199 いらないものは片づけましょう (1/4) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/12/31(木) 23:47:29 ID:8/ycE41O
「それにしてもお兄ちゃん、よくここまで散らかしたよね~?」
「しょうがないだろ? 1人暮らしだと色々手が回らないんだからさ?」
いつの間にか、今日は大晦日。
だというのに、俺の部屋はいまだに散らかっている。
理由は2つ。1つは最近バイトが忙しくて、片づけられなかったこと。
そしてもう1つは、突然ウチにやってきた、妹の晦(かい)のせいだ。
「ねーお兄ちゃ~ん? この本はどこに片づけるの~?」
「あ~それはあっちの本棚に入れといてくれ」
「んもぅ……。お兄ちゃんはいろんなもの貯めこみ過ぎだよ~?」
「貧乏性……もとい物持ちがいい、と言ってくれ」
妹が突然ウチにやってきたのは、昨日の夜のことだった。
俺がバイトから帰ると、お約束のように玄関先で待っていたのだ。
事前に連絡くらい寄こせ、と少し叱ったら、ちょっぴりションボリした。
かと思えば、いきなり俺の腕に抱きついてきたり。よく読めないやつだ。
まあしょうがないので、親に連絡して、年明け3日までウチで預かることにした。
なんだかんだで俺も、1人自宅で年越しするのは寂しかったことだし。
「……それにしてもさ、何も31日のギリギリから、急に掃除せんでも――」
「何言ってんのよお兄ちゃん。今年の汚れは今年のうちに、ってよく言うでしょ?
大体お兄ちゃんは、昔っからずぼらで、片づけとかできないんだから――」
「ああ、俺が悪かったですよ。いいから大掃除、最後まで頑張ろうぜ?」
「ふふん♪ 解ればよろしい♪」
4歳年下のくせに、こういうところでちょっと『おねえさん』ぶる妹。
そんな妹に苦笑しながらも、しぶしぶ付き合ってやる兄貴――というか俺。
そのへんの兄妹に比べて、だいぶ仲が良すぎることは自覚している。
「あ、お兄ちゃん今、しょうがないなぁ的なこと、考えてたでしょ!?」
「あ~いやいや。晦は将来、いいお嫁さんになるなぁ~って、思ってたんだよ」
「――えぁ、ぅえ、およ、お嫁さんだなんて……♪ えへへ~♪」
「あ~こらこら壊れるな~? なんかこっちも恥ずかしくなるぞ~」
顔を真っ赤にしてクネクネする妹。そんな妹の頭を撫でてやる俺。
今でこそこんなに元気になったけど、去年はいろいろ大変だった。
俺が大学進学のために家を出る、と言った時には、そりゃあもう落ち込んだ。
急に暴れたと思ったら、今度は部屋に数日引き篭もったり、尋常じゃなかった。
そんな壊れぶりに、ちょっと引いてしまったのは、妹には秘密だ。
いつでも遊びに来ていいからと説得することで、なんとかその問題は片付いたけど。
「……よぅし、お兄ちゃんエネルギー充電完りょ~♪
さあそれじゃあ、残りの掃除を頑張ろ~ぜお兄ちゃ~ん!!」
「へいへい了解。急に元気になったり、大変だなオマエは……」
まあ、見てて飽きないから、別にいいんだけど。
200 いらないものは片づけましょう (2/4) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/12/31(木) 23:48:12 ID:8/ycE41O
「そういや晦、オマエもそろそろ、彼氏でもできたんじゃないのか?」
「いやだな~お兄ちゃん。私の彼氏は、お兄ちゃんだけだよ~♪」
「……あ~ハイハイ、そういう冗談言うくらいなら、いないんだな~」
「えへへ~♪ ――――――ホンキナンダケドナァ」
「ん、何か言ったか?」
「ううん、別に~。そういうお兄ちゃんは彼女いるの~?」
「いやいない。気になる女性(ひと)なら、バイト先にいるけどな」
「へぇ~そうなんだ……」
そんな感じで、軽口を交わしあいながら、てきぱきと掃除を済ませていく。
さすがに2人がかりでやっているだけあって、もう殆ど掃除は終わってしまった。
あとは普段洗濯していない服とかシーツを洗ってしまえば、今日の作業は終わりだ。
今日は本当に助かった。終わったら、妹をどこか外食に連れて行ってやろうか――
――ネェ~ナゼ~カワァッテシマ~ァッタノ~♪
「っと悪いな晦……ってバイト先か……はいもしもし…………」
『あ~すまない大海(おおみ)くん、今日これからバイトに出られないかい?』
「え? でも今日のシフトは確か、曽我(そが)さんのはずじゃあ……」
『そうなんだけど、何故か彼女と連絡つかなくてね。申し訳ないが……』
「わかりました。フルは無理ですけど、数時間くらいなら行きます」
『本当にすまない。代わりの人間が用意できるまで、3時間ほど頼むよ』
「はい、それじゃあこれから、そっちに向かいますね――」
通話を切って、携帯を床に置いてから、晦のほうを振り向く。
案の定、晦はなんだか残念そうな、ションボリした表情を見せている。
「ああ、ごめんな晦。これから俺、バイト先のヘルプに入ることになった。
せっかくこれから、ゆっくりできると思ったんだけど――」
「あ、ううん。大丈夫だよ気にしなくて。
それに、今日中にはなんとか、帰って来られるんでしょ?」
「ああ。だから俺が帰ったら、埋め合わせにどっか出かけようか?」
「うんわかった。代わりに残りの洗濯もの、私がやっとくね」
「頼んだよ。よし、それじゃあ行ってきます!」
「気をつけてね~行ってらっしゃい~お兄ちゃ~ん♪」
とりあえず簡単に着替えて、部屋を飛び出す。
もともとバイト先は飲食店だから、年末でも忙しい。
今日は運よく休みだったけど、シフトの問題なら仕方がない。
掃除を手伝ってくれた妹を放ったらかしにするのは、胸が傷むけど。
「よし、仕事が終わって帰ったら、今日1日は晦に付き合ってやるか。
もともと今日は別に、予定とかもないしなぁ……」
財布の中身も充分潤っているし、なにかあいつに
プレゼントをあげよう。
なんだかんだで最近、あいつに構ってあげられてないしな。
そうと決めたら、まずは目の前にある仕事を、一生懸命勤め上げるとしますか。
201 いらないものは片づけましょう (3/4) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/12/31(木) 23:48:50 ID:8/ycE41O
― ※ ― ※ ― ※ ― ※ ― ※ ― ※ ―
「――――よし、お兄ちゃんはもう行っちゃったね♪」
お兄ちゃんが居なくなった部屋で、私は1人ほくそ笑む。
「さあ、それじゃあ私も、もっと掃除を頑張らないと、ね♪」
と言っても、お兄ちゃんの部屋の掃除は、もう粗方終わっている。
これから私が掃除をするのは、お兄ちゃんにしがらみつく、想い出(じゅばく)の品だ。
まずはお兄ちゃんの本棚から、アルバムらしい冊子を取り出す。
それはお兄ちゃんが実家に居たころには持ってなかった、真新しいアルバムだった。
「あ~あったあった……、憎たらしい泥棒猫の、汚らしい依代――がっ!」
私は数枚の写真を取り出して、特定の人物の顔の部分を引き裂いた。
お兄ちゃんに抱きついて、心から嬉しそうな笑顔をみせている、馬鹿丸出しの女。
確かお兄ちゃんの『彼女』を名乗っていた――身の程知らずの牝だったはずだ。
「ふふん、お兄ちゃんの横に並ぼうなんてするから、いられなくなるんだよ……」
まあこの女はもうどうでもいい。お兄ちゃんに別れを告げさせた後、消えてもらったし。
あとそれから、掃除の際に触らなかった、押入れの奥とかを探る。
お兄ちゃんは大学に入ったあと、何人かの牝に纏わりつかれていた。
私がこっそりと調べた、お兄ちゃんに接触した泥棒猫どもの情報は完璧だ。
もちろん全員、私が手を下して、もうこの街には居なくなっているはずだ。
今回のバイトのヘルプだって、実は私が裏で手を回したせいだし、ね?
「あ~あったあった……。まさか段ボール箱に、全部入れてるなんて……」
これらは多分、お兄ちゃんに想いを寄せてた、馬鹿な牝どもからの手紙(わな)だ。
お兄ちゃんは几帳面――ではなくずぼらだから、捨てるのを忘れてたんだ。
「だったら私が、代わりに捨てといてあげるね……それがいいよねぇっ!!?」
全部破きながら壊しながら、ゴミ袋に叩きこんでいく。
お兄ちゃんを惑わすモノは、穢すモノは――ゼンブキエチャエバイインダ!!
202 いらないものは片づけましょう (4/4) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/12/31(木) 23:50:09 ID:8/ycE41O
お兄ちゃんはとても優しい。格好良くて、頭も良くて、なんでもできる最高の男性だ。
言うまでもなく、そんなお兄ちゃんのことを、私は愛してしまっている。
当然だ。あんな男の人が、生まれた時から近くにいて、惚れないほうがおかしい。
世間のゴミクズ達は、私がお兄ちゃんを好きなことを糾弾するけど、知るもんか。
残っていた――私とお兄ちゃんとの間に――要らないモノの処分を完全に終えて。
私はお兄ちゃんの洗濯前の下着を両手に、お兄ちゃんの布団の上に寝そべっていた。
そういえば洗濯ものを頼まれていたけど、もうちょっとくらいなら大丈夫。
今日は比較的天気もいいし、1時間後に洗濯して干しても、充分乾きそうだ。
なので少しくらい、お兄ちゃんを思って自慰に耽っても、問題はなさそうだ。
お兄ちゃんの下着を左手で顔に添えながら、右手は秘部で暴れさせる。
強く息を吸うごとに、お兄ちゃんの匂いが、私の中に流れ込んでくる。
同時に指先で強く陰茎と膣内を擦り、お兄ちゃんに○○される妄想に耽る。
「解ってるんだよ、お兄ちゃん。本当は怖かったんだよね?
私がお兄ちゃんに甘えっ放しだから、独り立ちさせたかったんだよね?
お兄ちゃん自身も私に手を出さないように、自分から離れたんだよね?」
そんな心配は必要ないのに。するだけ無駄だったのに。
だって私はもう、お兄ちゃん以外は全部要らない覚悟を決めているもの。
お兄ちゃんに○○されることだって、ずっとずっと待ち望んでいるもの!!
脳を犯すようなお兄ちゃんの匂いと、記憶上の姿を頼りに、私は指の動きを速める。
それだけで、全部があいまいにふやけて、ぐちゃぐちゃになって、おかしく――
「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん……!! 愛してる愛してるぅ……!!
だから……っ、春から一緒に、この部屋で暮らしましょう……!!」
実はもうすでに、この部屋から近い場所にある高校に、推薦で合格している。
そこには寮とかがないので、父さん達を説得するのに、とても苦労したけど。
まあもちろん、お兄ちゃんと一緒に暮らす方向に、話を持っていったけれど。
あとはお兄ちゃんに、この部屋で一緒に暮らすために、許可をもらうだけだ。
「うん、大丈夫だよ。お兄ちゃんは私に優しいから。絶対に我儘を聞いてくれるもん♪」
もし断られても、その時はちょっと悪いなと思いながら、お兄ちゃんを脅してあげるだけだ。
具体的には、お兄ちゃんを○○して、○○されて、その証拠を突き付けるだけだ。
形はどうあれ、お兄ちゃんに認められた瞬間を夢見て、快楽の波を感じとる。
「お兄ちゃんお兄ちゃん……!! 幸せに……なろうねぇぇ!!?」
――数カ月後のお兄ちゃんとの甘い同棲生活を夢見ながら、私は絶頂に達した。
― The cleaning end. ―
最終更新:2010年01月07日 20:33