転生した先、そこには二つの月が輝く異世界。
科学が発達せず、魔法が支配するファンタジーワールドだった。
ハルケギニアという聞いたことのない世界名・・・、地球にそんな地名は存在しなかったと記憶が教えてくれる。
だが驚くべきことはそれだけにとどまらなかった。
水面に映る俺の姿、それが少女に成り変わっていた。容姿の変わりように動揺し、息が追い付かず呼吸困難に近い状況になっていた俺は取りあえずリラックスするイメージを頭に浮かべた。
そして結論を導き出した。これは夢か何かの間違いだろう、と。
現実は非情にして確かなものである。俺の姿のそれは女であり、それも16かそこらのものだった。
髪は燃盛る紅蓮の炎、瞳の奥に揺らめく灼熱。黒い衣を纏う白く華奢な肢体。月明の下にあますところなく晒されていた。
「えっとね。うーん。・・・これは如何したものかなあ」
などとためしに声を出すが、少女の声だった。
おいおい・・・、と嘆息を吐く。
そして何処から湧き出してきたヘンな気持ち・・・。
うわ、俺ってば裸の少女の身体を晒している! なんつう拙い状況なんだ。
これをいわゆる羞恥心と呼ぶのだろう。男のときは裸一貫でも問題のなかったのに。いや、男だからこそこの姿に対してヘンな感情を抱いてしまうものなのに違いない!
何か着るものは―、と考えたところ、瞬間的に火の粉が身体を暖かく包み、ドレスを纏わった姿となった。どうやらイメージによって服などを形成できるらしい。なんとも便利な能力・・・。
そしてようやく自分の姿に見覚えがあることに気がついた。
どっかで読んだことのある小説の挿絵にのっていたような。
そう、灼眼のシャナ。しかし、転生したこの世界はシャナの世界ではない。ゼロの使い魔の世界、ハルケギニアだ。どうなっているのやら、分からん。
それにこれはいつの時期だろう。よくある創作では原作開始数年前とかの場合がお決まりなのだが、そもそもアニメは見たが、原作をあまり読んでないのでそこのことも不明だ。
目の前に広がる水面、記憶が正しければラグドリアン湖だろう。水の精霊がいるというところだ。
「貴女は誰?」
そのとき不意に声をかけられたので、惚けて水面を眺めていた私は声の主に反射的にびくりと引き攣った顔を向けてしまった。
「な、なっ、何を突然・・・。」
「ここはモンモランシー家の敷地のはず。でもあなたは来客には見えない。」
いわゆる不審者に見える、ということらしい。
青い髪をした幼げな姿に似合わず、しっかりした口調で迫ってくる。
といって正直にことを話すわけにもいかない。何かごまかす方法は・・・。
「ちょっと迷子、・・・かな。」
というかそれって言い訳にすらなってない! とかなんとか思いつつ何とか眼力で誤魔化そうと試みた。だがしかし、それは無意味だった。
「・・・タダ者じゃなさそう。 何者?」
「と、とにかく怪しいものじゃないってこと。」
「信用できない。」
全く、疑り深い子だ。 やはり戦って一旦身を隠すべきか。 でもこの子、たしかかなりの魔法レベルに達していたような。 名前なんだったっけ
最終更新:2010年10月02日 02:08