水面下の戦い2

523 :水面下の戦い2 [sage] :2012/11/09(金) 19:52:50.45 ID:yafbYZV3 (2/5)
土曜日の昼。
結局、あれから姉が戻ってきたのは日付が変わってからだった。
着の身着のまま寝てしまい、ついさっき起きてきて、シャワーを浴びている。

一方の妹は部屋の掃除とかで朝飯後から引っ込んでしまっている。

「ふぅ~、サッパリした」
「ッ!?ちょっと!!なんて恰好してんの!」

リビングでくつろいでいたところに風呂上りの姉が入ってきた。
とはいえ、年頃の女性がバスタオル一枚でうろつくのは…。

「うるさいわねー、私はお疲れなのよ」
「いや、関係ないだろ」
「やっぱ風呂上りは牛乳ね~」
「聞けよ!」
「(ゴクゴク)」

動く喉が妙に艶めかしい。
露わになってる鎖骨や肩。
程よく肉付いた太腿。
スラリとしながら出るとこは出てる身体。
湯上りの女性特有の匂いも漂ってきて―――
これ以上いると、色々とマズイので部屋に引き揚げようとしたのだが…

「あ、そうだ。ちょっとマッサージしてよ」
「はあぁぁ??!何で?!」
「なんか、肩や背中が痛くてさ~」
「素人の俺より、プロに頼めよ…」

至極、真っ当な意見を言ったつもりだが―――。

「人の分のすき焼き食べておいて、償う気もないなんて…あげくに金を払ってマッサージ行けと…」
「いや…それは…あいつが強引に…」
「おまけに、妹のせいにするなんて…いつの間にそんな人間になっちゃったの?…」
「……わかったよ…やるよ…」
「ふふん♪じゃあお願い」


524 :水面下の戦い2 [sage] :2012/11/09(金) 19:54:17.59 ID:yafbYZV3 (3/5)
ごろんとソファにうつ伏せになる姉、―――バスタオルのままで…。

「せめて部屋着に着替えてよ」
「疲れてるっていってるでしょ、早くしてよ」
「頼むからさ…、風邪引くかもよ?」
「……」

……姉の返事はない。どうも折れる気はないようだ…。
何が悲しくて半裸の姉にマッサージせねばならないのだろうか…。

「…んしょ、と。この辺か?」
「ん―――、もうちょい上…」
「結構固まってるな、本当にお疲れだね」
「言ったでしょ―――あん、そこぉ…」
「ちょっと?!変な声出すなよ!」
「あんた、さっきから口答えしすぎよ。さっさとやりなさい」

あ~、もう!!!

「ん、ふぁ…あぁん。あぅ…ん。はぁぁぁ…」
「……」

―――何してるんだろ…俺…。

「んんぅっ…。ねぇ、上に載ってやってよ?力が半端にしか掛からないわよ」
「勘弁してくれよ…、昨日のすき焼きは謝るからさ」
「なら、言うとおりにすることね」

もうどうにもならないので、姉の上に跨り艶っぽい声を聞きながら、半ば無意識にマッサージに取り組んだ。

「はぁ…あん、いいわぁ…あんた上手ねぇ…」

ガチャ!

「あ、兄さん。ちょっと聞きたいこt…」


525 :水面下の戦い2 [sage] :2012/11/09(金) 19:55:10.53 ID:yafbYZV3 (4/5)
……最悪の間の悪さだった。
半裸の姉に跨る兄―――
そんな光景を妹に見られたのだ!!

「―――ちょっと…、何やって…るn…」
「いや、違うんだ!これは!!」
「はぁぁぁ、気持ち良かった…。感じちゃったよぉぉ…」

??!ッ―――この馬鹿姉は!!この状況でなんてことをいうんだ!!

「そんな…私……私…」

妹は耐えかねて走り去っていった…。
マズイ、とにかく後を追わねば!

「ちょっ、ちょっと待てよ!!姉さんも変な冗談言わないでくれ!!」

一刻も早く誤解を解かねば!しかし頭はパニックになっていてどうすればいいかわからなくなっていた…。


「―――冗談じゃないんだけどな…」

リビングから出る直前、姉が何か言っていたようだがそれすらも耳に入ってはいなかった。

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最終更新:2012年12月02日 10:43
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