小ネタ「忍び寄る電波の恐怖」

347 小ネタ「忍び寄る電波の恐怖」(1/2) sage 2009/02/27(金) 20:37:09 ID:gjMk5Ue0
「はあ、はあ、はあ……っ、いやだ、捕まりたくない」
 足音は、ない。だが、居る。そして一度捕まれば、犯され、孕ませて、終わる。
 何故か夜の学校で、追いかけっこをしている男女。まあ、俺達のことだ。
 追われるのは俺。追うのは姉。はっきりいって、恐怖以外の何者でもない。
 俺の姉は、一言でいうならストーカー。それもとびきりタチの悪いやつだ。美人だが。
 俺の下着をかぶり、ゴミを漁り、プレゼントを渡してくる、常に背後から見つめてくる。
 そして、隙を見せたが最後、後ろから組み敷かれて弄(まさぐ)られ、果ては強姦未遂。
 何とか抜け出し、自分の通う学校に逃げ込んだが、また見つかり、追われているのが現状だ。
「ふふ、うふふふ、うふふふぁはははは……、まってよ~おとうと~~」
 気持ち悪い。怖い。怖い。一息に追いつくことができるくせに、ぴったりついてくる。
 おそらく、俺が疲れ果てたところに襲い掛かり、抵抗力のない俺を犯すつもりだ。
 もうほとんどの隠れ場所が使えない。このままだとマジで捕まる……!
 そう思った時、突然横手から俺の身体を掴む手。そのまま引きずり込まれる。
「しっ、静かに。ここはあの魔女の知らぬ場所。私(わたくし)と共に黙っていれば大丈夫です」
 この声……しかし背に腹は変えられない。しばらく息を潜めるとしよう。

「おとうと~どこいったの~さみしいよ~どこ~?」
 恐怖の姉の声が、少しずつ遠ざかる。とりあえず安心して緊張を解こうとして、
「嗚呼お兄様、ご無事でしたね。やはり私と貴方は前世からの強い縁に護られているのです」
 再び全身に緊張を走らせることになった。忘れてどうする。こいつは、俺の妹だろうが!
「嗚呼、嗚呼我が愛しのお兄様。あの魔女に呪われて、もとい穢されておりませんか?
 貴方は前世からの私の半身。穢されたというのなら、この身をもって穢れを祓います。
 具体的には、私とまぐわうことで、穢れを2人の身に散らしてみせるのです」
 みせるのです、じゃあねえよ。このイカレ電波妹が。
 姉がストーカー娘なら、妹は電波娘。それも、姉と同じ淫乱の属性だ。姉に似て可愛いのに。
 前世の俺達は、世界を救う双子にして、新しい生命を紡ぎ出す神の御子らしい。近親相姦かよ!
 そしてそれを毎日のように語り、隙あらば現世でもその使命を果たそうとするのだ。正直怖い。
 要するに、姉とあまり変わらないのだ。むしろ正面から来る分、余計タチが悪い。
「どうしたのですか? まさかもう既にあの魔女に穢され、下僕に貶められたのですか…?
 いけません! すぐに服を脱いでください! 私が貴方の御身を清めてみせますから!?」
 かくして、夜の学校の狭い廃教室の中、もみ合う男女の図ができた。まあ、俺達のことだ。
 ああもう、嫌だっつってんだろうが! つうか叫ぶな! 腕を離せ! 姉に見つかるだろうか!



348 小ネタ「忍び寄る電波の恐怖」(2/2) sage 2009/02/27(金) 20:43:42 ID:gjMk5Ue0

「うふふぅふふ~ おとうとみぃ~つけたっ」
 固まる俺。強張る妹。やっぱり見つかってしまったじゃないか。この○○妹が。
「や、やめろよ姉(ねえ)。話し合おう。話し合えば他の道が」
「こちらに来るなっ! この穢らわしい魔女が! 立ち去れぃ!」
 ああもう、この馬鹿妹。姉を刺激するなよ。いつも勝てないクセに。死ぬ気かコイツ。
「あらら? おとうとにしがみついているのがわたしのいもうとなのね? どういうことなの?」
「私は、お兄様と同一の存在なんだ。お兄様は私のものだ。貴様になんか、渡すものか!?」
 どうでもいいが、俺を挟んでいがみ合うな。居心地悪いし、耳が痛い。
「お兄様どいて下さい! その魔女、滅することができませんから!」
「滅するとか言うなこの馬鹿。だいたいここは狭いんだ。横によけるのも難しいんだよ」
「いもうと……あなたはわたしが、おとうととエッチすると、けがれるとおもっているのね?」
「え、エッチ……!? そ、そうですっ! 私以外とのまぐわいで穢れ、私とのまぐわいで清め」
「なら、わたしとあなたが、ふたりでおとうととエッチすれば、ちゅうわできるんじゃない?」
 おお、孔明さえ思いつかないナイスアイデアってあほかああああああああっ!?
「あ、それなら大丈夫かと思われます。正直私も、早くお兄様と新しい生命を育みたいですし」
「いや、いいのかよおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
 思わずツッコミを入れてしまった。それよりも、この2人が協力して、犯しにかかってくるだと?
 この部屋は狭い。背後の入り口には姉が居る。前からは妹に両腕を掴まれている。逃げようがない。

「さあ、おとうと。ねんがんのエッチのときがきたねぇ。いっぱい、いっぱい、あいしてあげるよ」
「さあ、お兄様。念願のまぐわいの時が来ました。前世よりの使命を果たし、未来に繋げましょう」

――夜の校舎に、1人の男の悲鳴と、2人の女の嬌声が響いた。まあ、俺達のことだ……    ぐすん。

           ― END ―

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最終更新:2009年03月01日 22:38
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