408 :【クリスマスプレゼント】:2007/12/25(火) 15:22:25 ID:XLl7e0+G
「――お姉ちゃんが五歳のときのクリスマスよ。パパとママに
プレゼントは何が欲しいか訊かれてね」
おねえちゃんはいいながら、ようふくをぬいでいきます。
「だから、お願いしたの。弟が欲しいって」
6さいとしうえのおねえちゃんは、ママほどではないですが、おとなのオッパイをしています。
びじんでやさしくてだいすきなおねえちゃんだけど、きょうはとてもこわくみえます。
「そして次の年のクリスマスに生まれたのが聖夜(せいや)、おまえよ。だから、ね……」
おふろからあがったボクを、パジャマもきないうちにおへやにつれてきて。
いつもライダーごっこでしているみたいに、なわとびでしばってベッドにねかせて。
じょうだんでしてるのだとおもって「やめろよ」とあばれても、おねえちゃんは、わらってくれなくて。
おこってるような、ないてるようなかおで「静かにしなさい聖夜」と、しかられて。
だからボクも、いうことをきくしかなくなって。
「おまえは、お姉ちゃんがもらったクリスマスプレゼントなのよ、聖夜」
そういうと、おねえちゃんはボクにキスをしました。
おねえちゃんとのキスは、いやじゃないです。くちびるがきもちがいいし、いいにおいがするからです。
でも、はだかどうしでキスをするのは、いけないことみたいにドキドキして。
「やめろよ、ねえちゃん」
じょうだんだといってほしくてボクはわらったのに、やっぱりおねえちゃんは、わらわなくて。
「やめない。聖夜は、お姉ちゃんが嫌いなの?」
「きらいじゃない」
ボクは、くちをとがらせます。ほんとは、きょうのこわいおねえちゃんはきらいだけど。
それをいったら、ゆるしてもらえなさそうだから。
「きょう遊びに来てた茉莉花(まりか)ちゃんと、お姉ちゃんのこと、どっちが好き?」
「まりかは……べつに、どっちでもないよ」
どうしてそんなことをきくのかと、ボクはおこりたくなります。
「ふうん」
と、わらってくれたおねえちゃんだけど、それはいじわるなわらいかたで。
「茉莉花ちゃんとキスしたんじゃないの?」
「してないっ!」
ボクは、おこっていいました。
ほんとのことをいえば、がっこうでキスされそうになりました。でもボクはいやだといったのです。
しょうがく2ねんせいで、こいびとになるとかキスをするなんて、はやすぎるとおもったから。
おねえちゃんとのキスはべつです。きょうだいだからです。
「そっか」
ようやく、おねえちゃんはわらってくれました。
「それなら焦ることなかったかな。お姉ちゃん、茉莉花ちゃんに聖夜を盗られたくなくて。でも……」
そして、もういちどキスをされて、
「もういいよね。我慢も限界だもの。お姉ちゃん今夜、聖夜をもらっちゃうね。でも、それだけじゃないよ。
聖夜にもプレゼントをあげる。お姉ちゃんの初めて。だから、これはプレゼント交換ね」
おねえちゃんがいっていることは、よくわかりません。
キスはいやじゃないけど、それだけじゃゆるしてくれないふんいきです。
くすぐられたり、プロレスわざをかけられたり、いやなこともされてしまいそうです。
クリスマスけんたんじょうびパーティーに、まりかちゃんをつれてきたからおこったのでしょう。
ボクだって、どうしてもとまりかちゃんにおねがいされてしかたなかったのに。
おねえちゃんはわらってるけど、なぜだかこわくてしんぞうがドキドキします。
でも。
そんなおねえちゃんが、ほんとにやさしいかおになって、ボクのなまえをよびます。
「聖夜」
ボクは「なに?」と、おねえちゃんのかおをみあげます。
「メリー・クリスマス」
ちゅっと、ほっぺたにされたキスは、くちびるよりもやさしくて。
やっぱり、ボクはおねえちゃんがすきだとおもいました。
【終わり】