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秋冬to玉恵、理性崩壊編 sage 2008/10/15(水) 00:45:28 ID:np8K2w90
いったい何時からそうなっているのか分からない。
世界には、はるか昔から色々な種族が存在する。それは、大きく分けて三つの種族に分かれていた。
一つは人間。
およそ、世界人口の99.9%がこれにあたる。全ての種族の基本にあたる種族で、他二つの種族は人間の突然変異として生まれてくる。
2つ目は亜人。
アジン、とも、ビースト、とも呼ばれる種族。アジンは正式な学術名で、ビーストは偏見と悪意を持って付けられた蔑称にあたる。
彼ら、彼女らは、人間として生まれてくる赤ちゃんの中で、およそ2%~3%くらいの確立で生まれてくる亜種。
特徴としては、人間の姿に、動物か別の生物の特徴を併せ持っていること。それは動物の尻尾だったり、耳だったり、千姿万態。
人間と比べて身体能力と知能が高く、肉体の能力は人間より1.5~3倍以上ある。
そのため、一部の亜人は人間を見下している。
これは本当に一部で、ほとんどの亜人は基本的に社交的で、あまり攻撃性を持っていない。
この二つに入らないのが、別種。
彼ら、彼女らは、およそ0.000001%の確立で生まれてくる。そのため、ミリオン・チャイルド(100万に一人の子)とも呼ばれている。
世界でも数千人くらいしか確認されていないので、別種と呼ばれるようになった。
特徴としては人間とほとんど変わらないが、最大でも150cm以下(平均で140cm)という低い身長と、背中に生やした大きな翼と、外見が幼いという違いがある。
彼ら、彼女らは、純白の翼か、漆黒の翼かのどちらかを背中に生やし、日中のほとんどを、空中飛行して生活する。
かといって歩けないわけではない。だが、何故か彼ら彼女らは、長時間地上に足を付けていると徐々に体力を消耗してしまい、最悪の場合は命を落とす危険性が出てくる。
原因は不明。ただ分かっているのは、彼ら彼女らにとって、空中を漂う=人間が歩くということだけ。
そして、別種だけが持つある特殊な能力。
それは、自らの命を他人に注ぐことができるという奇跡の力であり、神の偉業である。
彼らは自分の体内に宿る生命エネルギー、あるいは命ともいえる何かを、他人に明け渡すことができるのだ。
それによって死の淵に立たされた人でも一瞬で治癒させ、寿命すら延ばすことができる。
これが彼らを別種というカテゴリーに分別される最大の要因になっているのだ。
進化の過程とか、突然変異とか、放射能の影響とか、数え上げればきりがない。なぜここまで違ってしまったのか、現在でも全く解明できていない。
けれども、始めからそうであったかのように、これら三つの種族は互いに協力しあって文明を築き、生物の頂点に立つことができた。
この話は、春夏秋冬(しゅんか しゅうとう)の姉にあたる人間の春夏玉恵(しゅんか たまえ)と、玉恵の弟にあたる別種の春夏秋冬の恋物語である。
628 秋冬to玉恵、理性崩壊編 sage 2008/10/15(水) 00:47:45 ID:np8K2w90
ステップ2を実行してから一ヶ月が経った。
『姉、もしくは妹から離れる3つの方法』のうち、2つとも効果が無かった。それはもう、全くといっていい程無かった。
「んふふ~~、しゅ~う~ちゃ~ん」
頭の上から聞こえてくる声は、凄く機嫌が良かった。顔を見なくても、秋冬の姉である玉恵が心のそこから喜んでいることがうかがい知れた。
二人は今、いつもどおりソファーに座ってくつろいでいた。玉恵の腕の中に収まったままの秋冬は、心の中でため息を零した。
とりあえず、しばらくは様子を見よう。姉の腕の中に抱かれつつ、秋冬はそう結論付けた。
今日の玉恵の服装は薄いシャツ一枚とホットパンツだけ。首筋に感じる二つの柔らかい感触から、素肌の上に直接服を着ているのが分かった。
体全体を包む暖かい温もりに、羞恥の感情を覚えたけど我慢した。時折二つの硬い何かが翼の羽を擦っていくせいで、くすぐったさに身もだえしそうになるのを必死に堪えた。
普段から仕事やら何やらで、ストレスを溜め込んでいるだろうことは分かっているので、これぐらいのことは我慢して受け入れることにしているのだ。
ただ、学生である秋冬と玉恵の休みが重なる日曜日に、年頃の女性なら同年代の異性なり友達と連れ添って遊びに出かけてもよい日なのに、
家から一歩も出ようとしないのは、弟の目から見てもどうかと思うのだけど。
そう、弟の目から見ても、玉枝は本当に友達と出かけたりしない。休みの日は必ず、今みたいに秋冬を抱きしめて過ごしているのである。
僕の目から見ても、お姉ちゃんは凄く美人でスタイルも良いし性格も最高なのに、どうして彼氏を作ろうとしないのだろうか?
……何か出来ない理由があるのかな……あ、僕のせいか。
その理由に思い至った瞬間、胸の奥で小さな棘が破裂した。
本当に姉離れしないといけないな……。
秋冬はもう一度心の中でため息を零した。
「んふふのふ~~……ね~え~、しゅ~うちゃ~ん~」
ハッと、秋冬は我に返った。
「な、なに?」
突然の呼びかけに驚いて振り返ると、ちょうどよく顔が谷間に埋もれた。薄い布一枚越しに感じる柔らかさに、秋冬の頭は一瞬で沸騰した。
や、柔らかくて暖かい、それにいい匂い!
思わず深く深呼吸してしまう。玉恵はくすぐったさに体を震わせた。
「や~ん、シュウちゃんのえっち」
「ご、ごめぶぶ」
玉恵の非難に半分パニックになった秋冬は、離れようと顔を上げた。途端、後頭部に手を回されて、再び柔らかい谷間に引っ張られた。
むにょん、むにん、擬音に例えればこんな感じ。同年代の平均を大きく上回る質量を持つ玉恵の胸は、秋冬の頭を優しく受け止めた。
目を白黒させていると、玉枝は秋冬の後頭部に当てた手を緩やかに前後し始めた。髪の一本一本まで指を通して髪をすいていく。その掌には愛しむ感情が溢れていた。
「で、も、シュウちゃんならOK三連呼だよ」
ふわりと、玉恵はこちらまで微笑んでしまうくらい美しい笑みを浮かべた。
お、お姉ちゃん……そういってくれると嬉しい。
秋冬は思わず涙を零しそうになってしまった。こんなとき、秋冬は自分が重度のシスコンであることを思い知ってしまう。
「うふふ、可愛い……あ、そうそう、言い忘れるところだったわ」
「はひ?」
胸に顔を埋めたまま、秋冬は返事した。本当はちゃんと対応したかったけれど、頭に回った手は予想外に心地よかったせいで、離れる気が起きなかった。
629 秋冬to玉恵、理性崩壊編 sage 2008/10/15(水) 00:48:57 ID:np8K2w90
「シュウちゃん、新しい服を買いに行きましょう」
新しい服? 秋冬は首を傾げた……せいで、玉恵の胸が程よい弾力と共に形を変えた。
なんとか頭を動かして隙間を作り、返事を返した。
「服ならもう十分過ぎるくらい持っているから、いらない」
「なに言っているの。十分過ぎるくらいって、4着しか持っていないじゃない」
「4着もあれば十分でしょ」
「十分じゃありません! 罰としてちゅーの刑だ!」
なにそれ。
そう思った直後、秋冬の唇と玉恵の唇が重なった。同時に理解した。
秋冬が抵抗するよりも早く、玉恵の舌が唾液と共に秋冬の口内に入り込んだ。
瞬く間に二人の舌は絡まりあい、秋冬の口内粘膜を根こそぎ削いでいくように縦横無尽に暴れまわった。
玉恵の唾液が滴る舌が、秋冬の口内を激しく陵辱する。突然の事態に、秋冬はなすすべもなく受け入れることしかできなかった。
「はう、ちゅちゅ、じゅるる、あむ、ちゅぱ、おいひい、ちゅはおいひいほ」
「うん、んん、んぐ、んん、んむ、ん、ほへえはん、ははひへ」
突然の愛撫に、秋冬は離れようともがいた。だが、玉恵の両腕は拘束着のように秋冬の抵抗を封じ、
もがけばもがくほど秋冬の体は玉恵の胸へ密着していった。背中の翼もパタパタと玉恵を仰ぐが、まったく効果が無かった。
お、お姉ちゃん、いったいどうしたの!?
玉恵の舌が二人の口内を蠢くたび、二人の頬が歪に膨らむ。唇の端から流れた涎が顎を伝って、首筋を伝って、お互いの衣服を湿らせていく。
まるで脳の裏側を舐められているようだと、秋冬は快感で痺れた頭で思った。
そのまま深いキスをすること数十秒。とりあえずの満足を得たのか、玉恵は最後にひときわ強く秋冬の唾液を吸うと、ゆっくり唇を離した。
二人の口元から幾重にも銀の端が生まれて途切れる。お互いの唇が蛍光灯の光にきらめいていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、お、お姉ちゃん?」
涙で潤んでしまった瞳では、玉恵の姿が霞んでよく見えなかった。それで正解だった。もし、秋冬が玉恵の顔を見ていたら、きっと秋冬は恐怖のあまり逃げ出していただろう。
目は血走り、頬は高潮し、獰猛な猛獣のように息を荒げている姉の姿など見たときには……。
玉恵は素早く呼吸を整えると、ニッコリと笑顔を浮かべた。秋冬の知っている優しい姉に、秋冬の知っている聡明な姉の表情に変えた。
「うふふ、ちゅーの刑完了」
「はぁ、はぁ、ちゅ、ちゅーの刑?」
初めて耳にする言葉に、秋冬は首を傾げた。
「知らないの? ちゅーの刑は、お姉ちゃんが我侭な弟相手に発案されたお仕置きの一つなんだよ。
日本では古くから行われてきた方法で、基本的な方法以外は門外不出なんだよ。
他にもいっぱいお仕置き方法があるけど、家ではこの方法を使っているの。どう、けっこう苦しかったでしょ」
いつものように秋冬の知らない知識を披露する玉恵。
一瞬、そんなものがあるのかと思ったが、玉恵の堂々とした口上を聞いていると、そんなことも知らなかった自分が情けないと思えてくる。
同時に、本当にお姉ちゃんは何でも知っている、と、聡明な姉を持てたことを誇りに思えてくる。
「はぁ、はぁ、う、うん、苦しかった……けど、あの……なんで…」
秋冬は頬が熱くなっていくのを実感した。きっと、自分の頬はトマトのように赤くなっているだろうと思った。
630 秋冬to玉恵、理性崩壊編 sage 2008/10/15(水) 00:50:15 ID:np8K2w90
はっきり言わない秋冬の言葉に、玉恵は首を傾げた。だが、すぐに答えに思い至ったのか、ああ、と頷いた。
「……あ、ああ、なんで舌を入れたかっていうこと?」
「う、うん」
それが、どうしても分からなかった。ただ息苦しさを与えるなら、唇を塞ぐ程度でよいはずなのだ。
「それはね、元々これらのお仕置き方法は、本当は叱りたくないんだけど叱らなければならないっていう事態に陥った経験を持つ、
全国のお姉ちゃん連盟の人達が作ったからなんだよ」
またもや聞きなれない言葉だった。
「お姉ちゃん連盟?」
「そう、お姉ちゃん連盟。ちなみに私も参加して……じゃなくて。お仕置きで苦しませるのもそうだけど、本当はお姉ちゃんもそんなことしたくないの。
だから、せめて少しでも苦しみを軽くさせようと、舌を入れて気持ちよくさせて苦しみを忘れさせるの」
「え……でもそれって…」
「矛盾しているでしょ? こればっかりは永遠に答えが出ない問題なんだよね……と、忘れるところだったわ。シュウちゃん?」
「なに?」
ふわりと、音もなく玉恵の瞳が秋冬に近づく。眼前に迫った玉恵の瞳を見て、秋冬は改めて姉は美人だと思った。
「お姉ちゃんの舌、気持ちよかった?」
「―――!?」
全身の産毛が総毛立ったかと思った。いや、実際、秋冬の背中に生えた翼は一斉に羽を広げた。
お、お姉ちゃん!? 思わず秋冬は玉恵に怒鳴ってしまいそうになった。
だが、猫のように唇を曲げ、目を細めている玉恵の前には、そんなこともできそうになかった。
「ねえ、気持ちよかったでしょ?」
「…………………………………………ん」
気持ちよかったと返事を返すのはあまりに恥ずかしかった。なので、小さく、本当に僅かに頷くことで肯定の意を伝えた。
玉恵の笑顔がさらに深まった。それはもう、世界中の幸せを一身に浴びたくらいの素晴らしい笑顔だった。
さて、と玉恵は一息入れて立ち上がった。その腕に秋冬を抱き上げたままで。
秋冬は合わせて翼を広げて浮遊体制に入る。体中の緊張が抜けていくのを実感し、やっぱり自分は空を浮遊している方が楽かな、と思った。
「それじゃ、涎で汚くなっちゃったし、お風呂に入ってから服を買いにいきましょうか」
「…………それ、もう決定事項なの?」
風呂場に向かおうとする玉恵に、最後の抵抗をする。いまだ秋冬は玉恵に抱きしめられたままだった。
そのせいで、秋冬の顔はほとんど胸に埋もれ、玉恵の甘い体臭に思考が定まらなくなってしまった。
「決定事項です。お風呂も既に用意しているしね」
「でも……」
「むむ、シュウちゃんはまだ我侭を言うのね! もう一回ちゅーの刑だ!」
「え、あ!」
それから時間にすること20分。回数にすること4回。秋冬が首を縦に振るまで、ちゅーの刑は執行された。
「えへへ、素直になったね、シュウちゃん。ご褒美のちゅーだよ」
「はぁはぁはぁはぁ、も、やめ」
正確には、5回だった。
631 秋冬to玉恵、理性崩壊編 sage 2008/10/15(水) 00:52:14 ID:np8K2w90
白い湯気が浴室の湿度を上げていく。
秋冬と玉恵は、お互いを抱きしめるような形で湯船に浸かっていた。
玉恵が下になって秋冬の体を受け止めて、秋冬が玉恵の首筋に腕を回して密着するという体勢だ。
こうすることで、秋冬の翼が邪魔することなく湯船に入ることができるのだ。
本来、羽に極力刺激を与えようとしない別種にとって、湯船に入ることはほとんどない。
別種の持つ特殊な免疫構造が雑菌等の繁殖を抑え、特殊な皮膚を持つ別種の体表が、外から来る汚れも殺菌消毒しているからだ。
そのため、体が直接汚れない限り別種はお風呂に入ろうとしないのだが、秋冬は姉が喜ぶというただその一点で我慢していた。
もっとも、嫌なことばかりではないのだが。
玉恵は両手で湯船の淵に手を置くと、体を湯船の中に沈めた。
鎖骨あたりまでが完全に湯船に浸かってしまったせいで、玉恵に捕まっている秋冬も湯船の中に引きずり込まれる。
だが、秋冬が沈むよりも早く玉恵の艶のある白い両脚が湯船から飛び出す。
玉恵は、その脚を曲げて秋冬の身体を押さえ込むと、一気に自身へと引き寄せた。
「や!」
お湯の暖かさと玉恵の柔らかさにうっとりしていた秋冬は、突然の体重移動に驚いて慌てて目の前の玉恵に抱きついた。
二人の身体がさらに密着し、玉恵の胸が秋冬の胸板に潰れて卑猥に形を変えた。
玉恵は眉を吊り上げて怒った。頬が餅のように膨らんでいた。
「もう、シュウちゃん! ちゃんとお姉ちゃんにしがみつかないと駄目じゃない!」
「ちゃ、ちゃんとやっているよ」
「嘘! だったらどうしてそんなに腰を引いているの!?」
「だ、だって……」
「もう! ここ最近はいつもそうだよ! いつまでも甘やかすお姉ちゃんじゃないよ!」
普段の玉恵の秋冬に対する行動から考えれば、心底信じられない言葉だが、とにかく玉恵は我慢の限界を迎えた。
抱き合いながらお風呂という毎日の日課は、玉恵にとって重要な要素を占めているのだ。
その理由が秋冬に対する性欲を発散させるということでなければ、もしかしたら美談なのかもしれない。
とにかく業を煮やした玉恵は、秋冬を傷つけない程度の力で両脚に力を込めた。
秋冬も抵抗しようとしたが、世界記録を余裕で塗り替える筋力を持つ玉恵の力に敵うわけもなく、二人の腰はぴたりと密着した。
途端、秋冬の頬は真っ赤に、玉恵の膨れっ面は元に戻った。
「え……あれ、これって……」
玉恵は呆気に取られた顔で、秋冬を見つめた。
秋冬は頬どころか首筋まで赤く染めて、玉恵から視線をそらした。
「………………だから言ったのに……」
ボソボソと、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな抗議を、玉恵は黙殺した。というより、耳に入っていなかった。
632 秋冬to玉恵、理性崩壊編 sage 2008/10/15(水) 00:54:58 ID:np8K2w90
『ついに、ついにこの日が来た!』
表面上はどうしたらいいか分からない姉を装い、心の中では獰猛な猛獣が歓喜の雄叫びをあげていた。
今、玉恵の心は20年にも満たない生涯の中で最大の幸福に包まれていた。
数年掛けて行ってきたことが遂に実を結んだのだ。
『ああ、この日を何秒何日何週何ヶ月何年待ち続けたか!』
それは二人が姉弟だからこその障害。
『やっと、やっとやっとやっとやっとやっと……シュウちゃんが私に欲情してくれた!』
男と女ではなく、家族としてしか見られない血の繋がり。
『私の行動に、私の身体に、私の愛に、おちんちんを硬くしてくれた!』
それらの障害を、繋がりを、断ち切る可能性が遂に生まれたのだ。
玉恵はこれまで何度もこの時のことをシミュレートした。優しいお姉ちゃんを演じて、
厳しい姉を演じて、気にも留めない姉を演じて、ありとあらゆる事態を想定してシミュレートしてきた。
いかに秋冬を傷つけることなく想いを遂げるか、いかに秋冬に気づかせることなく自分をレイプしてくれるようにするか、
何度も何度もベッドの中でシミュレートした。
おかげで何十枚、自身の下着が使い物にならなくなったことか。
おかげで何十枚、秋冬の下着が使い物にならなくなったことか。
おかげで何十枚、ベッドのシーツがゴミ箱行きになったことか。
秋冬は知らない。知るわけが無い。玉恵の聡明な頭脳が、それを気づかせない。
『あはは……駄目だわ……我慢できない』
今まで何千回とシミュレートしてきていたのに、秋冬の熱を感じ取った瞬間、玉恵の理性はあっけなく崩壊した。
それには、先日秋冬が漏らした寝言、秋冬が口走ったリリアという名の女のことも少なからず影響していた。
つまり、焦っていたのだ。このままでは秋冬が他の誰かに取られてしまうという焦燥感が、玉恵のただでさえ細い理性の糸をさらに細くしてしまったのだ。
『いただきます』
そして今、長年閉じ込め続けていた欲望が解き放たれた。
最終更新:2008年10月20日 01:03