貴方だけを愛し続けます 第五話

549 貴方だけを愛し続けます第五話 ◆iIldyn3TfQ sage 2008/05/08(木) 22:05:53 ID:rvPU66XH




「さん・・・いさん・・・兄さん、朝ですよ」
「ん、ああ・・・・お早う」


掛け布団を乱雑に跳ね除け、体を起こしながらの欠伸。
鼻腔に吸い込まれたのは、俺の臭[にお]いではなく――未成熟ながらも女性特有の、甘い匂い。

心なしかいつも堅い表情の雪が、にっこりと微笑んでいた。
視線を動かすとぬいぐるみが広がっている。単なる動物やディズニー系も多く可愛らしい内装だ。
今では入ることさえ偶にしかない雪の部屋・・・。

そいうえば雪って節約家でそのままだと殺風景だからって、
結局俺が購入してやったりとか、ゲーセンの戦利品だったりするのだよな。



「そうか、夢か。うん、これは夢だな」
「ちょっと待ってください、兄さん」
「うん、そうだな。俺が雪のベットで眠るなんてありえん」
「だから兄さん」
「まったく疲れてんだな、一昨日は雪が俺のベットの中にいるなんて」

ぶつぶつと言いながら、ベットに横たわり眼を閉じた。弾ける甘い良い香り。

「兄さん、おきてくださいっ」
「おっ、あっ!?」

雪は俺に四つんばいになって両手で顔を挟み込むと、
それこそ目と鼻の先に雪の整った顔がそこにあった。

エプロン姿である雪が露出度なんてほとんどないのに、
ありえないシュチュエーションのせいか高くなっていく顔の温度。



550 貴方だけを愛し続けます第五話 ◆iIldyn3TfQ sage 2008/05/08(木) 22:06:16 ID:rvPU66XH

「兄さんが夕べ間違って私のベットで寝ちゃったんですから」
「ならお前が俺のベット使えばよかっただろうに?」
「兄さん、私の手をずっと握ってたんですよ?」

それでもですか?と、言いたげな眼で俺を貫いた雪。
これが現実だと認識する・・・とふと考えれば朝のこんなエロいシュチュ。
半勃ちしている俺のマイサンは本来の硬さを取り戻しつついたのだった。つまり気取られてはいけない。
今まで兄の威厳とやらが瓦解してしまう・・・ただでさえ家事を一手に任せてる身で・・・。


「とにかく、雪、俺の上から降りて」
「なんでですか」
「俺が起きれないだろ?」

むっ、としながら雪はベットから立ち上がる。

「兄さん、起きれるでしょう?それとも妹の匂いがしみこんだベットから出たくないんですか?」
「いやちょっとな兄さんは生理的なことから起きれないのだ」おもに陰茎とかな。
「生理的な・・・兄さん。エッチですよ」

数秒の空白を置いてその意味を理解するに当たった雪。
彼女は内股をもじもじとさせ、俺と俺の腰へ往復させる。

いや、だからお前は音夢かよ。これ、なんてエロげ?と言いたくなったぜ。
興奮していた俺は、雪を押し倒そうとする本能を無理やり追い払った。


正論で逃げ切るのは不可能と感じた俺は、正面突破することを決意した。敗戦は必至だ。

「いや、男はそういうもんなんだよ」
「妹、にもですか」
「だから、生理的なものだから勘弁しろ、してくれ、してください。の三段活用だチクョウ」
「なんですか、それはぁ」

とため息をつくと、雪は出て行った。
やっと血流が収まった俺は雪の布団から立ち上がる。熊のぬいぐるみを掌に乗せてみる。

「あいつ、俺がゲーセンで取ったこれ、まだ大切に取ってるんだな・・・」
「兄さんの、プレゼントですから」
「ああ、・・・・・・って下降りたんじゃないのか?」
「そうですけど、兄さんが触りそうな気がして・・・」
「ああ?取るわけねぇだろ」
「・・・・・・私のショーツを使わないで下さいね」
「・・・誰が妹のなんか使うかっ!!」

カッとなり、先ほどとは違った熱さを帯びながら部屋を出て行った。






551 貴方だけを愛し続けます第五話 ◆iIldyn3TfQ sage 2008/05/08(木) 22:06:56 ID:rvPU66XH
[Yuki side]

勃起してたんだ。ああ、誤魔化す兄さんったら可愛い。
少なくとも兄さんの躯は私を女として認識してくれるんだね。
でも、兄さんの頭脳はまだ私を一人の女として認識してくれない。

私のショーツ使ってもいいけど、でもそんなこと言ったら引くし、嫌われちゃうよね。

でも兄さん言いましたよね?

『・・・誰が妹のなんか使うかっ!!』

つまりは、私のショーツが嫌なわけじゃなくて、妹・・・だからなんですね。
あなたの倫理観をぶち壊してあげますよ、兄さん。

妹という一番近い立場にいられたのに。
でも兄さん、私達兄妹でも血が繋がってないから、苦労の上に結婚する事はできるんですよ?

襲って欲しいけど、そんな人間だったら私は好きに慣れなかった。二律反転かな?






苦労の末の幸福は最高ですから。

だから私と契りを結びましょ、兄さん。





552 貴方だけを愛し続けます第五話 ◆iIldyn3TfQ sage 2008/05/08(木) 22:07:56 ID:rvPU66XH
そういえば、兄さんの熊さんのぬいぐるみ・・・。

だって、忘れもしません。

あなたがくれた、人生初めてのプレゼントですよ。


『これ、お前に・・・やる』

ぶっきらぼうに、くれた、兄さん。


ちゃんと知ってます。
あのころ、なけなしの小遣いをつぎ込んたあなたを。


今でも、偶にあなたが取ってくるぬいぐるみ、
どれもこれも手入れを欠かさずに大事に取っておいてるんですよ。

愛しい、いとしい人の贈り物だから。



知っていますか?兄さん。

私が服を買わない訳。

兄さんが、デートに誘ってくれるのを、待ってるからですよ?

誰がなんと言おうと、私と兄さんのデートなんですから。


だからまた、私とデートしに行きましょうよ兄さん。
あんな雌放って置けばいいんですよ。

ぎりっと噛み締めた歯に気づきながら、
兄さんの脱ぎ捨てた上着で興奮を落ち着かせた。


「兄さん、朝ごはん用意してますから、ちゃんと食べてくださいねっ」

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最終更新:2008年05月11日 21:56
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