小ネタ 私の者
「んで、この文章の意味がこうだからここはこうなるの。わかった?」
「なるほど。さすが美琴」
「中学生に勉強教えてもらう高校生なんて・・・とか言っていたのは誰だったかな~?」
「うるせえ。今となっては全部OKなんだよ」
恋人になった上条と美琴。テスト期間になると毎日美琴が上条の家に行き個人授業をしていた。美琴からすれば勉強なんて会うための口実にしかすぎず、二人でいるというだけで満足でもあった。
この隣にいる愛おしい彼は私の物。そう考えるだけで幸せだ。
この隣にいる愛おしい彼は私の物。そう考えると時には辛く思ってしまう時もある。
ピリリリ!!
「電話だ。ちょっと失礼」
そう言って上条は携帯を持って席を立ち、美琴から少し離れた場所へ移動した。
「はい上条です。あぁ、どうした?」
話し方を聞いてる限り電話の相手は友人だろう。男の電話の長さなら4、5分で終わるだろうと
美琴は思っていた。
だけど10分、15分と経っても電話の主は一行に通話を切ろうとしない。上条はうんと相づちを打ち、
時には笑い声を上げてた。
電話の相手も必死なのだろう。耳を澄ますと相手は女の子だと美琴はわかった。
相手が女子とわかると当然美琴は嫉妬する。
隣に彼女という私がいるのに他の女の子と長電話するなんてどういうことよ。
早く勉強再開するわよ!とシャーペンをカチカチ鳴らしてアピールするが上条は悪い!と
手を上げて背中を美琴に向けてしまった。
本当に気にくわない。お人好しなのはわかるけど女の子の上条に対するアピールだと気付かない彼を責めても仕方がない。
かといって電話の女の子を責める事もできない。
自分もかつては電話の女の子と同じ立場の人間だったから。
少し素直になれたと思ったらもう止まらなかった。同僚の目を盗んでは毎日電話をかけ、
彼から電話をくれる事はなかったがメールはちゃんと返事をくれた。それだけでも心が飛び跳ねる程
嬉しくてついついまた電話をかけた。少し心配になって
「毎日こんなに長電話してるけど大丈夫?」
と聞いたことがあったが彼は
「御坂がいいなら問題ないぞ」
と彼らしい返事だった。
しかし今の美琴と上条は違う。恋人になり他の女の子と電話することはあまりよろしくないと
上条自信もわかっているだろう。その証に段々上条がチラチラと美琴の様子を伺っている。
しかし自分を気にしてくれても電話を一刻も早く切ってくれなければ美琴の気持ちは収まらない。
しかしもう収まり切れなかった。
まだ美琴の方に背を向けて電話をしている上条に近づき、後ろから手を回した。
突然の事に上条は驚き肩がピクっと震えた。
「み、美琴!?」
焦った声に反応はせず美琴は黙って上条が持っている携帯を奪い通話を切った。
あの電話は過去の自分だったのかもしれない。でも昔の自分とはもう違う。電話できただけで喜んでいた自分とはもうさよなら。だって今は恋人同士。
「ねえ、これからはずっと私だけを見て!?」