203 サクラサク、さくらちる (01/12) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/04/08(水) 04:14:21 ID:LPxhJHHY
4月の陽気と春の風、初々しい少年少女の笑い声。
まだまだ桜が満開のこの時期は、入学式に桜の花びらが舞い踊る。
「おにーたん、はやくきてよ~!」
「ああこらっ、そんなに慌てるなよ、さくら。
せっかくの新しい制服を、土まみれにしたくないだろ?」
前を駆けていく、まだ幼年の少女をなだめ、落ち着かせようとする。
この少女の名は「さくら」。僕の大切な妹だ。
今年でようやく小学生になれたせいか、今朝からとてもテンションが高い。
そういう僕自身も、今年中学生になったばかりの、まだ子供だったりする。
僕の名は「桜華(おうか)」。妹とお揃いの漢字が入っていて、結構気に入っている。
齢は12才。なので、目の前にいる妹とは、6才離れた兄妹ということになる。
なお、中学校の入学式は明日なので、今回の出席はサボリにはならない。
僕はこう見えても、いちおうマジメな部類の人間なんだ。
「も~お、おにーたんのばかぁ~。
せ~ふくじゃなくて、あたいのからだをしんぱいしてよ~」
「はいはい、それもそうだったね。
転んでケガして泣いちゃう妹なんて、見たくないしね」
「むむぅ~イヤイヤっぽいなあ。まあいいけどね~。
だったら、あたいをもっと、だいじにし~な~さ~い~っ!」
まったく、そんな恋人同士みたいな言葉、どこで覚えてきたんだろうな。
6才児のくせして、時々マセた発言をするからあなどれない。
でもまあ、それはおいおい、僕が直してやればいいんだ。
「で、僕のかわいい妹は、どうしたら落ち着いてくれるのかな?
手をつないで、一緒に並んで歩くのなら、僕も安心するんだけど……」
「あ……うん! あたい、おにーたんとおててつなぐ~!
ならんでいっしょに、ももいろのみちをあるくんだ~!」
やれやれ、「手をつなぐ」と言っただけで、こんなにはしゃいで。
まったく、扱いやすくて、かわいらしい妹だ。
「ほらはやくはやく~! おててつないでいこ~!
そんで、いっしょにたいくかんにはいろうよ~!」
はしゃぐ妹の差し出した手を握り、歩幅を狭くして歩調を合わせてやる。
「はいはい、それじゃあいこうか」
「うんっ!」
204 サクラサク、さくらちる (02/12) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/04/08(水) 04:15:36 ID:LPxhJHHY
妹の入学式は、とくに問題なく終わった。
というか、たかが小学校の入学式で何かあるほうが、よっぽど問題だ。
むしろ、入学式に親じゃなくて、兄である僕が参加してるほうがアレだ。
でもしょうがない。僕らの両親は、どうにも仕事で家を空けっ放しなのだ。
昔から僕の家では、父さんと母さんが共働きのため、僕はよく1人ぼっちになった。
だから、僕が6才の頃に妹が生まれたときは、心の底から嬉しかった。
それにしばらくは、妹を育てるために、母さんが家にいてくれた。
けれど、それも妹が生まれて1年と少しだけで、2年もするとまた元通り。
どちらかというと、父さんのお姉さんが、僕や妹の育ての親って感じだった。
そして妹が4才のとき、父さんのお姉さんが突然、遠くに引っ越すことになった。
同時期に、父さんや母さんも、本格的にウチから離れることになった。
父さんは国内の遠方の仕事場に、母さんは国外の仕事場にそれぞれ通うために。
その結果、必然的に僕が妹の世話をしなければならなくなってしまった。
父さんの他の親族も、母さんの親族も、すでに全員亡くなっていたから、なおさらだ。
それでもなんとか、小学生の僕と幼稚園児の妹の2人だけで、無事暮らしてこれた。
事前に父さんのお姉さんが、僕に子守のいろはや家事全般を叩き込んでくれたのだ。
まあ、妹が僕になついてくれていたから、僕の負担が軽かったというのもあるけど。
そんなこんなで、僕は妹くらいの齢の子供の扱いが、異様にうまくなっていった。
将来は、保父さんでも目指してやろうか、なんて考えていたりする。
そういや、妹の幼稚園に迎えに行くたびに、他の幼児にモテモテだったなあ、僕。
……同年代の女子には、ぜんっぜんモテないんだけどね~。
さて、だいぶ話が脱線したので、一度戻そう。
結局、父さんと母さんは、今回もまた仕事で戻れないとのことだ。
僕のケータイに、2人からそれぞれメールが届いたから、これは確かだ。
だから僕が、妹の入学式に、いつもどおり親代わりで参加した。
まわりの父兄さん達から、色眼鏡で見られるのは、もう慣れている。
僕がいることで妹が喜んでくれるなら、もうそれだけでいいや。
今も僕の横で、鼻歌を歌いながら、楽しそうにはしゃいでるし。
「ねえおにーたん。おにーたんは、あたいのことすき~?」
ああ、また妹の「好き好き攻撃」だな。
まったく、僕は兄だからやめなさいって、何回言っても聞かないな。
「はいはい。僕もさくらのこと、大好きだからね」
「えへへ~、あたいも、おにーたんだいすき~!」
ああ、世界は今日も平和だねえ。
205 サクラサク、さくらちる (03/12) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/04/08(水) 04:16:11 ID:LPxhJHHY
妹と一緒に買い物し、夕方にウチに帰ってから、いつもどおり晩ご飯の準備を始める。
妹の世話をし始めた頃からやっているので、腕前は相応のものだと自負している。
実際、僕が小学生だった時の家庭科の調理実習では、けっこう好評だった。
「将来、調理師になりなよ」って、クラスの女の子に言われた時は、嬉しかったな。
その話を妹にしたら、なぜかむくれて、一日じゅう機嫌が悪かったけど。
「なあさくら、冷蔵庫からたまねぎをとってくれないか?」
「うん……と、これだよね、ハイ!」
僕がおかずを料理して、妹が食器などを準備する。ウチのいつもの光景。
最初は危なっかしくて怖かったけど、妹が成長してからは、安心して料理に専念できる。
「さくら、コレを机の上に持っていったら、むこうで待っててくれ。
いまやっているこの野菜炒めができたら、一緒に食べ始めような?」
「うん、わかった~! でもやさいいためにニンジンは……」
「もちろん入ってる。好き嫌いはダメだよ、さくら」
「うえぇぇ……」
ロコツに嫌そうな顔をする妹。いくつになってもこれだ。
「ニンジンを食べたら、ごほうびにデザートをあげるから、頑張りなさい」
「でざーと? もしかして、プリンなの!?」
「うん。ご褒美のプリンとニンジン残し、どっちを取るかな?」
本気で悩む妹。今度ニンジン入りプリンとか、こっそり作ってみようかな?
「……わかった~、イヤだけど、ニンジンたべるぅ。
だからおにーたん、ごはんのあとは、ぜったいプリンちょ~だいよ~!」
「うん、約束するよ。っとと、ちょっと火を通しすぎたかな?」
目の前の野菜炒めに再度集中。火を止めたあと皿に盛りつけようとして、
「ねえ、おにーたん」
すぐ後ろからの妹の声に振り向いた瞬間、僕の唇に、なにかのやわらかい感触。
「えへへ、ちゅ~しちゃった♪」
「まったく……」
「ニンジンたべるゆーきがでてきた~! がんばるもんねっ!」
踏み台とかを片付けて、元気そうにリビングの食卓へ駆けていく妹。
家の中で走るなって、いつも言ってるのに――まあいいか。
206 サクラサク、さくらちる (04/12) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/04/08(水) 04:17:28 ID:LPxhJHHY
「ごちそうさまでした」
「ごちそ~さまでしたっ!」
つつがなく晩ご飯を食べ終わり、妹にプリンを食べさせてやった。
「あ~んしてっ」なんて言う妹に、いつもどおりに食べさせてやる。
いつか僕に恋人ができたらやってあげたい行為だが、今のところ妹専用だ。
「よし、じゃあ歯を磨いておいで。そしたらお風呂に入ろうか。
――あ、その前にお話があるから、やっぱりココに来なさい」
「うん、わかった~!」
元気よく駆け出していく妹。だから家の中は(ry
まあ、今回の話をしたらしょげるだろうから、少しは見逃してやらないとね……。
「おわったよ~! ねぇねぇおにーたん、おはなしってな~にっ?」
妹が戻ってきて、僕の膝の上に座る。もう走ることは注意しない。
僕の真剣な態度を感じ取ったのか、妹も少しだけ身体を強張らせる。
「さくら。大事な話だから、僕の膝じゃなくて、前に座ってくれないかい?」
「いやだ! ぜ~ったい、イヤだかんねっ! いやだいいやだいいやだい!?」
「さくら、頼むから聞いてくれよ。いい子だから、聞き分けてくれ……」
ああ、やっぱり妹は納得してくれなかったか。まあ当然かな……。
僕が妹に話した内容は、ざっと分けて次の3つ。
1つめ。もういい年だから、一緒にお風呂に入ったり、一つの布団で寝ないこと。
2つめ。お互いもう大きくなったから、お口にキスとかするのをやめること。
3つめ。小学生になったんだから、登下校は僕の付き添いなしですること。
「なんで……なんでなんでなんでよぅ……。
おにーたん、あたいのこと、キライになっちゃったのぉ……?」
我慢できずに、僕に抱きつき――すがりついてくる妹。
「ちがうよ。僕はさくらのことは、今でも大好きだよ。
でもね、もうさくらも小学生になったんだ。幼稚園児じゃないんだよ。
だから、僕に甘えなくても、1人でできるよね?」
昔から、僕を信じて僕についてきてくれた、かわいい妹。
でも、そろそろ兄離れをさせないといけない。
ただでさえ、僕のこれから通う中学校は、ウチからの距離が小学校より近い。
だから、妹1人で小学校まで行ってもらわないと困る。
そのついでに、ひたすら僕に甘えっぱなしの妹を、1人立ちさせてやらないと。
僕に甘える時間は終わり。自立して頑張ることを教えないと、妹はダメになる。
いま妹にしている説得で、妹の未来が決まる。
ソレくらいの覚悟で、僕は妹と向き合っている――つもりだ。
207 サクラサク、さくらちる (05/12) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/04/08(水) 04:19:18 ID:LPxhJHHY
「おにーたん、あたいのこと、スキなんだよね?
だったら、おっきくなっても、いっしょにいてほし~よぉ!
おにーたんといっしょに、おにーたんとすごしたいもん!」
「ダメだよ。今まではさくらが幼稚園児だったから、僕も甘やかしてきた。
でもね、さくらは明日から新しい学校に通う、立派な小学生だ。
だから、今までみたいな、ベタベタした甘え方は許しません!」
実際、妹の僕への甘えっぷり――依存度は、かなり大きく、かなり重い。
僕と一緒にいる時は、常に僕にくっついている。ここ最近は特にそうだ。
お手伝いとか、買い物とか、用事がある時でも、可能な限りは近くにいる。
そして僕の友達(特に女の子)が来ると、威嚇さえする。
今まで妹が懐いていたのは、僕を除けば、父さんのお
姉さんくらいだ。
「さくらはもう、だいたいのことは1人でできるだろう?
僕がどうしても手伝わないといけないこともあるけど、それ以外は大丈夫だろう?
だったら、さくらが1人でがんばれるってトコロ、見せておくれよ?
どうしてもできないことがある時だけ、手伝ってあげるから、ね?」
さあ、これで妹がどう出てくるか。もう少しきつく言えばよかったか……。
ところが妹は意外にもあっさり、さっきまで抱きついていた僕の身体から離れた。
そして、5歩ほど下がった位置で、「きをつけ」の姿勢になって言った。
「わかった。おにーたんのいうこと、あたいちゃんときく。
だから、おにーたん……。あたいのこと、キライにならないでね?」
よかった。妹はちゃんとわかってくれた。
さすがに僕には、アレ以上説得の手立てはなかったから、内心ヒヤヒヤだった。
でも、妹がちゃんと聞いてくれたおかげで、長期戦にはならなくてすんだ。
「でも……でもね? きょうの――あしたのあさまでは、おにーたんにあまえさせて。
これでさいごにするから、やくそくするから――おねがいします、おにーたん」
「わかったよ。じゃあ最後にいっぱい甘えておいでよ。
そのかわり、明日の朝目が覚めたら、1人でご飯を食べて、学校に行くんだよ?
朝ご飯はいつもどおりに、僕がちゃんと用意するけど、そこからは全部1人でやるんだ」
「うん、わかった……」
つい約束しちゃった僕。まあいいか、なんだかんだで僕も寂しい気がするし。
親離れする子を見守る気持ち――ホントはたった6才差だけど――ってこんなものかな?
「うんうん、さくらの聞き分けが良くて、僕は嬉しいよ。
よし、今お風呂を沸かしてるから、洗い物が終わったら一緒に入ろうか?」
「うん! あたい、おにーたんのせなかながしたげる~!」
ふふ、かわいいヤツめ。
なんて、僕のほうが妹離れできてない気がしてきたなぁ。
208 サクラサク、さくらちる (06/12) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/04/08(水) 04:21:22 ID:LPxhJHHY
入浴後。入浴シーンは割愛。
だって、小学生女子の裸体描写とか、中学生男子の裸体描写なんて、いらないよね?
ただひとつ言っておくと――最後だからと、妹がとにかくひっついてきた。
べ、別に裸の妹に抱きつかれたからって、興奮なんて(ry
なんて何かに言い訳していると、パジャマ姿の妹がやってきた。
最後だからか、なにやらぬいぐるみと、ノートみたいな薄い本を持参している。
「じゃあおにーたん、おふとんにはいりましょ~♪」
「はいはい。髪の毛はちゃんと乾かしてるな? 戸締りもしたね?
よし、じゃあ今夜は、僕の部屋のベッドに行こうか」
時計は夜の9時を指している。ウチでは早寝早起きを心がけているのだ。
おかげで、僕も妹もやたら健康体だ。みんなに話したら、驚かれるけれど。
「えへへ~、おにーたんのからだ、あったか~い♪」
「まったく、最後の最後まで、さくらは甘えんぼうだよなあ」
「いいでしょ~、さいごなんだからね~♪」
「はいはい。じゃあその本を貸してごらん。僕が読んであげる――」
僕としては、妹が頼んでくる前に、先に読んであげるくらいのつもりだった。
でも、なぜか急に妹の表情がくもり、同時に雰囲気が変わったような気がした。
「ううん、いいの。それより、おにーたんにききたいことがあるの」
「え……あ、うん。聞きたいことって何? 知っていることなら、答えるけど」
「ねえ、おにーたん。ちゅ~とかしていい?」
上目づかいで可愛らしく尋ねてくる妹。ダメだ、断らないと。
「ダメだよ。ちゅ~はもう禁止する。約束したじゃないか。
そういうのは、さくらに好きな男の子ができたら、してあげれば」
「あたいは、おにーたんがすきだけど、ダメなの?」
「ダメだよ。キスってのは好き合っている、兄妹以外の男の子と女の子が――」
瞬間、布団の中だというのに、温度が下がったような感覚――悪寒。
そしてそれは、目の前にいる6才の妹から、発せられている。
「そっか~、そうなんだ~。おにーたん、あたいをすてるんだね。
それで、あたいいがいのメスブタに、ちゅ~がしたいんだね……」
妹の口から、聞きなれない言葉が聞こえ、少々混乱する僕。
その瞬間を、妹は逃さなかった。僕にいっそう抱きつき、そして――
「ちゅ~~~~~!!」
妹のキス。それもいつもの触れるキスではなく、舌をもぐりこませる、深めのキス。
小学5年生の頃、友人に見せてもらったエロ雑誌に載っていたような、大人のキス。
僕と妹の口内で響く、唾液の混ざる音、舌の這い回る音。
そして、それとは別に、僕の胸元で、なにか金属のかみ合う音が聞こえた。
「っぷはぁ! さ、さくらおまえ――アレ? 手が動かない?」
驚いて両腕の手首を見る僕。目に入ったのは――鋼鉄製の、手錠?
それに気づくと同時に、足元で金属のかみ合う音。今度は2つ。
左足首と右足首にそれぞれ、ベッドの足へ鎖でつながれた足枷があった。
そして次の瞬間、今度は両腕の手錠を頭側の壁に、鎖でつながれてしまった。
「えへへ。これでもう、おにーたんはうごけません。
だから、これからするあたいのはなし、ぜんぶきいて」
蛇に睨まれた蛙、ということわざの意味を、身をもって体感した――気がした。
209 サクラサク、さくらちる (07/12) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/04/08(水) 04:23:18 ID:LPxhJHHY
まるで漢字の「人」のような体勢で、両手足を固定された僕。
そして動けない僕の目の前で、パジャマや下着を脱ぎだす妹。
さっき入浴中に見た、成熟していない年相応の肢体があらわになる。
「おにーたん。いつもあたい、おにーたんにいってたよね?
あたいはおにーたんのこと、だいすきって。けっこんしたいって。
あれ、ウソだとおもってた? もしかして」
妹からの質問。でも妹じゃないような会話。
いつもの妹のような、波形線で伸ばすような、あの独特の伸びが一切ない。
ただ淡々と、僕の内心を読み取ろうとするような、そんな態度を感じる。
「こたえないってことは、ウソだっておもってたんだね。
ヒドイよね、あたいはホンキだったのにさ」
「本気って、悪い冗談だろ? さくら、自分が何を言って――」
ようやく口を開いて反論できた。けれど、今の妹には逆効果だったようだ。
「おにーたん、それおせっきょう? だったら、きいてあげないよ。
さきにいっとくけど、さっきのさいごってやくそく、あたいまもらないからね」
「な、何でだ? さくら、おまえはそういう約束を破るような」
「おにーたん、そうやってまた、あたいをただのいもーとあつかいする。
おにーたんにとっては、あたいはただのいもーとかもしれないけど――
あたいにとっておにーたんは、いちばんさいあいの、おとこのこなんだよ」
まずい。妹と長く過ごしてきた僕だからわかる。妹の言葉に迷いはない。
だから、妹が僕のことを兄として以上に、男として好きなのは、本当だ。
「で、でもなさくら」
「あにだから? いもーとだから? ききあきたよそんなの。
あたいはさいしょっから、がまんもあきらめもしないよ。あたりまえじゃない」
「でも」
「わかってる。おにーたんも、あたいのいうことだけじゃ、なっとくしないんでしょ?
だから、これからなっとくできるように、あたいががんばってあげるね。
えへへ……コレはなんでしょうか、おにーたん?」
そう言って、妹がぬいぐるみから取り出したのは、ウチにある布用の裁断バサミ。
それを小さな両手で器用に扱いながら、妹は僕のパジャマを切り裂いていく。
僕にはそれを止める術がない。両腕と左足と右足が、それぞれ別々につながれている。
事前に準備していたとしか思えないほどに、とても手際よくベッドにつながれている。
結局、何も抵抗できないまま、僕は全裸にされた。
210 サクラサク、さくらちる (08/12) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/04/08(水) 04:25:03 ID:LPxhJHHY
「えへへ。おにーたんのハダカ、すっごくおいしそうだね。
おふろのなかでみるより、おふとんのなかでみたほうが、なんかいやらしいよね……」
恍惚(?)の表情を浮かべた妹。そのまま僕の身体にすがりついて来る。
そしてなんの迷いもなく、僕の乳首に舌を這わせてきた。
「うはぁっ!? や、やめてくれ、さくら! ちょっまてっ……うあっ!
ダメだ! こんなこと兄妹で――うぅっ! やっちゃいけな……あぁ!」
なんとか妹を止めたい、けど止められない。
「くすくす。よくいうよね、おにーたん。からだはしょうじきだよ。
だってほら、おにーたんのおちんちん、すごくおっきくなってるもん」
妹の指摘に、僕は顔を赤くする。妹の言うとおりだったからだ。
僕はよりにもよって、妹の舌で胸を舐められただけで、勃起してしまったのだ。
「ちが……これは、最近1回も、そういうエッチな息抜きをしてなかったから――」
まだ小学生になりたての妹に対して、動転してとんでもない言い訳をしてしまう。
「わかってるよ、ヌいてないんでしょ? このところさんしゅうかんくらい。
とうぜんだよね。あたいがずっとずっとはりついて、そんなヒマあげなかったもん」
妹の言葉に唖然とする。あのじゃれつきっぷりは、今日のための布石だった?
ここで僕に勃起させるために、ずっと僕のオナニーを邪魔してたってことか?
「なんでそんな――まさか……さくらっ!?
だ、ダメだ。それだけはダメなんださくら! 僕とおまえは兄妹で――」
「それはもうききあきたんだよ、おにーたん。
あたいはきょうのために、なんにちも、なんかげつもまって、じゅんびしたの。
いまさら、ひいてなんかあげないよ。わかってくれないのかな?」
妹の――さくらの、覚悟。ゆるぎない、信念。
絶対に止めないと。このままじゃ、僕も妹も、他のみんなに――
「そ、そうだ! こんなこと、父さんと母さんが知ったら、僕らは離されるぞ!
そうでなくても、父さんのお姉さん――ちえりさんが知ったりしたらどうs」
「――っ、ふふふ、あははははははははははははははははははは!」
僕の最後の抵抗に、妹は狂ったように笑った。
なんで? なんで大人の介入を恐れないんだ? なんで?
「おにーたん。パパはこのことをしっても、なにもいってこないよ。
ママもこのことをしっても――ううん、しることもできないよ。
ちえりおば――おねーさんは、よろこんでくれるだけだからね」
なんだ、その返答は。なんで、母さんだけ、もういないみたいな言い方をする?
なんで、父さん達はもう知っているような言い方を? なんで……どうして!?
「えへへ、あきらめたね。じゃあ、おにーたんをいただきます」
211 サクラサク、さくらちる (09/12) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/04/08(水) 04:27:10 ID:LPxhJHHY
何も言葉を返さない僕を降参したとみたのか、僕のペニスに口付ける妹。
同年代の男子よりも、ほんの少し大きい僕のペニスを観察し、凄惨な笑みを浮かべる妹。
その絵は、なんだかとても淫靡で、それだけで射精をしてしまいそうで――
「やめるんだ! さくら、それ以上は――」
「それいじょうは、なに? いっとくけど、もうおそいよ。
おにーたんのおちんちんをおくちにいれるのは、いちねんまえからやってたもん」
絶望的な告白。僕はずっと前から、妹に夜這いされていた?
いや、同じ布団のなかで、性的なイタズラをされていたのか?
「でもね、きょうはおくちのなかでださせてあげないもんね。
きょうは、あたしのしたのおくち――おまんこで、ださせてあげる」
数瞬の思考停止。その直後の思考再開。
「な……だめだだめだだめだっ! そんなことやっちゃあだめだ!
さくらっ! 兄妹同士のエッチは――セックスは、近親相姦になるから!?」
僕の必死の抵抗。妹は耳を貸さない。ただ無言で僕の腰に跨り――
「――っ!? っくぅ、ああああああああああああぁぁっ!?」
そのまま腰を落として、僕とつながってみせた。
ものすごく痛がる妹。当然だ、処女だったうえに、身体が成熟してないんだ!
「っく……うぅ………うぁ、あぁあ…………あは♪ あはは♪ あはぁ♪」
だというのに、たった数秒で、痛みを感じさせずに、ゆるく上下に動きだす妹。
「な……、さくら、オマエ……痛く、ないのかっ!?」
「えへへ♪ いたかった……けど、おにーたんとつながってるんだよ?
そうかんがえたら、いたいより、うれしくて――きもちいぃんだもん♪」
その言葉に僕は驚愕する。快感が、痛みを超越している?
漫画なんかの作り話だと思っていたのに、妹はいまその状態だと?
「えへ♪ イイ♪ おまんこきもちいぃ♪ いた、きもちいぃ!?」
「――しまった! 止まれ、さくら! だめだ、早くそれを抜くんだ!」
思い出したかのように、必死で懇願する僕。当然妹はそれを聞かない。
そんなことよりも、気持ちよすぎる。どんどん気持ちよくなる。
まずい、もう我慢できない。このままだと、妹のナカに――
「ねえ、おにーたん。あぅ♪ あたいまだ、おせきはんたいてないよね?
だから、いまならナカに、ひゅ♪ ぴゅるぴゅるって、だしていいんだよ?」
「そういう問題じゃあ――っ、だめだっ! もう我慢が――」
両足がそれぞれ反対方向に固定されているため、踏ん張ることさえできない。
僕のペニスが、妹の小さい身体で締め上げられて、ついに我慢できず――
「うあ、ああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!?」
「きたぁ、ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあああん!?」
妹のナカで、射精。初めての、快感。頭が、まっしろに――
「えへへ……、おにーたんみて? せーえきとけつえきが、まじってきれい。
ゆびでまぜたら、さくらのいろみたいな、きれいなももいろにならないかなぁ?」
なることさえ許されない。幼い子供のように言われ、現実に引き戻される。
「あたい、ホントにおにーたんと、つながれたんだね。うれしいなあ……」
指ですくった血交じりの精液を差し出され、妹とつながった証拠を見せつけられた。
212 サクラサク、さくらちる (10/12) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/04/08(水) 04:29:03 ID:LPxhJHHY
翌朝。とてつもなく全身が、そして頭の中が重たかった。
結局、あのあと僕は妹のナカで、5回は射精させられてしまった。
はっきりいって、気持ちよかった。だからこそ、僕はいま落ち込んでいる。
妹を守ることもできず、それどころか罠にかかって、傷をつけてしまった。
オマケに僕の身体が、まだまだ妹とつながりたいと、うずくようになった。
父さん母さん、本当にごめんなさい。僕は最低の兄になりました。
朝になって目を覚ますと、妹はすでに1人で小学校に行っていた。
朝ご飯は買い置きのコーンシリアル。昼ご飯は給食らしいから問題ない。
「この後に及んで、まだ僕は妹の世話を焼いているつもりなのか……?
あははは、笑える――笑えないや。あははははははは……」
そんな最低の気分のまま、中学校の入学式に出席した。
とても顔色が悪かったらしく、新しい先生や友人たちにとても心配された。
ごめん。みんなが心配してくれる僕は、妹とつながった、最低の人間なんだ。
その日はずっと、自虐し続けることで、必死に気をもたせていた。
妹を顔をあわせたくなくて、なるべく遅くまで、学校や商店街を徘徊した。
それでも、晩ご飯は作らないといけないから、夕方ごろには機械的に帰宅した。
妹は――帰ってきているはずだけど、今日は玄関まで迎えに来ない。
そのほうがよかった。いま妹に会うと、何か酷いことを言ってしまいそうだから。
「……はあ、晩ご飯の準備でもして気分を――なんだコレ?」
リビングの机の上に、無造作に置かれていた昨日の本――いや、ノート。
僕が父さんのお姉さんからもらった『育成ノート』とは別の色で、同じ形式のノート。
疑問に思いながらそれを開き――僕はその内容に、震えるしかなかった。
そこには、男女の身体の仕組みやら性技やら、そういうのがびっしりと書いてあった。
しかもコレは、僕の字でも妹の字でもない――父さんのお姉さんの字だ……!
「なんで………なんでこんなモノがあるんだよ………!」
つい手を滑らせてノートを手から落とす。それと同時に何かが出てきた。
挫けそうな気力を振り絞って、それを拾う。どうやら手紙入りの封筒のようだ。
表側には『桜華くんへ』と書いてある。裏側には『ちえりより』の文字。
「これは――僕あての手紙なのか? 文字は――ちえりさんの字だよな?」
不審に思いつつ、封筒を開けて、中の手紙を読む。
読むべきじゃあなかった、ということに1秒で気づいたが、どうしようもなかった。
213 サクラサク、さくらちる (11/12) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/04/08(水) 04:30:31 ID:LPxhJHHY
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
親愛なる、桜華くんへ
この手紙を読んでいる頃、貴方のお父さんと私は、貴方の前にはいないでしょう。
なぜなら、私が貴方のお父さんと一緒に、遠くの村に隠れ住んでいるからです。
ほんとうにゴメンね。貴方の家族を奪ってしまって。
でもかわりに、妹さん――さくらちゃんは、貴方のところに残しておきます。
あの娘はまだ元気かしら? 多分いまも、貴方にべったりしているでしょう。
あの娘の気持ちは、3週間前に本人から聞かされました。貴方がいない時にです。
うふふ、昔の私を思い出しました。私もあの娘と同い年のころ――失礼、話を戻すね。
そんなこんなで、私ももう、いっさい我慢しないことにしました。
けどその前に、あの娘にはちゃんと、性や愛に関する知識を叩き込んでおきました。
ちょうど貴方に、子供のお世話や家事を教えてあげたのと、同じようにね。
だから、これからも今まで通り、2人で仲良く暮らしてください。
いえ、これまで以上に仲良く、夫婦のように睦まじく暮らしてください。
大丈夫。ちゃんと生活費や学費は、2人が高校を出るまで振り込んでおきます。
あと、どうしても大人の手続きが必要なときは、こっそり私がやっておきます。
それでは、何年後かはわからないけれど、また手紙で連絡します。
貴方とさくらちゃんが、いつまでも幸せでありますように。
ちえり
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
全て読みきって、僕はこの文面に恐怖した。
なんてことだ。父さんは、自分のお姉さんに、無理矢理……?
それよりも、母さんに関する内容が、何ひとつ書かれていない!?
なんで? どうして母さんはもういない、みたいな空気に……!?
「おにーたん、おかえり。ちゃんとそのてがみ、よんだみたいだね?
それはおととしのさんがつに、ポストにとどいてたの。
ちえりおねーさんも、どこかでしあわせになったんだってね」
いつの間にか近づいていた妹に、背後から抱きしめられた。
まだ小さいから、僕の腰あたりに、腕を回す形だけれど。
「さくら――なんで、この手紙のことを黙ってたんだ?」
「きまってるでしょ? おにーたんがそのことをしったら、おしまいだもん。
だから、あたいがおにーたんとつながるまで、ずっとかくしてたんだよ」
負けてはいけない。飲まれてはいけない。
「さくら、それじゃあこのノートはどうしたんだ。まさか、ちえりさんが――」
「そうだよ。あたいのために、ちえりおねーさんがのこしてくれたの。
おねーさんが、あたいがおっきくなるまでの、じゅんびのためにつくったの」
明らかにおかしい妹。昨日までの幼稚だった妹は、ここにはいない。
舌っ足らずなのは変わらないのに、幼稚さが少しも感じられない。
「おにーたん、あたいはもう、いもーととしてはあまえません。
かわりに、きょうからは、こいびととしてあまえてあげる。
もうエッチもしちゃったから、もんくはいえないよね?」
214 サクラサク、さくらちる (12/12) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/04/08(水) 04:32:12 ID:LPxhJHHY
妹からの死刑宣告。絶望の一言。
だめだ、まだ戻れるかもしれない。だから――
「なあ、さくら。昨日のことは忘れよう。僕も忘れるから。
そうしたら、僕たちはまた、仲のいい兄妹に戻れるんだ。
周りの人たちにも、異物を見る目で見られないから、それなら」
「あはは。あきらめがわるいよね、おにーたん。
さいごまであきらめない、ってのがおにーたんのすきなことばだもんね」
笑いながら、妹が言う。もしかしたら、これでなんとか――
「でも、ここではあきらめてほしいから、とどめをささないとね。
ほら、おにーたん。コレをみてくれたら、すぐにわかるよ」
そう言って妹が渡してきたのは、父さんのデジタルビデオカメラ。
妹がそれを僕に渡すと同時に、再生ボタンらしき部分を押した。
そしてカメラの画面に流れた映像は――昨日繰り広げられた痴態だった。
「おにーたん。あたいだって、カメラのつかいかたくらい、しってるよ?
それとね、このえいぞうはいま、いんたーねっとにあっぷろーどだけしてあるの。
ゆうめいなどうがさいとだよ。じゅうしょもなまえも、ぜんぶかいてるよ。
だからコレをこわしてもいみがないし、そんなことしたらもうがまんしない。
あっぷろーどしたどうがふぁいるを、みんなにみられるようにするよ?」
妹はただの6才児だ。こんな知識や知恵を持っていないはずだ。なのに――
「やりかたはみんなしってる。ちえりおねーさんのノートにかいてあったから。
ねえ、おにーたんはあたいのこと、だれからでもまもってくれるんだよね?」
脅されている。僕は今、妹に脅迫されている。
逃げ出すことも許されず、拒絶することも許されない。
そんなことをしたら、僕と妹の両方が破滅するという、狂気の取引。
このまま妹と、恋人のような関係を続け、カラダの関係を持たされ続ける?
怯えると同時にそれを歓ぶ僕。そこに妹が囁きかけてくる。
「おにーたんはね、ぜんぜんまよわなくていいんだよ?
あたいとおにーたんのじゃまをするやつらは、あたいがはらいのけるから。
だから、おにーたん――おーかくん、あたいを……あいしてください……」
妹の告白。いつもの「おにーたん」ではなく、僕の名前を呼んできた。
「はは、ホンキなんだな、さくら。もう僕も耐えられそうにないよ……」
僕は妹の誘惑に抗えずに膝をついて、とうとう彼女の唇を受け入れた。
この瞬間を境に、僕は彼女のモノになった。彼女は僕のモノになった。
――さくらのももいろは恋の色。この恋色の花が、永遠に散ることがありませんように……
― A cherry tree flowering ―
最終更新:2009年04月13日 21:22