僕の姉ちゃんがAVに?

511 : 僕の姉ちゃんがAVに? ◆3AtYOpAcmY 2016/04/14(木) 18:42:19.71 ID:jf9MMOFl
 きっかけは、彼女の失踪だった。



 長く付き合っていて、なおかつ深く愛し合い続けていた、俺の恋人。

 その彼女が、帰宅途中に突然姿を消した。
 警察も、彼女の家族も、そしてもちろん俺も、必死に四方八方を探し回ったが、行方は杳として掴めなかった。

姉さん……」
「大丈夫? ほら……」

 姉さんに抱きしめられ、漸く俺は張り詰めた心を解きほぐすことができた。
 発狂しそうな悲嘆と絶望から、帰ってくることができた。

 同時に、どこかで生きている、そういう希望をもって、再会できるその日をじっと待つ、そういう覚悟を持つことができた。

512 : 僕の姉ちゃんがAVに? ◆3AtYOpAcmY 2016/04/14(木) 18:43:08.03 ID:jf9MMOFl
 しかし現実は残酷なものだ。

 男の生理現象というものは、眩い想い出を胸に抱いていても、抑えつけることができないものだった。

「あら、おでかけ?」
「ああ、ちょっと」

 姉さんからの問いかけに、言葉を濁して、玄関を後にする。
 アダルトビデオを借りるためにレンタルビデオ店に向かうところだったのだから、男は大抵が同様の反応をするだろう。


 そして店に向かい、コーナーを区切っているカーテンをくぐると、お目当ての品を見繕う。
 しばらく吟味したのち、良さそうなものを見つけ、レジに持って行った。


 家に戻り、早速デッキにDVDをセットする。
 そして再生したのだが、1番目の女優はハズレだった。

「駄目だ、飛ばそう」

 早送りをして、次の子が出てくるのを待つ。

「乳首が黒すぎるなあ……、これも飛ばそう」

 再度早送りをして、3人目に期待をかける。

 だが、そこに出てきたのは、信じられない人物だった。

『Hとか好きですか』

『どちらかと、言わずとも好きです』

 俺は、息を呑んだ。

「ね、……姉さん!!??」

 そこに映っていたのは、俺の姉さん、そのひとだったのだから。

『おっぱい大きいですね』

『普通ですよぉ』

『普通に、何カップですか』

『普通にFです』

 インタビューが終わり、絡みに入りつつあるが、もうそんなことは関係ない。
 俺は、気が動転し、矢も盾もたまらず姉さんを呼び出した。

「姉さん! 姉さん! ちょっと来てよ!」

 本来なら、ここで呼ぶべきじゃなかったのかもしれない。

 姉弟とはいえ別人格なのだから、事実を突きつけて非難するということは、すべきではなかったのかもしれない。

 だが、その時の俺には、そこまで気が回らなかった。

 恋人が失踪している中、姉さんがAVに出ていたとなると、まるで姉さんもいなくなってしまうかのような、怒りと焦燥感で一杯になってしまったのである。

513 : 僕の姉ちゃんがAVに? ◆3AtYOpAcmY 2016/04/14(木) 18:43:40.82 ID:jf9MMOFl
「何かしら?」

 姉さんはエプロンの紐をほどきながら入ってきた。
 いまだ流されているままのAVを目にして、呆気にとられたような表情をしているが、俺は構わずその画面を指差した。

「何でこういうことするのさ!」

 しかし予想していた中で一番腹立たしい答えが返ってきた。

「これ、私じゃないわよ」

 映像を覗き込みながら、一瞬薄く笑みを浮かべたように見えた。
 それが苛立たしくて、俺はなおも問い詰めた。

「とぼけないでよ! 姉さん以外の何だっていうのさ!」
「だってほら、ホクロの位置が違うでしょ。私、右足の内股にこんなほくろないわよ」
「そんなの付けボクロでも付ければいくらでも誤魔化せるだろ!」
「メイクもこんなにケバくないわよ」

 と、ここで一瞬、姉さんは俺に対してではない敵意を覗かせた。
 それに対する反発心が、俺の追求意欲をさらに掻き立てた。

「メイクって……、メイクなんかいくらでも変えられるじゃないか!」
「相模、みく……、名前も違うじゃない」
「本名で出る馬鹿がどこにいるんだ!」
「証拠がないでしょ」

 段々言い訳が苦しくなってきた。少なくとも、その時の俺はそう感じた。

「これがまさに動かぬ証拠だよ!」

 すると、姉さんは埒が明かないといった調子で切り出してきた。

「じゃあ、証拠を見せればいいのよね」
「証拠って、何だよ……」

 いきなり話が変わって、俺は少し狼狽える。

「決まってるでしょ」

 そういうと、彼女はいきなり服を脱ぎだした。

「ちょ、ちょ、ちょっと! 姉さん、何してんのさ!」
「決まってるでしょ。証拠を見せてあげるのよ」

 まもなく、着ていた衣服の全てを脱ぎ終わった姉さんは、一糸纏わぬ裸を見せつけてくる。

「ほら、ここ。内股にホクロはないでしょ。逆に、ここにはこの女優はここにホクロなんてない」

 左胸の下を指し示す。確かにそこには黒子があった。

「それに何より……」

 そう言って、姉さんは俺のベッドに腰かけ、陰部を俺に見せつけてきた。

514 : 僕の姉ちゃんがAVに? ◆3AtYOpAcmY 2016/04/14(木) 18:44:16.55 ID:jf9MMOFl
「ほら、ここ。見える?
 これが処女膜よ。AVに出てるんだったら処女じゃないわよね」

 確かに、そこには襞のようなものが見受けられた。

「あ、でも見ただけじゃわからないかもしれないわよね。
 いいわよ。最後まで、確かめても」

 のどがカラカラになるのを堪えて、俺は言葉を返した。

「いいのかよ……」
「いいわよ。私、あなただったら」
「姉さん!!」

 冷静であれば、そんなことはするべきでないのは自明だった。
 だが、俺にはそんなものはもう欠片も残っていなかった。



 ベッドシーツに、緋色の染みが付着している。

 結局、本人の言う通り、姉さんは処女、だったのだ。

「姉さん、ごめん……」
「ううん、いいの。私、あなたが安心できれば、それで十分」

 姉さんのふくよかな乳房に顔をうずめていると、ふと思いが浮かんできた。

(そういえばあの女優の内股のほくろ、どこかで見たような)

(同じところにほくろがある女性を、俺は知っているんじゃないのか……?)

 そこまで思い至った時、俺はハッとした。

(まさか、あの女優は……!?)

 裸で寝ているからというだけではないだろう。
 俺は寒気を覚えた。

「寒いの?」

 俺の考えていることを知ってか知らずか、姉さんは俺を抱きしめてくる。

「温めてあげる」

 真っ白になった俺は、何も反応することはできなかった。



「あなたのそばには私がいれば十分。
 あんな女と違って、私はずっとあなたから離れたりしないから……」

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最終更新:2016年06月14日 18:42
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