389 :妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:06:38 ID:keD01sOB
コーヒーの匂いが漂ってきた。
もうすぐ二十時になる。私はキッチンからリビングに入ると、料理をガラステ
ーブルに並べていった。クリームシチュー、白身魚のムニエル、ほうれん草のサ
ラダ。私の作った料理だ。ほかにはトマトスパゲッティ、タコのマリネに、兄と
一緒に作ったブッシュ・ド・ノエルが並べられていた。どれも、おいしそうな匂
いをさせている。
私はソファからクッションを取ってくると、ガラステーブルの前に置いた。二
個。兄と私の分だ。クッションに腰を下ろす。
クッションはひんやりとしていた。私はタートルセーターの上にカーディガン
を着ていた。下はミニスカートなので、家の中でも少し寒い。
私はリモコンを探すと、テレビをつけた。チャンネルを変えていく。歌番組が
やっていたので、チャンネルをそれにした。CMでも流れている、流行の曲だっ
た。BGMにはちょうどいいだろう。クリスマスにやっているバラエティ番組は、
あまり好きじゃない。
テレビの横には、五十センチぐらいのクリスマスツリーが飾ってあった。画面
が変わるたび、ツリーの飾りの色も変わった。昨日、押入れから出したものだ。
私はガラステーブルに頬杖をつくと、キッチンに眼をやった。兄が、フライパ
ン片手に料理をしていた。黒いシャツにジーンズ。その上から、青いエプロンを
している。ちょっと微笑ましくなるような姿だ。焼いているのはステーキだろう。
油の跳ねる音が、リビングまで聞こえてきていた。本当はロースとビーフの予定
だったらしいが、良い霜降りがあったので、結局ステーキにしたらしい。
しばらく、兄の後ろ姿に見惚れた。兄と二人だけのクリスマス。こうして一緒
に過ごすのは、三年ぶりだった。今日は、人生で最高の日にしたい。いや、する
んだ。
兄はフライパンを置くと、食器棚に手をかけた。コンロの火は消している。振
り向きざま、眼が合った。
「いま持ってくよ。そんな物欲しそうな顔をするな」
「私、そんな顔してないもん」
皿を出しながら、兄が苦笑した。ステーキなんかより、お兄ちゃんが欲しいよ。
言いそうになった唇を引き締めた。そんなことを言わなくとも、朝になったら私
だけの人になってくれるだろう。ただ、今夜うまくいけばの話だ。
兄がステーキを運んできたのは、テレビの曲が変わった時だった。エプロンは
もう外している。
私はガラステーブルにスペースを確保した。ステーキ二皿に、コーヒーポット
が置かれた。ステーキには、輪切りで炒められたタマネギが添えてあった。タマ
ネギの甘い匂いが、空腹を刺激する。
390 :妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:07:17 ID:keD01sOB
「やっぱりお兄ちゃん、お肉焼くの上手だね」
「まぁね」
うれしそうに、兄がはにかんだ。白い歯が見えた。顔立ちと同じ、きれいな歯
だ。
「じゃあ、もうそろそろはじめる? お兄ちゃん」
「あっ、ちょっと待ってくれ」
言うと、兄はキッチンから氷の入ったグラスと、ワイルド・ターキーをぶら下
げて戻ってきた。グラスを置き、私の向かいに座った。
「お兄ちゃん、お酒飲むの?」
「きょうは酔いたい気分なんだ」
「もうっ、ほどほどにしなきゃダメだよ」
「わかってるよ、千歳」
兄はコルクを引き抜くと、グラスにワイルド・ターキーを注いだ。氷がグラス
にぶつかり、音がした。私もコーヒーポットを持つと、自分のマグカップに淹れ
た。立ち昇る湯気。それに、ミルクと角砂糖を二つ落とす。ブラックのままだと、
私にとっては苦すぎた。
兄のマグカップも、引き寄せた。
「いいって、いいって。俺は飲みたいとき淹れるからさ」
「そう?」
兄はワイルド・ターキーを、絨毯に直に置いた。ケーキの受け皿を渡してくる。
ささやかな、パーティーの準備が整った。
「はじめますか」
「うん」
「えぇ、じゃあお互いに高校と大学、ひとまずお疲れ様でした」
「お疲れ様でした」
メリークリスマス。いただきます。声が重なった。
兄はグラスを呷った。もう一杯。また呷る。
「お兄ちゃん、いきなりそんなに飲んだら」
「景気づけだよ」
言うと、グラスにもう一杯注ぎ、兄はステーキを頬張った。
私も、ステーキに箸をつけた。表面はカリカリに焼けていて、中は半生だった。
口に入れた瞬間、ステーキから肉汁が溢れた。おいしい。二切れ目はタマネギと
一緒に頬張った。甘い味がかすかに加わる。こっちも、おいしかった。
「いまごろ親父と母さんは、どっかのレストランで豪勢な料理でも食ってるのか
な」
391 :妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:07:53 ID:keD01sOB
ウィスキーをチビリとやりながら、兄が言った。
「今井さんとこと一緒だっけ。そのまま泊まりで」
「そうそう。息子と娘を置いてきぼりでな」
「でも、私はお兄ちゃんと二人きりでうれしいよ」
「千歳も、うれしいことを言うようになった」
微笑むと、兄はクリームシチューをすくった。私は、タコのマリネに手をつけ
た。レモンと一緒に頬張る。
「しかし、妹とクリスマスか」
「なに、私じゃ不満なの?」
「そうじゃないけどな。千歳がさびしい青春を送っていると、憐れんだだけだ」
「そういうお兄ちゃんだって、早く新しい彼女見つけなよ」
「ははっ。そうだな」
兄が笑った。憂いのある笑顔だった。思わず、ギュッと抱きしめてあげたくな
る。護ってあげたくなる。兄には、高校時代から三年も付き合った彼女がいた。
一ヶ月前だった。電車に撥ねられ、死んだのだ。泥酔し、誤ってホームから転
落したのだという。運が悪いとしか言いようがない。不幸なことだった。笑って
しまうぐらい、不幸なことだった。
「まだ、吹っ切れてない?」
「大丈夫だよ、もう」
悲しい眼だった。あの女は死んでなお、兄を悲しませ続ける。でもこれからは
違う。私が、兄に笑顔を
プレゼントすればいいのだ。死んだ女には、兄を悲しま
せることしかできない。
「そういえばプレゼントはよかったのか、千歳。バイト代貯まってるから、買っ
てやれたぞ」
「いいのっ、今年は。いつまでも、子供じゃないもん」
「こういう時には、お兄ちゃんとしては甘えて欲しいものだけどな」
また兄が、ウィスキーをチビリとやった。今度は、ムニエルに箸を伸ばした。
兄がコーヒーポットに手を伸ばしたのは、ステーキとムニエルを平らげたあた
りだった。身を乗り出すようにして、取ろうとする。酔いが回ってきたのか、ほ
んのりと赤い顔をしていた。私は、手で兄を制した。
「いいよ、私が淹れる」
「そうか? じゃあ頼むよ」
392 :妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:08:38 ID:keD01sOB
兄は座りなおすと、テレビに眼をやった。兄が好きなフォークロック歌手が映
っていた。私は右手で兄のマグカップを引き寄せると、コーヒーを淹れていった。
左手は、テーブルの下に潜らせる。携帯。リビングの隅っこで、電話が鳴った。
「親父からかな」
「お兄ちゃん。電話、お願いできる?」
「わかった」
兄は、反動をつけて腰をあげた。背を向ける。私はカーディガンの胸ポケット
に手を忍ばせた。薬包紙。取り出し、コーヒーに振りかけた。睡眠薬だった。う
つ病の患者に使われる、度の強いやつだ。携帯は、二十時三十二分を表示してい
た。いまから飲めば、陽が昇る時間帯まで深い眠りが保障されるだろう。
私は薬包紙をポケットにしまった。白い粉末はグラニュー糖のように混ざり、
コーヒーに溶けこんでいった。
携帯を切る。兄が、首をかしげながら戻ってきた。
「お父さんだった?」
「いたずらだったよ」
兄はクッションに腰を下ろすと、ブラックのままコーヒーを飲んだ。マグカッ
プの中身が、半分ぐらいに減る。クリスマスなのに、変わった奴もいるものだ。
言うとまた口に含んだ。三分の一になった。
それから十分も待たなかった。
兄の眼がとろんとし、体を支えるように背後に手をつきはじめた。さっきまで
動かしていた箸も、テーブルに置いてしまっている。酒も回っているからか、効
くのが早まったのかもしれない。
「お兄ちゃん、どうかしたの。箸、置いちゃってるけど」
「いや、なんでもないよ。なんでも。」
なんでもなくはなかった。兄は、体で舟を漕いでいる。絨毯と天井の合間で、
揺れていた。
私はコーヒーを新たに淹れると、ブラックのまま飲んでみた。苦い。眼が覚め
るような苦さだった。やはり、私にはまだブラックは早い。
兄が、仰け反るように天井を見た。
「あぁ、ダメだ」
「やっぱり、どうかしたのお兄ちゃん」
「疲れてたのかな。なんか、すごい眠い」
「仕方ないよ。午前中は大学行ってたんだし、午後は私に付き合ってくれたし」
「いつもなら、こんなに疲れないんだが」
「寝ちゃってもいいよ、お兄ちゃん。後片付けはしとくから」
「いや、起きてるよ」
言ったが、兄の眼は閉じていた。開く。また閉じる。繰り返していた。
393 :妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:09:24 ID:keD01sOB
眼を閉じる時間の方が長くなる。途端に、兄が絨毯の上に仰向けに倒れた。崩
れ落ちた、という感じだった。
私は立つと、兄に近寄っていった。顔を覗きこむ。眼は閉じているが、呟くよ
うに口を動かしていた。
「お兄ちゃん」
いま、起きるよ。呟いた。兄の口が、それきりで閉じた。かわりに、か細い寝
息が聞こえてくる。腰の下のクッション。兄が寝やすいように、そっと引き抜い
てあげた。寝息も、天使のような寝顔も相変わらずだった。兄のパーティーはこ
こまでだ。そして、私のパーティはここからだ。
私は兄の横にあったワイルド・ターキーを引っ掴むと、キッチンへ足を運んだ。
ワイルド・ターキーは今日開けられたもので、まだ三分の一程しか減っていなか
った。コルクを抜き、その半分以上を流しに捨てた。それからコルクの栓をし、
流しを水で洗い流した。胸ポケットに入っていた薬包紙も、破いてゴミ箱に捨て
る。
兄の元に戻った。ワイルド・ターキーは、その辺に転がしておいた。私はガラ
ステーブルに足をかけると、蹴り飛ばすようにどかした。衝撃で、何品かの料理
が落ちた。クリームシチュー、スパゲティ、切り分けられたブッシュ・ド・ノエ
ル。絨毯を汚した。
頭の近くにしゃがむと、私は兄の頬を撫でた。反応はない。手の甲をつねって
も、軽い身動ぎをするだけで、起きる気配はなかった。いとしい寝顔があるだけ
だ。
この時を、ずいぶんと待った気がする。我慢もした。三年。兄の彼女を認めよ
うとしたが、結局は許せなかった。私の方が兄のことを考えてるし、幸せにもで
きる。エッチもしたことはないが、兄に教えてもらえば精一杯がんばる。気持ち
よくしてみせる。自信があった。
五分、寝顔を眺めた。そこで我慢ができなくなった。情欲が、止まらない。
私は立ちあがると、ミニスカートに手かけ、引き裂いた。事前にミニスカート
とショーツ、ブラジャーには切れ目が入れてあった。脱ぎはしない。引き裂いた
まま、着ておくのだ。カーディガンも、前のボタンを弾き飛ばすように開けた。
弾き飛んだボタンが、絨毯の上を転がった。タートルセーターもたくしあげ、ブ
ラジャーも、引きちぎるように床に投げ捨てた。胸が露出する。あまり大きくは
ない。口惜しいが、あの女の方が胸は大きかった。
兄の腰に跨り、覆いかぶさるように抱きついた。兄の寝息。そのまま兄の唇を
奪った。触れ合うだけのキス。全身が弛緩したようになり、一息おいてふるえが
走った。下半身が、きゅんとなる。小学校の頃はしてくれたが、中学に入ってか
らはキスをしてもらった覚えがなかった。唇に至っては、小学校の高学年からし
てもらってない。七年三ヶ月と十七日ぶりの、甘い感覚だ。ついばむように、何
度もした。
394 :妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:10:06 ID:keD01sOB
私は、兄の唇に舌を押しつけた。唇を舐めていく。兄は、なすがままにされて
いた。顔をはなすと、息と息とがぶつかった。どこか、兄を犯しているような感
覚に、私は異様な興奮を覚えていた。夢とは真逆だ。
夢の中で、兄はいつも荒々しかった。というより、私がなすがままなのだ。兄
は処女膜をなんの逡巡もせずにぶち破り、泣く私を押さえつけて腰を打ちつけて
くる。やめて、と叫んでも、キスで口を塞がれるだけだった。
ただ、兄に犯されることに、どうしようもないぐらいに感じていたのも事実だ
った。目が覚めた時は、必ずショーツが濡れているのだ。シーツまで濡らしてい
る日も、少なくなかった。
きっと、兄になら何をされても感じてしまうのだ、と私は思った。それぐらい
愛してる。兄以外に犯されるなら、手首を噛み千切って死ぬ方がましだ。
私は、兄の口内に舌を突き入れた。薄く開いていたので、ちょっと押しこむだ
けですんなりと入った。兄の舌と絡める。唾液が混じりあい、くちゅくちゅと水
音がした。兄の味。口をすぼめ、唾液をすすった。飲み下す。唾液が喉を通るた
び、胸が痛むように高鳴った。息が荒くなっていく。それが兄の息遣いなのか、
私の息遣いなのかはわからなかった。交じり合っている気もする。
口に唾液を溜めた。兄の唇を舌で押し開き、ゆっくりと流しこんでいく。ある
程度口内に溜まると、兄は苦しそうにして、飲みこんだ。兄の、喉が鳴る。私の
唾液を飲んでいる。たまらなくなった。
唇を繋げたまま、兄のジーンズに手をかけた。ベルトを引き抜き、チャックも
金具も外した。私は兄の腰に片手を回すと、そっと浮かせた。ジーンズを、慎重
に下ろしていく。膝まで脱がすと、そこからは裾を持って引き抜いた。ボクサー
パンツ。あと一枚。
私は兄の足の間に体を入れると、ボクサーパンツをずり下げていった。抑えつ
けられていたペニスが、眼の前で露になった。さわってみた。まだふにふにして
いる。指ぐらいの大きさで、勃起しているわけではなさそうだった。根元を握り、
やさしく上下させた。先の、亀頭の部分をさわると刺激が強すぎるらしい。女の
クリトリスと同じだとも、エッチな本には書いてあった。
「はむっ」
ちょっと起きあがってきたところで、私はペニスを咥えた。舐める。よくわか
らない味だった。しょっぱいわけでも、生臭いわけでもない。本に書いてあるこ
とと、違っていた。しかしこれも、兄の味だ。単純にそう思えた。
395 :妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:10:41 ID:keD01sOB
ペニスをしゃぶり、唾液を口内に満たした。かり首、裏すじ、鈴口。男の人が
感じる場所は、一通り頭に入れてあった。歯を立てないように、舐めていく。指
も、上下させるペースを速めた。あっ、と呟きが聞こえた。咥えたまま兄の顔を
見た。眉間に皺が寄っているが、苦しそうな表情ではなかった。どちらかと言え
ば、恥ずかしそうな表情。感じてくれたのかもしれない。そう思うとうれしくな
った。
それからは、表情を窺いながらしゃぶっていった。
兄のペニスが、際限なく大きくなる。次第に咥えているのが辛くなり、一度口
を離した。ペニスは、手に余るほどの太さになっていた。血管も浮き出ていて、
咥える前とは、違うもののようだ。松茸というか、かわいいイカというか、そん
な形をしている。だからイカ臭いなどと、精液の匂いを例えるのだろうか。
私は手の動きを激しくすると、根元から裏すじを舐めあげていった。ビクビク
と、ペニスが跳ねた。亀頭まで舐めると先だけ咥え、鈴口を舌先でほじくった。
ぬるぬるとした先走りが、舌にへばりついてくる。男の人も濡れることは知って
いた。苦味のある味だ。もっと、気持ちよくしてあげたい。
ペニスの先を舐めていると、突然兄の腰が浮きあがった。私は慌ててペニスか
ら口を離した。唾液と先走り汁が混ざり、糸を引いた。いまのが射精の前触れな
のだろう。ペニスはお腹にひっつくほど反り返り、鈴口には透明な先走りが盛り
あがっていた。
口内に射精してくれてもいいが、はじめては膣内で受け止めたかった。意識が
あれば、兄は中出しなどしてくれないはずだ。ゴムもつけようとするだろう。そ
んなもので、兄の感触を台無しにしたくなかった。
私はショーツに手をかけた。すでに、湿り気とは言いがたいほど濡れていた。
擦りつけていた絨毯にもしみている。ショーツを引き裂いた。
「はいる、よね」
呟いた。兄のペニスは、咥える前の倍以上に膨らんでいた。私のぴったりと閉
じた膣口に、それが入るのか。でもあの女にもできたことだ。それが、私にでき
ないはずがない。言い聞かせた。
兄の腰に跨り、膝立ちになった。膣口に、ペニスをあてがう。ふれた瞬間、腰
がきゅんとした。どちらの性器も、ぬるぬるとして熱かった。溶け合っていると、
錯覚するぐらいに熱い。ペニスの根元を持ち、ゆっくりと腰を下ろした。かり首
まで収まった時、痛みと共に抵抗があった。
「いくよ」
一度、大きく息を吸った。腰を一気に落とす。軽い抵抗のあと、私のお尻が兄
の腰に打ちつけられていた。押しあげられる感触。膣の中で、ペニスが子宮口を
突いていた。
「うっ、あぁ、あっ」
396 :妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:11:28 ID:keD01sOB
声が漏れた。痛みで出たわけじゃなかった。兄と繋がっている。やっと、繋が
れた。そう思うと勝手に声が出た。
私は兄と繋がっているところを見た。赤い。血が流れていた。純潔の証。ボク
サーパンツにも付着し、赤黒いしみを作っている。
私は兄の胸板に手を置くと、腰を引きあげていった。かり首まで出し、膣口で
浅く腰を遣った。水音。膣中で、兄のペニスがビクビクとふるえていた。表情も、
心なしか高揚している。夢ほど痛みは感じなかった。最初だけで、いまはじんじ
んとしているだけだ。私の膣内が、ぬるぬるとしはじめた。
腰を、徐々に深く遣っていった。子宮を突かれる。兄が、色っぽい喘ぎを漏ら
し出した。腰がふるえた。
「おに、ちゃん。だ、だいすきっ、だよっ。お兄ちゃんっ」
腰を速くした。子宮を、乱暴に何度も突かれる。体の中で、迫りあがってくる
ものがあった。うあぁっ、と兄が喘いだ。ペニスがまた膨らんだ。瞬間、兄の腰
が跳ねた。私の膣内でペニスも跳ねた。熱い。思った時には、大量の精液が子宮
口を叩いていた。ビュクビュクと、ペニスが脈打っている。私は背を弓なりにす
ると、体を痙攣させた。
視界が白くなった。
兄の胸板で目覚めた。
いつの間にか眠ってしまっていた。どれだけ寝たのか、わからない。数時間な
のか。数分だけなのか。
顔だけ持ちあげた。夜は明けていないようだった。カーテンの隙間から覗く景
色は、黒一色に染められていた。庭の、おぼろげな輪郭が見える。
兄の胸板で手を突っ張ると、上体を起こした。膣に、違和感がある。
「お兄ちゃん」
呼びかけた。兄もまだ寝ていた。やすらかな寝顔で、寝息をたてている。腰と
腰は、ひっついたままだった。破瓜の血が、かすかに覗いている。夢じゃない。
夢じゃなかったんだ。
ペニスと膣も、まだ繋がったままだった。私が少し腰を浮かすと、兄のペニス
がにゅるんと膣から抜け落ちた。ぞくぞくとする感覚に声をあげそうになった。
同時に、膣内にたまっていた精液も溢れる。
赤ちゃんができない日ではなかった。もしかしたら、できているかもしれない。
ずっとペニスで膣に蓋をしていたのだ。子供など要らないが、それで兄が責任を
感じてくれるなら儲けものだった。兄は、本当の意味で私だけしか見られなくな
る。
397 :妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:13:35 ID:keD01sOB
リビングを見回した。この光景を見たら、兄はなんと思うだろうか。
絨毯に転がっている、ほとんど空けられたワイルド・ターキー。乱暴にどかさ
れたようなガラステーブル。落ちて散乱している料理。衣服が裂けている私。絨
毯にこぼれた精液。血。下半身が露出した、兄と私。
すべて、兄がしたことだ。彼女に死なれ、酔った末に妹を犯した。
私怖かったけど、お兄ちゃんだったから我慢したよ。痛かったんだよ。はじめ
てだったんだよ。今度からは、やさしくしてほしいな。お父さんたちには、絶対
に言わないから。
驚愕している兄に、そう私は言うのだろう。プレゼントはそれで充分だ。一生
分のプレゼントだと言ってもいい。
ふたたび、胸板に体を預けた。兄の匂い。眼を閉じた。
陽が昇れば、兄は私を彼女にしてくれるだろう。嫌がる私を強姦し、膣内にま
で精液を吐き出したのだ。妹の、処女まで奪った。私の言うことなら、なんでも
聞いてくれるはずだ。兄と、私だけの契り。それでいい。
「だいすき、お兄ちゃん」
呟くと、急に体が重たくなった。兄以外のすべてが遠い。意識が、暗い世界へ
と沈んでいった。
(了)
最終更新:2007年12月27日 13:54