とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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Mothering Sunday

※今から読もうと思っている皆様へ、諸注意を必ずお読み下さい。

ツンデレガールの母」その後のお話(14-15年後)
ぶっちぎりで色々設定無視してます、IF話です。
上琴夫婦です、キャラ崩壊してますので注意。
学園都市で、2人とも働いてます(たぶん)
オリキャラ1人娘出てきます(5-6歳ぐらい)
ほのぼの系ですよ。いちゃは期待しないで下さい(あはは)
あと「ひらがな」セリフが結構あります。
上記の内容でダメな方はスルーして下さい、お願いします。


以下、全然おっけーよという方はどうぞご覧下さい。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 第21学区には自然観測区として天文台など、広い自然公園がある。
良く晴れた日曜日、とある親子3人はその自然公園にピクニックに来ていた。

「ママ~、パパ~こっちこっち!」
 亜麻色の髪の小さな女の子は、振り返って2人を急かす。
「はいはーい、今行くからねー」
 同じく亜麻色の髪を持つ女性は、娘に向かって返事をする。
上条の奥さんであり、未だに恋人のような可愛らしい女性――美琴は微笑むと。
「ねぇ、あんたにしては気が利くじゃない」
 と、旦那である――当麻に向かってこれは一体誰から頂いた知恵なのかしら?と尋ねてみた。

 夫婦として歩み始めて数年経つが、娘が生まれてもフラグ体質は直らないし、気が利かない
 ことが多々ある為、こんな気の利いたお出掛けイベントというものを当麻が思い付くはずが無い。
 というのが美琴の考えだ。

「ん?…ああ、いやこれは美結(みゆ)のアイデアだぞ」
 美琴の考えてる事は大体察している。正直に告げ、驚くだろうなと内心ほくそ笑む。
 案の定、思考が一瞬止まったかのような顔をする美琴。
「えっ?美結が…」
 美琴は当麻に何か入れ知恵したとしたら、母である美鈴だと見当をつけていただけに衝撃が大きい。
「今日は母の日だろ?」
「…………あ、そうだったわね」
 どこか美琴は気まずそうに、目を泳がす。
「うぉい?!」
「しょうがないじゃない、最近忙しかったんだから…」
「まあなー、はっ!?…いや別に忘れてたのが悪いって言ってるわけじゃないぞ!!」
 ビリビリはやめてくれな、と若干パチパチしている美琴に慄く。
「わ、わかってるわよ!それにもうビリビリは卒業したわよ!」
 と、そこまで言って途端に落ち込んだような表情に変わる。
「それにしても、美結が…ねぇ」
 一緒にいてあげられないことが多い美琴は、娘の気持ちを思うと胸が痛む。
「どうしたんだ?」
「うん…最近ろくに構ってあげられなかったから、寂しい思いさせちゃったかなって」
「………いや、美結はな、いつも頑張ってるママにプレゼントしたい物があるんだと」
「……えっ?」
「確かに多少は寂しいってのもあるけどな、それだけじゃない…あの娘はちゃんとわかってるんだ」

 * ・ * ・ * ・ * ・ *

――話は遡ること、1週間前。

「………………」
 最近、美琴は学会やら何やらで忙しい。
午前様も当たり前、その後レポートをまとめたりと、ろくな睡眠も取れてない。
今日は比較的早く帰れて、ベットにもいかずソファで仮眠中といったところ。
そんな美琴に毛布を掛けている最中だった。

「ママ、だいじょうぶ?」
 と美結がやって来て心配そうに、眠りの中にいる美琴を覗きこむ。
「ママは、疲れて眠ってるだけだよ」
 そんな娘の様子に、こっちにおいでと呼ぶ。
たたたっと美結は懐に来て、ぎゅーとシャツを掴む。
「ねぇ…パパ、ママおしごと、たいへんなの?」
「そうだな…今が一番大変だって言ってたな」
 見上げてくる娘の髪を撫ぜながらそう答える。
「……………、」

 少し寂しそうな、残念そうな顔。

「寂しいか?」
「ううん、さびしくないよ、だってママのおしごとは、きん…きん…」
「筋ジストロフィー?」
 娘の手助けをして続きを促す。
「そうそれ!体をうごかせなくなっちゃうびょうき!
ママは、そのびょうきでこまってる人をなおす…しごとでしょ。
ママしかできないことだから…みゆは、さびしくてもへいき――でも」
「でも?」

 でも、と続けるのは今日、幼稚園で教わった事。
 『母の日』…それはママにありがとうって伝えてプレゼントを送る日。
 けれどその日に、ママに仕事があったらどうしようという事だった。

「ママ、じかん…ないかな?」
 なるほど、これは協力しなければと奮起する。
「美結、パパに任せなさい!」
「ほんとっ!やったーパパだいすき!」
 愛する娘のため、パパは頑張るのだ。
母の日の計画を練ようとして、プランは既にあると娘は言う。

「――それでね、けんと君がいってたんだけど」
「待て、美結…さっきから気になってるんだが、けんと君って誰だ?」
「みゆのボーイフレンドだよ?」
「…………?!」
 ボーイフレンド…いや娘にはまだ早すぎる、いやこの場合はお友達って意味か?
「…ねぇパパ?」
 聞いてるの?と美琴に良く似た顔で怒られた。
「はっ!……いや、悪いそれで?」
「あのね、しぜんこうえんってわかる?」

 自然公園と聞いたら、一つしかない。
「そこにね、いっぱい…よつばのクローバーがあるんだって!」
 ママにプレゼントしたいのと美結は続けた。
「そうかそうか、じゃあ日曜日はピクニックだな!」
「うん!ママ、よろこぶかな?」
「もちろん!」

「っと、そうだ美結、ママをそろそろベットに運ぶから扉開けてくれるか?」

 仮眠どころではない美琴をみて、ソファーに寝かしておくのも疲れが取れないだろうと判断する。

「わかったー!」

 * ・ * ・ * ・ * ・ *

「―――――というわけさ」
 もう今日はそのために2人で頑張ったんだぞと美琴に告げる。
「そうだったんだ……」
 じーんと込上げる思いに美琴の涙腺が緩む。
「ねぇママ、見てみてー!」
 と美結は言いながら、こちらに向かって戻ってきた。
「なになに?」
 美琴は今すぐにでも娘を抱きしめたい衝動に駆られるが、何か見せたい物があるらしい。ぐっと堪える。

 美結は、えへへと笑うと。
「ママ、いつもありがとう!これ、ママにあげる!」
 娘から渡されたのは四葉のクローバー。
美琴はそれを手に取って、しばらく放心して。
「あぁもう~なんて美結は良い子なの!なんて、可愛いのかしら、大好き!」
 と美琴はぎゅーと娘を抱きしめて、ほっぺにちゅーして思う存分、愛情を込めた。
それだけでは足りなくて、抱き上げて、くるっと1回転しそのまましばらく抱きしめる。
「みゆも、ママのことだいすきだよ!」
 うんうんと、美琴は頷く。溢れた思いは決壊し、涙は頬を伝う。
「ありがとう、ママ頑張るからね」
「ママ?…どこかいたいの」
 急に涙を流す美琴に娘は戸惑う。
「………ううん、いたいわけじゃないの」
「どうして…なくの?」
「…ママはね、嬉しくて…泣いてるの」
「わかんない…ひっく、ママ泣かないで…ぐす」
 しまいに美結も泣きだした。
どうしよう、涙止まらないなと美琴は思う。母娘ともども互いにもらい泣きだ。
「…当麻?」
 不意に娘以外の温もりを感じて顔をあげると。
「美琴と美結の泣き顔を他の男には見せるわけにはいかないからな」
 と、これは俺の役目だと言い放つ。
「ばか……でもお言葉に甘えさせてもらうわ」

 そうしてしばらく親子3人で寄り添っていた。

「美結、寝ちゃったね」
 そう言って美琴は、膝元にいる娘の髪を撫ぜる。
「まぁ、朝からはしゃいでたしな」

 時刻はお昼にさしかかり、休憩タイム。
 木陰のある場所にシートを敷いて、のんびりと過ごす。

「あ、お昼どうするの?」
「美結が起きてからでいいだろ」
 持ってきてるわけだしと、籐のバスケットを指す。
「それもそうねー」

 穏やかな時間が流れる、忙しかった美琴にとって、この場所はとてもリラックスできた。
 耳を澄ますと、川のせせらぎ、小鳥のさえずり、木陰がある為、日差しはそんなに強くない。
 なにより、隣には当麻がいて、膝元には美結がいる。十分すぎるほど、これ以上ない幸福感に満たされる。

「ここ、良いところねー」
「だよなー俺もなんだか眠くなってきたよ」
「ちょ、こら私だけ残して寝るな!」
「いやいや、だってなぁ、俺も朝からの準備でへとへと…」

 分からないでもない、美琴は今回の準備を全て当麻に任せている。というのは今日が何の日かとはこれっぽ
 ちも頭になかったが、今日の休みを取るために寝てないだろと指摘され、結局はそれに甘んじたというわけだ。
 それでも今このときにしか話せないことがある。

「ねぇ…寝る前にちょっとだけお願い、話したい事があるのよ」
「重要な話なんだな、わかった」
 横にした体を起こして、居住まいを正す。
「…あのね、もう少しで私がいなくても研究に区切りがつきそうだから…そしたら」
「そしたら?」
「しばらくお休みしようかなって…」
「いいのか、それで?」
「うん…前から考えていたのよ、美結と一緒にいる時間を作ってあげたいっていうか、やっぱり寂しいと思うの」
「そんなことは…」
「ないと言い切れる?」
「まぁ、そりゃ美鈴さんに面倒みてもらったりして…」
「うん…私、母親失格だな~」
「そんなことないって、俺だってそうだろ」
「ううん、私なんかに比べたら…」
 話は平行線。
「なぁ美琴、俺達は、学園都市っていうこの場所に幼い頃に親元を離れて来てるわけだ」
「それで?」
「だから、そのなんだ…意外に1人ってことに慣れてるんだよな」
「うん、まぁそうよね…私達みたいに中途半端な距離じゃなくて、距離がもっと開いて親とはなかなか会えないものだし」
「だからあれだな、もっと友達を増やせる環境に美結を置いてあげるとか兄弟のような…関係ってか?あれば自然と輪が広がって
 …だめだ上手く言えないな、ようは友達は1人より2人、沢山いたほうが良い。だからもっと子供の多い団地に引っ越すとかな」
 一緒に考えような…ってあれ、話聞いてます?といった風で美琴は、何やらぶつぶつ呟いている。

「そっか、きょうだい…ね」
 と美琴は少し間を置いて。
「ねぇ、当麻…」
「…ん?」
「――――もう1人子供欲しいな」
 そっと耳打ちする。
「えっ…み、美琴?!」
「だめ?」
「ダ、ダメジャナイデストモ!!」
「じゃ、決まりね」


「ずる~いパパとママだけ、みゆもお話したい!」

 目を覚ましたら、ママがパパの耳に顔を近づけて内緒話をしている。
なんとなく自分だけ除け者にされた気がして、手をぶんぶん振って主張した。

 ママは笑って、みゆの頭を撫ぜる。
「今日のお礼に、美結に弟か妹をプレゼントしたいなって、パパに相談してたのよ」
「ほんと!ねぇいつ?いつなの?」

 ママはちょっと楽しそうにパパを見て告げた。

「うーん…それはパパの頑張り次第かな」






(終)


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