パンドーラー5

202 名前:パンドーラー5 ◆ZNCm/4s0Dc [sage] 投稿日:2013/10/20(日) 23:42:32.17 ID:7dxGdHtj [2/7]
九月に入っても残暑が抜けきらず、不快な気候が続いていた。

あの一夜からというもの、マキとトシヤの関係は激変したかに思われたが…

「鍵持った?」
「うん、今行くよ」

バタン、ガチャ。

「マキ姉さん、クラスには慣れた?」
「そうねぇ…。まあまあかな、友達…はできたかも」
「そう、よかったよ」
「でも、休み明けテストは参ったわね」
「そうか、範囲全然違うんだ」

そこにいるのは極普通の姉弟だった。
まるで、あの夜の出来事が嘘のように…。
実際は全て起こったことで夢なんかではない。

マキがトシヤを襲った翌朝、マキ自身が泣いて謝罪したのだった。
母親の死で混乱していたこと、疲労していたこと、トシヤに会えなくて寂しかったこと…。
トシヤの方もそれを充分に理解し、マキの謝罪を受け入れた。
そして今まで離れていた分、姉弟として過ごそうと提案したのだ。
当然、マキは承諾した。
本来なら絶縁されてもおかしくないことをしてしまったと後悔していたからだ。

暮らし始めて一か月、二人の仲は順調だった。

203 名前:パンドーラー5 ◆ZNCm/4s0Dc [sage] 投稿日:2013/10/20(日) 23:43:40.69 ID:7dxGdHtj [3/7]
「おはよう、向田君」

後ろから声がかけられた。

「やあ、おはよう」
「お姉さんもおはようございます」
「え、ええ…おはよう」

声の主はあの日にトシヤと共に歩いていた少女だった。

名前は、紅保ユリコ。
トシヤのクラスメイト。
トシヤとは友人関係であり仲は良好。
…傍から見れば恋人同士に見えなくもない。

トシヤとユリコが楽しげに話すのをマキは見つめていた。

トシヤはマキを仲の良い姉としか見ていない、当然だ。
間違いはあったが、もう一度姉弟の関係をやり直すと誓ってくれたからだ。

だが、マキの方は…。



昼休みになり、それぞれがくつろいでいる時間。
マキは蒸し暑さから逃れるために廊下で涼んでいた。
景色を無意識に眺め、ふと、下を見るとトシヤとユリコが荷物を抱えながら、
中庭を歩いていた。
雑用だろうか…?

いや、そんなことはどうでもいい。
またあの二人…。

「(あそこにいるのが私だったら…)」

そう思いかけて…

「(何考えてるんだろう。もういい加減吹っ切れなきゃ)」

頭を振り、雑念を消した。

204 名前:パンドーラー5 ◆ZNCm/4s0Dc [sage] 投稿日:2013/10/20(日) 23:45:13.20 ID:7dxGdHtj [4/7]
「(こうしてトシヤと暮らせるだけで私は幸福なのに…、何なのよ…)」

マキは強く自制した。

普通の生き方をしなくては…。
もっといい相手を見つけて、恋に落ちて、いずれ結婚…。
しかし、それはトシヤも同じように過ごすのだろう。
あの紅保ユリコか、また違う相手か―――

まだ中学生の身で考えが早すぎるマキ。
それもまた思春期特有のものなのだろう。

しかし、それだけ、なのだろうか―――?



マキには別の問題も迫っていた。
高校進学である。
元々貧しかったために、中学卒業後は働くつもりだったマキ。
しかし、状況は一変し自身の将来を考えなければならない。

さしあたり進学校に通う予定であった。
マキは学力はそこそこあり、進学できる学校は多く選べた。

だがそこで思い立ったのが“トシヤはどうするか?”である。

「で、トシヤはどうなの?」
「そう言われても…。まだ二年生だしなぁ」
「こういうことは早いほうがいいわ」
「ん~、…わからないなぁ」
「私と同じ高校には通いたくない?」
「同じ高校?」
「そうよ。私が先に進学すれば、その高校の特色や勉強も教えてあげられるわ」
「あ、それはいいかも」
「じゃあ決まr「でも…、それでマキ姉さんが学校のレベルを落とすのも…」

トシヤはマキに比べて、学力が劣っていた…。

205 名前:パンドーラー5 ◆ZNCm/4s0Dc [sage] 投稿日:2013/10/20(日) 23:46:26.53 ID:7dxGdHtj [5/7]
「私のことは…気にしなくてもいいわ。…そうね、償いとでも考えてくれれば」
「償い?」
「あの夜のことの…」
「マキ姉さん、それはもう済んだことだ。今更気を使う必要はないよ」
「でも私自身の気が済まないのよ…」

本当にそうだろうか?
マキは自問自答していた。
ただ、弟と居たいだけでは?

「いいんだよ、マキ姉さんは自由に生きて。僕は僕で何とかするさ。じゃあお風呂お先に」

そう言って、その場を後にしたトシヤ。



マキとトシヤの父は仕事で多忙を勤めていた。
マキが越してきてからは、一層家に帰らなくなった。
それはマキに対する後ろめたさもあったかもしれない…。

なので大体は二人だけで生活をしていた。

マキはトシヤに先に風呂を進めていた。
こういうことは女性が先では?とトシヤは聞いたが、マキは構わないと言って聞かなかった。

脱衣所で服を脱ぐマキ。
洗濯機にはすでにトシヤの服が脱ぎ捨てられていた。
マキはしばし考え、そして―――今日もトシヤのシャツを手に取り顔を埋めた。
汗臭さと、トシヤの体臭…。
それだけでマキは絶頂に達した。

家事の内、炊事洗濯はマキが担当した。
引き受けたのは元々得意なこともあったが…、こうしたことの証拠隠滅も楽だったからだ。

206 名前:パンドーラー5 ◆ZNCm/4s0Dc [sage] 投稿日:2013/10/20(日) 23:47:16.29 ID:7dxGdHtj [6/7]
今日で最期にしなければいけない…。
こんなことはおかしい。
何処の世界に弟のシャツで快感に浸る姉がいるのだろうか…。

そんな考えが常に頭にはあったが、それを塗りつぶす快楽と本能がマキを行動させていた。
まるで麻薬中毒者さながらのように…。

シャツだけではない。
ハンカチや靴下…そしてパンツを手に取り…

「ハァハァハァ…」

口に含んだ。

「―――!!!」

声が漏れないように必死に堪えながら、マキは一心不乱に吸い、舐め、トシヤの味を確かめた。

「ふー、ふー」

顔が紅潮し、何度も絶頂を味わう。
そして、今日一番の快楽を迎えた。

「ふ、ぅん―――!!!…………っぷはぁ…」



後に来るのが、後悔と自責の念。
今日も抑えきれなかったこと。
いつまで続けるのかということ。
もし、トシヤにバレたら―――

マキは泣きながら傍にいないトシヤに謝った。

「―――うぅ、ぐす、ご、めんな、さい…」

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最終更新:2015年03月22日 01:54
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