ノイズ
回路においてノイズとは電磁気的雑音全般を指します。
ノイズが一切入らない環境はありません。
どうやったら軽減して無視できるようになるのかをまとめます。
ノイズの原因
ノイズの主な原因は以下の通りです。
- デジタル回路のパルスの高周波成分
- 電源の周波数ノイズ
- スイッチング電源のスイッチングノイズ
- 外部から電磁放射を受けることで発生するノイズ
- 大電流で発生する放射ノイズと電源ノイズ
ノイズの種類や影響によって、対策も変わります。
ノイズの分類
まずノイズは、コモンモードノイズとディファレンシャルモードノイズに分けることができます。
^コモンモードノイズ
ノイズ原が外部にあることが多く、信号線とグランド線に同位相で発生するノイズ。
ノイズ原が内部にあることが多く、信号線とグランド線に逆位相で発生するノイズ。
そして、ノイズの影響については電流ノイズと電圧ノイズに分けられます。
結果的には電力に換算されます。
主にアナログ系に影響を与えやすいノイズ。
電線にアンベールの法則で電磁波が加わって起きることが多い。
主にデジタル系に影響を与えやすいノイズ。
スイッチングやインピーダンス差など内部で発生しやすい。
ノイズ対策
まずノイズ対策で重要となるのは、どのようなノイズであるかを識別することです。
まずコモンモードノイズとディファレンシャルモードノイズでは、明確に対策方法が異なります。
信号線とグランドの間にコンデンサを入れてもノイズが収まらないのが特徴。
信号線は基本グランドとセットでつなげるが、グランドがノイズを中途半端に吸収しきれずに放射してしまうことで発生する。
シールド線で信号線とグランドを保護するのが効果的で、ちゃんとシールドをノイズ放射原の片端につなぐとさらに効果的になる。
シールドはちゃんとグランドにもつなぐ必要がある。これには一点接地ルールを守る必要がある。
安価な対策としてフェライトコアを使用することもある。
コンデンサやローパスフィルタで解決できるが、信号レベルや応答性が低下するので注意。
個別の対策方法の詳細は以下の通りです。
ディファレンシャルモードの電圧ノイズの軽減としては非常に効果的で、
基本は容量が大きければ大きいほど効果は高いが、出力側に電流負荷を与えるためにノイズが生まれる可能性もあるので注意。
いわゆるグランドというのは、システム内の部品レベルで複数存在することがある、
これを中途半端に接続すると、電流がまわりまわって戻ってくる回帰ノイズが発生する。
そこでどこか一定の場所ですべてのグランドをつなぐ一点接地という手法を取る。
一方で信号線もグランドもほかのシステムに全くつながないことをフローティング(浮遊)と表現する。
回路がフローティングの場合、どこかの配線に与えたノイズが回路全体に回ってしまうため、コモンモードのノイズが加わる状態になりやすい。
逆に2本以上でループを描くグランドを作ってしまうと、それがアンテナとなりループ内に侵入された電磁波がすべてノイズに変わる。
なお、この一点接地されたグランドは、一切の浮遊容量を持たないか無限大の浮遊容量を持っていることが理想。
つまり電流ノイズが発生しないか、電流ノイズで電圧ノイズが発生しないことが求められる。
今度は絶縁の話。
アナログ回路はデジタル回路の電源ノイズの影響を非常に受けやすいため、
アナログ回路系電源とデジタル回路系電源を別にする。グランドも別にして一点接地する。
デジタル信号では、出力インピーダンスと入力インピーダンスに違いがあると、不平衡回路となって信号に反射が発生する。
この反射が一定量を超えると、デジタル信号の立ち上がりに別のパルスが発生し、誤った動作を招いてしまう。
外的な放射ノイズからディファレンシャルモードノイズの発生を抑えることができる。
デジタルICの電源に0.1uF程度のコンデンサを入れる。
デジタル信号の発生側の消費電流の変化で発生する高周波成分を除去することができる。必須。
信号線やグランド、回路を金属製の網や筒に入れて外的なノイズを防ぐ方法。
なおシールドが接地されていない場合、シールドがノイズを再度発生させてしまうため、効果が低下する。
例えばロッカーの中でもかろうじて携帯電話が使用できるのは、ロッカーが効率の悪いアンテナとなってノイズの再放射が発生するのが原因。
検討が必要な事項
移動ロボットの回路システムのグランドは接地できないため、コモンモードのノイズの除去が完全にできない。
そのためフレームを回路系のグランドにつないでしまうと、中途半端な容量の接地を生んでしまう。
電波通信を行う場合、アンテナはノイズ対策ができないので注意が必要。
例えばアンテナをフレームに沿って配置してフレームを接地すると電波が低下する。
最終更新:2025年07月11日 11:23