637 オカルト物 sage 2007/11/27(火) 00:28:09 ID:YEqgS0Eq
本家の判子の入った依頼書に目を通す。
死因は交通事故。
二十歳、女性、俺より三つ上。
姉さんと同い年?
人気の少ない場所でのひき逃げで、犯人は捜査中。
現場は……実家の近所だな。
除霊士の家に生まれた俺は、中学卒業と同時に持って生まれた能力を
磨くべく鳥も通わぬ山奥の寺に修行に出された。
五年間という話だったのだが、どういうわけか修行の途中で呼び戻されて、
渡されたのが手に持っている依頼書である。
修行中の、見習いですらない半人前以下に除霊の命令が下る。
普通は、ない。
なにか理由が?
「ケケケッ
オマエガヒトリデ除霊トハナ」
もうすぐ現場という所で小学生程度の大きさのそれは、俺の背後に現れた。
「お目付役、かい?」
ノミみたいに跳ねながら周囲を回っているそれに語りかける。
「ソンナトコダ
オマエガシッパイスルノヲミテテヤルヨ」
丸まった背中、見開かれ血走り、焦点が定まらない目、
笑っているのか威嚇しているのか、歯茎まで剥き出しにした口。
魚かなにかが腐った様な臭いがする。
俺が睨むと調子はずれの声でおどけた様に
「オオコワッ
マ、ヤッテモオマエニ勝チ目ハナイガナ
オマエノ体術モ呪術モミ~ンナオレガ
オレガオシエテヤッタモノダ」
「オレダ オレニ感謝シロ」
現場に着いても延々しゃべり続けている。
俺は後を振り向くと相変わらず飛び跳ねているそれに、言った。
「黙れとは言わない。
せめて背を伸ばして普通にしててくれよ、姉さん」
639 637続き sage 2007/11/27(火) 00:30:01 ID:YEqgS0Eq
除霊?
うん。 読経したら成仏してくれた。
呼び出された原因は指導担当の姉が酔って賭けしたらしい。
つーかまだ飲んでる。
事故現場に酒とクサヤ持ってくるなよ
まったく姉さんは。
最終更新:2007年11月28日 23:08