729 名無しさん@ピンキー sage New! 2009/10/04(日) 03:19:34 ID:/CxZofgV
俺の名前は鷹司薫。現在都内の私立高校に通う18歳だ。
大学受験を控えた俺は毎日受験勉強におわれている。
「うーん……解説読んでも意味がわからない…」
理数系が苦手な俺は数学の問題に苦戦していた。一応弁明しとくが苦手といっても人並みよりはできる。
だが「名門鷹司家」に拘る親戚一同から名門大学に行くことが義務づけられている俺は、要求されるレベルが高すぎるのだ。
「駄目だ。また後にしよう。」
一息つこうとした時自室のドアが開かれた。
「紅茶とケーキを持ってきたわ。少し休憩したら?」
「あ、ありがと…」
彼女は鷹司裕香。俺の4歳年上の
姉さんで、現在都内の某名門大学4年。大学院進学が決まっており、将来は学者になる事間違いなしと言われる秀才だ。
おまけに容姿端麗、家事万能、気配りが出来て友人からの信頼も厚いとまさに完璧な姉なのだが…
「お勉強の方はどう?分からないところがあるならお姉ちゃんが教えてあげようか?」
そういって姉さんは俺の手元を覗き込む。
「やっぱり薫くんは数学が弱いみたいね。この問題はね…」
「いや、後でまた自分で考えてみるからいいよ、姉さん。」
姉さんは俺に勉強を教えようとする時に俺の手に自分の手を重ねてペンを走らせる。おまけに体も密着させようとする。俺は姉さんを妙に意識してしまうから勉強は自分でやる事にしているのだ。
「遠慮しなくていいのよ。お姉ちゃん、薫くんのためならなんでもしてあげるからね。」
「う、うん、ありがと。でも大丈夫だよ。」
「そう…。じゃあお強頑張ってね。…お姉ちゃん薫くんの事待ってるからね。」
俺の志望校は姉さんの大学であり、そこは大学院も同じキャンパス内にある。だから姉さんは来春から一緒に通うのを楽しみにしているのだ。それがプレッシャーにもなっているんだけど。
共学高校に通う俺と違い、姉さんは中学から中高一貫の女子校に通ったため、俺と一緒に学校に通うのを楽しみにしてくれているが、男との付き合いは少々苦手のようで、22歳になった今でも弟の俺にべったりな感がある。
しかし最近は、ただ弟に甘いだけではない気がする。時折俺の事をじっとまとわりつくような目で見ている気がするのだ。俺は気づかないふりをしているが、何だか少し恐怖を感じる事もある。
「まぁ、気のせいだよね。」
そう自分に言い聞かせ、俺は姉さんのいれてくれた紅茶に口をつけた。
最終更新:2009年10月05日 21:04