が飛んでくると思ったら、予想外のものが飛んできた。
小さく『ありがと』とも。それも、その幼い頬を赤らめて。
これなら頬を引っ張られた方が、まだ破壊力があったと思う。
そのあと、お互い急いで着替えて、あの店員に料金を済ませてから由衣たちのあとを追った。
355 名前:人格転生59 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:28:42.04 ID:KEXA8M/t
「状況はどうだ?」
そこのコンビニで買ってきたアンパンと牛乳を、一見、女子小学生にしか見えない相棒に差し出しながら問う。
場所は巨大モニターが見える駅前の繁華街。
俺達は歩道橋の椅子に座って、近くで仕入れた小さい望遠鏡をお互いに使って、由衣たち一年生グループを観察していた。
「今、女子グループと分かれた模様。なお、たっくんの貞操も無事な模様。オーバー」
「そ…そうか…」
ここまでブラコンだと、もう感嘆するしかない。
「で、由衣は?」
真っ先に妹が気になる俺も、人のことは言えないのかも知れない。
「だから女子グループとは分かれたってば。さつきちゃんと神菜ちゃんも一緒に帰っていったよ」
「何ぃ? じゃあ、俺がここにいる意味ねーじゃん」
「あっ…!!」
「な、なんだ?」
一年グループの男子二人が若い二人のOLに囲まれていた。
「あーっ! たっくんナンパされてるーっ!」
「しっ…声がでかい…」
俺もその方向を見る。でも、あれってナンパって言うより…
瑠璃とアイコンタクトを取って頷きあったあと、その場に近寄る。
「ほらシンちゃん、一緒に食べに行こうよ」
「ちょっと…
姉さんってただでさえ有名なのにこんなことしていいの?」
「いいのよ。ほらほら、翔子だって一緒に行きたいって言ってるよ」
「え? 本当ですか?」
「まあね。美佳がうるさいし」
「あの、いつも姉が迷惑かけてすみません」
「いいのよ。こっちもかけてるから」
ありゃりゃ、今日は知り合いとよく会う日だな…どこのOLかと思ったらミミ先輩と翔子さんじゃん。
スーツ姿だけど、なんか用事だったのかな?
宮野美佳、通称ミミちゃんこと女子高生実業家。マスコミでも有名になってる。
その横にいるのが校内一の秀才。生徒会長の翔子さん。ミミ先輩の親友だ。
二人とも俺たちの先輩に当たる。二人とも超美人の高校3年生。
あれだけ際立ってると、逆に周りの人が引いてしまうよな。
「姉さん、あんまり翔子さんの邪魔しちゃだめだよ」
「してない、してない。むしろこっちの邪魔してくるくらいだから」
「すみません翔子さん。こんな姉ですがこれからも仲良くしてやってください」
「ふぅ…別にいいわよ。いつものことだし」
356 名前:人格転生60 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:30:57.65 ID:KEXA8M/t
で、瑠璃の逆ナン疑惑を受けてる二人の後輩。
一人はミミ先輩の弟の新一。ミミ先輩がシンちゃんって呼んでる奴だ。
実はこいつ、ミミ先輩の親友の翔子さんに惚れている。
こいつはかなりのしっかり者だ。
一年のクラスでも由衣が迷惑かけてるんだろうけど、きちんと文句も言わずに俺に報告してくれる良い奴だ。
でも翔子さんって聞いたとこによると幼なじみがいるらしいぞ。
大丈夫か? 俺は応援してるぞ。頑張れ新一。
「あの、たくやくんも一緒にどう? いつも弟が世話になってるお礼するわ」
「え…いいんですか?」
「いいよね、シンちゃん」
「っていうか、来てくれないと僕が困るよ」
で、肝心の瑠璃の弟のたくや。瑠璃いわく、たっくん。
こいつはミミ先輩が好きなんだよな。
さっきからラブラブビームをミミ先輩に送ってる。
「あの、ミミ先輩、俺、また世界情勢とかの質問あるんですけどいいですか?」
「ん? いいよ。今度は何?」
おいおい、たくや、そうやってミミ先輩の胸ばっかり凝視してると嫌われちゃうぞ。
ちらりと瑠璃の方に目をやる。
「…っ!」
自分の制服のスカーフを噛み締めてる。どこの時代の小学生だよ、お前は。
まあ、あの弟はミミ先輩にベタ惚れだからな。気持ちはわかるぞ。
しょうがない。ちょっと手を貸してやるか。
「あのー! 先輩方! ちょっといいですかー?」
あのあと適当に先輩の注意を俺に引いてうちに、ミミ先輩に電話が入ったところで夕食会をぶち壊すことに成功した。
「もしもし、え…何? それ本当なの? 冗談じゃないの? 1時間後に発表!? 嘘でしょ? …え、ええ…わかったわ。ありがとう。感謝するわ」
俺たちに断ってから、もう一度電話をかけ直すミミ先輩。
「私よ。今すぐ全部ドルを売って円に替えなさい。ええ全部。責任は私が取るわ。わかってる。一番初めじゃないと意味が無い。情報が出てからじゃダメ。あ、今からそっちに行くから」
てへっと舌を出して、ごめんねと言ってから、弟の新一と親友の翔子さんを連れて帰っていった。
瑠璃…感謝しろよ。
「ミミ先輩…カッコいいよなぁ…」
「たっくん?」
「なんだ、姉ちゃんと先輩か…ぐえっ!」
瑠璃の腹パンチがたくやの鳩尾に決まっていた。
「たっくんのバカバカバカ!」
「いてて! 俺が何したんだよ!」
姉弟仲がいいって素晴らしいことだよな。
って、俺、そんな瑠璃としちゃったんだよな…
いや、それはなかったことだ。
たくやがミミ先輩が好きな理由は想像が付く。
こんだけ子供っぽい姉がいたから、反動で大人な先輩を好きになっちゃったんだろう。
ホント人間関係って複雑だよな…
でも、もうこれ以上複雑になることはないだろう…たぶん。
357 名前:人格転生61 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:32:34.50 ID:KEXA8M/t
「なあ、俺ってここにいる意味あんのかな?」
「わかんない。でも良也クンって意外と使えるから、もうちょっと一緒にいてよ」
「俺はおまえの助手かよ! 嫌だよ! 帰る! もう由衣もいないし!」
「ふぅ…シスコンだなぁ…」
「く…お前にだけは言われたくないぞ…」
瑠璃は望遠鏡をこっちに放ると、コンビニ袋からアンパンと牛乳を出し始める。
牛乳を飲みながらパンをかじるその姿はどう見ても小学生だ。
なんだ? とすると、こいつは小さな名探偵の女の子バージョンで、俺は幼なじみの男バージョン?
「ほら良也クンもアンパン食べなよ。おいひいよ…んぐ……おいしぃ…」
「おまえな…それも俺が苦労して買ってきたヤツだし」
「細かいなぁ」
だんだん腹立ってきた。
こいつを相手にしてるとアホな由衣を相手にしてる気になってくる。
ちょっといじめてやろう。
「…」
後ろから見えない位置に忍び寄る。
神咲は小動物のようにパンを食べながら、紙パックの牛乳を置く。
その瞬間、後ろから胸を鷲掴みにしてやった。
「ひゃあっ!」
さらに神咲が半分も食べてないパンを横取りして、全部口に入れる。
コンビニの袋も取り上げてやった。
「あぁ! ひどい! 何すんの!」
「元はそのパンも俺のだ。半分食えただけで感謝しろ。あとは子供らしくちびちび牛乳すすれ」
「うぅ…ひどい…あたし子供じゃないもん…」
「アホか、酷いのは俺じゃねえ。俺を振り回してるお前だ」
「あんなに愛し合った仲なのに…」
「ぐ…」
冗談でもそれを言われると…
「ていっ!」
「あっ…」
そのスキに袋を奪われる。そしてまたパンを取り出す。
く…こいつ、なかなかのやり手かも知れない…
「あと言うの忘れたけど…」
「んだよ?」
「うしろに由衣ちゃんと神菜ちゃん来てるよ」
「は、そんなウソにひっかかるか。帰ったんだろ。パンは全部俺が食ってやるから返せ」
「あ、やめて…ひどいよぉ」
「だからなぁ…酷いのは…」
「…兄さんの方です」
背中から氷を刺された感覚がした。
そーっと後ろを振り向く。
そこには妹がいた。
心臓が止まるかと思った。
358 名前:人格転生62 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:37:25.98 ID:KEXA8M/t
由利…? 由衣…?
一瞬どっちかわからなかった。
「お兄ちゃん、楽しそうだね」
「ゆ…由衣…?」
「ん? なんか私の顔についてる?」
まじまじと制服姿の由衣を観察した。
時間が時間なら夕暮れの今の時間は、由利との交代のはず。
でも人格が合わさったから…
さっき兄さんって聞こえたような気もしたし…
「先輩、るりと付き合ってんの? 胸揉んだあとキスしてたやん」
「な…ちが…」
すぐ横にいた神菜にもすぐに対応できなかった。
この子は最近関西から転入してきた子だ。
打ち解けやすい性格ですぐに由衣とも仲良くなっていた。
くそ…いつもなら、ただのイタズラと間接キスだろ、と反論してるのに…
「…何が違うの? お兄ちゃん」
「ひっ…」
表情は由衣のものだけど、オーラが全然違う。これは由利の雰囲気だ。怖い。
隣にいた神菜が、瑠璃のほっぺをつつきながらチョッカイを出しているのにも関わらず、周りには温かい雰囲気がない。
朝はあったのに…なんで…
「瑠璃ちゃんと何があったのかな?」
「べ…別に…ちょっと…からかってただけ…だよ」
うまく声が出せない。
ちっちゃいお姉さんに筆下ろししてもらいました、なんて冗談でも言ったら殺されかねない。
背中から冷や汗が止まらない。
由利の怖さは知ってるけど、『今の由衣』の怖さはそれ以上だ。
家族でも身の危険を感じるレベルの圧迫感。
「…私もパンちょうだい」
「あ、ああ…いいよ。瑠璃…神咲が持ってる袋にいっぱいあるから…」
「瑠璃? そう…瑠璃…ちゃんが持ってるんだ。じゃ、貰ってくる。神菜~! 私も混ぜて~!」
そう言ってから由衣は神菜と瑠璃がじゃれあってる中に入って三人でキャーキャーしてた。
心なしか時折、由衣の瑠璃を見つめる目がキツくなっていたのと、女子同士のスキンシップのボディタッチで、本気でプロレスの技をかけていたように見えるのは気のせいだろう。
瑠璃が涙目になって痛い痛いと言うたびに神菜に止められていた。
それにしても、やっぱ瑠璃には先輩としての威厳なんかこれっぽっちもないんだな…
でも問題はそんなことより…
359 名前:人格転生63 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:39:43.68 ID:KEXA8M/t
本当に、由衣…なのか…?
由衣は俺に嫉妬なんかしないはず…
それとも由利なのか、あるいは両方か…
少なくとも付き合いが最近である神菜にはわからない程度と考えると…
でも、さつきちゃんなら何か気づいているかも知れない。
どうもカラオケのあと急用ができたらしく、飛んで帰ったらしい。
―『ビー!!! ビー!!! ビー!!!』
そんなことを考えているときに、ビルの巨大スクリーンから耳鳴りがするくらいの警報音が鳴り始める。
『速報をお伝えします。速報をお伝えします。ただいま百九十一代日本国皇帝が崩御されました。ただいま百九十一代日本国皇帝が崩御されました』
周りに大反響するエコーと同時に巨大スクリーンにアナウンサーの顔がアップで映る。
俺達はおろか、周りのごった返している歩行者全員が足を止めてスクリーンを見上げていた。
…崩御? 死んだってことか?
『…となっており崩御されたあとの宮内庁の記者会見後…以下の放送は自粛されます。
…となっており崩御されたあとの宮内庁の記者会見後…以下の放送は自粛されます』
そんなことよりさっきアナウンサーが言ったことと…何より映像が信じられない。
『…旧皇室典範である新日本国憲法、皇帝条文により、国家元首には姫乃小路愛理様が即位されることになり今後は…』
…愛理?
記者会見で毅然と答えているのは間違いなくクラスメートの愛理だった。
皇帝家の着物を着て、独自の化粧をしているだけで全然違う。
目の前に移されてる見知った顔の次期女帝は、形容できないくらい綺麗だった。
愛理…皇帝家と繋がりがあるのは知ってたけど…
少しは似てると思ってたけど、あの愛理だなんて信じられない…
昔と違って今は皇帝家が閉じられている。
余程の身分じゃない限り、皇帝家の人間でも特に、直系の血筋は今はマスコミには開かれていない。
なんでも歴史の教訓とかなんとか言ってたような。
それにしてもなんで愛理なんだ? 次期皇帝の座は普通なら皇太子のはず。
つまり愛理が、あの愛理様で皇女だったとすれば、愛理の父親である皇太子が引き継ぐのが普通だ。
それに、あいつ、学校はどうすんだ?
…待てよ…さつきちゃんはずっと愛理に付いていた。
じゃあ、さつきちゃんは愛理が皇女だって知ってたってことか?
俺が愛理にあまりにも馴れ馴れしくしてる時に睨まれたことも何度かあったし。
ただのお嬢様の扱いにしては仰々しすぎたし。
さつきちゃんが急用で帰ったのも、この報道のためか?
少しずつ周りの人だかりも動き出してきた。
そんな中こっちに走ってくる見覚えのある人物が…
360 名前:人格転生64 ◆qtuO1c2bJU [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 20:41:38.70 ID:KEXA8M/t
「由衣様! 良也様!」
それはシックなメイド姿の薫さんだった。
立ち止まって俺と由衣の手をひく。少しだけ息が乱れていた。
あれだけ走っても少ししか乱れてないのも凄いけど、その速度がすごい。
「は、早く家にお戻り下さい…ここは危険です…」
「か、薫さん、ちょっと落ち着いてください」
「帰ってからです! 早く!」
俺は薫さんに着いて行く。
「由衣坊ちょっと! ケータイ忘れてんで!」
「あ、ありがと神菜。あとで連絡する」
「…なんかわからんけど絶対やで」
「うん…」
由衣もケータイを神菜から受けとったあと、俺たちについてきた。
歩道橋の下には黒い1000ccはあろうかというバイクが止まっていた。
かなり大きいバイクだ。でも、そこには警官2人が違法駐車の取締をしていた。
「警視の如月薫よ。そこをどきなさい」
薫さんは警察手帳を見せながら警官たちに言い放った。
警視だって? あの手帳って本物なのか?
警官たちはそれを見ると敬礼していた。
「念のため、あとで私の身分を確かめなさい」
「は! お勤めご苦労様です!」
薫さんはそれに股がったあとエンジンを吹かせたあと、俺と由衣を乗せる。
本当に警官だとしたら3人乗りは良くないと思うんだけど…
それにしても…マジで何者なんだ? この人…
最終更新:2012年07月15日 23:11