馬鹿姉02

327 馬鹿姉02 ◆iIldyn3TfQ sage 2008/06/01(日) 23:51:45 ID:UaMqgnra
         人は同じ過ちをまた繰り返す




女房の尻に敷かれるとは、よく言ったものだ。






姉さん、いい加減降りて」

実に文字通りに敷かれていた・・・実の姉に。

僕が姉さんに抱く感情は心地好い、というべき空間。
今の状況を決して役得なんて思ったりはしない。僕らは姉弟なんだから。
更に云えば、桃尻のような柔らかさが絶えず、
マイサンを刺激しているなんてのは真実ではないし、気のせいだ。

だが、一つだけ確認しておきたいことがある。
少なくとも俺は――――シスターファッカーになるつもりはない。
もっともまだ若き頃『若さゆえのあやまち』故に禁断の愛を夢見たのも事実。



328 馬鹿姉02 ◆iIldyn3TfQ sage 2008/06/01(日) 23:52:29 ID:UaMqgnra



PCの奥深くには妄想の残り香が未だ残っている。
けれど、あそこまで増やしたつもりもないのだ。
幾重にも厳重にしたパスワードをやすやすと潜り抜け、
『魅惑のロリ姉』や『ロリ姉[ねぇ]、ヤろうよ』などといった
タイトルの所謂エロゲやAVが目下増産中なのだ。

曰く「本当はお姉さん以外見てほしくないけど、
   その前に属性は付けておかないとね」

そんな属性は着きません、
それに軽く50GBを超えるってどんだけですか?
むしろ、領域があと数MBしかありませんよ?

もちろん、その悪事はこの俺を椅子にする姉の諸悪だ。
駄目だこりゃ、とは思うほどのブラコンなのだ。

とうの昔に両親は諦めの域に達して・・・いない。
姉を説得するつもりが、自らの娘に逆に丸め込まれてしまったのだ。

俺の味方は、もう誰一人としていない。
友人たるキョンこと伊藤恭介は「俺もそんな姉さんが欲しかった」
なんて遠い眼で空を眺めてはいたけど。



閑話休題。






329 馬鹿姉02 ◆iIldyn3TfQ sage 2008/06/01(日) 23:53:18 ID:UaMqgnra
「えー、駄目だよー」
「いいの?毛繕い・・・」
「だ、駄目だよーっ」

姉さんは焦りを隠せない様子で、俺の上から立ち上がる。
それを尻目に俺はキーボードをカタカタッと押し、出稿を進めた。
明日提出のレポートだ。後回しにしていたのがツケにきたのだろうか。

「あれ?レポートって秋原先生の?」
「ってまた姉さん出ていたの?」
「うん、まあね」

この姉は履修する講義によくこっそり出てくる。
一つの理由は、俺が単位を落とさないようにとのこと。
大概が教授たちの大雑把な解説より理解しやすく、かつ完結な補足を俺だけにする。
講義の内容を喋っているだけ教授側も注意はしてこない。
もちろん、既に取得済みの科目だから姉さんにはメリットが無いはずなのに。
ゆえになおさらたちが悪いことこの上ないのであった。

もっとも、それゆえにレポートなどに担ぎ込まれることは多々あるのだけど。



まったくこの姉は・・・世界は広いといえど、
弟が為にわざわざ単位にもならない講義に出る奴なんて他にいない。

二つ目の理由、これは推測なのだけど後ろから眺めるためらしい。
配布物を回す時に気づくか、または先に退出している場合と半々だ。

何故気取られないのかそれは・・・スネークばりの隠密行動で存在を隠しているからだ、ってかそれは才能[メモリ]の無駄使いだろ。

「お姉さんは愛しい、愛しい弟君の為に、レポート仕上げたよ」

USBメモリをひらひらと見せびらかす姉。
喉から手が出そうな、その資料にしかし、俺は手を伸ば・・・さない。

「どうしよっかなー?」
「いや、いらないし。自分の為にならんでしょ」
「むー、いいじゃない」
「ま、俺の見直しだけ頼むよ」
「うぃうぃー」

姉さんの膨らむ頬を見て、ぷっと吹き出した俺だが。



330 馬鹿姉02 ◆iIldyn3TfQ sage 2008/06/01(日) 23:54:38 ID:UaMqgnra
「姉さん、俺風呂はいるけど」
「入らないよー♪」絶対這入ってくる気だ。
「毛繕い」

「わかったよー」

涙目になる姉さんは、わかったようだった。



あくまでも髪を梳くという個人的趣向が適いつつ、
暴走マイシスターの制御ができるという一石二鳥。

できるならば、姉の制御は放棄したいというのが本音だけども。


ここら辺は予想内だった。

「シャンプーあるー?」
「姉さん、浴室の扉を開いたら怒るよ」
「開かないよー?」
「何故疑問詞なんだよ」

目を閉じながらシャンプーを洗い流し、リンスーのボトルに手を掛ける。
ボトルに手を掛けて、とあることに気づく。
・・・・・・・・・・

カシュ。

カシュカシュッ。

手応えのないボトルに一縷の願いをこめて。

カシュカシュカシュ。

いい加減出てもいいのではないか?


「あれ?・・・あれれ?」
「どしたのー♪」
「開けないでよ」

開けようとした扉を無理やりに閉める。
しかし、このままだとリンスーが・・・ま、いっか。



331 馬鹿姉02 ◆iIldyn3TfQ sage 2008/06/01(日) 23:55:11 ID:UaMqgnra

「リンスーどうするのー?」
「いいよ、姉さん。別に」
「だ、だめだよぉー。だって・・・・・・」
「まさか姉さんがわざとリンスーを使い切ったんじゃないだろうね?」
「・・・弟君の逞しい体を見たりとか、逞しい男の象徴とか・・・キャー」

もはや弟の声さえ耳に入らず妄想に夢中で
むふふといわんばかりに壊れた姉をドア越しに目を向けた。

「なんか聞いちゃいけない事聞いたっぽいんだけど・・・」
「じゅるるる。はぅ、弟君?若いうちから禿げちゃうよ?ケアは大切なんだよ」
「むっ、それは流石に嫌だなー」

「じゃ、リンスのボトル出すから取って・・・姉さん」
「ははは、大丈夫。手しか出さないから」
「なんだか手がワキワキしてるんだけど気のせい?」

気のせいだよーと言う彼女の顔はドア越しだが、絶対赤らめているのだろう。
すりガラス越しにくねくねしているのは絶対に目の錯覚か錯視なのだろう。

そう思って、タオルを絞り顔を拭いた僕の目には、想像通りの姿が。

「さむっ」
「弟君、湯船に浸かっていなよ」
「ああ、」

背に腹は変えられない。寒さに耐え兼ねた僕は浴槽に這入ることにした。

「さぁー、終わったよー♪」
「いや、這入るなよ」




332 馬鹿姉02 ◆iIldyn3TfQ sage 2008/06/01(日) 23:56:00 ID:UaMqgnra
リンスのボトルを片手にやっぱり入ってきた姉に呆れを隠せずにいた。
彼女の躯にはもちろんタオルは標準装備だ。

「うー、お姉ちゃんの悪口を云ったー」
「だって、這入ってくるじゃん」







「ふっ、なんとか姉さんの侵入は防げたぜ」
「誰に言ってるの?弟君?」

なんて鼻水を垂らしながら、
更に言えば何故か姉さんに鼻をかんでもらいながら会話を交わしてた。

ピピッピピッ。

懐で固定していた温度計は、無常にも平熱を軽くオーバーしていることを告げていた。

「完璧風邪だね♪」
「ノォーーーー_| ̄|○」

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最終更新:2008年06月08日 20:11
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