284 名無しさん@ピンキー sage 2010/02/10(水) 02:52:01 ID:qa1yn+0V
私が兄貴への思いを告げられずに、鬱屈した日々を送り続けて何年がたっただろうか。
窓の外を見れば、マンションの真下から藻岩山のてっぺんまで、この北の街は一面の雪景色に染まっている。
もうすぐ冬の街で始まるであろう恋人たちの季節。朝のニュース番組が盛んに喧伝するそれに私は一抹の嫉妬と侮蔑を込める。
「何がクリスマスイブのデートスポット情報だっつの、お台場ごと吹っ飛べ。畜生」
兄貴はカリカリになるまで焼いたベーコンを口に含みながら毒を吐く。
「モテないからって変な嫉妬しないの」私はトーストに白桃のジャムを塗る。
父さんは何も言わずに、黙々とバターを塗ったトーストを齧っていた。
やがて父さんはトーストとベーコンエッグの朝食をすべて食べきると、椅子にかけてあったコートを羽織りはじめる。
「今日、少し遅くなる」父さんはそう言って鞄を取ると、食堂の外へと出て行った。
どうせまた、母さんのところだろう。
本人曰く「終業時刻になると仕事が残っていても強制的に終わらせられる」職場に務めている父さんが遅くなると言うときは、決まって母さんのお墓に行く時だ。
父さんはよく母さんのお墓に行く。
なのに、それでもたまに母さんがそこにいるのように振舞う。
兄貴は父さんが静かに狂ってると言っているが、私はちがうとおもっている。
父さんはきっと、今もずっと母さんのことを愛しているんだと思う。
だから、母さんを忘れたくないがために、いつまでも母さんを感じれるように振舞って、母さんを愛していると言う事実を深く刻んでいるのだろう。
まるで手首を切って生きている証を刻みつけるように、そうやって生々しく母さんを刻みつけて、絶対に母さんを忘れないようにしているんだ。
私にはうっすらとだが、父さんの考えていることはわかった。
決して叶うことの無い、切なすぎる片想い。父さんは、私なんかよりもずっと深い悲恋を抱えているのだ。
「そら、俺たちも行くべ」
兄貴は私の分の食器も軽く流しで洗うと、食器洗浄機の中に突っ込む。
そして私たちはコートを羽織って家を出ると、すっかり冬の様相を呈した、雪の街へと踏み出した。
今日は十二月二十四日。世間ではクリスマスイヴとカップルたちが大手を振って闊歩するためのような日だが、私たちにとっては終業式と言う嬉しいイベントを兼ねた日でもあった。
夜のうちに積もった新雪を踏みながら、私たちは電停にたどり着く。
「兄貴」私は裸のまんまの兄貴の手を、きゅっと強く握った。「手ぇ、寒いでしょ」
「ん、ありがと」兄貴は頬を染めながら答える。
ここ数カ月で、兄貴は完全に私のことを異性としてみてくれるようにまでなっていた。
私の裏工作の賜物なのか、それとも元から私を異性として受け止めていてくれたのかは分からないが、私にとっては嬉しい半面、なぜか、どこか寂しい感じもしたのだった。
やがて、眩しいほどに朝陽を受ける雪を舞い上げて、深緑色のの連接車が滑り込んでくる。
私は兄貴の握った手を離すこと無く、連接車へと乗り込んだ。
285 名無しさん@ピンキー sage 2010/02/10(水) 02:53:17 ID:qa1yn+0V
「冴えない顔だな、千歳」
今年最後の放課後、まだ賑やかな教室の俺の席の付近の蒸気暖房に寄りかかっていた健史が言う。
「ああ」俺はふるふると手を振った。「センター試験が近いのが憂鬱でな」
「……それでもお前は第一志望C判定だろうが」
「C判定だからこそどう転ぶか怪しいんだよ……」
健史はぐっと伸びをして、蒸気暖房から体を離すと千歳の席の前を離れていった。
「……はぁ」俺は深くため息をつく。
センター試験、受験、そしてそらの事。俺の中での問題は山積みだ。
特に深刻なのはそら。
あいつはきっと完全に俺を異性としてみているのだろう。ここ数カ月の態度が、何よりの証拠だ。
そして、俺自身もそらを女として見始めている……。
『人を裏切るのは妹とセックスするようなものだ』
少し前にテレビの洋画劇場でやっていた、コメディ映画の主人公が確かそう言っていた。
有名洋画のパクリとバカらしい演出だらけの映画の中で、俺は主人公が真剣な様子で言ったそのセリフだけが何故か印象に残っていた。
直訳すれば、妹に恋愛感情を抱くようなヤツは人間の屑だ。と言うこと。
俺は果たして屑なのだろうか。それとも人間として踏みとどまっているのだろうか。
窓の外を見ると、白に染まった校門と電車通りがあった。ああ。深緑色のボギー車が今電停についた。
俺は配られたプリントを全て鞄に突っ込むと、席を立った。
無性にどこかに行って、静かに考えたい。そんな気分だった。
昇降口と校門を抜け、電停の前の赤信号で立ち止まる。
まるでタイミングを合わせたように、道路の端の方から路面電車が雪の電停めがけてゆったりと走ってくるのが見えた。
やがて信号が青に変わり、電停へとたどり着いた俺の目の前に深緑色の丸っこいボギー車が止まった。
俺は電車に乗り込み、まるで屍肉を見つけたハイエナのごとく我先に空席へと群がる生徒を横目に、つり革へと手を伸ばした。
電車はいくつもの電停に停車を繰り返し、ふと俺が気がつけば既に終着であるすすきのの電停に停車していた。
「全線定期券でよかった」
俺は電車を降りると、当てもなく、単に小腹がすいたと言う理由でそのまま近くのマクドナルドに足を運んだ。
どこかの動画サイトでさんざっぱらネタにされ続けてるピエロのポップに出迎えられると、俺はそのままカウンターの前へと進む。
「ホットアップルパイとフィレオフィッシュ。あと水ください」
俺はそれらを抱えて二階の客席へと上がっていく。
客席は多くの席がうまっており、中には同じ制服の連中も何人か混じっていた。俺は適当な席につくと、チーズバーガーの黄色い包みを開けて、噛り付く。
少し安っぽい味が口の中に残った。
「やっぱこんなんじゃそらの作る昼飯にはかなわんか……」
もしかすれば今頃そらは家で俺の分の昼食も作ってるかもしれない。
何も言わないでふらっと出歩くなんて、悪いことをしたな。そう思いながら俺はチーズバーガーを食べ切り、そのまま次のフィレオフィッシュへと手を伸ばす。
「あれ?千歳さん?」
フィレオフィッシュを半分ほど食べたところで、俺は突然声をかけられる。
見上げると、同じようにトレイを持った眼鏡の少女、里野藍がそこにいた。
286 名無しさん@ピンキー sage 2010/02/10(水) 02:53:43 ID:qa1yn+0V
「ふぅ……」
路面電車から降ろされた俺は、電車通りから裏通りへと入ってゆき、古ぼけたマンションの玄関をくぐる。
西日のせいで仄暗い共用の
ホールを過ぎると、いつも通り重苦しい雰囲気の、密かに俺が『囚人護送用』と呼んでいるエレベーターに乗り込んだ。
階数ボタンを押して扉を閉めると、エレベーターはゆっくりとした速度で、本当に死刑台に囚人を送り出すかのように昇っていった。
「せつないよぉっ……! あにきぃっ……もっと……っ!」
私のエッチな声が昼下がりの居間にわんわんと響いている。
指は次々に私の弱点を攻め上げて、時には酷く乱暴に引っ掻き回す。
だが、そんな痛みも、私の快楽と切なさにふやけた頭が、妄想の中の兄貴が与える快感に変えてしまう。
「もっと……もっとはげしくしてぇっ……!」
私の言葉通り、私の指の動きは激しくなる。
「ああっ! いいよぉっ!!」
もう私は、まるでシチューにつけた食パンのように、オナニーの作り出した妄想にじっとりと浸っていた。
それと同時に私の頭はこの虚しくも素晴らしい世界を維持すべく、触覚と快楽神経以外の外の世界へ通じる全ての感覚器官をシャットアウトしてしまっていた。
『囚人護送用』エレベーターはすぐに我が家の階に到着した。
窓の一つも無いために、真昼でも酷く薄暗い廊下を革靴を鳴らして歩いてゆく。
そして我が家の、これも刑務所のごとき重い鉄扉を開ける。
いつもならばそらがゲームでもやっていて、その音が玄関の方にまで漏れてくるのだが、今日だけはそれは違った。
「あにきぃっ……おにいちゃん、おにいちゃぁんっ! わたし、もうだめ、もうだめだよぉぉっ!!」
ラストスパート。指はこれでもかと言うまでに私の女の子の部分を磨り上げ、指が食い込むほどに胸を鷲掴みにする。
ぐちゅ、ぶちゅとひどくえっちな音が耳元で何度も鳴り渡る。
「おにいちゃぁぁんっ! すきっ! すきぃっ! だいすきぃっ!」
そう叫んだ矢先に、私は声にならない絶叫を上げながら、自分でも驚くほどに激しく悶えながら果てた。
最終区間を走りきった駅伝ランナーのごとくはぁ。はぁ。と肩で息を切りながら、私はソファに横たわったまま天井を仰ぐ。
そこにはいつもと変わらない、ヤニのせいで薄黄色く変色した天井と、プラスチックカバーの黄ばんだ照明があるだけだった。
どさ。
廊下の方から聞こえた突然の物音に、私は勢いの付いたワンタッチ傘の如く飛び上がった。
私の視線の先にあったのは、何が起こったのかわからない。いや、何が起こっていたのかは理解できたが信じられない。と言わんばかりの、呆気に取られた顔で立ちすくむ兄貴の姿と、どうやら音の主らしい、床に落ちた兄貴の鞄。
オナニーのあとの、虚しさを伴う余韻もあってか、私の頭は混乱することも、戸惑うことも無く、ただ酷く冷めていた。
「いや、見るつもりは無かったんだが、どうも凄い声がしたんで来てみたら……」
兄貴が必死の弁解を手を振って遮ると、私ははだけ気味だったブラウスをそのまま脱ぎ捨てる。
「兄貴、全部聞いてたでしょ」
ぱさり。とブラウスの落ちる音。
そして私はそのまま無防備な兄貴に抱きついた。
「そうだよ。兄貴も絶対気づいてたと思うけど、私ね、兄貴のことが男の子として好きなの」
兄貴は嫌悪感が混じる顔をそっとそらす。対する私は兄貴の顔をじっと見つめていた。
「もちろん兄妹で好きあったりエッチしたりするのはのはいけないことだってわかってるし、私のこと
気持ち悪い妹だって思ってるかもしれない。だけど私は兄貴が、お兄ちゃんが大好きなの! お兄ちゃんがいいの! お兄ちゃん以外じゃダメなの!」
次々に私の口から吐き出される、包み隠すものも無い率直なまでの本音。
「そら……」
「お兄ちゃん! お兄ちゃん! お兄ちゃんっ!」ぎゅうっ、とお兄ちゃんの背中に私の指が食い込んでゆく。
口火を切ったように、私の中で感情がのたうち回って暴れてゆく。
もうその激流は私にも止められなかった。
「お兄ちゃん、もう私の気持ちはわかったと思うんだ。だから、ずっと思ってたこと……していいよね」
私はお兄ちゃんの耳元でささやく。
「エッチ……しよ」
287 名無しさん@ピンキー sage 2010/02/10(水) 02:54:36 ID:qa1yn+0V
そこから先はまるで全自動だった。
俺はそらの言葉のとおりにそらの体を包む制服のスカートと下着を剥ぎとる。
何年かぶりに見たそらの体は、あまり肉付きは良くない、小ぶりで、乱暴にしてしまえば壊れそうな印象を受けた。
俺はそらのつつましい胸に手を当てる。
俺の頭の中に罪悪感とか、道徳観念とか、そういうものは不思議と浮かばなかった。
このとき北見千歳と言う男の中は、先程俺に「好き」を連呼させてみせた妹を受け止めてやろうとする父性と保護欲、そして少しばかりの好奇心と性欲の混じった、よくわからない感情でいっぱいだった。
「ぁっ……」そらがかすかな嬌声を上げる。
俺はその生めかしいとは程遠い、切ない声をあげる林檎色の唇を自身のそれでふさいだ。
お互いに舌を入れたり、とかそういう技巧なんてなく、ただひたすらにちゅう、ちゅう、とお互いの口内を貪ることだけに夢中になっていた。
「はじめてのキスはレモンの味っていうけど」そらは、混ざり合ってどちらのものか分からない唾液のたれた唇を開く。「お兄ちゃんのキス、りんごの味がした」
「そりゃさっき食ったホットアップルパイの味だ、バカ」
「お兄ちゃんは私のキス、どんな味がした?」
「……ケチャップっぽい味だった」
「それ、お昼のチキンライス味だよぉ」
そらは、俺も今までに何度かしか見たことの無いような、最高の笑顔で、俺に笑ってみせた。
「キスって、癖になっちゃうかも」
そして、そらは唯一そらの体を守っていたショーツに手をかけた。
「うわ、ぐっちょり……」
脱ぎ捨てたショーツがフローリングの床に、ぺしょ。と水っぽい音を立てて落ちる。
目の前のそらは、産まれたままの格好で、はにかむように上目遣いで俺のことを見上げてきた。
「どう……私のハダカ、きれいかな」
俺は、ああ……としか答えられない俺自身に正直ムカついた。
「じゃ……するね」
そらは俺のスラックスのジッパーに手をかけると、それを一気におろして、中に手を入れる。
やがてお目当てのものを見つけて手を引き抜くと、ひんやりとしたそらの手に収まった少しばかり大きくなり始めた俺のものが顔を出す。
「これがお兄ちゃんの……」
手のひらで包み込まれながらも肥大化するそれを、しげしげと眺める。
さっきまではちょっとだけかわいいかも。と思ってたお兄ちゃんのおちんちんはむくむくと膨れ上がり、私の手に収まりきらなくなるほどまでになった。
「こんなのが私の中にはいるんだ……」
そう考えただけで、下腹部がきゅぅっ。と反応する。
ちょっとしたコンプレックスになってる、ぷっくりと膨らんだ股間の裂け目からは、お兄ちゃんが欲しい、欲しいとだらしなく涎を垂らして待ち焦がれている。
いつの間にこんなえっちな体になったんだろうか……正直すぎる体に私は自嘲する。
ちょっと調子にのって、私は猫なで声でお兄ちゃんに言った。
288 名無しさん@ピンキー sage 2010/02/10(水) 02:56:09 ID:qa1yn+0V
「お兄ちゃん、ほら。いつでも大丈夫だよ」
「大丈夫……って」戸惑うお兄ちゃん。その仕草も、全部が可愛く見えてしまう。
私はお兄ちゃんを更にからかってみる。
「お兄ちゃんは普通に私の上になってしたい?それとも私が上になった方がいい?」
お兄ちゃんは赤面しながらああ、とかうう、とかしどろもどろになっている。
「私は、私が下になった方がいいなぁ」
そう言って私はごろんとソファに寝っ転がる。
そして手を軽く握って前に出し、足を広げて、足の付根の小高い丘を見せつけるようにした。
「えっへへ、ふくじゅーのポーズ……」
犬が自分より格上の相手に服従の意を持ってみせるポーズ。
もし私に犬の尻尾があるなら、千切れるくらいにぶんぶん振ってるに違いない。
お兄ちゃんは顔を真赤にして視線をそらしたが、おちんちんだけは正直にびくん、びくんと私の痴態に痙攣する。
「……本当にいいんだよな」
「全然大丈夫だよ」
「避妊とか大丈夫なのか?」
お兄ちゃんはまだ心配そうに聞いてくる。
「今日危なくない日だもん、全然大丈夫だよ」
大体、お兄ちゃんの赤ちゃんなら妊娠したいくらいだよ。と私は心のなかで付け足す。
「じゃ……いくぞ」
その宣言とともに、お兄ちゃんは私に覆いかぶさり、おちんちんが私の入り口にあてがわれた。
ずぷずぷ、とおちんちんは吸い込まれるように私のお腹の中に吸い込まれて行く。
だが、お腹の中の引っかかる感触と共に、途中でおちんちんは動きを止めた。
「これが……処女膜ってヤツか?」
「うん……たぶん」
破っていいよ。と私はお兄ちゃんに告げる。自分で誘っといてここでやめちゃうのも卑怯だし、なにより私の初めてはお兄ちゃんに破って欲しかった。
ずんっ! と付き入れられる感触。
そして、おなかが千切れそうなほどの激痛。
「―――――――――ッッ!!」
余りの痛みに私は声にならない声で叫んでいた。
「大丈夫か?」
「ものすっごい痛い」私はものすごい涙目で、呼吸を荒らげながらお兄ちゃんを睨んでいた。
マンガとか体験談だと処女でもそんなに痛そうな感じも無くイチャイチャエッチしてたのに、やっぱりすごく痛い。嘘つき。と叫んでやりたかった。
「でも……続けてくれなきゃやだ」
「本当に大丈夫なのか?」本当に心配そうなお兄ちゃんの声。
「痛くても……我慢するから……!」
こくり、と心配そうな顔を立てに振るお兄ちゃん。
そして腰の抽送がスタートされる。
破けた膜にいちいちおちんちんが引っかかり、お兄ちゃんが動く度に顔をしかめてしまう。
(私から誘ったのに、気を悪くしたらやだな……)
ゆるやかなピストン運動は徐々に激しくなってゆき、そのうちに痛みもだんだんと薄らいでゆく。
正直、結構時間が経過してもまだ痛かった。それでも下腹部からじんじんと伝わってくる熱が、私に一匙の幸福感を投げかける。
「ぁっ……っ……」
ぐちゅ、ぐちゅ、とはしたない水音。ぱんぱんと腰のぶつかり合う音。そして私とお兄ちゃんの押し殺したような吐息。静寂に満ちたリビングは、私たちのエッチな音で占領されてしまっていた。
289 名無しさん@ピンキー sage 2010/02/10(水) 02:56:35 ID:qa1yn+0V
「く……」
ごつごつとおちんちんは私の一番深いところをノックし、そのたびに子宮が熱を帯びてきゅうきゅうと震える。
「……そら、もう限界……」兄貴はばつの悪そうな顔で、私の中からおちんちんを引き抜こうとする。すかさず私はお兄ちゃんの上で足を交差させ、ぎゅっとお兄ちゃんを足の間で挟んだ。
「おい、そら!」
「……いいよ……出してもいい!」
お兄ちゃんの背中に手を回して、お兄ちゃんを抱きしめる。
「お兄ちゃん! 好き! 好き! 大好き!」
その瞬間、じゅわっ、と熱くなった下腹部が震え、きゅぅっとお腹が震えた。
「そら、そらっ、そらぁっ!」
「お兄ちゃん! お兄ちゃぁぁんっ!」
そして、お腹が震えたと同時に、私の一番深いところにお兄ちゃんのおちんちんから放たれた熱い迸りが降り注いだ。
「おにぃ……ちゃん……えへ……」
下腹部に感じる多幸感とお兄ちゃんの温かさ、そして行為の疲れの気だるさは、ゆるやかに私を包んでゆく。
今はずっと、このままでいて欲しかった。
290 名無しさん@ピンキー sage 2010/02/10(水) 02:57:13 ID:qa1yn+0V
窓の外では茜色の陽が名残惜しそうに夜の世界へとかき消されてゆく。
そらはいつの間にか普段着に着替えて、台所に立っていた。
俺はといえば、リビングの真ん中で、ぼおっと夕方のワイドショーを何の気なしに眺めていた。
内容なんて全然頭に入ってない。
ただ、怖かったのだ。
流されるがまま、そらと結ばれてしまったと言う事実が。
もしそらが俺の子を妊娠していたらと言う仮定が。
今更俺にそらを拒絶することなどできない。いや、する資格がないし、できたとしても絶対にできやしない。
俺に拒絶されたそらがどうなるかなんて、絶対に俺は見たくない。
だが、俺にそらをこの世界の正義とそれに便乗した悪意から守れるだけの強さがあるかといえば、そんな強さも無い。
むしろ俺の方が逃げ出したいぐらいだ。
『人を裏切るのは妹とセックスするようなものだ』
ああ、そうさ。俺は裏切り者さ。
妹とヤっておきながら、その責任も取れないような最低の裏切り者さ。
だからなんだよ畜生。どうすればいいんだよ。
そらを捨てて逃げろってか?
「兄貴?」そらが顔をのぞき込む。「どうかしたの?」
どうかしたって?お前のせいだよ!そう叫びたかった。
「いや、何でもない」俺は立ち上がると廊下へと続く扉の方へと向かう。「ちょっと部屋戻ってる」
「うん……」
鋭い針を突き刺すように冷え込んだ廊下を早足で抜け、自室の扉を開くと、俺はそのまま電気も付けずに自分のベッドに潜り込んだ。
何も思わずにベッド脇に眼を移すと、愛用のDSが枕元に放り出されている。
「そういや、ちょっと前までよく協力プレイとかしてたっけ……」
つい何ヶ月か前、そらと俺がまだ普通の兄妹だった時期。まだそれほど経っていないはずなのに、酷く遠く、懐かしい時期。
「いったい、どこで間違ったんだろうな」
俺は枕に突っ伏す。
何分経っただろうか、外の明かりだけに照らされた薄暗い部屋の中に、くぐもった振動音が響く。
携帯のバイブ。俺はベッドから降りると、机の脇に放り出されたバッグを開ける。案の定音の発信源は俺の携帯だった。
すぐさま携帯を開くと、痛いほど明るい液晶画面に記された「着信 里野藍」の文字。
俺はすぐさま電話を取った。
291 名無しさん@ピンキー sage 2010/02/10(水) 02:59:22 ID:qa1yn+0V
「兄貴ー」私は一通り料理を作り終えると、兄貴を呼びに行く。
兄貴と結ばれた。ようやく兄貴に思いを伝えられた。私はもう上機嫌だった。
寒い廊下もものともせずに、一路部屋まで足取りも軽く歩いてゆく。
部屋のドアは閉まっていた。
「あー……」ドアをノックしようとしたその時、ドアの向こうから聞こえる話し声。
電話してるんだ。私はノックしようとした手を収めた。
「ああ……やっぱそうか……うん。じゃあ、そらには黙っておいてくれよ」
私のこと?兄貴は誰と話してるの?
「それじゃ、色々とありがとう。里野」
もしかして、電話の相手って藍?
いったい何の話をしてたの?
私ははやる心を抑えながら、数秒ほどおいて、ドアをノックした。
「兄貴、ご飯だよ」
おー、今行く。と兄貴の声。
何の電話だったんだろうか……と私の心の中は、少しだけ、ざわついていた。
292 名無しさん@ピンキー sage 2010/02/10(水) 02:59:51 ID:qa1yn+0V
ご飯の後、兄貴がお風呂に入ってる間を見計らって私は携帯を取り出す。
リビングの時計はもう九時を少しばかり回っていた。
電話帳の「里野藍」の文字を押し、通話コールを聞かされること数十秒。
『はい、里野です』
「私、北見そら」
ああ、そらちゃん。といつもの調子で電話の向こうから帰ってくる藍の声。
「ちょっと聞きたいことがあったんだけど」私は少し声を強めた。
『何?』
「さっき兄貴と何電話してたの?」
『え?千歳さんに借りてた本の話……』
「嘘」
ぎり、と歯ぎしり。電話を持つ手にも力が入る。
「私に内緒って言ってたの、聴いたんだから」
え?と藍は戸惑ったように電話口でうそぶいていたが、すぐに声が帰ってくる。
『なぁんだ、わかっちゃってたんだ』
「いったい何の話してたの! 答えて!」
『べつに?』楽しそうな藍の声が電話口ので踊る。『ただ、ちょっとかわいそうな千歳さんを慰めてあげただけですよ』
「かわいそう?」
『うん。実のお兄さんのことが大好きな気持ちの悪い妹に初めて奪われた挙句既成事実まで作られたって困ってたから、それを慰めてあげてたんです』
私は言葉を失った。
全身から血が引いてゆく、貧血の時に体が冷える嫌な感じが私の全身を包む。
その間にも電話口の藍の声は嬉々として残酷な言葉を綴る。
『千歳さんのこと思ってお兄ちゃん、お兄ちゃんってオナニーしてたんでしょ?千歳さん本当にそらちゃんの事嫌がってましたよ。
だからわたしが言ってあげたんです。千歳さんを慰めてあげて、そらちゃんの事なんか忘れさせてあげますよって言ったら、千歳さんすっごい喜んでましたよ』
うるさい。
うるさいんだよ。
『まぁ、千歳さんはそんなワケで私がいただきますから、そらちゃんはひとり寂しく泣きながらでもオナニーに勤しんでて下さいよ』
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい
「……るさい」
『へ?』
「うるさい! 黙れ畜生!」
私は人生で一番の大声を出したんじゃないかと思うような叫び声を通話口に叩きつけ、乱暴に電源ボタンを押して、通話を切る。
そしてそのまま私は携帯電話をソファに叩きつけた。
ホワイトパールの携帯電話はぽうんとソファの上をバウンドすると、そのまま軽い音を立てて床に落ちる。
荒い息を立てながら、私はやり場の無い怒りを抱えて、その場に立ち尽くしていた。
「おい! どうしたんだそら!」
叫び声を聞いて、パジャマ姿で慌てて飛んでくる兄貴。
私は兄貴をこれ以上無いまでに敵意を込めて睨みつける。
「……どうしたんだ?」
「……何でもない」
「何でもないって……あんな大声出してて何でもない訳ないだろ」
「関係ないでしょ! 兄貴には!」
私は兄貴の側にまで詰め寄って、パジャマの襟を引っつかんで、引き寄せた。
「こんな気持ち悪い妹、嫌なら構わなきゃいいじゃない! 私なんか消えればいいんでしょ! 消えればすむんでしょ!」
は?ととぼけたふりをする兄貴。
白々しい。余計に怒りが湧いてくる。
「もういい! 兄貴の望みどおり私は消えてやりますから! どうぞ後はご勝手に藍にでも慰めてもらえばいいじゃない!」
一通り叫び終えると、私は落っこちていた携帯を持って部屋に帰っていった。
最終更新:2010年03月07日 20:29