とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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とある野球の上条美琴(バッテリー)




-1ー

(Dec.16_AM11:30)
ーーー経緯はいろいろあって、上条当麻とその仲間たちは野球の試合をする事になった。
今日はその試合の一週間前である。

ポジションは既に決まっている。
(まあ、やっぱりアイツがピッチャーか。"バランスのいい投球で攻めるビリビリ投手"っつってな)
上条はそう思ってニヤリと笑った。

「あ、ちょっとアンタ」
と、そのピッチャーである御坂美琴が話しかけてきた。

「ん?」
             、、、、、、、、、、、
「キャッチャーやるならさ、右手で受けなくていいの?」
「ーーなるほど」
                、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「ミットしてるとはいえ、やっぱり左手で私の球受けたら何があるかわかんないわよ?」
「確かにそうだ。よし、やってみっか」

というわけで、上条は美琴の球を受けるために左投右打にする事にした。
(あ、相手のバットもそうか)
相手チームが使うバットも電気を通さない特殊なものにするらしい。

「ーーにしても、御坂センセーはなんでいきなりそんな速い球を投げれるんでせうか?」
上条は問う。
「一応、私だってスポーツはいろいろ出来るわよ?そういうアンタはどうなのよ?だいぶ慣れてるような手つきだけど」
「いや、本を見てだいたいで覚えたんだがな」
「そうなの?…私の球受けて『右手痛い!』とか言わないでよね?」
「…まあ、大丈夫だろ」

楽しそうに話す上条と美琴を、外野から見ている二人の人物がいた。
「ーーカミやん、あのお嬢様の球うけるのかにゃー?」と土御門元春。
「らしいなぁ。それにしても、『あの二人』はなんでカミやんとお嬢様にバッテリーを組ませたんかねぇ」と青髪ピアス。
「…そりゃぁ、あれだろう。キャッチャーとピッチャーはいかにココロが通じ合うかだからにゃー。そういう意味では、あのバッテリーはなかなかだと思うぜい」
周りの目から見ても、上条と美琴のバッテリーには期待が持てるようだった。



ー2ー
(Dec.23_PM3:30)
ーー時は流れ、試合当日。
オーダー(打順)が発表になった。

1番・右翼 土御門元春 
2番・三塁 白井黒子
3番・中堅 一方通行
4番・捕手 上条当麻
5番・左翼 青髪ピアス
6番・遊撃 土御門舞夏
7番・二塁 打ち止め
8番・一塁 御坂妹(10032号)
9番・投手 御坂美琴

「…俺が4番?」
「…っぽいわね」
「…なんででせうか?」
「…なんでなのかしらね?」
上条と美琴は顔を見合わせる。

ーーこの二人の疑問に答えると、
この野球の試合をするというイベントは佐天涙子と初春飾利の手によって"仕組まれている"。
上条と美琴にバッテリーを組ませたのも、上条が4番にいるのもすべて、いわゆる「監督」的な立場にいるこの二人の仕業である。
「御坂さん、頑張って!」
「上条さんを信じてください!」
「…ええ。今日の試合はアイツに任せるわ。私はアイツを信じて投げるだけよ!」
…試合開始10分前。
「よし、行くぞ御坂!」
「了解!」
ーーかくして、上条チームは後攻で試合が始まった。

初回、美琴は簡単に2アウトをとり、3番バッターへの初球。
(カキーン!)
「うわっ!」
「えっ!?」
ーーいきなり、ホームランを許してしまった。

「嘘…」
「マジか…って待てよ。まさか、コイツら…」
上条は相手の弱点を見抜くと、ニヤリと笑った。
そして、美琴のもとへ駆け寄る。
「ちょっといいか、御坂?実は、コイツら…」
「…えっ?じゃあ、その弱点を突く投球術があるってこと?」
「ああ。例えば、あのバッターならーー」
「ーーわかった。私はアンタを信じるわ!」
「そうしてもらえると俺としても嬉しいな。よし、俺のリードに従って投げてみてくれるか?」
「オッケー!」
美琴は上条のリード通りに球を投げる。
ーー空振り三振。上条の言った”弱点”がぴたりと当たった。
(…そっか。そうよね。アイツの言う通りに投げれば抑えられる!)
その後、美琴は9回まで1本もヒットを許す事はなかった。



ー3ー
(Dec.23_PM6:10)
1ー0のまま、9回の表まで来た。
相手のヒットは初回のホームランのみである。
一方上条チームは、何本かヒットは出ているが得点はとれていない。

美琴は簡単に1アウトをとる。しかしーー
(…ん、コイツそろそろ疲れてきたか?)
上条は美琴の球に勢いがなくなってきた事に気づく。そしてーー
(カキーン!)
「「あっ!」」
二人同時に叫ぶ。大きな打球はセンターへ。
(やられたか…)
(やられたわ…)
二人が落胆しかけた、その時ーー

一方通行が、打球を捕っていた。
彼は、フェンスギリギリで打球をジャンピングキャッチしていたのだ。
「…ったくよォ。所詮、お前ら二人なんてその程度か?いいか!もうここまで打たせるンじゃねェぞ!」
バッテリーに向かって叫ぶと、一方通行はニヤリと笑った。
(…おう、絶対に打たせないぜ。サンキューな一方通行)
上条はセンターに向かって手を挙げた。

…しかし、美琴はやはり疲れてきていたようだ。四球を連続して出してしまい、2アウト1、2塁のピンチ。
(…どうしよう。これ以上点を取られたら…)
「みさかー、あと少しだぞー」
「お姉様ー、ファイトですのー!」
「後はここをしのぐだけです、とミサカはお姉様に励ましの声をかけます」
「ここで切れば、裏にはミラクルが待ってくるかもー、ってミサカはミサカは励ましの声をかけてみる」
内野陣が集まって、美琴に声をかける。
「みんな…」
「周りも言ってるけどな、ーーまずはここを抑えよう。裏の攻撃は俺に打順が回る。
 そしたら、俺が試合にケリをつけてやるから。
 だから、俺を信じて、思いっきり投げ込んでこい!」
「ーーありがと!私、頑張る!」
…そして、美琴はこのピンチを空振り三振に切ってとりしのいだ。上条と美琴は微笑んでハイタッチして、ベンチに戻った。



ー4ー
ーー迎えた、9回の裏。先頭バッターは一方通行。
3ボール2ストライクのフルカウントに持ち込むと、勝負球を思い切って振り、ライトへのツーベースヒットになった。
ノーアウト2塁。バッターは”4番・上条”。
    、、、、、、、、、、、、、、
「おい、一発で決めるには、最高の場面なンじゃねェのかァ?」
二塁から一方通行の声が聞こえた。
(ああ、一発で決めてやるさ)
ーー上条は打席に入る。
(チームのためにも、俺を信じてくれたアイツのためにも、絶対に決めてやる!)
一方、ベンチではーー
(ここで、決めてくれるわよね…いや、絶対決めてくれる。…私はアンタを…当麻を信じてるから!)
美琴は祈っていた。
「…俺がここで打てなかったら、頑張って投げた御坂に負けがついて、試合に負けるのか…」
(プレイ!)コールがかかる。
「…なら、まずはそんなバカげた幻想を、俺がこの手でッーー」
初球が投げられる。
「ぶち殺すッ!!」
上条は思い切ってスイングして

ーーフルスイングした打球は、大きな弧を描いてレフトスタンドに消えていった。
勝負を決める、逆転サヨナラホームラン。
「おお、やるやんカミやん!」
「やっぱりここで決めるのはカミやんだったにゃー」
「さすがだなー、上条当麻」
「お見事ですのよ、上条さん」
「宣言通り決めたか…やるじゃねェか」
「やはりアナタが決めてくれたのですね、とミサカは誉め称えます」
「すごい!すごすぎるかも!ってミサカはミサカは素直な感想を述べてみる」
ダイヤモンドを一周して還ってきた上条に、全員が満面の笑みで声をかける。
「やっぱり…やっぱり、決めてくれたのね。…私、アンタを信じてよかった。
 アンタと…当麻と、バッテリーを組めて本当によかった!…ありがとう…」
美琴の目が潤みだした。上条はそんな美琴に微笑みながら、肩に手をやってベンチに戻る。
その光景を見た”監督”二人は、顔を見合わせて微笑んだ。



-5-
(Dec.23_PM7:40)
仲間達と別れ、上条と美琴は二人で帰っていた。
「…で、本当に”優秀選手賞”の商品はわたくし上条さんが全部いただいてよかったんでせうか?」
”監督”二人の手で、そのような賞も用意されていた。
「いいじゃないの。アンタのおかげで勝ったんだから」
「いや、ヒーローはもう一人いる」
「…?」
「俺は、もう一人のヒーローはお前だと思う。頑張って投げ抜いたんだし。この賞品を半分、御坂美琴に贈呈する」
「…えっ?ーーでも、すべてはアンタのおかげよ?」
「いいっていいって。それに、俺はお前のおかげで頑張れたんだから。」
半分の賞品を美琴に手渡すと、上条はにっこりと微笑み、
 、、、、、、、、
「ありがとな、美琴」
「…本当にいいのね?ありがと…って、アンタ今私を名前で…?」
「んー?たしかお前もさっき、俺を名前で呼んでたようなーー」
「ーー!!」
美琴の顔が徐々に赤くなり、体から電気が漏れだす。
「…っておいおい!漏電してますけどー?」
上条はあわてて美琴の手を右手で握る。
「ーー仕方ねぇな。今日はお前も疲れただろ?寮まで送ってってやるよ」
「ふぇ、ふぇっ!?」
いうなり、上条は手を握ったまま歩き出した。

「…ほら、寮が見えてきた」
「うん。ここまででいいわ。…今日一日、いろいろとーー本当にありがと、…当麻」
美琴は少し恥じらいながらも笑顔で言う。
「ああ、俺もお前には感謝してるぜ。ありがとな、美琴。じゃぁ…」
「待って!」
「?」
走り去ろうとした上条を、美琴は呼び止めた。
「その…明日、空いてる?」
「明日か?ーーああ、午後なら空いてるぞ」
「じゃあ…夕方の5時に、いつもの公園に来てくれる?詳しい事はまたメールで話すわ」
「ああ、わかった。じゃぁな、美琴!」
「うん。バイバイ、当麻!」
二人は手を振り、それぞれの寮へと向かっていった。

ーー明日が12月24日、クリスマスイブだということに上条が気づくのは、それから数時間後のこと。

Dec.23_PM8:00 終了






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