crazy nights

339 :crazy nights:2007/12/21(金) 21:18:16 ID:p+Kwh4ww
 ep.1 -嫉妬に燃える姉

 俺の姉-霧崎雪華はかなりのブラコン。
 弟の俺が大好きで、いつもベッタリくっ付いてくる。
 雪華姉は俺の傍にいたくて、親が勧めてきた女子校を「私は弟君といたいの」という一言で捨て、同レベルの共学校-桜花学園高等部を選んだ。
 そして俺が受験生の時に、自分の勉強の傍ら、俺の勉強も見てくれた。
 雪華姉の教えの効果もあって、俺は見事に雪華姉と同じ高等部にいける事になった。
 雪華姉としてはそこまでは良かったのだろうけど、思っていたことと大きく外れた事が起きた。

 ――偶然同じクラスになった近衛玲香の存在である。

 近衛さんの存在により、俺の優先度の度合いが変わってしまった。
 そして、彼女の告白により俺は付き合う事になる。
 スタイルも顔も悪くはなかった。でも、構ってくれない所為か、雪華姉がいろいろ妨害をしてくる。
 その時の俺は、近衛さんが姉よりも大好きで近衛さんばっかり優先していた。
 そんなある日。
「……弟君、私の許可なしに家から出ないで」と言われた。
「雪華姉、それは『理不尽』だと思うんだけど。家に出るのは俺の勝手だろ?」
「どうせ、出かけるって玲香ちゃんとデートでしょ?
 数ヶ月前までは雪華姉、雪華姉って構ってくれたのに。どうして……?」
「どうしてって……。
 雪華姉は血の繋がった姉なんだし、そこまでべたべたする必要がなくなったかなって。
 それに今、俺は幸せなんだ。近衛さんと付き合っているんだから……」
 そう言って姉を説得し、なんとかデートにいけたが……。

 ◇

 それからというもの、雪華姉の妨害は激しさを増した。
 昼休み始まりのチャイムと同時に俺の教室に現れ、俺を見つけると捕まえて屋上へ連れて行く。
 学園の屋上は生徒に開放されており、昼休みになると昼飯を食べる生徒が多い。
 勿論、俺と雪華姉もそこで昼飯を食べる。
 雪華姉の作ってくれるお弁当は美味しいのだが、何故かそう感じられなかった。
「お姉ちゃんの作ったお弁当、美味しい?」と聞かれ「美味しい」と答えたが、コレは嘘だ。
 雪華姉を安心させる為の嘘。
 本当は、恋人が作ったお弁当の方が食べたかった。
 そもそも、俺が近衛さんと付き合うようになったのは自分でもよく分からないうちにそうなっていたと言えばそうだ。
 入学して2ヶ月しか経っていないのに、付き合って欲しいと告白された。
 断りをしなかったというのと、俺が近衛さんを好きになってしまったからというのもある。
 中学まで姉にベッタリだったので彼女とかの話はノータッチだったのだが……。
「それじゃ、教室に戻るよ」
「どうして?」
 ……また雪華姉のどうして、だ。
 どうしてもこうしても、俺は近衛さんと昼休みを過ごしたいからだ。
「……雪華姉、しつこい」
 そう言って俺は教室に戻った。
「……そう……。しつこいんだ、お姉ちゃん……」


340 :crazy nights:2007/12/21(金) 21:20:47 ID:p+Kwh4ww
 ◇

 ――許さない。
 私の可愛くて大事な弟君を変えてしまったあの女を。 
 ――許さない。
 絶対に――許さない。

 私は弟君といつも一緒にいたいだけなのに、近衛玲香とかいう娘がいるからそれもできない。
 家で出来るかな、と思っても弟君はその娘とメールで話をしている。
 そして休日は彼女とデートに出かける。
 最初は『弟君に彼女がいるのかぁ、へぇ……』みたいな感じでなんとか我慢できたけど、毎回毎回続くと我慢できなくて、弟君を独り占めしたくて行動に出る。
 でも、それは無意味で逆に弟君の逆鱗に触れる。
『……雪華姉、しつこい』
 あの昼休みの台詞がそれを表している。
 それ以来、義務以外は口を聞いてくれなくなった。話しかけても嫌そうな顔をする。
 何度か話しかけると「――しつこい姉さんは嫌いだ」まで言われる。

 ……弟君にだけは嫌われるのは嫌だ。

 例え、クラスの皆に好かれていても、同性に好かれていても嬉しくない。
 嫌われても私自身がいにくいだけで何も問題はない。
 でも、弟君にだけは嫌われたくない。
 私の自我とかそんなのが全て壊れそうだった。
 私の人生の多くは、弟君の為に費やしてきた。
 昔、弟君が苛められた時、私は身を挺していじめっ子たちに立ち向かった。
 その時から私は弟君は何があっても私が護るって決めたのに……。
 なのに。

 ………………………………そうだ。

 あの女……近衛玲香を何らかの方法で弟君から切り離せば……。
 私の元に弟君が戻ってくる……。
 そうよ。フフフ……。近衛玲香さえいなくなれば……。
 それじゃ、×しちゃっても良いよね。
 だって……弟君を私の手で『奪還』すれば……。フフフ……。
 そう思った私は行動に移した。

 ―――全ては。弟君奪還の為に。

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最終更新:2007年12月27日 14:00
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