三者面談 その7

100 三者面談 ◆oEsZ2QR/bg sage New! 2008/02/11(月) 22:34:57 ID:GcFEQnpR
「痛い……かしら、誠二」
 誠二を見下ろし、私は赤い液体がしたたるナイフを手にして訊く。
 夕焼けが窓から差込まれ、手のひらから血をどろどろ流す誠二は私を見ていない。ただ、刺された自分の手を見ようと首を少しだけ右にずらしている。
 大丈夫よ、それぐらいで人間が死ぬわけないじゃない。ただ、時間が経てばどうだかわからないけど……。
「痛い?」
 私の声に気付いた誠二は、視線を元に戻す。誠二はもしかしたら今のこの現実は夢の中の出来事みたいに見えているのかもしれないわ。
 あらら、姉に刺されるって、そんなに呆然としちゃうこと? ショック受けるようなこと? ニュースでは自分の父や息子を殺しちゃう母親だっていっぱいでてるわよ。
「痛い?」
 もう一度、聞く。
 こくり、かすかに誠二の首が動いた。
「ふぅん、そう……。でもね、私も痛いの」
「……」
「心と、ここがね……?」
 そう言って、私は腰を動かす。ずちゅり、と音を立ててあわ立つ私と誠二の結合部。私の破瓜による赤い血液が流れているそこは、ひりひりとした痛みを私に与えてくる。
 弟を犯すという脳内麻薬で少しは軽減されていた痛みだけど、電話後、さすがに一息落ち着いた頃にようやく、私の体中に破瓜の痛みが広がってきたのだ。
「はじめてでも、女の子には優しくしないとダメじゃないの……」
 誠二の顎を撫でる。顎骨の形さえも愛しくて、何度も角ばった顎を撫でた。少し伸びた髭が私の指をちくちくする感触もたまらない。
「……」
「私だからいいけどね」
 そう。私だから。私だから何をしてあげてもいいのよ? あなたと私は姉と弟で、何事にも変えることの出来ない不変なる関係なのだから。
 だから、私は絶対あなたを裏切らない。あなたが私以外の誰かを殺しても、私以外の何人も裏切っても、私はすべて受け入れてあげるんだから。
 じゅるり。こんな状態でも萎えない誠二のソレをくわえ込んだまま、私は体をまた上下させる。
「ふふふ、誠二。姉さんを気持ちよくさせなさい」
 痛みなんてほとんど関係ない。むしろ、この痛みは私の喜びの証だ。まるでぷちぷちと体の繊維を一本一本ちぎられていくよう。弟に犯される感覚は最高の背徳の快楽だわ。
 あああ、いい。いい……。
 体の中を行き来する誠二の一本槍の温かさ、そしてそれを受け入れただ呆然と蹂躙されることしかできない誠二の諦めた表情。
 体と心、どちらも私の心の中に猛烈に届いていく。ああ、本当に私のものになったのね。誠二! 誠二! 誠二!
 押し上げられる、押し上げられる。誠二に、誠二に、誠二に! 誠二に!
 ああっ、いいっ! いいのっ! もう! もう! もう!
 ああああ! ああああああ! せぇぇじぃぃ! せぇぇぇぇじぃぃぃぃぃ! せぇぇぇじぃぃぃぃぃいいいい!!
「………ふぁぁぁああああああっ……」
 私は静かに絶頂に達した。
 んんんんんんんんんっ!!
「………はぁ……はぁ……」
 アクメって、やつね……。反り返った体で一瞬だけ暗い天井に仰いで、すぐに私の頭は重力によってかくんと下がった。
 いい……。いいわ。一人でするより、想像で誠二にした時よりも、何倍も違う。誠二のぼうっとした瞳に目が合う。愛しさをもって誠二に笑いかけた。
 誠二のアレは満足していなかった。ぐつぐつと脈動する私の中の誠二はまだがっちがっちに膨らんだまま、私の膣におさまっている。
 いま気持ちよくなったのは私だけ。
「どうしたの? ほら、動きなさい。動いて、動いて、私をもっともっともっと悦ばせて」
「………」
 私は、自分の下腹部にひねりを加えてあげる。
「別に、出してもいいわよ。素直に気持ちよかったのなら出しなさいよ」
 今日は大丈夫な日だから。
「………」
 ……意識はあるはずなのに、反応は返ってこない。いつまで呆然としているわけ? それともついに耳が聞こえなくなったの?
「出さないのは気持ちよくないから? 姉である私じゃ不満ってこと?」
「………」
 そうね。私は性に関しては疎いから……、私なんかじゃ興奮できないってわけかしら。
 ……つまり、誠二はこう言いたいのね。私が、ヘタクソな女だってこと。
 ふーーーーん……、そう。
「誠二。あと20秒以内に射精しなさい」
「……!……」
 やっぱり、聞こえてるじゃないの。茫然自失になったフリなんか通用しないの。
「ほら、さっさと出して。もし20秒以内に出せなかったら、右手も潰すわよ」
 右手にナイフを突き立てる。このまま少しでも私が力を入れればさくりと手の中に銀色の刃物が埋没してしまうわね。どうするの? 誠二?



101 三者面談 ◆oEsZ2QR/bg sage New! 2008/02/11(月) 22:36:36 ID:GcFEQnpR
「…………うう……ねぇ……さん」
 ふふふふ……。
 動き出した、動き出した。誠二の腰が私の腰に合わさり、ぶつけるように上下される。下から突かれる感覚に、私は頭の中がピンク色に染まりそう。
 どたんどたんどたん!
 誠二が頑張って腰を打ち付けるので、床と誠二の尻が物凄い勢いでぶつかった振動で部屋中の家具がぎしぎしと揺れていた。
 隣の人に迷惑ねぇ。
「じゅうご、じゅうよん、じゅうさん……」
 私のカウントダウンに合わせて、徐々に必死になって腰を上下させる誠二。ほらほら、もっと、もっともっと味わわないと。
 ふふふ、もはや弟というより、おもちゃだわ。ただ私のためだけに動く、玩具。どうしようもないわね。どうしようもない弟……、本当……、私の……。
「きゅうっ、はちっ、ななっ……」
 うーん、でもね。確かに誠二は激しく打ち付けてるけど。私の快楽には一歩足りてない。勢いは強くなったけど……私の気持ちいいところが疎かになってる。
 私の中で初めて性器に誠二を受け入れた時の気持ちよさが薄くなってきて、逆に普段の冷静さが蘇ってくる。
「にぃっ……い……」
 跳ね馬に乗ってるみたいだわ。
 そう思った瞬間。誠二の腰が小刻みに震えだした。歯を食いしばる誠二。そして。
 びゅるるるる……。
「ン……ん……」
 湧き水。
 私の奥で受け止めた誠二のそれは、私にそんな感想を抱かせるほど、勢いが無いものだった。
「……誠二」
「……?」
「ヘタね」
「……そ……そんな……」
「私もあまり悦ばせてくれなかったし……、姉として恥ずかしいわね。あなたみたいな自己中心的な男に、私以外の女と付き合うなんて無理だわ」
「……ねぇ……さ……」
 ふふふふふ。
「高倉先生だって、だいぶ無理してあなたに付き合ってくれてるんでしょうねぇ……」
 誠二は「違う」と言いたげに、瞳を燃え上がらせて私を睨みつけるが……しょせん誠二の瞳の炎はマッチ程度。私が息を吹きかければすぐに消えてしまう。
 ほぉら。私がフンと鼻を鳴らしただけで、おびえた顔の誠二に戻ったわ。
 まったく……。

 ドンドンドン

 部屋の中に音が響く。
 ボロい玄関の戸が、何度も叩かれている。
「……来たようね」
 私は、誠二のを引っこ抜き、ぐちゃぐちゃになった股間をハンカチで綺麗に拭く。ぺたぺたとした粘液はハンカチに妙な匂いをつけて気持ち悪くなりそう。
 まったく、誠二。こんなものを私の中に出すなんて……。酷いにも程があるわ。ふふふ。
 誠二の口に入れていた下着を抜き取る。誠二の唾液でぐっちょりと濡れてるわ。それを躊躇なく履く。
 この下着にまぶされた液体は誠二のヨダレだわ。うん、微妙に生温かくて、びちょびちょ。不快だわ。擦り付けるけど……。
 さて、そろそろ直接対決ね……。
 私はゆっくりと立ち上がる。誠二は相変わらず血まみれの左手をそのままに、だらんと四肢を投げ出したまま、しかし瞳はしっかりとこちらを見ていて………おびえていた。
「………ねぇ……さん……。もぉ……や……」
「黙りなさい」
 お腹の上に足をあげると、胃を目掛けてまっすぐに振り落として踏み潰した。誠二はげふぅという声とともに、沈む。
 どうせ、やめろとか言うんでしょう? ごめんなさいとか言うんでしょ? おあいにく様。そんな不快で、どうしようもない言葉。もう届かないわ。
「大丈夫、あなたのだぁいすきな高倉良子は私がすぐに殺してあげる」
 その後に続きをしてあげるから、高倉良子の死体の目の前でね……。
 ゆっくり、ゆっくり、足を滑らす。

 ふふふふふふふふふふふふふふふ。

 ドアまでの数メートル。
 私の心の中に浮かんでは消える、高倉良子の醜い姿。
 私から、誠二を奪いさり、なおかつ三者面談という場で私に、私にはらわたが煮えくり返るほどの屈辱を味合わせてくれた、あの憎き女。
 あの女、あの女っ、あの女! あの女!! あのおんなぁぁ!!!
 コロしたい……。コロしたい…。ころすころす……、殺す、殺す、殺す。
 この数メートルだけで、私の中の高倉良子に対する殺意が、Fのメーターをぷちんと振り切った。


102 三者面談 ◆oEsZ2QR/bg sage New! 2008/02/11(月) 22:38:24 ID:GcFEQnpR
 ドンドンドン。

 ああ、このドアの板を挟んだすぐそこにあの女が居る。
 左手で玄関のドアノブを掴み、右手でナイフを大きくふりかぶる。この部屋は珍しく、内側にドアが開くタイプだわ。
 つまり、このままいきなりドアを開けば、突然出てきた私に反応できずに……私が振り落としたナイフにぐさり。あとは動きの鈍くなった高倉良子を部屋に引きずり込んで止めを刺すだけ。
 そう、はなから対話なんてする気は無い。
 誠二は私のものであり、それは何であっても変えることの出来ない不変なる真実なのだから。私が正しいに決まってるのだから。
 それに…………もう引くことはできない所まできてしまったのだから。
 下腹部に残る誠二の温かさ。もう、戻れないの。
 次のノックで、開く。勝負は一瞬。この一瞬で、あたしがイニチアシブを取る。
 さぁ、来なさい。高倉良子。

 ドンッ

 来た!!
 瞬間。私は目いっぱいドアを引く。
 開くと同時に、私は体を投げる。開かれたドアの目の前に居る憎き女に向かって振りかぶったナイフを突き下ろした。

 ざくりっっ!!

 相手の懐に体が受け止められる。しかし、腕には硬い肉に突き刺さった感触がしている! 刺さった! 肩に刺さったみたい!
 肩じゃ、ダメージは浅いわ。狙うは内臓。早く抜いて二度目の攻撃を…………加えなければ……!!
 死ねぇ! 死ねぇ! 死ねぇ!!!
「ぎゃあああああ、痛い! 痛い! 痛い!!」
「おい! 何をする!!」

 ……え……?

 顔をあげると、そこに居たのは見たことのない男。その男の肩に、私のナイフがざっくりと刺さっていた。
 なんで? なんで? 高倉良子は!!??
「貴様! それを離せ!」
 もう一人居た男が血相を変えて私に掴みかかる。
「え……え……?」
 思考がまとまらないまま、私はその男に腕をつかまれ、腕を半回転させられ、ナイフを落とさせられ……、カランとナイフが落ちた音を最後に、私の体は男によって地面へ押さえ付けられていた。
「うぐっっ!!」
 ………この人らは………一体………。
 ……まさか……!?


 KMTニュースの時間です。
 本日午後5時5分ごろ、市内の高校に通う女子学生に警察官が刃物で警察官が刺される事件が起きました。
 事件が起きたのは市内の高校に勤める教師、高倉良子さん(26)の自宅で、「部屋から異臭がする」という匿名の通報を受けた警察官2人が様子を見に向かったところ、
 突如、部屋から刃物を持った女子学生が飛び出し、警察官の肩にナイフを突き刺し、警察官一人に軽症を負わせました。女子学生はすぐさまその場で取り押さえられました。
 なお、部屋の中には同じ学校に通う女子学生の弟が、左手から血を流した状態で見つかっており、現在警察では女子学生と弟、そしてこの部屋の借主である教師から事実関係を聞き出しています。

「自分のしたことがどう見えているのかまったくわかってないんだから。千鶴さんったら……。うふふふふ、うふふ、うふふふふふふふふ……」
(続く)

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最終更新:2008年02月14日 01:30
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